Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第685話

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 頭部も寄せ集めた塊のような有様だが、シニフィエは構わずに蹴り抜く。
 加速したとは言え、ただの蹴りで頭部の集合体を破壊するのは難しい。
 
 ――が、次の瞬間、カンチャーナの頭部が弾けとんだ。

 密着状態で炸裂したクレイモアが頭部が大きく抉ったのだ。
 
 「お前、なんかあると思ったら。 仕込んでたのか」
 「お義兄さんの真似しちゃいましたー」

 そう言いながら旋回して逆回転。 残った足で反対側を蹴り抜く。
 命中と同時に爆発。 頭部が完全に吹き飛んだ。
 これで完全に見えなくなった。 

 どうやってか不明だが寄せ集めた機体のセンサー系を利用して外界を認識しているらしく、頭を破壊されると探知範囲、項目が激減する。 
 ヨシナリはそれを確認したと同時に高度を落としながら加速。 
 イラをハンマーに変形させる。 

 同時に推進装置を噴かしてシニフィエのように回転しながらカンチャーナの足へと突っ込む。 
 ヨシナリの動きに同期したユウヤが既に来ており、二人で挟むように一撃。
 膝をヨシナリ、膝裏にユウヤの一撃を受けた事で砕け、バランスを崩す。 
 
 即座に補填で機体の修復を図ろうとするが、読み通りだ。 
 損傷を受けるとそこを集中して補強しようとする。 
 フィールドも剥がれている以上は胴体が完全にがら空きだ。

 「マルメル!」

 ヨシナリの叫びに重なるように発射音が響き、弾体がカンチャーナの胴体に突き刺さった。
 それにより胴体部分が損壊し、そこからカンチャーナ本来の機体が露出。
 
 「もういっちょぉ!」

 間髪入れずに二発目を発射。 
 弾体はそのまま胴体を貫通――したのだがカンチャーナは命中前に脱出していた。
 パーツが次々と再集結する為にカンチャーナの機体を追いかけていく。

 「コミカル! 逃げると思ってたぞ!」

 いつの間にかあちこちに配置されたアイロニーのドローン群がワイヤー付きのアンカーを飛ばす。
 
 『!?』

 無数のワイヤーがカンチャーナを絡め取り、その動きを止める。
 それが最期だった。 次の瞬間、転移で肉薄したベリアルがエーテルブレードでカンチャーナのコックピット部分をしっかりと貫く。 

 「所詮は借り物の力。 偽りの輝きでは星の光に届かない」
 『そん、な』
 「闇に吞まれよ」

 爆発。 制御を失った事で引き寄せられたパーツが力なく落下。
 破片が散らばるが、辛うじて原型を留めていた胴体部分にユウヤが散弾砲を撃ち込み、ヨシナリもアトルムとクルックスを連射。 完全に破壊され、原型すら留めなくなったカンチャーナの機体が散らばる。

 「おいおい、そこまでやる必要あったか?」
 「いや、なんか復活しそうな怖さがあったから……」

 やや呆れたマルメルにヨシナリは肩を竦めて見せる。
 ユウヤも同じ考えだったようで油断なくカンチャーナの機体を凝視していたが完全に反応が消えた事を確認して小さく息を吐いた。 
 
 「――にしても入ったと思ったんだけどなぁ……」

 マルメルは少し残念そうに呟く。 
 正直、ヨシナリもあれで仕留めたと思っていたのだが、殻を捨てて逃げるのは意外だった。
 装甲を剥がされた後の反応が妙に早かった事が気にはなったが、躱される可能性は想定していたのだ。
 他も同様で飛び出した所をアイロニーが拘束し、ベリアルがとどめを刺す形となった。

 「ふ、貴様の一撃がなければ成立しなかった結果だ。 誇るがいい。 ――案ずるな。 報酬の一部は貴様の物だ」
 「あ、いや、そんなつもりで言った訳じゃないんだけど」

 素直に褒めるベリアルにマルメルは少しだけ照れたように目を逸らす。
 気にするなというベリアルにマルメルは何かを思いついたように顔を上げる。

 「あ、だったらさ。 金要らないからプセウドテイのフィギュアをくれないか?」
 「我が現身の模造品を? あんな物でいいのか?」
 「俺にとっちゃ結構な物なんだよ。 部屋に飾りたいから一個くれないか?」
 
 ルームに設置できるインテリアの一つとしてショップで購入可能なのだが、ジェネシスフレームのフィギュアは非常に高額で中々手が出なかったのだ。 
 ただ、モデル本人は無料でいくらでも手に入れる事が可能という事もあってマルメルは密かにベリアルとユウヤからフィギュアを譲って貰えないかなと機会を窺っていた。

 「あぁ、そんな物で良ければいくらでも構わんぞ」
 
 ベリアルが何かを察してかユウヤに視線を向けると呆れたように頷きで返された。

 「何だ? 俺のも欲しいのか?」
 「いや、実はぁ。 前々から欲しいなーって思っててぇ。 でも、くれっていうのも図々しいかなーって思っててさぁ。 ほら、プセウドテイもプルガトリオもかっこいいからフィギュア欲しいなーって……」

 マルメルはもごもごとそんな事を言いながらもじもじと身をくねらせた。
 ヨシナリとシニフィエはその様子を見て思わず吹き出す。
 
 「はっはっは、お前、たまに何か言いたそうに二人の事チラチラ見てると思ってたらフィギュア欲しかったのかよ!」
 「ふふ、あぁ、おかしい。 マルメルさんって思ったより可愛い所ありますね」
 「お、お前ら、笑うなよー」

 マルメルが恥ずかしそうに声を上げる。
 向かって来る敵機を捌きながらヨシナリは少しの間、笑っていたがややあってごめんごめんと謝りながら敵機をアトルムで撃墜。
 
 「まぁ、そんな訳で終わった後、良かったら一個分けてやってくれないか?」
 「ん? まぁ、損する訳でもねぇし後で何個かやるよ。 あ、一応、言っとくが転売すんなよ」
 「え? マジで!? やったぁ!」

 過去一嬉しそうなマルメルを尻目にヨシナリは現状を整理。 
 そろそろイベント自体の決着も近い。 
 拠点に関してはアイロニーが派手にやったお陰でボロボロだ。
 他が勝手にとどめを刺すだろう。

 この状況でヨシナリ達が次に向かうべき場所は何処か?
 
 「まぁ、考えるまでもなかったか」

 小さく振り返る。 視線の先は日本側の拠点だ。
 凄まじい規模のレーザー攻撃と空から雷らしき物が降り注ぎ凄まじい事になっていた。
 
 「出番なしで終わるならそれでもいいけど、今この戦場で一番美味しい所はあそこだろうな」
 「あー、ここから戻るのかー。 反対側だぞ?」
 「終わるまで隠れとくか?」
 
 ヨシナリがそう返すとマルメルが分かったよと苦笑する。
 ベリアルは分かっていると言わんばかりの様子で何度も頷き、シニフィエも察していたのか苦笑。
 
 「まぁ、待っていてもやる事ないですし、さっさと行きましょう」
 「タクティカル。 乗りかかった船だ。 最後まで付き合おう」
 
 アイロニーは言われなくてもついてくるつもりのようだ。

 「話もまとまったし行きましょうか」
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