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進言
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「アレンシカちゃん、新しいクラスはどう?」
ある日、いつものように邸宅に帰るとソファに鎮座している人が二人。
最近ではめっきりお馴染みになった光景だ。
「こんにちはユース様。フィラル様。」
「おかえり、アレンシカ。」
「もう!お姉ちゃんで呼んでねっていつも言ってるのに!」
そうして、来訪している二人を無視して自分の部屋に戻る訳にもいかないので、荷物を端に寄せて目の前の席に着いた。
「それで、アレンシカちゃん。どう?学校は。」
ここ最近はいつも聞かれるお決まりの言葉。
「……いつも通り、変わらず、勉学に励んでおります。」
「もう!そうじゃないでしょ?」
フィラルはにまにまとこちらを伺う目で楽しそうに笑っている。
「もっちろん、ウィンノルとのこと!同じクラスになったんだからもうすっかりラブラブくらいにはなったんじゃないの?」
「……まだ2ヶ月ですよ。先日も言いましたがそうすぐに変わることはないと思いますが……。」
そしてほぼいつもと変わらない返答に二人してため息をついた。
「何してるのアレンシカちゃん、あの子は思春期拗らせてるだけなの。せっかく同じクラスにしたんだからもっと積極的にアピールしなくちゃ。」
「ですが……。」
「ウィンノルは恥ずかしがり屋で捻くれてるだけなんだ。すこしアレンシカが勇気を出せば、あいつもすぐ君になびくはずだ。」
「ユースのようにねー。」
またいちゃいちゃとしだした二人に尻込みしつつ、アレンシカはそれでもきちんと今日こそは言わないとと思い続ける。
「……よろしいですかユース様。」
「どうした?そんな暗い顔をして。」
「……ウィンノル様は僕を嫌っています。もう何年も事務事項ですらまともに話ができた試しがありません。健全な婚約関係の継続はもはや不可能と思うのですが。」
「またまたぁ、大丈夫だよ。」
王家側からの婚約破棄を促す言葉を口にしてもさり気なく却下された。
「……ユース様。本当に僕ではウィンノル殿下との婚姻を続けられる自信がありません。いつまで経ってもお望みの通りに殿下のお心を溶かすことも出来もせず、お二人のように仲睦まじい関係になれないのです。もちろん、政略ということも理解していますから『白い結婚』でも構わないということは承知しています。……ですが、ウィンノル殿下があそこまで頑なだということは、僕のことをとても嫌いで、政略ですらこの婚姻が嫌ということだと思うのです。」
「そうか。」
「現在リリーベル家の子は僕一人です。公爵という爵位を賜ってはいるものの現在の力はとても弱いはずです。かろうじて公爵でいられているのも、父が王宮で働いているからという理由よりも、かつての王の従兄弟君がかつてのリリーベル公爵と婚姻し臣籍降下なされた名残りのほうが強いでしょう。大切な王族の方がいらしてくださったのですから、そんな家が廃れていくのは見るに耐えないという温情もあるのかもしれません。しかし現在のリリーベル家では到底お力になれるとは僕は思えません。」
「……で?」
「お言葉ですが、ユース殿下。他にも公爵家の素晴らしいご息女ご子息がいらっしゃいますし、侯爵まで広げればさらに選択肢は多いでしょう。爵位にこだわらずとも男爵家や伯爵家にもウィンノル殿下を支えられる素晴らしい才覚を持った方が多くいらっしゃいます。……リリーベルの大して才のない子よりも、よりふさわしい方を再度お選びになったほうがよろしいかと。」
「選び直す時間などないだろう。」
「何故です?」
「一年後、ちょうど君たちが卒業してすぐにフィラルと結婚をするからだ。」
ある日、いつものように邸宅に帰るとソファに鎮座している人が二人。
最近ではめっきりお馴染みになった光景だ。
「こんにちはユース様。フィラル様。」
「おかえり、アレンシカ。」
「もう!お姉ちゃんで呼んでねっていつも言ってるのに!」
そうして、来訪している二人を無視して自分の部屋に戻る訳にもいかないので、荷物を端に寄せて目の前の席に着いた。
「それで、アレンシカちゃん。どう?学校は。」
ここ最近はいつも聞かれるお決まりの言葉。
「……いつも通り、変わらず、勉学に励んでおります。」
「もう!そうじゃないでしょ?」
フィラルはにまにまとこちらを伺う目で楽しそうに笑っている。
「もっちろん、ウィンノルとのこと!同じクラスになったんだからもうすっかりラブラブくらいにはなったんじゃないの?」
「……まだ2ヶ月ですよ。先日も言いましたがそうすぐに変わることはないと思いますが……。」
そしてほぼいつもと変わらない返答に二人してため息をついた。
「何してるのアレンシカちゃん、あの子は思春期拗らせてるだけなの。せっかく同じクラスにしたんだからもっと積極的にアピールしなくちゃ。」
「ですが……。」
「ウィンノルは恥ずかしがり屋で捻くれてるだけなんだ。すこしアレンシカが勇気を出せば、あいつもすぐ君になびくはずだ。」
「ユースのようにねー。」
またいちゃいちゃとしだした二人に尻込みしつつ、アレンシカはそれでもきちんと今日こそは言わないとと思い続ける。
「……よろしいですかユース様。」
「どうした?そんな暗い顔をして。」
「……ウィンノル様は僕を嫌っています。もう何年も事務事項ですらまともに話ができた試しがありません。健全な婚約関係の継続はもはや不可能と思うのですが。」
「またまたぁ、大丈夫だよ。」
王家側からの婚約破棄を促す言葉を口にしてもさり気なく却下された。
「……ユース様。本当に僕ではウィンノル殿下との婚姻を続けられる自信がありません。いつまで経ってもお望みの通りに殿下のお心を溶かすことも出来もせず、お二人のように仲睦まじい関係になれないのです。もちろん、政略ということも理解していますから『白い結婚』でも構わないということは承知しています。……ですが、ウィンノル殿下があそこまで頑なだということは、僕のことをとても嫌いで、政略ですらこの婚姻が嫌ということだと思うのです。」
「そうか。」
「現在リリーベル家の子は僕一人です。公爵という爵位を賜ってはいるものの現在の力はとても弱いはずです。かろうじて公爵でいられているのも、父が王宮で働いているからという理由よりも、かつての王の従兄弟君がかつてのリリーベル公爵と婚姻し臣籍降下なされた名残りのほうが強いでしょう。大切な王族の方がいらしてくださったのですから、そんな家が廃れていくのは見るに耐えないという温情もあるのかもしれません。しかし現在のリリーベル家では到底お力になれるとは僕は思えません。」
「……で?」
「お言葉ですが、ユース殿下。他にも公爵家の素晴らしいご息女ご子息がいらっしゃいますし、侯爵まで広げればさらに選択肢は多いでしょう。爵位にこだわらずとも男爵家や伯爵家にもウィンノル殿下を支えられる素晴らしい才覚を持った方が多くいらっしゃいます。……リリーベルの大して才のない子よりも、よりふさわしい方を再度お選びになったほうがよろしいかと。」
「選び直す時間などないだろう。」
「何故です?」
「一年後、ちょうど君たちが卒業してすぐにフィラルと結婚をするからだ。」
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