公爵家を追い出された地味令嬢、辺境のドラゴンに嫁ぎます!

タマ マコト

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第4話 辺境の砦

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朝の白みが霧に溶け、森の影が少しずつ輪郭を取り戻した。火の跡は灰になって、まだぬくもりを抱えている。ローザは毛布から身を起こし、胸の前で小さな布袋を確かめた。銀花の種は、夜を越えても冷たかった。それでも、確かにそこにいる。

「そろそろ行きましょう」

フリッツが短く言う。剣帯を締め直し、御者台のハロルドに合図を送る。馬たちが鼻を鳴らし、靴鉄で湿った土を蹴った。

森を抜けると、風の質が違った。湿り気の奥に、金属の粉を舌で感じる。遠くで岩が崩れるような音が、ときどき腹の奥をくすぐる。前方に連なる黒い山稜は、雲とひとつに重なっている。グレイリッジ。名を口にしなくても、体が勝手に身構える。

「見ろ」

ハロルドが鞭を空で鳴らし、顎で山の裾を示した。道がいったん広がり、古い集落の跡が散らばっている。石積みの土台だけが残り、屋根はとうに落ちている。井戸の縁に腰を掛ける老人が一人、背中を丸めていた。薄汚れた毛皮の外套、手には節だらけの杖。目だけが若い。

「旅の人か」

老人は立ち上がらず、こちらを見ずに言った。声は砂利の混じった水のように濁っていて、よく通る。

「王都からの者だ」

フリッツが慎重に返す。「辺境領の砦へ向かっている」

「砦に何の用だ」

老人はようやく顔を上げ、ローザを見た。視線が彼女の手袋の縫い目から髪飾りへ、そして瞳に留まる。見透かすのではなく、見定める目だった。

「……花嫁に見えるかい」

冗談とも愚弄ともつかない言い方だったが、声に毒はなかった。ローザは一拍置いてから頷いた。

「見えるかどうかは分からないけれど、行きます」

「竜は人を喰らうぞ」

「温室の虫も、最初はそう思っていました。でも、彼らには彼らの腹具合と都合がある」

老人の口元がわずかにゆるむ。

「変わり者だな」

「よく言われます」

「なら、忠告をやめよう。忠告は、半分は自分の恐れから出るもんだ。わしの恐れを、お前に着せるのは筋違いだ」

老人は杖で地面を軽く突いた。乾いた音。

「砦まで案内してやろう。足を滑らせる石と、足を止める風の場所は、わしの方が覚えている」

老人は名を名乗らなかった。こちらも尋ねなかった。道はすぐに石と砂利の斜面に変わり、馬車は軋みを上げて進んだ。左右の岩肌には、刃物のような鉱脈が走っている。触れれば切れそうな光沢。霧は午後になるほど薄くなり、代わりに風が増した。風は、山の言葉を運ぶ。低く長い、古い母音。

「昔はな、ここにも畑があった」

老人は歩きながら、肩越しに言う。

「麦と芋と、風に負けない草。竜は上から見張り、冬の吹雪のたびに雪を払った。人らは竜に穀を捧げ、竜は人に雨を呼んだ。そういう季節が確かにあった」

「今は?」

「誰かが、約束を忘れた。忘れは、どっちから始まったのか、もう誰にも言えない」

ローザは布袋を握って、息を整えた。忘れられる痛みの重さは知っている。それは大声で泣き叫ぶ痛みじゃない。静かに、長く、鈍く残る種類の痛み。

道が折れ、岩壁が急に開けた。眼前にそれは現れた。黒い岩盤を切り取って築いた砦。外壁は風と時間に削られ、ところどころに銀色の鉱脈が露出している。門は巨大な鉄。錆びは縁にしかない。中央は、新しい刃物みたいに冷たい。

「ここだ」

老人が杖を突き、足を止めた。

「門の前では、名を大きな声で言うな。名は持っていかれる」

ローザは頷き、馬車から降りた。足裏に硬い石。風が頬を叩く。冷たさは鋭いが、刃のような均整がある。彼女は門へ歩み寄り、拳で三度叩いた。金属の音が、谷に跳ね返って広がる。三度目の余韻が消えた頃、門の内側で何かが回る重い音がした。錠前の仕掛けか、それとも別の何かか。

隙間が開き、冷たい影がこちらを覗いた。人影。背の高い、装甲の厚い人間。だが、顔は空洞のように黒い。鉄の仮面の奥に、目はない。動く関節は滑らかで、人が入っているにしては静かすぎる。

「従者だ」

老人が小さく呟く。

「中身のない従者。竜の城では、よく働く」

鉄の従者は、無言で門を引いた。隙間は、馬車がぎりぎり通れる幅。フリッツが剣の柄に指をかけたが、ローザは彼の手に触れて首を振った。フリッツの指がわずかに緩む。

「行こう」

ローザは振り返って言った。声は震えていなかった。震えの代わりに、足の裏が固くなった。馬車がきしみ、門を抜ける。中庭は広い。風が回るように吹き、石畳の隙間に短い草が生えている。端には水路。雪解けの水だろう。澄んで冷たい。

正面の階段の上に、人影が立っていた。黒ではない。銀でもない。白に近い灰。陽の当たらない雪の色。青年だった。距離があるのに、顔がはっきり見えた気がした。視線が、距離を縮めたからだ。彼は降りてきた。一段、また一段。足音はきわめて静か。靴が石に触れる音よりも、布の擦れる音の方がよく聞こえる。周りの風が、彼の周囲だけでわずかに流れを変える。

彼の目を、ローザは知っていた。知っている、としか言いようがなかった。霧の夜に、遠くから落ちてきた銀の光の芯。目だけが、音を持っている。銀の瞳が、まっすぐにこちらを射抜く。凍っているのに、焦げるような温度。

「王都からの客だな」

彼は階段の中段で足を止め、言った。声は低く、谷の底から上がってきたみたいに響く。言葉を選んでいるのではなく、言葉に選ばれているような滑らかさ。

「辺境グレイリッジの領主、お前か」

ハロルドが御者台から身を乗り出し、慎重に言う。青年は目線だけでハロルドを一度撫で、またローザに戻した。

「領主と呼ぶなら、そうだ。名前はカイゼル」

カイゼル。その音の形が、ローザの胸の内側でぴたりと嵌った。昨夜の音と同じ骨格。彼女は一歩前に出て、裾をつまみ、小さく礼をした。

「王都アーデルハイト家三女、ローザと申します」

「アーデルハイト」

カイゼルは名を口の内で転がし、冷たく笑った。

「王都はずいぶんと身軽になりたがる」

棘のある皮肉。でも、刃をこちらに向けていない言い方。ローザは目線を逸らさずに受け止める。

「王都がどうであれ、私は自分の足で来ました」

「そうか」

カイゼルの視線が、彼女の手袋、腰の小さな鞄、靴の泥を順に撫でる。最後に目に戻る。

「恐れないのか」

「恐れてます」

ローザは正直に言った。

「でも、知らないことの方が怖い。知ってしまえば、怖さの形が分かります」

カイゼルの口元が、僅かに動いた。笑いとも、驚きともつかない。

「面倒な客だ」

「よく言われます」

老人が笑いを漏らしかけて咳で誤魔化した。フリッツが一瞬だけ肩の緊張を解く。ハロルドは手綱を緩め、馬の首筋を撫でた。

「城に入れ」

カイゼルが背を向け、階段を上がる。鉄の従者が二体、無言で左右の扉を押した。重い扉は油の音も立てずに開く。中は暗いのではなく、光が薄い。高い天井、冷たい石の壁。壁面に埋め込まれた鉱脈が、微かに光を反射している。窓は細く長く、風が糸のように通り抜ける。

入ってすぐの広間に、長いテーブルと、暖炉と、何もない空間があった。人の匂いが薄い。火の匂いと岩の匂いが濃い。鉄の従者たちは、命令も受けずに淡々と動き、ローブや鞄を受け取る籠を差し出した。

「客用の部屋を用意しろ」

カイゼルが小さく命じると、従者のひとつが首を傾けるようにして奥へ滑っていった。残った一体は、ローザから半歩離れた位置に立ち続ける。護衛なのか、監視なのか、境目のない立ち方。

「案内の礼を言え」

カイゼルが顎で老人を示した。ローザが振り返ると、老人はもう扉際にいた。

「ここから先は、わしの足では風が勝つ」

「案内してくださって、ありがとうございました」

「礼を言う時は、土の上で膝を折れ。石の上で膝を折ると、立ち上がるのが遅くなる」

老人は笑って、杖の先で床を軽く叩いた。

「竜は、腹を空かせていなければ賢い。腹具合を確かめるんだ」

「どうやって?」

「目を見れば分かる。光の奥に、欠けがあるかないか」

老人の言葉が謎掛けみたいに残り、扉が閉じた。風の糸が一度だけほどけ、また結び直される。

「腹具合だとさ」

カイゼルがわずかに肩を揺らす。皮肉、あるいは照れ隠し。

「目を見れば分かる、と言ってました」

「では、お前は何を見る」

真正面から問われ、ローザは一瞬だけ言葉を探した。逃げ道のない質問は嫌いではない。温室で、根の張り方を確かめる時と似ている。土を軽く掘り、根の先の色を見る。水が足りないか、光が足りないか、土が固すぎるか。

「……たぶん、寂しさ」

ローザはゆっくりと言った。

「欠け、というより、空白。大きくて、深くて、風が通り抜ける場所」

フリッツが小さく息を呑む気配。ハロルドが視線を床に落とす。カイゼルは瞬きをひとつだけした。表情が少し遅れて彼に追いつき、口角の線が動く。

「大胆な花嫁だ」

「まだ、花嫁ではありません」

ローザが返すと、カイゼルは笑わなかったが、笑わないことが笑いに近かった。

「よかろう。とりあえず、飢えさせはしない。暖をとれ。骨は風で折れる」

鉄の従者が先に立ち、石の階段へ導く。踏むたびに冷たさが靴底から上がる。壁の鉱脈が、彼女の姿を細く反射してついてくる。長い廊下。戸口の刻み目。等間隔の間に、不意に間隔の違う扉がひとつ混じっている。そこだけ空気の密度が違った。中に何があるのか、見なくても分かる。彼の部屋だ。

割り当てられた客間は、思っていたよりも明るかった。窓が二つあり、風が十字に交差する。ベッドは簡素で、シーツは硬いが清潔。炉には火が落とされていた。棚には器が二客。誰かが二人分を想定して用意した、というより、そういう決まりなのだろう。ローザは手袋を外し、掌を火にかざした。冷えは骨の芯に入り込んでいて、すぐには出ていかない。

「水と食事はすぐに」

フリッツが扉のところで言う。

「交代で見張りをします。何かあれば、呼んでください」

「ありがとう。二人とも、休んで」

フリッツとハロルドが出ていき、扉が静かに閉まる。部屋にひとり。風と、石と、火の音だけになる。鞄から銀花の種の袋を取り出し、掌に落とす。粒を一つ、二つ、並べてみる。ここには土がない。窓の外の細い縁に、砂のようなものが溜まっているのが見えたが、まだ時ではないと思った。土は、場所を選ぶ。選ばせてやる余裕が、今はまだ必要だ。

扉が二度だけノックされた。返事をする前に、扉は少し開き、空気が先に入ってきた。冷たくて、薄い。続いてカイゼルが現れた。立ったまま入ってくるのではなく、空気の層の隙間から滑り込むみたいに現れる。部屋が一度だけ縮み、すぐ元に戻る。

「客の様子を見に来た」

「ありがとう」

礼を言うと、彼は部屋の中を目で一巡してから、暖炉の前に立った。火が彼の横顔を橙に染める。銀の瞳は色を変えない。色のない火だ。

「ここには、人の従者はいないのですね」

「いると、約束が増える」

「約束が嫌い?」

「嫌いではない。ただ、人は忘れる。忘れた約束は、牙になる」

老人の言葉と重なる。忘れ。ローザは頷いた。

「わたしは、忘れられる側になることが多い」

「名を呼ばれないのか」

「呼ばれても、真ん中に来ないことが多い」

「真ん中」

「名前の最後の母音が、呼ぶ人の息で少し揺れるくらいの近さで呼ばれるとき、真ん中にいる気がします」

カイゼルは黙った。黙る、というより、言葉が彼の周りを回って、入るべきところを探しているようだった。

「……ローザ」

彼は名を呼んだ。最後の母音は、確かに少し揺れた。火が一瞬だけ強くなったのか、彼の頬の影が動いた。

「はい」

「お前は、ここで何をする」

「まだ、決めていません。決めるために、見たい。土と水と風と火の、ここでの顔を」

「花を植えるのか」

「植えられる場所があれば」

「土は、石の腹の中にもある」

「石も、腹が空く?」

「満ちる時もある」

短い問答。言葉が削られていくのが心地いい。余白が、互いの耳を広くする。

「客として、三日」

カイゼルが唐突に言った。

「三日の間に、ここに立つ理由を見つけろ。見つからなければ、王都に戻す」

「戻す?」

その響きに、思わず笑いそうになった。

「王都は、わたしを戻る場所だと考えていない気がします」

「場所は、人の考えで決まるのか」

「人の考えが、居心地を変えます。わたしは、居心地の良い場所に根を下ろしたい」

「根は、抜けると痛む」

「抜けた痛みは、次の土で癒えます」

カイゼルは納得したとも否定したともつかない息を吐き、扉の方へ半歩退いた。出ていくのかと思ったとき、彼は振り返らずに言った。

「昨夜の森で」

喉の奥が、ほんの少し締まる。

「見ていたのですね」

「見た。光は賊に落ちた。お前の上には落とさなかった」

「なぜ」

「賊が賊だったから」

彼はそれ以上を言わず、扉を開けた。冷たい空気がまた帯のように部屋を横切る。

「三日だ。暖をとれ」

扉が閉まる。部屋が彼の不在を吸い込んで、少し広くなる。ローザは息を吐き、指の上で銀花の種を転がした。窓辺に歩み寄り、外を見下ろす。中庭には誰もいない。風が水路を撫で、細い波紋がついては消える。風の向こうで、黒い山肌がゆっくり呼吸しているように見えた。

彼女は銀花の種を一粒、窓の石縁に置いた。土ではない。花が嫌うのは知っている。けれど、ここで風を浴びて、ここで空気を吸ってほしかった。ここで冷たさを知り、ここで太陽を待つことを覚えてほしかった。

「三日」

口の中で繰り返す。三日の間に、ここに立つ理由。彼女は紙と筆を取り出し、短く書き始めた。

〈一日目。風は刃物の匂い。石は呼吸をする。目は空白を抱え、声は古い母音。わたしは怖い。けれど、知りたい。〉

書き終える前に、廊下が一度だけ微かに鳴った。気のせいかもしれない。扉を開けると、誰もいない。代わりに床に小さな布包みが置かれていた。解いてみると、乾いた黒い土がひと握り。紙片が一枚。「石の腹」。字は硬い。カイゼルからなのか、鉄の従者の誰かが運んだのか。

彼女は笑って、窓の縁に戻り、土をひとすくい、石の上に広げた。銀花の種をその土に埋め、指で軽く押さえる。風が通る。土が薄くふるえ、指の腹に冷たさが移る。ここで、芽が出る保証はない。保証が欲しいなら、王都にいればよかった。保証がないから、今ここにいる。

夕刻、鐘が低く鳴った。谷が応える。黒の濃度が増し、窓から火の色が抜ける。彼女は炉に薪を足し、炎の影が壁に揺れるのを見た。目を閉じると、昨夜の銀の光と、今日の銀の瞳が、同じ線で繋がる。線は、髪の一本のように細く、けれど強い。

三日。長いようで短い。短いようで長い。時間は、見るものの側に寄ってくる。彼女は膝を抱え、額を腕に乗せ、静かに呼吸を数えた。吸って、吐いて。火の音、風の音、石の音。

――夜。部屋の灯りを落としたとき、中庭の向こうで一度だけ銀が揺れた。彼は空のどこかで、砦のさらに高い場所で、同じ夜を見ている。彼もまた、何かを数えている。忘れられないように。忘れないように。

ローザは目を閉じ、胸の前の土にそっと指を触れた。眠りの前の祈りは、言葉にならない。言葉にすると、細くなってしまうから。土よ、風よ、石よ、火よ――どうか、わたしの根が、この場所で最初の一本目を見つけますように。

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