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酒宴
しおりを挟む「アタシが行ってもいいんですか」
唇を笑いの形にして代表が答えてくれる。
「貴女に賭けてみます」
そして高遠さんへの伝言を聞いたアタシは店を後にした。
「いいんですか、橘さん」
冷酒をくいっと飲んだ代表に、眼鏡を直しながらマネージャーの蓮見が詰め寄った。
「いいさ。あれだけのことを言ったんだから裕也も腹を決めただろうよ」
橘代表は手酌で冷酒を注いで、塩辛に箸を付ける。
「ですが、これではさらに噂の種を蒔くようなものです」
「なに心配いらないさ。この程度で裕也に潰れてもらっては困るからね。蓮見、一杯付き合いなさい」
ぴくりとマネージャーの眉が上がる。
「業務中なので、遠慮いたします」
「今日は裕也を送らなくていい」
さっさっと手招きして座るように呼ぶと、渋りながらマネージャーが席につく。
「勝次さん、グラスを」
店長へと手を振り、グラスをひとつ出してもらう。言うそばからグラスが現れるのは既に用意されていたからにほかならない。
「お前には迷惑をかけるね」
冷酒が瓶から音を立ててそそがれる。
「では一杯だけ頂きます」
飲むとなったら蓮見は強い。くいっと流し込むようにグラスを傾けた。
「橘さん、魚のいいのが入ってますが刺身にしますか」
「勝次さんに任すよ。二つ三つ作っておくれ」
今は嵐の真っ最中だとしても、橘代表も店長も落ち着きを払っている。
裕也の問題は一朝一夕に片が付くものではないと蓮見も理解していた。
俳優歴はあっても、裕也は芸能人としては新人だといえる。
心の内をうかがえないまま、なごやかに酒宴は進んでいく。
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