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第684話
三人が合流した事で手数が一気に増えたのはありがたい。
ヨシナリは銃撃しながらどう攻略するかを考える。
まずはカンチャーナの機体についてだ。
自機を中心に蜘蛛の巣状の力場を周囲に伸ばしてその辺に落ちているパーツや武器を手当たり次第に引き寄せて取り込んでいる。
どういう理屈なのかは不明だが、ジェネレーターまで引き寄せている事もあって放置しておくと何処までも装甲と出力を盛っていく。 半端なダメージを与えても次々に補填して回復する。
残骸から剥がした装甲という事もあって防御力という点では大した事はないのだが、数を重ねれば大抵の攻撃は防げるようだ。 防御性能が上がるのは脅威ではあるが悪い事ばかりではない。
理由としては手当たり次第に取り込んでいる事にある。
種類が均一ではない上、規格が違う装甲で盛っている事で機体が鈍重になるのだ。
元々、カンチャーナの機体は幻惑を用いた攪乱を軸にした機体という事もあってカテゴリー的には軽量機と見ていい。 そんな機体が重くなったのだ。
碌に躱せなくなるに決まっていた。 簡単に言うと攻撃が簡単に当たるようになったのだ。
付け加えるならカンチャーナの技量は大した事がない。
少なくとも日本サーバー基準で言うならBランクにすら届かないお粗末さだ。
攻撃、機動、ポジショニング、どれを取ってもさっき戦ったアーシュリアと比べてもかなりレベルが低い。 特に機動は完全にチート任せだ。
――果たしてこんな有様でお得意のチートを使えるのだろうか?
ヨシナリの私見ではあるが、答えは部分的にノーだ。
細かい理屈は不明だが、ホーコートを散々見てきているだけあって挙動の傾向に関しては凡そ掴んでいる。 あのチートはあらかじめ用意しておいたモーションパターンを自動で実行するようにする代物だ。
ここで問題は機体にはスペックという明確な違いが存在する。
全く同じ挙動を違う性能の機体でやればどうなるのか?
クオリティを発揮できるわけがない。 つまりチートユーザーは機体ありきで使用しているのだ。
ホーコートの場合はあの機体だからあの動きができるのであって、他の機体で同じ挙動をしてもまともに動けないはずだった。
カンチャーナはホーコートよりもパターンが多いので対応できる幅は広いが、土台が変われば役に立たなくなるのは明らかだ。
射撃などの戦闘行動はその限りではないと思うが、挙動に関しては当人の技量に応じた物に格落ちすると見ていい。 実際、碌に動かずに攻撃を喰らい続けている。
躱す必要がないとも取れるが、ユウヤとヨシナリのハンマーによる打撃を躱さなかった時点でその可能性は低いと睨んでいた。
ジェネレーターを減らされるのは防御性能だけでなくパフォーマンスの低下にもつながるので避けたいはずだ。 それを簡単に許した時点で機動性を捨てたのだろう。
――判断としては正しいのか?
ここまで追い込まれた以上、チートが通用せず撃墜は時間の問題と判断して守りを固めて火力でゴリ押す方針に切り替えたのだろう。 実際、凄まじい事になっていた。
無数の腕や足を固めて巨大な手足とし、装甲で本体を覆って守りを固める。
持ち主が脱落した事で放置された重火器も取り込みハリネズミのように手足のあちこちから銃口やミサイルポッドの発射口が突き出ていた。
サイズも膨れ上がり、気が付けば二十メートルを超える巨体に成長している。
そして全方位に攻撃をばら撒く。 当然ながら敵味方お構いなしだ。
ヨシナリは即座にカナタの背後という安全地帯に逃げ込みながら考察を続ける。
残骸がある限り無限に再生し、無限に成長していく。
少なくともこのような大規模な戦場ではこれ以上ないほどに性能を発揮できるだろう。
半端な攻撃は全て無効化し、少々のダメージは外付けで補う。 技量の低さは手数で補って敵を圧殺。
――完全にプレイヤーではなくエネミーのスペックだ。
普通にボスでも通用する性能ではあったのだが、ヨシナリは小さく溜息を吐いた。
何も分からなければ、何も見えなければ絶望感と理不尽に怒り狂っていたかもしれない。
だが、ヨシナリにはチート使いとの戦闘経験が、ホロスコープには大抵の事を看破できるシックスセンスという眼があった。
「うん。 まぁ、頭使って勝てないから頭を使わない戦い方に切り替えたんだろうけど、もうどうしようもねぇな。 全員、戦いながら聞いて欲しい」
「戦友よ。 この状況を打開する方法を見出したようだな」
「その通りだ戦友よ。 あの巨人は残骸の寄せ集めでしかない。 正しく鼓動を刻む心の臓は一つ。 それを射抜けば偽りの生を与えられた骸達は死という安息を得るだろう」
ヨシナリはベリアルの質問に答えながら巨大化していくカンチャーナの機体――そのある一点をマーキングして他へと共有。
その意味を真っ先に理解したベリアルは分身を多用して肉薄。 カンチャーナの意識を散らす。
ほぼ同時に動いたユウヤも接近しつつ散弾砲で削りに入る。
「反応早いな!? ヨシナリー、俺は半分ぐらいしか理解できてないから補足してくれー」
「ぶっちゃけるとあの機体って図体がデカくて装甲とかが凄そうに見えるが、結局の所は本体が操っているだけだから中のカンチャーナを始末すれば勝手に崩れるって事だ」
「あぁ、見た目に惑わされるなって事か」
そういう事だとマルメルに応えながらヨシナリはアシンメトリーをマウントしてアトルムとクルックスに切り替えて連射。 意図に気付かれてはならないからだ。
実際、見た目は凄まじいが弱点が明確である以上、撃破は不可能な話ではない。
シックスセンスで反応を追えている時点で、何処を狙えばいいのか分かり切っているのだ。
――中で移動でもしていたらもっと面倒だったけど、それもなさそうだな。
「タクティカル! シックスセンスがあるのなら問題はないな!」
いつの間にかカンチャーナの背後に回っていたアイロニーの機体からスモークが吹き出す。
勢いは凄まじく、瞬く間に周辺の視界をゼロにするが、ヨシナリとセンサー系をリンクしている友軍機には何の問題もない。 マルメルが両腕のハンドレールキャノンにエネルギーを充填しながら後退。
視界が塞がったと同時にユウヤが待ってましたと肉薄し、ハンマーを叩きつけて防御を剥がす。
「お義兄さん!」
「頭をやれ!」
シニフィエの質問に即答。
フィールドが剥がれて無防備になった頭部にシニフィエがエネルギーウイングを全開にして旋回というよりは回転しながらエネルギーを蓄え、鞭のようにしなる蹴りを放った。
ヨシナリは銃撃しながらどう攻略するかを考える。
まずはカンチャーナの機体についてだ。
自機を中心に蜘蛛の巣状の力場を周囲に伸ばしてその辺に落ちているパーツや武器を手当たり次第に引き寄せて取り込んでいる。
どういう理屈なのかは不明だが、ジェネレーターまで引き寄せている事もあって放置しておくと何処までも装甲と出力を盛っていく。 半端なダメージを与えても次々に補填して回復する。
残骸から剥がした装甲という事もあって防御力という点では大した事はないのだが、数を重ねれば大抵の攻撃は防げるようだ。 防御性能が上がるのは脅威ではあるが悪い事ばかりではない。
理由としては手当たり次第に取り込んでいる事にある。
種類が均一ではない上、規格が違う装甲で盛っている事で機体が鈍重になるのだ。
元々、カンチャーナの機体は幻惑を用いた攪乱を軸にした機体という事もあってカテゴリー的には軽量機と見ていい。 そんな機体が重くなったのだ。
碌に躱せなくなるに決まっていた。 簡単に言うと攻撃が簡単に当たるようになったのだ。
付け加えるならカンチャーナの技量は大した事がない。
少なくとも日本サーバー基準で言うならBランクにすら届かないお粗末さだ。
攻撃、機動、ポジショニング、どれを取ってもさっき戦ったアーシュリアと比べてもかなりレベルが低い。 特に機動は完全にチート任せだ。
――果たしてこんな有様でお得意のチートを使えるのだろうか?
ヨシナリの私見ではあるが、答えは部分的にノーだ。
細かい理屈は不明だが、ホーコートを散々見てきているだけあって挙動の傾向に関しては凡そ掴んでいる。 あのチートはあらかじめ用意しておいたモーションパターンを自動で実行するようにする代物だ。
ここで問題は機体にはスペックという明確な違いが存在する。
全く同じ挙動を違う性能の機体でやればどうなるのか?
クオリティを発揮できるわけがない。 つまりチートユーザーは機体ありきで使用しているのだ。
ホーコートの場合はあの機体だからあの動きができるのであって、他の機体で同じ挙動をしてもまともに動けないはずだった。
カンチャーナはホーコートよりもパターンが多いので対応できる幅は広いが、土台が変われば役に立たなくなるのは明らかだ。
射撃などの戦闘行動はその限りではないと思うが、挙動に関しては当人の技量に応じた物に格落ちすると見ていい。 実際、碌に動かずに攻撃を喰らい続けている。
躱す必要がないとも取れるが、ユウヤとヨシナリのハンマーによる打撃を躱さなかった時点でその可能性は低いと睨んでいた。
ジェネレーターを減らされるのは防御性能だけでなくパフォーマンスの低下にもつながるので避けたいはずだ。 それを簡単に許した時点で機動性を捨てたのだろう。
――判断としては正しいのか?
ここまで追い込まれた以上、チートが通用せず撃墜は時間の問題と判断して守りを固めて火力でゴリ押す方針に切り替えたのだろう。 実際、凄まじい事になっていた。
無数の腕や足を固めて巨大な手足とし、装甲で本体を覆って守りを固める。
持ち主が脱落した事で放置された重火器も取り込みハリネズミのように手足のあちこちから銃口やミサイルポッドの発射口が突き出ていた。
サイズも膨れ上がり、気が付けば二十メートルを超える巨体に成長している。
そして全方位に攻撃をばら撒く。 当然ながら敵味方お構いなしだ。
ヨシナリは即座にカナタの背後という安全地帯に逃げ込みながら考察を続ける。
残骸がある限り無限に再生し、無限に成長していく。
少なくともこのような大規模な戦場ではこれ以上ないほどに性能を発揮できるだろう。
半端な攻撃は全て無効化し、少々のダメージは外付けで補う。 技量の低さは手数で補って敵を圧殺。
――完全にプレイヤーではなくエネミーのスペックだ。
普通にボスでも通用する性能ではあったのだが、ヨシナリは小さく溜息を吐いた。
何も分からなければ、何も見えなければ絶望感と理不尽に怒り狂っていたかもしれない。
だが、ヨシナリにはチート使いとの戦闘経験が、ホロスコープには大抵の事を看破できるシックスセンスという眼があった。
「うん。 まぁ、頭使って勝てないから頭を使わない戦い方に切り替えたんだろうけど、もうどうしようもねぇな。 全員、戦いながら聞いて欲しい」
「戦友よ。 この状況を打開する方法を見出したようだな」
「その通りだ戦友よ。 あの巨人は残骸の寄せ集めでしかない。 正しく鼓動を刻む心の臓は一つ。 それを射抜けば偽りの生を与えられた骸達は死という安息を得るだろう」
ヨシナリはベリアルの質問に答えながら巨大化していくカンチャーナの機体――そのある一点をマーキングして他へと共有。
その意味を真っ先に理解したベリアルは分身を多用して肉薄。 カンチャーナの意識を散らす。
ほぼ同時に動いたユウヤも接近しつつ散弾砲で削りに入る。
「反応早いな!? ヨシナリー、俺は半分ぐらいしか理解できてないから補足してくれー」
「ぶっちゃけるとあの機体って図体がデカくて装甲とかが凄そうに見えるが、結局の所は本体が操っているだけだから中のカンチャーナを始末すれば勝手に崩れるって事だ」
「あぁ、見た目に惑わされるなって事か」
そういう事だとマルメルに応えながらヨシナリはアシンメトリーをマウントしてアトルムとクルックスに切り替えて連射。 意図に気付かれてはならないからだ。
実際、見た目は凄まじいが弱点が明確である以上、撃破は不可能な話ではない。
シックスセンスで反応を追えている時点で、何処を狙えばいいのか分かり切っているのだ。
――中で移動でもしていたらもっと面倒だったけど、それもなさそうだな。
「タクティカル! シックスセンスがあるのなら問題はないな!」
いつの間にかカンチャーナの背後に回っていたアイロニーの機体からスモークが吹き出す。
勢いは凄まじく、瞬く間に周辺の視界をゼロにするが、ヨシナリとセンサー系をリンクしている友軍機には何の問題もない。 マルメルが両腕のハンドレールキャノンにエネルギーを充填しながら後退。
視界が塞がったと同時にユウヤが待ってましたと肉薄し、ハンマーを叩きつけて防御を剥がす。
「お義兄さん!」
「頭をやれ!」
シニフィエの質問に即答。
フィールドが剥がれて無防備になった頭部にシニフィエがエネルギーウイングを全開にして旋回というよりは回転しながらエネルギーを蓄え、鞭のようにしなる蹴りを放った。
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