君までの距離

高遠 加奈

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坂の上の公園

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お店を出て坂をあがっていくと公園があった。

きょろきょろと探すまでもなく、高遠さんがブランコのひとつに腰かけていた。


「隣、いいですか」

高遠さんは、ちらりとアタシを見て俯くように頷いた。
ブランコに並んで腰かけているのは、向かいあうよりも気が楽だった。

お互いを探り合うことなく、自分は自分のまま、高遠さんは高遠さんのままで話せそうな気がした。



「蓮見マネが追いかけてくるんだと思ってた」

「橘代表に言われました。アタシこそびっくりです」



キイッとブランコをこいでみる。ゆらりと体が揺れて心も揺さぶられる。


「ワイドショーを見ました。それから、雑誌のほうも」


高遠さんは無言だった。

アタシはブランコをこぎながら、高遠さんと近づいたり離れたりしていた。



「アタシは芸能界を知らないから、高遠さんが話したことしかわかりません。高遠さんが何について怒っているのか正確にわかっていないのかもしれません。だから代表の橘さんはアタシをここに来させたのかもしれませんよ」


「知らない人間になら愚痴を言えるってこと」


投げやりな高遠さんの声も近づいたり離れたりする。


「あの人はなんで俺が怒っているのか理解してない。でなけりゃあなたを寄越すはずがない」



高遠さんは、ふいに力強くブランコを漕ぎ始める。

「写真週刊誌の目があるかもしれないのに…?」

「そう。俺まで目を付けられることになってきた。あなたも一緒に居たら写真を撮られるから、早く帰ったほうがいいよ」



速さの違うブランコは距離が縮むより、離れていることのほうが多い。

気持ちがすれ違うみたいに行ったり来たりする。


「認識が甘すぎるよ。写真に撮られたらプライベートなんてなくなるよ」

「でも今でないと聞けないこともありますから。高遠さんが一番怒っているのは、正当に自分の仕事を評価してもらえないことですよね」



こぐのを止めて、すーっと背中から下がってくる高遠さんは振り返ってアタシを見た。



「そうだよ。ゴシップで話題を作らないと相手にしてもらえないなんて、落ちぶれた芸能人だろ」

「ゴシップなんかじゃなく、きちんと仕事を評価してもらいたい、ですよね」



高遠さんとすれ違い、アタシが前に出る。

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