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支え合う
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「それでどうだった?」
帰って早々に執務室に迎えば扉を開いてすぐにユースに聞かれた。
「成果はありません。どちらも協力も正直に話すことも拒否すると。」
「そうか……。」
「言い訳ばかりではぐらかしてばかりでした。」
鞄を座席に置いてから自分もドカリと座った。
いつもならすぐにお茶でも頼むが今日はとてもそんな気分にはなれない。
「王家はどれだけ舐められているんだ……子爵家は置いておいても平民にまで……。嘆かわしい。」
ウィンノルの報告を聞いてからユースは大きくため息をついた。
「命令でも出せれば直ぐにでも解決するんだがな……どうにか手立てはないか……。」
「……いっそ兄上が命令するのはどうです?立太子は確実ですし、次期国王の命令でさえも軽視するのならもう重罪です。王家をここまで足蹴にするなんて……。」
「ううん……確かにな……国王ではなくとも王子としての命令でも聞かないなら許されるものではないしな。貴族も民も全て王の臣下なのだからな……。最終的には考えてみるか。」
二人して頭を揃えてずっと考えているのに事態は好転しない。
「どちらにせよ、ミラー家と平民には罰を与えることは決定だな。王家への虚偽申告に非協力……学園からの退学くらいが妥当か?」
「そう思いますよ。王族への暴力に等しい。」
「では学園に申請しておこう。」
ユースは手早く書類を纏め始めた。方針が決まればすぐに動いた方がいい。自分たちがすぐに動いていればアレンシカは逃げなかったといつも悔いている。
「そういえば……プリム・ミラーが貴顕秩序衛務院に手紙の件を報告したとか。」
「手紙の件?ああフィラルのか。」
「外見が王族で中身が別の貴族のものだからだとか。まあ悪あがきですね。それでハッタリが出来るとでも思っているところが非常に浅はかな手です。」
「衛務院の最高責任者が王弟殿下だとは知らなかったのか?」
「それでこちらへの牽制になると思っているのだから知らなかったのではないですか?」
報告を聞いてユースは思わず出そうになる笑いを堪えた。最高責任者も王族なのだからいくら報告しようが自分たちの非になることをするはずがない。同じ身内でも可愛い息子の為に思わない国王とは大違いだ。
王弟殿下に連絡をしておくまでもない。
「王弟殿下が率いる衛務院にも話しているなら安心だろう。あちらも墓穴を掘ったな。」
ユースは鼻歌でも奏でそうに上機嫌になりながら仕事を片付けている。
「では罰するのはあちらに任せてもいいのですか?」
「いや、それだけでは示しはつかないから学園からも罰してもらう。よし、出来た。あとは届けてもらえば終わりだ。」
机の上には封書が存在感を放ちながら置いてある。あの子たちへの最後通牒だ。
「さて、あとはミラー家とリリーベル家へ……。だがこれは王の管轄でもあるからな。どうするか……。」
「まだリリーベル家への処罰が決まっていませんよね。では最後にきちんと話をしてからでもいいんじゃないですか?」
「話?」
「はい、あの子らはまだ教育が行き届いていないから融通が利かないんです。でもリリーベル家も今ならしっかり話を聞くかもしれません。プリム・ミラーへの処罰が聞かされるのなら。」
「そうだな……。侍従見習いでも処罰を与えられるのなら自分たちはさらに重くなる、と考えればもう少し王家へ協力的にもなるかもしれない。」
「これは希望的観測ですか?」
「……いや、アレンシカの婚約者はお前だ。最後にはお前の決定に俺も従うよ。」
「ありがとうございます。」
ウィンノルは噛みしめるようにお礼を言った。リーダーシップに溢れ優秀でしっかり者の兄が認めて見守ってくれることがウィンノルは嬉しかった。
「では、リリーベル家はウィンノルに任そう。雑務は俺に任せてくれ。」
「必ず成果を上げてみせます。」
兄弟の絆を確かめた時、執務室の扉が鳴った。
「失礼いたします。至急お知らせしたいことが。」
「なんだ?」
機嫌よくユースは入ってきた部下に返事をした。
「アレンシカ様が見つかりました。」
帰って早々に執務室に迎えば扉を開いてすぐにユースに聞かれた。
「成果はありません。どちらも協力も正直に話すことも拒否すると。」
「そうか……。」
「言い訳ばかりではぐらかしてばかりでした。」
鞄を座席に置いてから自分もドカリと座った。
いつもならすぐにお茶でも頼むが今日はとてもそんな気分にはなれない。
「王家はどれだけ舐められているんだ……子爵家は置いておいても平民にまで……。嘆かわしい。」
ウィンノルの報告を聞いてからユースは大きくため息をついた。
「命令でも出せれば直ぐにでも解決するんだがな……どうにか手立てはないか……。」
「……いっそ兄上が命令するのはどうです?立太子は確実ですし、次期国王の命令でさえも軽視するのならもう重罪です。王家をここまで足蹴にするなんて……。」
「ううん……確かにな……国王ではなくとも王子としての命令でも聞かないなら許されるものではないしな。貴族も民も全て王の臣下なのだからな……。最終的には考えてみるか。」
二人して頭を揃えてずっと考えているのに事態は好転しない。
「どちらにせよ、ミラー家と平民には罰を与えることは決定だな。王家への虚偽申告に非協力……学園からの退学くらいが妥当か?」
「そう思いますよ。王族への暴力に等しい。」
「では学園に申請しておこう。」
ユースは手早く書類を纏め始めた。方針が決まればすぐに動いた方がいい。自分たちがすぐに動いていればアレンシカは逃げなかったといつも悔いている。
「そういえば……プリム・ミラーが貴顕秩序衛務院に手紙の件を報告したとか。」
「手紙の件?ああフィラルのか。」
「外見が王族で中身が別の貴族のものだからだとか。まあ悪あがきですね。それでハッタリが出来るとでも思っているところが非常に浅はかな手です。」
「衛務院の最高責任者が王弟殿下だとは知らなかったのか?」
「それでこちらへの牽制になると思っているのだから知らなかったのではないですか?」
報告を聞いてユースは思わず出そうになる笑いを堪えた。最高責任者も王族なのだからいくら報告しようが自分たちの非になることをするはずがない。同じ身内でも可愛い息子の為に思わない国王とは大違いだ。
王弟殿下に連絡をしておくまでもない。
「王弟殿下が率いる衛務院にも話しているなら安心だろう。あちらも墓穴を掘ったな。」
ユースは鼻歌でも奏でそうに上機嫌になりながら仕事を片付けている。
「では罰するのはあちらに任せてもいいのですか?」
「いや、それだけでは示しはつかないから学園からも罰してもらう。よし、出来た。あとは届けてもらえば終わりだ。」
机の上には封書が存在感を放ちながら置いてある。あの子たちへの最後通牒だ。
「さて、あとはミラー家とリリーベル家へ……。だがこれは王の管轄でもあるからな。どうするか……。」
「まだリリーベル家への処罰が決まっていませんよね。では最後にきちんと話をしてからでもいいんじゃないですか?」
「話?」
「はい、あの子らはまだ教育が行き届いていないから融通が利かないんです。でもリリーベル家も今ならしっかり話を聞くかもしれません。プリム・ミラーへの処罰が聞かされるのなら。」
「そうだな……。侍従見習いでも処罰を与えられるのなら自分たちはさらに重くなる、と考えればもう少し王家へ協力的にもなるかもしれない。」
「これは希望的観測ですか?」
「……いや、アレンシカの婚約者はお前だ。最後にはお前の決定に俺も従うよ。」
「ありがとうございます。」
ウィンノルは噛みしめるようにお礼を言った。リーダーシップに溢れ優秀でしっかり者の兄が認めて見守ってくれることがウィンノルは嬉しかった。
「では、リリーベル家はウィンノルに任そう。雑務は俺に任せてくれ。」
「必ず成果を上げてみせます。」
兄弟の絆を確かめた時、執務室の扉が鳴った。
「失礼いたします。至急お知らせしたいことが。」
「なんだ?」
機嫌よくユースは入ってきた部下に返事をした。
「アレンシカ様が見つかりました。」
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