掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト

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第7話 掃除と修復と、二つ名の誕生

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 “観察対象”になっても、朝は容赦なくやって来る。

 城の裏手にあるゴミ置き場は、今日も相変わらず山盛りの“要らないもの”で賑わっていた。
 ただ一つ違うのは――その山の端っこに、軍部の兵士が二人、無駄に姿勢よく突っ立っていることだ。

「今日もご苦労だねぇ、“見張り”さんたち」

 マルタがモップを肩に担いだまま、半分あくび混じりに手を振る。

 兵士たちは、視線だけこちらに動かした。

「任務ですので」

「任務ですので」

 同じことを繰り返すあたり、彼らも慣れてきているらしい。

 その少し離れたところに、軍服姿の男がひとり。
 ヴァルト・クロイツは、今日も腕を組んだまま、ゴミ山全体を見渡していた。

 あの人、絶対一度くらいモップ握った方が人生変わるのに――と、リーナは心の中でだけぼやく。

「新入り、ぼさっと突っ立ってないで、今日のノルマの確認」

 マルタに肩を小突かれ、慌てて顔を向けた。

「は、はい!」

「こっちの通路側は昨日片付けたから、今日は西側の山の裾ね。  雨で崩れたとこ、そのまんまになってるから、危ないのを先に抜いてやる」

 指さされた方を見ると、たしかに崩れたままの斜面が目につく。
 割れた杖、壊れた魔導灯、歪んだ金属板、それから……どう見ても呪われてそうな仮面。

(あれ絶対触りたくない……)

 心の中でそっと距離を取る。

「じゃ、今日も“掃除”開始だよ。観察されてるからって、変に意識しすぎるんじゃないよ」

「……はーい」

 リーナはエプロンの紐をきゅっと結び直した。

 腰には、昨日から新しく追加された革製のポーチ。
 中には、厚手の手袋と、非常用の解呪札と、簡易魔力測定石――全部軍部支給だ。

(観察対象っていうか、軽く爆弾扱いだよね、これ)

 自虐気味に思いながらも、ポーチの重さが“守り”になっている気もして、複雑な気分になる。

 そして、背中には――

『本日も“掃除”業務、開始か』

 意識の中に響く、あの声。

 アークレール。

 起動してからというもの、彼(と呼んでいいのか迷うけれど)の存在は常にリーナの近くにあった。
 剣そのものは普段、布をかけて作業台に横たえてあるが、その意識の一部は、リーナの魔力と繋がったままだ。

(うん。今日も掃除。あと、たぶん、またちょっと“余計なもの”拾う)

『余計、とは』

(上から見れば、きっとそうなるよ)

 苦笑を飲み込みながら、リーナはゴミ山に向き直った。

    ◇

 最初に見つかったのは、腕輪だった。

 崩れかけた斜面を慎重に崩していく途中で、泥と布切れの隙間から、金属の輪が覗いた。

「あ、ちょっと待ってください、それ」

 隣で木箱をどかそうとしたマルタを慌てて制止する。

「何だい?」

「……光ってる」

 リーナには見える。

 ぐしゃぐしゃの布の下で、指一本分くらいの小さな光が、しつこく瞬いている。

 誰かに気づいてほしいとでも言うみたいに。

 マルタは目を細めて、その腕輪を見下ろした。

「ぱっと見じゃ、ただの壊れた装飾品だね。……好きにしな、新入り」

「ありがとうございます」

 手袋をはめて、慎重に掘り出す。

 泥にまみれた銀色の輪。
 ところどころ歪んでいるし、表面の彫りも傷だらけだ。

 でも、触れた瞬間――

 トン、と、軽く内側からノックされたみたいな感覚が走った。

(……いる)

 胸の奥で、何かが反応する。

 アークレール越しに、古い波長が細く伸びてくるのが分かる。

『防御系の簡易機構だな』

(知ってるの?)

『類似した設計を多数、記録している。……破損率は高いが』

 淡々とした解説に、リーナは苦笑した。

(そういう言い方やめて。頑張ってるんだから)

 作業台の上に腕輪を置き、布でそっと拭う。

 工房時代に習った“繊細な加工品に傷をつけない磨き方”を思い出しながら、汚れを落としていく。
 錆は少ないが、泥が入り込んでおり、魔導回路の細い溝まで詰まっている。

 布を滑らせるたび、腕輪の中の波長が少しずつ強まっていく。

 ピン、と。

 最後の汚れが取れた瞬間、腕輪が微かに震えた。

「……っ!」

 反射的に手を離しかけたが、その前に腕輪の表面が薄く光を帯びはじめる。

 次の瞬間――

 ばちん、と、透明な膜が暴発するように弾けた。

「わ、わ、うわっ!?」

 目の前に、半球状の光の障壁が出現した。
 狭いゴミ置き場の一角に、いきなりぴっちりした透明の壁。

 リーナはその中に閉じ込められた形になった。

「ちょ、ちょっと待って――」

 慌てて手を伸ばすと、指先が何か固いものに当たる。
 見えない壁。冷たいのに、表面に細かな魔導紋が走っているのが、皮膚越しに分かる。

『暴走状態だ』

 アークレールの声が落ちてくる。

『魔力供給が不安定なまま、自己防衛本能だけが先に起動した』

(ど、どうすれば――)

『お前の波長を合わせろ。過負荷にならない程度に、“落ち着け”と伝えろ』

(そんな、ざっくり言わないで!?)

 けれど、時間はない。

 透明な障壁は、徐々に厚みを増しつつあった。
 このまま膨張を続ければ、周囲のガラクタを押し潰し、最悪爆散するかもしれない。

 リーナは、両手を障壁にぺたりと当てた。

 深く息を吸い込む。

(大丈夫、大丈夫。落ち着いて)

 自分自身に言い聞かせるように。

(もう攻撃されてないよ。ここは戦場じゃない。……ここは、ゴミ山だから)

 意味の分からない言い方かもしれない。
 でも、この場所の匂いと空気を共有することでしか伝わらないものがある気がした。

 魔力を、少しずつ開いていく。

 アークレールが、意識の奥で静かに支えてくれる感覚があった。

 剣から伸びる古い波長と、リーナの魔力が混ざり、腕輪の中の回路へと流れ込んでいく。

 荒く乱れていた波が、次第に静まっていく。

 バチバチと散っていた火花が止まり、障壁の表面の紋様が、ゆっくりと一定のパターンに落ち着いた。

 そうして――

 透明な半球は、ふっと音もなく消えた。

「……はぁぁぁぁ……」

 どっと汗が吹き出る。

 膝が笑いそうになるけれど、なんとか踏ん張った。

「嬢ちゃん、今の何」

 すぐ目の前まで来ていたマルタが、腕を組んでいる。

「え、えっと、防御障壁でした……多分……」

「“多分”って言うな」

 でも、その声には少しだけ感心も混じっていた。

「壊れた腕輪磨いただけで、あれが出てくるのは想定外だねぇ」

「す、すみません……」

「謝るのは今さらだよ」

 マルタはぼそっと笑う。

「でも、今の、“落ち着け”ってやったのは見事だったよ。あたしなら反射的に殴ってた」

「殴っちゃだめです!」

「知ってるよ」

 苦笑しながら、マルタは肩をすくめた。

 遠くから、重い足音が近づいてくる。

 ヴァルトだ。

「今の、防御障壁か」

「みたいです」

「“みたい”」

「だって説明書がないので……」

 そんなやり取りをしながらも、ヴァルトの目は腕輪をじっと見ている。

 リーナは、無意識に腕輪を少し背中へ隠した。

「取って食いはしない」

「でも、分解はしようとするでしょ」

「……それは否定しない」

 まったく悪びれない。

 だが次の言葉は、少しだけ柔らかかった。

「暴走を抑えたのは、お前だな、フィオレ」

「はい。というか、起こしたのも私です……」

「そこはもはや前提条件だ」

 ひどい言われようだ。

 でも、不思議と嫌な気はしなかった。
 責めるためじゃなく、「そういう体質だから、対処もお前がする」って言われているだけだから。

「さっきの波長の揃え方、記録に残しておく。再現性があるなら、今後にも使える」

「再現性……あるといいですけど」

 こっちとしては、二度と暴走してほしくないのが本音だ。

 けれど、そんな願いを笑うように、ゴミ山は今日もざわざわと鳴いている。

    ◇

 その日を境に――リーナの“掃除”は明らかに変質した。

 瓦礫を片付けるたび。
 布を拾い上げるたび。
 壊れた器具に触れるたび。

 微かな光が、「ねえ」と袖を引くように目に入ってくる。

 歪んだ金属板の下から出てきた、小さな円盤。

 磨いてみれば、勝手にふわりと浮かび上がり、リーナの頭上でくるくる回り始めた。

「うわっ!? なに、なにこれ、落ち、落ちて――って落ちない!?」

 焦って手を伸ばすと、指先をすり抜ける。

 薄いガラスのような板で出来た“目”が、こちらをじっと見ている。

『記録装置だな』

(また知ってるんだ……)

『対象の視覚情報と音声を記録し、再生する機構。……一部が欠損している』

 瞬間、円盤の表面がぱぱぱっと光を弾いた。

 目の前に、薄いホログラムのような映像が浮かび上がる。

 誰かの顔。
 笑い声。
 広いホールのような場所。
 何かの祝典――そして、途中から映像がぶつりと途切れた。

 再生を止める方法も分からないまま、リーナはただ呆然と見ていた。

「……あんた、掃除のつもりで、何人分の人生ひっくり返してんだろうね」

 背後から飛んできたマルタのため息に、返す言葉もなかった。

 別の日。

 半分埋もれた木箱の中から、奇妙な板が出てきた。
 片側に足を乗せるためのスペース、反対側には謎の紋様。

 なんとなく泥を拭ってみたら――

 ゴウッ、と下から風が吹き上げた。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って、待って待って待って!?!?!?」

 足元が浮いた。

 板が勝手に上昇し、リーナの身体はその上に乗ったまま、ゴミ山の上空へ。

 視界が一気に高くなる。
 足場がない。
 風だけが支えている。

『簡易飛行盤だな』

(説明はあとでいいから止め方教えてえええええええ!!!)

 必死の叫びに、アークレールがやっとのことで介入してくれる。

 魔力の流れを矯正し、上昇と下降の制御をリーナの意識側へ引き戻す。

 結果――飛行盤は、ふらふらしながらも、なんとかゴミ山のそばへ着地した。

 膝から崩れ落ちるリーナ。
 上空からそれを見上げていた兵士たちが、口をぽかんと開けている。

「今の、何の訓練ですか?」

「訓練じゃないです!」

 その日の夕方、城内には「掃除婦がゴミ山から飛んだ」という謎の噂が一気に広がった。

    ◇

「……お前」

 数日後。

 いつものように観察のために来ていたヴァルトが、眉間に皺を深く刻んだ。

「報告書をまとめる身にもなれ」

「すみません……」

「防御障壁の暴走抑制、記録装置の再生、簡易飛行盤の制御。  全部、“掃除中に誤って起動させた”で片付けているが」

「いやだって、本当に掃除中で……」

「こちらは誤起動ではなく、“修復と起動の複合スキル”として整理したいところだ」

 スキル、という単語に、リーナはきょとんと目を瞬いた。

「スキル?」

「お前、ただの掃除じゃない」

 ヴァルトは、ゴミ山とリーナの間の空間を、指先で示す。

「壊れていた魔導機構を、磨き、形を整え、魔力と波長を合わせることで“元の機能に戻している”。  暴走しかけたものも、お前の魔力を媒介にして安定状態に落としている」

「……うっかり、って言いたいんですけど」

「“うっかり世界を変える”タイプの厄介さは、戦場で一番嫌われる」

 説明が容赦なかった。

 ヴァルトは、少しだけ視線を伏せる。

「……お前の魔力の動きを、結界越しにずっと観察してみたがな」

「覗かれてるの、あんまり良い気分しないですね」

「仕事だ」

 あっさり切り捨てる。

「最初こそ、魔力の出し方は素人同然だ。だが、“拾い上げたもの”と共鳴した瞬間だけ、驚くほど滑らかな流れになる。  あれは、“修復特化スキル”と言って差し支えないだろうな」

「……修復、特化」

 口にしてみると、なんだか不思議な響きだ。

 工房で言われ続けてきたのは、「計測不能」「異常」「誤差」「ノイズ」。

 今、目の前の戦場帰りは、それを“スキル”と呼んでいる。

 役に立つかどうか。
 使えるかどうか。

 その基準でしか見ていないかもしれないけど――それでも、“存在しない”とは言われなかった。

「褒められてます? それ」

「評価していると言っている」

「ツンデレですか」

「意味の分からない単語を増やすな」

 ため息混じりに言われて、思わず吹き出しそうになる。

 ……と、その時。

「おーい、“スクラップ・クイーン”」

 妙に軽い声が、ゴミ山の入口側から飛んできた。

「へ?」

 リーナが振り向くと、城内警備隊の若い兵士が手を振っていた。
 いつも巡回に来る、顔だけは良いけれど中身はやたら軽いあの人だ。

「今日も派手に何か起こしてないか確認に来たぞー」

「誰がスクラップ・クイーンですか誰が」

 瞬間、耳まで熱くなるのが分かった。

「え、違うの? みんなそう呼んでるけど」

「やめてくださいほんとに!?」

 バタバタしていると、その後ろから、工房の下級職員がひょこっと顔を出した。

「あ、あれが“ゴミ山の発掘者”ですか?」

「“発掘者”って言い方は、まだマシかな……」

「何だそれは」

 ヴァルトが眉をひそめる。

 兵士が楽しそうに説明を始める。

「いや将校、ここ数日、噂になってるんですよ。  “ゴミ置き場で掃除をするたびに、古代のガラクタが覚醒する掃除婦がいる”って」

「言い方ァ!」

「最初は半分怪談みたいな話だったんですけどね。  昨日なんて、空中に浮いてる板の上で“うっかり飛んでた”って――」

「うっかりって言うなあああああ!!」

「それで、“ゴミ山の発掘者”とか、“スクラップ・クイーン”とか、いろんな呼び方がついてきてまして」

 兵士がケラケラ笑う。

 工房の職員も、気まずそうに笑いながら頷いた。

「工房の中でも、噂になってます。“追い出された見習いが、裏庭でとんでもないことしてる”って……」

 その言葉に、胸のどこかがちくりと痛んだ。

 “追い出された見習い”。

 否定できない肩書き。

「あの、できれば、もっとこう……落ち着いた呼び名はないんですか?」

「例えば?」

「例えば……えっと、“ゴミ置き場勤務のリーナさん”とか……」

「ただの職務内容で草」

「笑わないでください!?」

 耳まで真っ赤になっている自覚がある。

 ヴァルトが、ほんの少しだけ咳払いした。

「二つ名などどうでもいい。呼称は状況によって変わる。……問題は、その実態だ」

「実態……」

「お前は、拾い上げた“スクラップ”を、何度でも立ち上がらせている。  その事実だけは、ごまかせん」

 ヴァルトの目は真剣だった。

「その能力をどう使うかは、これからの話だがな」

 “どう使うか”。

 兵器として。
 防衛手段として。
 研究対象として。

 いろんな可能性が頭をよぎる。

 どれも、完全には受け入れられない。

 でもひとつだけ、今の自分がはっきり分かることがあった。

 ――この光たちを、もう見逃せない。

 ゴミ山のあちこちで、微かな光が揺れている。
 捨てられても、埋もれても、消えずに残った“呼吸”。

 それが“兵器”か、“道具”か、“ただの記録”かなんて、ラベルはあとから誰かが勝手に貼る。

 最初にそれを見つけて、拾い上げる瞬間は。

 ただの、救済だ。

(ああ、もう)

 リーナは、自分の胸の奥に手を当てたくなった。

 そこでは、アークレールの波長と、自分の鼓動がゆっくりと同期している。

 拾い上げたものの数だけ、心が重くなる。
 同時に、少しずつ満たされていく。

『どうした』

(……なんでもない。ただ、ちょっと)

 言葉を探す。

 うまく見つからなくて、笑ってしまう。

(“スクラップ・クイーン”とか呼ばれるの、本当に恥ずかしいんだけどさ)

『不名誉か?』

(名誉か不名誉かで言ったら、うん、たぶん不名誉寄り……)

 でも、と付け加える。

(捨てられたものの“女王様”って言われるの、完全に嫌いになれない自分がいるのが、もっと恥ずかしい)

 アークレールは、しばし沈黙したあと――

『適切な呼称は、“ゴミ置き場の修復者”あたりだと思うがな』

(それもそれで恥ずかしいよ!?)

 思わず吹き出す。

 そんな自分を、マルタが訝しげに見てきた。

「何一人で笑ってんだい、新入り。頭でも打った?」

「打ってないです! 多分!」

「“多分”の範囲広いね、あんた」

 ぼやきながらも、マルタは口元を緩める。

「いいじゃないか、“スクラップ・クイーン”」

「よくないですよ」

「二つ名なんて、勝手について勝手に変わるもんだよ。  あたしだって、昔は“弾薬ずらしのマルタ”とか呼ばれてたしね」

「それ、かっこいいんだか悪口なんだか微妙ですね……」

「褒めてんのか貶してんのか分かんない呼び名が、一番長持ちするのさ」

 そう言って笑うマルタの背中は、今日もやっぱり頼もしかった。

 ゴミ山の向こうで、夕陽が少しずつ傾いていく。

 捨てられたものの墓場みたいなこの場所で――

 リーナ・フィオレという掃除婦の二つ名が、静かに、でも着実に広まり始めていた。

 “ゴミ山の発掘者”。

 “スクラップ・クイーン”。

 そしていつか、“古代兵器を拾い上げた少女”という呼び名が、城の外にまで届く日が来る。

 その全ての始まりが、こうしてモップと布と、少しの勇気で形になっていくのだと――

 この時のリーナは、まだ知らないふりをして、今日もまた、微かな光を一つ拾い上げた。
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