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相談
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あの後アレンシカ達はエイリークとフォルマと別れそのまま急いで伯爵邸に帰った。
この領にいる事情が知られてしまった以上、散策を続ける訳には行かない。自分が王都から離れここにいる以上、今帰れない事情があるということは王家から見つかってはいけないということだ。エイリークと会えたのは偶然とはいえ、もしエイリークと一緒にいるところを知られたら?ウィンノルはともかく王家はエイリークを罰してしまうかもしれない。
そうならないように早急にライトン伯爵との話し合いが必要だった。
「なるほど……王立学園の学友がいたとなると……。」
ライトン伯爵が戻り晩餐の後で話し合いの席が設けられ、今日のことやエイリークとの交友関係を話した。。共にいたメイメイとジュスティも参加している。
「はい、エイリークは僕の友達でプリムと並び最も仲の良い生徒のひとりなんですが……。ここにまさかエイリークがいるとは気付かず……。村としか知らなくて……。」
「村の名は領民がその地域の通称として呼んでいるだけなので対外的には通じないんですよね。無理もありません。」
ライトン伯爵も納得するように苦笑していた。国土査察官を父に持つ者としてなんて不覚。もし瞬時に気づいていればと後悔が襲うがすでに起きたことは仕方がなく今は相談が先だ。
「エイリーク君は平民……平民では抵抗が出来ない……。」
「もしかするとエイリークとその家族に何か起きてしまうかもしれません。僕も今は一人です、守れるかどうか……。」
「万が一王家がこちらに来た時、ですね……。」
もしかすると何かのきっかけでウィンノルとエイリークが結ばれアレンシカの天啓通りに寄り添うことになるのかもしれない。だが現状では他にも関わっている人が多いのだ。特にユースがどう出るのかが分からない。
「エイリークは僕が王都から来た理由をなんとなく気づいているようでした。しかしどこまで知っているかは分かりません。具体的には伝えられませんし、そもそも僕も今回あまり知らずにこちらに来ているので……。」
「エイリーク君はこの領で初めての王立学園生で有名になっていたからには聡明なんでしょう。ましてや一番友人だからこそアレンシカ様の様子が違うことも見抜いたんでしょうね。」
「そうですね……。」
膝を並べて皆で悩んだところで解決ができるか分からない。そもそもどこまで伝えていい事象なのかもアレンシカもライトン伯爵も分からない。
「もし今エイリークとその家族に何かあった場合、ライトン伯爵にご協力をお願いすることになると思いますが……。」
「もちろん、私は領主でありエイリーク君たち家族は守るべき領民です。何かあった時には力になります。」
「……ありがとうございます。本当は僕が何とか出来ればいいのですが。公爵家の人間で婚約者なんですから……。」
「何を言ってます、領地で起こったことなんですから領主が対応して当然のことです。」
「でも僕が来なければ……。」
「それにアレンシカ様だって私からすればまだ子ども。大人が守るべき者です。」
「ご主人様の言う通りですアレンシカ様。お仕えする為だけでなく、子どもが困ってるなら私だって守りますわ。私はアレンシカ様より年上なんですから。」
「ありがとうございます……。」
思わず目が潤みそうになったが、それでもぐっと堪える。今巻き込まなくていい人たちを巻き込んでしまっている、その事実に心の中ではまた深く沈んでいってしまう。
「あのー。」
宥められている時にジュスティがやや話に入りづらそうに手を挙げた。
「俺、思うんですけど。」
「何よジュスティ。」
「そのエイリークってやつはアレンシカ様のもう一人の友達とも仲が良いんですよね?」
「プリムのこと?」
「はい。アレンシカ様はまだ学園がやっている間にこちらに来ていますよね。でしたらアレンシカ様が聞いていない話をそいつも聞いているかもしれないですよ?」
「そうだ!この件にはプリム君も関わっている!エイリーク君も何か情報を持っているかもしれない!」
「でも……プリムがそんな危ない橋をエイリに渡らせるでしょうか……。」
プリムだってエイリークが平民であることはもちろん知っている。いくら何かを知っていても平民では太刀打ち出来ない。それなのに何かをさせるのか……。
いや、プリムは友達としてエイリークのことをとても信頼し頼りにしていた。そしてプリムは天真爛漫に見えて大胆でどこか勇ましいところがあった。エイリークの聡明さを見込んで何かを教えていても不思議ではないかもしれない。
「とりあえず、エイリーク君の話を聞いてから判断しても遅くはないのでは?」
「……確かに話すにしてもまずどこまでエイリーク君が知っているかにもよりますね。」
「でも相手は王族ですから、急いだ方がいいでしょう。すぐに先触れを出しましょう。」
「そうですね、でもいきなり領主から遣いが来ても驚かせてしまいかねない。一度は顔を見たメイメイに頼んでもいいかな。ジュスティは残って護衛を。」
「かしこまりました。」
メイメイが急ぎつつも静かに部屋から出ていった。
「俺はそれよりもあいつが向こうに連絡でもとってないかの方が心配ですけどねー。注意しそびれちゃいましたし。」
「……エイリークはすぐに状況を感じ取っていたからそういうことはしないと思う。」
「私もそう思いますよ。」
「そうですかねー。」
この領にいる事情が知られてしまった以上、散策を続ける訳には行かない。自分が王都から離れここにいる以上、今帰れない事情があるということは王家から見つかってはいけないということだ。エイリークと会えたのは偶然とはいえ、もしエイリークと一緒にいるところを知られたら?ウィンノルはともかく王家はエイリークを罰してしまうかもしれない。
そうならないように早急にライトン伯爵との話し合いが必要だった。
「なるほど……王立学園の学友がいたとなると……。」
ライトン伯爵が戻り晩餐の後で話し合いの席が設けられ、今日のことやエイリークとの交友関係を話した。。共にいたメイメイとジュスティも参加している。
「はい、エイリークは僕の友達でプリムと並び最も仲の良い生徒のひとりなんですが……。ここにまさかエイリークがいるとは気付かず……。村としか知らなくて……。」
「村の名は領民がその地域の通称として呼んでいるだけなので対外的には通じないんですよね。無理もありません。」
ライトン伯爵も納得するように苦笑していた。国土査察官を父に持つ者としてなんて不覚。もし瞬時に気づいていればと後悔が襲うがすでに起きたことは仕方がなく今は相談が先だ。
「エイリーク君は平民……平民では抵抗が出来ない……。」
「もしかするとエイリークとその家族に何か起きてしまうかもしれません。僕も今は一人です、守れるかどうか……。」
「万が一王家がこちらに来た時、ですね……。」
もしかすると何かのきっかけでウィンノルとエイリークが結ばれアレンシカの天啓通りに寄り添うことになるのかもしれない。だが現状では他にも関わっている人が多いのだ。特にユースがどう出るのかが分からない。
「エイリークは僕が王都から来た理由をなんとなく気づいているようでした。しかしどこまで知っているかは分かりません。具体的には伝えられませんし、そもそも僕も今回あまり知らずにこちらに来ているので……。」
「エイリーク君はこの領で初めての王立学園生で有名になっていたからには聡明なんでしょう。ましてや一番友人だからこそアレンシカ様の様子が違うことも見抜いたんでしょうね。」
「そうですね……。」
膝を並べて皆で悩んだところで解決ができるか分からない。そもそもどこまで伝えていい事象なのかもアレンシカもライトン伯爵も分からない。
「もし今エイリークとその家族に何かあった場合、ライトン伯爵にご協力をお願いすることになると思いますが……。」
「もちろん、私は領主でありエイリーク君たち家族は守るべき領民です。何かあった時には力になります。」
「……ありがとうございます。本当は僕が何とか出来ればいいのですが。公爵家の人間で婚約者なんですから……。」
「何を言ってます、領地で起こったことなんですから領主が対応して当然のことです。」
「でも僕が来なければ……。」
「それにアレンシカ様だって私からすればまだ子ども。大人が守るべき者です。」
「ご主人様の言う通りですアレンシカ様。お仕えする為だけでなく、子どもが困ってるなら私だって守りますわ。私はアレンシカ様より年上なんですから。」
「ありがとうございます……。」
思わず目が潤みそうになったが、それでもぐっと堪える。今巻き込まなくていい人たちを巻き込んでしまっている、その事実に心の中ではまた深く沈んでいってしまう。
「あのー。」
宥められている時にジュスティがやや話に入りづらそうに手を挙げた。
「俺、思うんですけど。」
「何よジュスティ。」
「そのエイリークってやつはアレンシカ様のもう一人の友達とも仲が良いんですよね?」
「プリムのこと?」
「はい。アレンシカ様はまだ学園がやっている間にこちらに来ていますよね。でしたらアレンシカ様が聞いていない話をそいつも聞いているかもしれないですよ?」
「そうだ!この件にはプリム君も関わっている!エイリーク君も何か情報を持っているかもしれない!」
「でも……プリムがそんな危ない橋をエイリに渡らせるでしょうか……。」
プリムだってエイリークが平民であることはもちろん知っている。いくら何かを知っていても平民では太刀打ち出来ない。それなのに何かをさせるのか……。
いや、プリムは友達としてエイリークのことをとても信頼し頼りにしていた。そしてプリムは天真爛漫に見えて大胆でどこか勇ましいところがあった。エイリークの聡明さを見込んで何かを教えていても不思議ではないかもしれない。
「とりあえず、エイリーク君の話を聞いてから判断しても遅くはないのでは?」
「……確かに話すにしてもまずどこまでエイリーク君が知っているかにもよりますね。」
「でも相手は王族ですから、急いだ方がいいでしょう。すぐに先触れを出しましょう。」
「そうですね、でもいきなり領主から遣いが来ても驚かせてしまいかねない。一度は顔を見たメイメイに頼んでもいいかな。ジュスティは残って護衛を。」
「かしこまりました。」
メイメイが急ぎつつも静かに部屋から出ていった。
「俺はそれよりもあいつが向こうに連絡でもとってないかの方が心配ですけどねー。注意しそびれちゃいましたし。」
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「私もそう思いますよ。」
「そうですかねー。」
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