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第2話 追放の晩餐
しおりを挟む夕刻の鐘が三度鳴って、屋敷の空気がきゅっと締まった。
日中のざわめきはどこかに引き上げられ、廊下には絹の裾と銀器の触れ合う音だけが滑っていく。
料理番の掛け声、侍従の短い返事、扉の蝶番が油で鳴らないかを確かめる音。
大きな家が一斉に息を合わせる瞬間は、たいてい誰かのための舞台が用意されたときだった。
「お嬢様、こちらのドレスを」
控えの間で、エミリアが薄い藤色のドレスを持ち上げる。
光を含んだ布は、角度によって青みが差した。襟元には小さな刺繍。薔薇ではない、野の花の図案だ。
彼女の手が微かに震えているのが見えて、ローザは笑った。
「そんなに緊張しないで。着るのは私よ」
「緊張しているのは、多分……私の方が怖いからです」
「エミリアが?」
「ええ。晩餐で家族が全員揃うのは珍しい。珍しいことは、だいたい良くも悪くも大ごとになります」
「占いみたいな言い方」
「厨房と廊下は噂の通り道なんです。通り道は、だいたい当たる」
エミリアの冗談めいた声に、ローザは肩の力を抜いた。
鏡の前に立つ。髪はきれいにまとめられ、控えめな髪飾りが一つ。頬の色は薄いが、健康的だ。
十指には土のささくれが少し残っている。
「手袋、忘れずに」
「うん」
薄いレースの手袋をはめる。
手の甲の上、糸の模様越しに、土に触れてきた時間の記憶が浮かんでは消える。
指先をぎゅっと握ると、心臓の鼓動が手袋の中で跳ねた。
「行ってきます」
「ついています」
エミリアが小さく頭を下げる。
扉の向こうは、晩餐のために磨き上げられた空気だった。
――――
食堂は、いつもより燭台が多かった。
光が壁の金枠に反射し、家系図の線がやけに立体的に浮かぶ。
長いテーブルの中央には銀の花器、季節の花が規則正しく挿されている。秩序の香り。
人の手で整えられた美しさは、ときどき目を刺すほど眩しい。
父は席に着いていた。深い色の上着、指には重い印章の指輪。
母は首飾りを二本重ね、淡い笑みを顔に貼り付けている。
長女マリアンヌは肩の露出が大胆なドレスで、視線を向けられることの技術を知っている目をしていた。
次女セシリアは本を閉じ、膝の上で両手を組んでいる。
テーブルの端には侍従長、壁際に楽師。見慣れぬ老人が一人、父の斜め後ろに控えていた。
旅の塵を払ったばかりのような、乾いた靴。目だけがよく動く。
「遅かったわね、ローザ」
マリアンヌがわざとらしくため息をつく。
ローザは一礼し、定位置に座った。
彼女の席は、長いテーブルの真ん中より少し外れたところ。
会話が届くには十分、しかし主役にはならない距離。
「始めなさい」
父の声で、食事が流れ始める。
スープが注がれ、パンが配られ、銀器の音が重なる。
礼儀の会話が交わされる。「お元気で」「天候がよく」「市場は賑やか」。
ローザは相槌を打ち、スープの温度で喉を湿らせる。
何かが来る。分かっていても、合図がないうちは呼吸するしかない。
「王都は相変わらず浮かれているらしい」
父が言った。新聞の話題を口に乗せる癖がある。
「竜の花嫁だとさ。酒場の笑い話にしてはしつこい。貴族の間でも、それがどうのこうのと」
「幻想を話題にしていないと、現実が辛いのではなくて?」と母。
声は軽いのに、言葉の角が鋭い。
「幻想でも現実でも、家は家の利益をとる」
父の言葉が、皿の上の肉のように重く置かれた。
ローザはスプーンを静かに置き、姿勢を正す。胸が早くなる。
音楽が一瞬だけ止まった気がして、すぐにまた流れ出した。
「さて」
父がナプキンで口元を軽く拭い、視線を上げる。
見上げたのではなく、視線を与えられた、という感じだった。
「家族に知らせがある」
母は微笑みを崩さない。マリアンヌはわずかに身を乗り出し、セシリアは目を細めた。
「アーデルハイト家は、王都のために、そしてこの家のために、ひとつの決断をした」
ローザは一度だけ息を飲んだ。喉が鳴る音が自分の耳にだけ大きく響く。
「ローザ、お前の縁談だ」
時間がひとつ折れ曲がったみたいに、音がくぐもる。
聞こえている。けれど少し遅れて届く。
「……私の、縁談?」
「そうだ。相手は辺境の領主だ」
ここまでは、貴族の家で驚くようなことではない。
辺境の貴族に娘を嫁がせる例は少なくない。
だが父はわざわざ一拍置いてから、続けた。
「竜だ」
楽師が指を滑らせ、弦が低くうめいた。
侍従長の肩が一瞬、わずかに上がった。
誰かが小さく笑いかけたのを、すぐに飲み込む。
「……竜、ですか」
自分の声が、予想より落ち着いている。
ローザは自分の声を客観的に眺める。これは私の声だ。
「ただの噂では?」
「噂に乗って動いているのは王都じゅうだ。辺境グレイリッジの『領主』が、花嫁を求めている。
人であるかどうかはさておき、王都はそれを“事実”として面白がっている。
面白がりは、金と名誉を連れてくる」
「お父様。……つまり、私をその“花嫁”として差し出すと?」
「差し出す? 語弊がある。お前は家のため、王都のために“嫁ぐ”のだ」
マリアンヌが肩を揺らして笑う。
「素敵。竜の花嫁。誰より華やかな卒業よね、ローザ」
彼女はグラスを傾け、赤い液体が光を吸う。
唇に触れる寸前でグラスが止まる。
「ああ、でも」
彼女の視線が、ローザの髪飾りから足先までを柔らかくなぞり、そして刺す。
「あなたは家の飾りにもならなかったのだから、せめて伝説の飾りにならなくちゃ」
食堂の空気が少しだけ濃くなった。
母は笑みを崩さず、手元のナイフをナプキンで拭っている。
セシリアが小さく息を吸い、ローザの方を見た。
その目は、何か言いたいけれど、言葉にすることは許されていない人の目だった。
「……どうして、私なんですか」
ローザは父を見た。目を逸らさないように、心の中で言い聞かせる。
「三女だからだ」
父の答えは簡潔で、残酷でもなく、ただ事務的だった。
「家の運営において、お前は資産でも負債でもない。が、噂が大きくなる前に、家は噂を利用するべきだ。
竜の花嫁が本当に存在すると王都が思いたがっているなら、その舞台に我々は最初に上がる」
「……私が、道化に?」
「言葉を選べ。“先駆け”だ」
マリアンヌが楽しそうに頷く。
「最初の物語は、美しく語り継がれるもの」
「あるいは、都合よく忘れられるもの」とセシリアが短く添えた。
父がちらと彼女を睨む。セシリアは黙った。
ナイフとフォークの音が遠のく。
ローザは自分の手袋の縫い目を親指でなぞる。
呼吸を数える。ひとつ、ふたつ、みっつ。
揺れる炎が壁に影を踊らせる。踊っているのは誰の影だろう。
彼女は思う。自分の影はどこにあるのだろう。
「返事を」
父の視線が重い。
「家は決めた。あとはお前がその決定を口で確認するだけだ」
口で確認するだけ。
そんなに簡単に言ってのけられる言葉に、胸の奥がざらついた。
けれど、涙は違う場所に行ってしまったみたいで、目の裏は熱くならなかった。
代わりに、温室の土の匂いが鼻の奥によみがえった。
朝、芽にかけた言葉。「おはよう。よくがんばったね」
「……分かりました」
ローザは息を整え、前を向く。
「行きます。辺境へ」
マリアンヌが手を叩きたいのを我慢するみたいに肩を震わせ、母は少しだけ目を細めた。
セシリアの口元がかすかに引き結ばれる。父は頷いた。
「手筈は整えてある。三日後、夜明け、出立する。護衛は最低限だ。噂は速い。目立たずに行け」
最低限。つまり「捨てる」道のりだ。分かっている。
気づかれたくない種類の思いやりが、ここにはないことも知っている。
「お母様は」
ローザが声を向けると、母はにこりと微笑んだ。完璧に設えられた笑み。
「あなたが行くなら、私は祈ります。遠い土地で、あなたが恥をさらさないように」
祈り。祈りは誰のためのものか。
ローザは頷く以外できなかった。
晩餐はそれから、形式通りに進んだ。
肉が出て、野菜が出て、デザートが出た。
甘さは舌の上で溶け、喉を通り過ぎたあと、砂のようなざらつきが残った。
楽師の曲は軽やかで、会話は上滑りのまま、光の上を滑っていく。
ローザはその波をじっとやり過ごした。
席を立つ合図があり、家族は一列になって食堂を出る。
廊下を歩く途中で、マリアンヌが肩を寄せてきた。香水の香りがうっすらと甘い。
「ねえ、ローザ。気を悪くしないで聞いてね」
「……なに」
「あなたがいなくなると、屋敷が少し広く感じられると思うの。空気が軽くなるっていうのかな。
悪い意味じゃないのよ。あなたって、音が少ないでしょう? その静けさが、広がっていたの」
「私の静けさが、広がってた?」
「そう。静けさって、時々、重たいのよ」
彼女はくすっと笑って、先に歩き出した。
ローザはしばらく立ち止まり、それからゆっくりと自分の部屋へ向かった。
扉を閉めたあと、背中を扉に預ける。胸の真ん中が少しだけ痛い。
刺された痛みではなく、内部からじんわり広がる痛み。
泣くかどうか迷って、そのまま泣かなかった。
涙は、違うときに使いたかった。
控えの間の扉が、二度ノックされた。エミリアだ。
顔を出した彼女の目は、いつもより赤い。
「聞いてました」
「聞いてたのね」
「廊下の端からでも分かるくらい、空気が変わってた」
彼女は部屋に入り、そっと扉を閉める。
懐から、小さな布の袋を取り出した。
掌にすっぽり収まる、大きくも小さくもない、旅に連れていくにはちょうどいい大きさ。
「お嬢様に、渡したいものがあります」
「……何?」
「種です。銀花の。昨日、一緒に植えたものと同じ種類。
でも、これは旅用に乾かして保存しておいた“芯”なんです。強い芽になる」
エミリアの指が袋の口をそっと開く。
中で、小さな粒たちが乾いた音を立てる。
ローザは手を伸ばし、一粒をつまんだ。冷たさが皮膚に移る。
指の腹に、確かに重さがある。
「どうして、これを私に?」
「護符にしてください。土があればどこでも咲きます。水が少なくても、風が強くても。
咲くまでに時間がかかっても、芽は嘘をつきません。ちゃんと、前に進む」
「……ありがとう」
ローザの声は少し震えた。エミリアは首を横に振る。
「ありがとうは、咲いたときに。約束しましょう。辺境で、最初の花が咲いたら、その夜に空を見上げてください。
私もここで空を見ます。同じ星を見て、同じ花を思いましょう」
ローザは種の袋を胸に抱いた。小さな布の感触。
その向こうに、見たことのない土地と、まだ知らない風の匂いがある気がした。
「ねえ、エミリア」
「はい」
「怖いの。正直に言うと、怖い。竜の花嫁なんて言葉、笑われるためみたい」
「怖いのは、知らないからです。お嬢様は、知れば怖くなくなる人です。
温室だって、最初は怖かったでしょう? 虫も土も。けど、知って、触って、育てた」
「竜は、触れるかな」
「触れなくても、知ることはできます。言葉で、目で、匂いで、音で。
お嬢様は五感で花を覚えた。竜も、きっとどこかに“花”がある」
エミリアの言葉は、妙に腑に落ちる形をしていた。
ローザは小さく笑い、机の引き出しから古い小箱を取り出した。
ふたを開けると、これまで集めてきた小さな種袋や押し花が収められている。
そこに、エミリアからの袋を丁寧に加えた。
「旅支度を、少しずつ始めます」
「手伝わせてください」
「もちろん」
彼女たちは夜の半分ほどを、静かな準備に費やした。
荷物は最小限。着替え、手帳、詩集一冊、針と糸、頑丈な靴。
エミリアがこっそり詰め込んだ砂糖菓子は、最後に見つかって、笑いながら半分こした。
外はとっくに暗く、王都の灯りが遠くの空をうっすらと染めている。
窓の外、庭の影が重なる場所で、ふいに何かが光った気がした。目の錯覚だろうか。
ローザは窓に手を当て、闇を覗く。風が木々を撫で、葉がこすれ合う音。遠くに犬の吠え声。
霧はまだない。けれど、胸の中では、見えない霧が少しずつ集まり始めているのを感じた。
「ローザ」
控えめな呼び声に振り向くと、扉のところにセシリアがいた。
エミリアが目で挨拶をして部屋を出る。姉妹だけになる。
「入って」
セシリアは扉を閉め、ローザの前に立った。
普段は感情をあまり見せない彼女の目に、今ははっきりとした色がある。
怒りと、心配と、何か別のもの。
「ごめん」
「どうしてセシリアが謝るの」
「止められなかったから。お父様の決定を、変えられる言葉が見つからなかった」
「セシリアのせいじゃない」
セシリアは首を振り、椅子に腰掛けると、両手で顔を覆った。
魔力の強い指は、いつもなら静かな光を帯びるのに、今はただの人間の指だった。
「竜なんて、馬鹿げてる。でも、馬鹿げてることで人は争って、決定して、生贄を探す。
そういうとき、いつも一番静かな人が選ばれる」
ローザは笑った。
「私、静かすぎた?」
「静けさは目立たないけど、便利に見えるの。押しても引いても、割れない器みたいに」
「割れない器なら、案外丈夫で役に立つかも」
「あなたはいつもそうやって冗談で包む」
セシリアは顔を上げ、ローザの手を取った。
手袋の上からでも、彼女の指の温度が伝わる。
「お願い。何かあったら、逃げて。竜でも、人でも、約束でも。
逃げることは恥じゃない。忘れないで」
「忘れない。……セシリアも、ここで自分を守って」
「守る。あなたが戻る場所は、私が温めておく」
二人は短く抱き合った。胸骨が触れ合う、細い抱擁。
離れると、セシリアは何も言わずに扉へ向かい、出て行った。
残り香のように、彼女の魔力が空気に線を残す。
部屋に一人になると、疲れが波のように押し寄せた。
ローザはベッドの淵に腰を下ろし、膝の上で手を重ねる。
エミリアから受け取った種の袋が、まだ胸の前にある。
目を閉じ、ゆっくりと呼吸を数える。ひとつ、ふたつ、みっつ。
今夜、泣くかどうか迷って、やっぱり泣かなかった。
涙は、もっと遠くで、もっと確かなものに触れたときに使うと決めた。
窓の外、雲の動きが変わる。風向きがわずかに北へ。
どこかで、霧が生まれているのかもしれない。
三日後には、あの霧の中を進むのだ。誰も知らない道。笑い話のための舞台。
けれど、舞台は舞台だ。立つなら、転ばないように。
ローザはゆっくりと立ち上がり、机から手帳を取り出した。
最初のページに、今日の日付を書き、短く記す。
〈晩餐で決まった。辺境へ行く。竜に嫁ぐ。私は怖い。でも、知りたい。
なぜ皆が笑うのか。なぜ私は静かなのか。なぜ花は咲くのか。〉
ペン先が止まる。ゆっくりとふたを閉め、手帳を旅の鞄に入れた。
鞄の横に、種の袋をそっと置く。
灯りを消すと、部屋は夜に沈み、耳が少し良くなる。
遠くの鐘、庭を渡る風、屋敷の梁がわずかに鳴る音。
そして、どこかずっと遠い場所で、何かが呼吸する気配がした。
大きな、古い、冷たい呼吸。胸の奥の糸が、その呼吸に合わせて引かれる。
痛くはない。むしろ、居場所を指し示されるような感覚。
「行くわ」
誰にも聞こえない声で、ローザは言った。
部屋の闇は何も答えない。けれど、答えの代わりに、胸の中の静けさが少しだけ軽くなった。
静けさは、重たいときもある。けれど、それは空気の層のように、息で動かすことができる。
吸って、吐いて。前へ。
失うことからすべてが始まるとしても、始まるのだ。
彼女は目を閉じ、眠りの岸へ身を傾けた。
目覚めたとき、三日が二日になり、二日が一日になる。
夜と昼の境目で、銀色の種が胸の中で微かに音を立てた。
咲く準備をする、小さな音だった。
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