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第8話 工房との再会、すれ違う幼馴染
しおりを挟む朝から、空気がざわついていた。
いつものゴミ置き場のざわつきとは違う。
金属が擦れ合う音でも、掃除婦たちのぼやきでも、腐りかけた野菜の匂いでもない。
もっと乾いた、紙とインクと革靴の音。
(……来たんだ)
リーナは、モップを握る手に自然と力を込めた。
ゴミ山の入口側から、制服の白がじわじわ増えていく。
王立工房の白衣。
胸元の紋章。
腰に下げた計測器の水晶が、朝の光を反射してきらりと光る。
「いやー、本当にあったんだ、“工房総出の裏庭見学会”」
マルタが、ゴミ山の上の方から半眼で見下ろしていた。
「よくもまぁ、わざわざ“要らないものの墓場”まで足を運ぶもんだよ。自分たちが放り込んだ場所にさ」
「笑えないジョークですね……」
「ジョークだなんて一言も言ってないけどね」
マルタは、ぼろ靴で石を軽く蹴る。
リーナは、工房の一団から目を逸らすように、足元の泥を見つめた。
白衣が近づいてくる音が、耳にまとわりつく。
何年も前から聞き慣れているはずの音が、今はひどく遠い。
(平気。平気……)
心の中で繰り返しながら、胸の奥で跳ねる鼓動をごまかす。
『緊張しすぎだ』
意識の奥で、アークレールの声が落ちてきた。
(緊張するでしょ……! 私を掃除婦に落として、さよならってした場所の人たちなんだから)
『だからこそ、胸を張れ。お前は、ここで“別のもの”を拾い上げた』
(綺麗に言いすぎ……)
そんなやり取りをしている間に、工房の一団がゴミ山の前で止まった。
先頭に立っているのは、いつものベック――グラツィオ・ベックだ。
今日はいつもより白衣をきっちり着込んでいて、「自分がこの場の代表だ」という顔をこれでもかと前面に押し出している。
その少し後ろに、見覚えのある横顔があった。
栗色の髪。
きちんと糊の効いた制服。
細い眼鏡のフレームが、よく知っている目の形を際立たせている。
(……カイル)
胸の奥が、ぎゅっと縮んだ。
ずっと見てきた横顔だ。
誰よりも近くで、笑った顔も、困った顔も、悔しそうな顔も知っている。
なのに今は、距離だけじゃなく、何かもっと根本的なものが間に横たわっている気がした。
気づけば、カイルの方もこちらを見ていた。
目が合う。
一瞬だけ、時間が止まったみたいに感じる。
その瞬間、カイルの表情がぐしゃりと歪んだ。
「リーナ……!」
彼は、グラツィオの脇をすり抜けて、ほとんど駆けるようにこちらへ来た。
踏みしめる靴音が、妙に近くて、妙に懐かしい。
けれど、リーナは反射的に一歩だけ後ろへ下がっていた。
泥が靴の底でぐちゃりと潰れる。
「本当に……あの古代兵器を起動させたのか?」
目の前で立ち止まったカイルの目には、いろんなものが混ざっていた。
戸惑い。
焦り。
羨望。
それから、少しだけ怖れ。
リーナは、笑うのか、怒るのか、どの表情を選べばいいか分からなかった。
「うん」
結果として出てきたのは、極端に軽い返事だった。
「たまたま拾って、たまたま磨いて、たまたま起動しちゃった」
「“たまたま”で済む話じゃないだろ、それ……!」
カイルが声を荒げる。
「感知結界の記録、俺も見た。 あれは……工房の過去百年分の実験記録にもない規模だ。 失われた文明クラスの反応だって、工房長たちも――」
「そんなこと、私に言わなくていいよ」
リーナは、カイルの言葉を遮った。
胸の中で、冷たい笑いが浮かびかける。
「工房がどう評価してるかなんて、もう関係ないんだから」
「関係ないわけないだろ!」
カイルの声に、滲む焦り。
「工房は今、正式に“古代兵器調査班”を組織しようとしてる。 その中心に、あの剣――アークレールのデータが来る。 お前がどうやって起動させたか、どんな波長を感じたか、その全部が――」
「“起動手順を聞き出せ”って命令された?」
ぽろっと、口から言葉が滑り落ちた。
カイルの動きが止まる。
顔から、一瞬で血の気が引いた。
「……」
沈黙。
それだけで、答えは出てしまった。
リーナは、笑った。
笑うしかなかった。
「だよね。グラツィオさんの顔見た瞬間、なんかそんな気がしてた」
視線の端で、グラツィオがこちらを睨んでいるのが分かる。
“勝手なことを言うな”とでも言いたげに。
でも、もう気にしない。
「安心してよ、カイル」
わざと明るく、軽く言う。
「起動手順なんて、私自身よく分かってないから。 これ、“こうすれば起動します”っていうマニュアルの通りに動いた結果じゃないし」
拾った。
錆を落とした。
汚れを取った。
“そこにまだいる”って感じた。
それだけだ。
この世界が大好きな“再現性のある手順”なんて、どこにもない。
「……でも、お前の魔力波長と、その剣の波長が一致したから起動したって仮説が出てる。 工房の計測器では、まだ完全には追えてないけど……」
「“計器に反応しない波長”ってやつでしょ」
リーナの声に、棘が混じった。
自分でも分かるくらい、鋭くて、痛い棘。
「昔からそうだったよね。 私が“見える”とか“聞こえる”って言うと、カイルは『面白い話だな』って聞いてくれてた。 でも、いざ工房の派閥争いが激しくなって、“そんなよく分からないもの信じてる奴”が不利になるって分かった瞬間……」
「それは――」
「何も言わなくなった」
言葉が、刃みたいに口から飛び出す。
止められない。
「廊下の配管のときも。 地下排水管のときも。 カイル、全部隣にいたよね」
工房の白い廊下。
魔導灯の閉塞感。
排水管の奥から響いていたあの鼓動。
その全部を、彼は隣で見ていた。
「私が『何かおかしい』って言ったとき、最初は一緒に心配してくれたのに。 グラツィオさんに睨まれて、周りに冷笑されて……それからはずっと、黙ってた」
沈黙。
その重さを、彼はどれだけ理解しているんだろう。
「今回は、どう? また黙る?」
自分でも、意地悪な言い方だって分かっていた。
でも、口が止まらない。
カイルは、必死に何か言葉を探しているみたいだった。
「俺は……」
喉が上下する。
その目に浮かんでいるのは、後悔か、罪悪感か、それとも別の何かか。
「俺は、あの時、お前のことを“守れなかった”って……ずっと、思ってる」
「守るって、何から?」
「工房の評価から。派閥争いから。ベックさんたちの理不尽から」
カイルの声が震える。
「でも、俺が庇えば庇うほど、お前の“異常な感覚”が余計に目立つって、途中で気づいて……。 “沈黙することの方が、まだマシなんじゃないか”って、勝手に――」
「勝手に、私の心まで“黙らせていい”って思った?」
リーナの喉の奥が、ヒリヒリと焼ける。
唇の裏側を噛みそうになるのを、必死に堪えた。
「私の“見えるもの”とか“聞こえるもの”ってさ、ずっと誰にも信じてもらえなかった。 だからせめて、幼馴染くらいは、私の味方でいてくれるんだって……どこかで勝手に信じてたんだよ」
自分の言葉が、あまりにもみっともなくて、胸が痛い。
でも、もう止められない。
「でも、カイルが黙った瞬間…… “ああ、私の世界は、ここでは本当にいらないんだ”って、分かっちゃった」
それは、彼に対する責めであり、同時に自分への失望でもあった。
「だからさ」
リーナは、息を吸い込んで、吐き出す。
「私の力なんて、工房にとっては“計器に反応しない失敗作”だったよね」
口にした瞬間、自分の胸の奥で何かがぎゅっと縮んだ。
自嘲。
諦め。
でもそれ以上に――
(分かってほしい)
そんな幼稚な願いが、薄く滲んでいる。
自分でも、それが一番嫌だった。
「リーナ、それは違う」
カイルが、ぎゅっと拳を握った。
「違わないよ」
「違う。……俺は、あのとき、怖かったんだ」
言葉がこぼれる。
リーナは、それが言い訳かどうか判断しきれずに、ただ黙って聞いた。
「お前の“見える世界”が、本物だったらって。 工房の計器が全部間違ってるかもしれないって。 それを認めた瞬間、自分が信じてきたものが全部ひっくり返る気がして――」
「だから、私ごと“間違ってること”にした?」
静かに問いかける。
カイルは、何も言えなくなった。
沈黙が、二人の間にどろりと流れ込む。
遠くで、工房の職員たちがゴミ山のガラクタを観察している声がする。
計測器の起動音。
水晶のきらめき。
紙に書き込まれる数字。
それら全部が、昔の自分の居場所を思い出させる。
でも、もう戻れない。
戻りたくないような。
戻りたいような。
矛盾した感情が、胸の奥でぐちゃぐちゃに絡まる。
『落ち着け』
アークレールの波長が、さりげなく揺れる。
(落ち着けるわけないでしょ……)
心の中で苦笑する。
カイルの視線が、ちらりと作業台の方へ動いた。
布をかぶせられたアークレール。
淡い蒼い光が、布越しに漏れている。
「……それでも」
カイルは、絞り出すように言った。
「お前が、古代兵器を起動させたって聞いたとき……正直、羨ましいと思った」
その告白は、意外な方向から飛んできた。
「羨ましい?」
「ああ」
カイルは苦笑する。
「俺は、工房の優等生コースを歩いてる。 教本通りに魔力を扱って、計測器通りに数値を出して、“再現性のある結果”を出すのが仕事だ。 でも、お前がやったのは……教本にも計測器にも載ってない、誰も知らないことだ」
その口調には、確かに羨望がにじんでいた。
「俺には、見えない。 お前が見ている“失われた波長”も、剣の記憶も。 理屈ではなく“感じてしまう”その感覚が……怖くて、羨ましい」
リーナは、返す言葉を見失った。
嬉しくなんて、ない。
でも、完全に嬉しくないわけでもない。
胸の奥が、かすかに震えた。
「だからって、グラツィオさんの命令で来たんでしょ」
それでも、棘は抜けなかった。
「“起動手順を聞き出せ”“古代波長の詳細を記録しろ”“工房に有利なデータを集めろ”って」
「……否定できない」
カイルは、視線を落とした。
「俺は工房の人間だ。 工房の命令に従うのが仕事だ。 お前に会いに来たのも、半分は“仕事”だ」
「残りの半分は?」
勢いで聞いてしまった。
カイルは、少しだけ笑った。
「……心配しに来た」
その言葉が、本音なのかどうか。
確かめる術はない。
でも、その目は、嘘をつき慣れていない人間の目をしていた。
リーナは、息を吐く。
「ねぇ、カイル」
「なんだ」
「もし、逆だったらどうしてた?」
「逆?」
「私が工房の“優等生”で、カイルが“計器に反応しないよく分からない感覚”持ってて。 工房から追い出されて、ゴミ山で掃除してて。 そこから古代兵器を起動させた、って立場だったら」
言葉を区切る。
喉が少しだけ苦い。
「それでも、工房の命令通りに、私から“起動手順”聞き出そうとする?」
カイルは、黙った。
その沈黙は、さっきまでのものよりも、重かった。
一歩でも踏み出せば、何かが決定的に変わってしまう淵の前で、足を止めている人間の沈黙。
長い、長い数秒が流れた。
やがて――
「……分からない」
かすれた声が落ちた。
「俺は、自分のことになると、こんなに冷静に考えられない」
正直な答えだった。
立派な正解なんて、どこにもない。
リーナは、小さく笑った。
「そっか」
それだけ言って、視線を外す。
胸の奥では、なにかがすっと冷めていく音がした。
(二度目だな)
沈黙。
一度目は、工房で。
二度目は、今ここで。
立場と責任と恐怖と。
それら全部が絡まって、彼はいつも途中で言葉を閉ざしてしまう。
分かっている。
彼が“敵”じゃないことくらい。
でも、“味方”とも言い切れない場所に立ち続けることが――どれだけ人を傷つけるか、彼はまだ知らない。
「カイル、仕事でしょ」
リーナは、モップを持ち直した。
「グラツィオさんに、『起動手順聞き出しました』って報告しないと怒られるよ」
「リーナ――」
「私は、ゴミ山の掃除があるから。 今日も、誰かが捨てた何かが、助けを求めてるかもしれないしね」
それは、彼への当てつけでもあり。
自分自身への宣言でもあった。
カイルの視線が、痛いくらい突き刺さる。
でも、振り返らない。
モップの先で泥を掻き、割れた陶器をどかし、布切れを拾い上げる。
その端から、また微かな光が覗いた。
(……ほらね)
世界は、工房の研究室だけで回っているわけじゃない。
王立工房が「異常なし」と書いた排水管の奥で、何かが脈打っているように。
捨てられたゴミの山から、古代兵器が目を覚ますように。
誰も見ていなくても。
誰も信じなくても。
ここには、確かに“世界の続き”が落ちている。
『大丈夫か』
アークレールの波長が、柔らかく揺れた。
(大丈夫じゃないけど、大丈夫だって言う)
『矛盾している』
(人間なんてだいたいそんなもんだよ)
自嘲を込めて返すと、アークレールはしばし沈黙したあと――
『了解した』
とだけ答えた。
工房との再会は、思っていた通り、苦くて、痛くて、ややこしい。
でも同時に、“もう同じ場所には戻れない”という事実を、はっきりと突きつけてくれた。
リーナ・フィオレは、もう“工房の見習い”じゃない。
“ゴミ山の発掘者”であり、“スクラップ・クイーン”であり――
捨てられたものたちの、誰にも頼まれていない“修復者”だ。
胸の奥で、微かなざわめきがまたひとつ、形を変える。
未練と、悔しさと。
それから、ほんの少しの、決意と。
すべてを抱えたまま、今日も彼女は、ゴミ山の奥へと足を踏み入れていく。
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