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第6話 目覚めた場所は、隣国ノルディア
しおりを挟む最初に感じたのは、柔らかさだった。
背中を包むふかふかの感触。
ふわりと鼻をくすぐる、乾いた草と花のような匂い。
胸の奥まで冷え切っていたはずの身体が、じわじわと温まっていく。
(……あれ、ここ……どこ)
まぶたの裏が、うっすら明るい。
重たく貼りついていたまつげを、ゆっくりと持ち上げる。
視界に飛び込んできたのは、見慣れない天井だった。
アルシェルドの城や聖堂みたいに、高くて無駄に豪華な天井じゃない。
木の梁がむき出しになっていて、白い漆喰が塗られている、素朴だけど温かみのある天井。
横を向くと、窓が見えた。
薄手のカーテン越しに、穏やかな光が差し込んでいる。
その向こう、ガラスに映る建物の屋根が、どこか見慣れない形をしていた。
(……やっぱり、ここ、城でも聖堂でもない)
そこでようやく、自分が“ベッドに寝かされている”ことに気づく。
シーツは清潔で、肌触りがやさしい。
身体を起こそうとした瞬間、脇腹あたりに鈍い痛みが走った。
「っ……」
小さく息を呑むと、その気配に反応するように、部屋のドアが勢いよく開いた。
「うわっ、起きた!? まじで!? 生き返った!!」
飛び込んできたのは、やけに声の大きい青年だった。
栗色の髪が少し跳ねていて、目の色は淡い琥珀。
鎧は着ているけれど、アルシェルドの騎士団のそれとは意匠が違う。
肩当てや胸当てには、見たことのない紋章――氷の結晶と剣が組み合わさったような模様が刻まれている。
「……えっと」
あまりにも勢いよく叫ばれて、リディアは思わず瞬きをした。
「ご、ごめん、うるさかったよな!? いやでもほんとさ、三日ぐらい目ぇ覚まさないし、正直“これはやべえな……”って雰囲気になってたから――」
「三日……?」
リディアは反射的に自分の声を確かめるように呟いた。
喉はかすれているけれど、ちゃんと音が出る。
青年は、慌てて頭をかいた。
「あー、順番間違えた。自己紹介からだよな、こういうのは。
俺、ノルディア王国騎士団所属、カイル・レンフォード。カイルでいい。あんたは――」
そこで、彼は一瞬だけ言葉を切った。
じっとこちらを見つめる。
リディアは、視線を受け止めきれずに少しだけ目を逸らした。
「……リディア、です」
聖女でも、何でもない。
ただの名前だけを、口にする。
「リディア、か。よし、じゃあリディアな」
カイルは、あっさりと頷いた。
「さっきも言ったけど、お前が目ぇ覚ましたの、マジで奇跡だぞ。
国境沿いの森で倒れてたときなんか、“これ死体じゃね?”って本気で思ったからな」
「……死体って」
言い方。
心の中でツッコミを入れながらも、森の冷たさが、じわりと記憶として蘇ってくる。
雨。
泥。
剣の軌跡。
「生きて戻られても困るんでな」という声。
胸の奥がぎゅっと縮こまる。
「ここは……どこ、ですか」
それを振り払うようにして、リディアは尋ねた。
「ノルディア王国。アルシェルドの北側に隣接してる国だ。知らないか?」
「……名前だけ、聞いたことがあります」
聖堂で祈っているとき、たまに国際情勢の話が耳に入ってきた。
アルシェルドとノルディアは、昔はちょっとぎくしゃくしていたけれど、今は比較的穏やかな関係――だったはず。
「そのノルディアの首都、フロースの治療院。ここが、お前の今いる場所」
カイルは、部屋の中をひょいひょいと指差した。
ベッドの脇には、乾かした薬草が束ねて吊るされている。
棚には薬瓶や包帯が整然と並び、室内には常に淡い薬草の香りが漂っている。
「国境巡回中に、森ん中でお前を見つけてな。
服はボロッボロ、身体は傷だらけ、魔力は枯渇ギリギリ。よくあれで生きてたなってレベル」
「……そう、ですか」
不思議な感覚だった。
自分の身体のことなのに、“よく生きてたな”と言われると、なんだか他人事みたいに遠く感じる。
「正直、最初は“アルシェルドの何かやべー実験の失敗作でも流れてきたんじゃね?”って騒ぎになってたんだけどさ」
「失敗作……」
「いや、今は違うって分かってるって! ちゃんと人間だって!!」
慌てて両手をぶんぶん振るカイルの様子が、少しだけおかしくて、リディアの口から小さく笑いが漏れた。
「ふふ……人間でよかったです」
「お、笑った。生きてる感出てきたな」
カイルはどこまでも単純で、どこまでも真っ直ぐだった。
その真っ直ぐさが、逆に怖い。
今まで付き合ってきた人々のほとんどが、“計算された笑顔”か“役割としての優しさ”だったから。
「それで……その、助けてくださって、ありがとうございます」
身体を起こそうとして、背中に回された枕に気づく。
誰かが、ちゃんと寝やすいように整えてくれたのだと分かる足跡が、部屋のあちこちに残っていた。
「礼なんかいいって。たまたま巡回ルートにいたのが、あんたの運の良さだしな」
カイルは頭の後ろで手を組んで、へらっと笑う。
「それに……あんた、放っといたらなんか“祟り”とか起きそうだったし」
「祟り?」
「なんつーか、その……魔力の匂いが、えげつなかった」
彼は少しだけ真剣な表情になる。
「俺、一応、魔力感知だけは人よりちょっと得意でさ。
あんとき、森の中で感じた反応、普通じゃなかったんだよな。
枯れかけてるのに、器だけバカでかいっていうか……」
彼の言うことは、妙に核心を突いていた。
魔力の器は大きい。でも、もうずっと前から限界まで使われ続けている。
わたし自身が一番よく分かっている事実だ。
「だから、何者だよって話になるわけ」
カイルは覗き込むように身を乗り出した。
「リディア、お前……何者?」
「…………」
ノルディア王国。
アルシェルドの隣国。
国境近くで倒れていた自分。
情報を並べれば並べるほど、“本当のことを言うのはまずい”って本能が警鐘を鳴らす。
(アルシェルドの聖女でしたー、なんて素直に言ったら……)
追放されて、命まで狙われた女。
そんな厄介な存在を、そのまま受け入れようとする国が、どこにあるだろう。
たとえ向こうにそういう意図がなくても――もう、権力というものを信じるには、わたしは疲れすぎていた。
「……ただの、流れ者です」
少しだけ間を置いてから、そう答える。
「色々あって、アルシェルドから出ることになって……
森で道に迷って、気づいたらここで……」
「“色々”って便利な言葉だよなぁ」
カイルはあっさりと笑った。
問い詰めてこない。
「何があったのか聞かせてくれ」って言葉も出てこない。
そのことが、逆に胸に刺さる。
興味がないからじゃない。
“踏み込みすぎない優しさ”というものが、この世に本当に存在するのだとしたら、今の彼がそれに近いのかもしれない。
「ま、いいや。無理に話さなくていい。こっちにも色々事情ってもんがあるみたいだしな」
「……いいんですか?」
「よくねーけど、俺が決めることでもねーからな」
肩をすくめる彼の言い方が、やけに軽いのに、ちゃんと現実的だった。
「そんなわけで、“ただの流れ者リディア”さん。
ここ数日、お前の生命維持に貢献しまくってくれた人を呼んでくるから、ちょっと待ってろ」
「生命維持……?」
「薬草煎じて飲ませたり、身体拭いたり、体温管理したり、魔力の乱れ整えたり。
俺らが“どうするよこれ”って騒いでる横で、黙々とやってた“文官”がいるんだよ」
“文官”という響きに、リディアは首を傾げた。
「文官なのに、そんなことを?」
「そう。文官のくせに、何でもできる。マジで怖い」
カイルは心底不思議そうに言うと、「ちょっと待ってろ」と手をひらひら振って部屋を出ていった。
残された静寂の中、リディアは改めて自分の身体を確かめる。
包帯の巻かれた腕。
脇腹に走る鈍い痛み。
それでも、“死にかけていた”と言われたほどの苦しさはもうない。
代わりに、身体の奥に、まだ薄く魔力の残り香が漂っている。
(……誰かが、わたしの魔力の乱れを、整えた?)
アルシェルドでさえ、そんなことをしてくれる人はいなかった。
“聖女は自分で自分を何とかするもの”というのが、あの国での暗黙のルールだったから。
ここは、違う。
その“違い”が、じわじわと怖くて、少しだけ嬉しかった。
◇
軽いノックの音のあと、ドアが再び開いた。
「失礼する」
落ち着いた低い声だった。
入ってきたのは、シンプルな黒の上着に、白いシャツ、首元に控えめな紐タイ。
鎧でも豪奢な服でもない、どこにでもいる文官の服装――のはずなのに、妙に目を引く。
彼は背が高く、姿勢がいい。
髪は灰がかった銀色で、無造作に撫でつけられている。
目の色は深い青。
その瞳が、一瞬で部屋の様子と、ベッドの上のリディアを捉えた。
顔立ちは派手ではないのに、なぜか目を離せない。
“只者じゃない”というのは、こういう人のことを言うのだろう。
「紹介する。こいつがさっき言ってた文官。レオンさん」
カイルが気軽な口調で名前を呼ぶ。
(さん付け……?)
騎士が文官に“さん”をつけるのは、別におかしくはない。
でも、そこに妙に砕けた親しさが混ざっているのが気になった。
「レオンでいい」
文官――レオンは、ふっと口元だけで笑った。
「ノルディア王国に仕える、一応“文官”だ。名ばかりだがな」
(“一応”……?)
言葉の端々に、何か引っかかる。
彼はベッドに近づき、リディアから少し離れた位置に立った。
距離の取り方が絶妙だった。近すぎず、遠すぎず、警戒させないぎりぎりの間合い。
「初めまして。リディア、と呼んで構わないか?」
「……はい。リディアで、大丈夫です」
名前を確認されると、少しだけ胸の奥がくすぐったい。
アルシェルドでは、たいてい“聖女様”か“聖女リディア”と呼ばれていた。
名前だけで呼ばれることが、いつの間にか珍しくなっていたのだ。
「具合はどうだ。痛みは?」
「多少は……でも、最初に起きたときより、ずっと楽です。
わたし、本当に……ここで、助けていただいたんですね」
レオンは、わずかに頷いた。
「国境沿いを巡回していた騎士団が、森で君を見つけた。
そのときの状態は……あまりいいものではなかった」
「“死体じゃね?”って言われました」
リディアが苦笑すると、カイルが「おい」と小声で抗議する。
「否定はしないけど、改めて本人の口から言われると、なんかごめんってなるな……」
「事実だ」
レオンは淡々と続ける。
「体温は限界まで下がり、魔力はほぼ枯渇。
外傷も多く、特に脇腹と肩の切り傷は深かった」
淡々とした報告口調なのに、言葉の一つ一つに、“見ていた”ことの重さがにじんでいた。
「それでも、君は生きていた。
あんな状態で生きていたのだから、よほどしぶといのか、よほど誰かに生かされているのか――」
そこで、レオンはふっと目を細める。
「……どちらにせよ、興味を惹かれる存在ではあった」
「興味……」
リディアは一瞬、身構えそうになった。
“興味を持たれる”というのは、権力者の側から向けられるとき、一番危ない感情だ。
アルシェルドの王や貴族たちも、最初は“興味”で自分を見ていた。
「安心しろ。実験材料にするつもりはない」
レオンはさらりと言った。
「そんなことをすれば、隣国から恨みを買う。
――仮に、君がアルシェルドの“誰かの大事な道具”だったのだとしても、だ」
その言葉に、リディアの肩がぴくりと震えた。
図星を突かれたような気がした。
「俺たちも、あんたが何者なのかは気になってる。
アルシェルドの人間なのは、ほぼ間違いないだろうしな」
カイルが補足するように続ける。
「服の作りも、細かい装飾も、持ち物も、おおよそ“そこそこ上の身分”って感じだし」
視線が、ベッド脇の小さな荷物袋と、祈祷書に落ちる。
ブローチだけは、リディアが手の届くところにこっそり置いていた。
「ただの、ちょっと裕福な家の娘ですよ」
リディアは、できるだけ平然と答えた。
「色々あって、家にいられなくなって……だから、ここにいるのも、偶然で」
“聖女”という単語を、必死に喉の奥でつかみ潰す。
レオンは、しばらく黙ってリディアを見ていた。
その目は、何かを見極めようとしている目だった。
嘘を暴こうとしている、というより、“どこまで踏み込んでいいか”を探るような。
「そうか」
やがて、彼は短く呟く。
「なら今は、その“偶然”に感謝しておこう。
いずれにせよ、君の命は、我が国の騎士によって拾われた。
――ノルディアにいる間、君は我々の客人だ」
「客人……」
アルシェルドでは、わたしは“役割”だった。
“客人”なんて柔らかい言葉を向けられたのは、いつ以来だろう。
「もちろん、ずっとここにいろとは言わない」
レオンは続ける。
「君が回復し、自分の足で歩けるようになり、行きたい場所があるのなら――そのとき、改めて考えればいい。
だが今は、まず生きることが優先だ。違うか?」
「……違いません」
本当にその通りだった。
これまでずっと、“国のため”“誰かのため”ばかり優先してきて、自分の命を“生きるべきもの”として扱ったことが一度もなかった気がする。
「質問を変えよう」
レオンの声が、少しだけ柔らかくなる。
「君は、これからどうしたい」
心臓が、一拍強く跳ねた。
アルシェルドでこの問いを投げかけられたことは、一度もない。
誰も、わたしの“望み”なんて気にしなかった。
気にしたところで、どうしようもないと分かっていたから。
だから、今、突然こんなふうに聞かれても、すぐに答えなんて出てこない。
「…………」
言葉が喉で渋滞する。
森で倒れたとき、“ここで終わるんだ”と思った。
それでも今、生きている。
だったら、本当は――
少しだけ迷ってから、リディアは正直に口を開いた。
「……少し、休みたいです」
それは、ひどくちっぽけな望みに思えた。
世界を救いたいとか、誰かを守りたいとか、そんな立派な願いじゃない。
ただ、眠りたい。
食べて、起きて、また眠る、普通の生き物みたいな時間が欲しい。
「少しでもいいので……誰かの役に立とうとしない時間が、欲しいです」
言ってから、自分の言葉の重さに気づいて、思わず視線を落とす。
わがままに聞こえただろうか。
甘えていると思われただろうか。
「……ふむ」
レオンは、少しだけ考えるような間を置いた。
「いい願いだ」
返ってきたのは、予想外の肯定だった。
「なあ、レオンさん。“休みたい”って願い、そんな簡単に褒めていいのか?」
「いい」
カイルの疑問を、レオンはあっさりと切り捨てる。
「誰かの役に立とうとする人間に、“休みたい”という願いが生まれるのは、よほど限界まで働いてきた証拠だ。
そして、休まなければ死ぬところまで来ていることの裏返しでもある」
それは、彼自身の経験から出てきた言葉のように響いた。
「ノルディア王国文官――レオン・アーデルハイトの権限で命じる」
半ば冗談めかした口調で、しかし妙に威厳のある宣言が飛ぶ。
「客人リディアは、当面の間、全力で休むこと。
働くこと、誰かのために無理をすること、一切禁止。違反した場合は――」
「罰則あるんですか……?」
リディアが思わずツッコむと、レオンはほんの少しだけ口角を上げた。
「罰として、私の説教を長々と聞く羽目になる」
「それ、一番きついやつなんじゃ……」
カイルが小声でぼやいた。
不思議と、部屋の空気が少しだけ軽くなる。
「……いいんですか」
リディアは、恐る恐るもう一度尋ねた。
「わたし、本当に……何もしなくて」
「今まで、十分すぎるほど“何か”をしてきた顔だ」
レオンの青い瞳が、真っ直ぐに彼女を見つめる。
「今は、それを取り返す時間だ。
ノルディアには、そういう時間を“贅沢”ではなく“必要経費”と考える文化がある」
「文化って言ったぞ、この人」
カイルがまたぼそっと言う。
「……変な国ですね」
リディアの口から、ぽろっと本音が零れた。
アルシェルドでは、“休みたい”と言った瞬間、“怠け者”の烙印を押される。
聖女がそれを言ったら、きっと処罰ものだ。
ここでは、文官だと言う男が、それを肯定してくれる。
その“変さ”が、たまらなく羨ましかった。
「変な国だ」
レオンはあっさり認める。
「だが、君にとって悪い場所ではないと、私は思う」
その言葉が、胸の奥にそっと置かれる。
まだ、信じきるには怖い。
でも、“信じたい”と思ってしまう自分がいる。
「じゃ、決まりな」
カイルがパンと手を打つ。
「リディアはしばらく“全力で休む”係。俺は“それを見張る”係。レオンさんは――」
「私は書類の山に戻る」
レオンは苦笑を滲ませる。
「客人の様子を見に来たと言って抜けてきたからな。
あまり長くここにいると、“さぼっている”と誤解される」
「実際さぼりでは……」
「必要な視察だ」
軽い応酬が、妙に心地いい。
権力の匂いがしない冗談。
誰かを傷つけない言葉の投げ合い。
そんなものがこの世に本当にあるんだと、思い知らされる。
「また来る」
立ち上がりかけたレオンが、ふと振り返った。
「何か必要なものがあれば、その時に言ってくれ」
「……はい」
リディアは、自然と笑みを返していた。
彼が部屋を出ていき、カイルも「俺も見回り戻るわ」と手を振って続いたあと。
静寂が戻ってきた。
さっきまでとは違う、柔らかい静寂。
窓の外では、見慣れない街並みが陽に照らされている。
屋根の形も、通りを行き交う人々の服装も、アルシェルドとは違う。
(……隣の国、ノルディア)
追放された先で、命を消されかけた森を越えた場所。
そこで今、わたしは“聖女”でも“道具”でもなく、“客人リディア”としてベッドに横たわっている。
胸の奥に、小さく火が灯る。
まだ頼りない、小さな火。
それでも、確かにそこにある。
(少しだけ……信じてみても、いいのかな)
この部屋の温度と、薬草の匂いと、さっき交わした会話の余韻を抱きしめながら、リディアはそっと目を閉じた。
久しぶりに、「誰かのためじゃない眠り」が、静かに彼女を包み込んでいく。
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