Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第368話

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 不意に連続して発生した銃声にヨシナリの思考は断ち切られた。
 イワモトが確認を求めるように小さく振り返ったので頷きで応えると駆け出す。
 銃声から突撃銃と散弾銃。 距離は反響して分かり辛いが、少し遠い。

 恐らくは例のドーム内だろう。 イワモトを先頭に地下通路を抜けると開けた場所に出た。
 緩やかな上り坂ではあるが、少し先に外の物と思われる光が見える。
 急いで坂を上り切り、外に出るとそこは広大な円形の空間。 古めかしい闘技場のような印象を受ける。

 そこで二人のプレイヤーが二機の敵になったであろうトルーパーと戦闘を繰り広げていた。
 敵味方の区別は直ぐに分かる。 何故なら、敵はホーコートのように異様な挙動をしていたからだ。
 彼等の近くには既に撃破されたトルーパーの残骸が二機分転がっている。

 これでこのフィールドに呼び出されたプレイヤーは全て出揃った事になるが、ヨシナリは内心で眉を顰める。 この状況の異様さもそうだが、通常のエネミーが一切出てこない事がだ。
 出てきた敵はおかしくなった味方プレイヤーのみ。 数から二チーム内から一機ずつ出たのだろうが、イワモトのチームは全員揃っているのは何故だ? 考えれば考えるほどに疑問が沸き上がる。

 ――まずはあの連中を処理しないと始まらない。

 「彼等を助けます。 一機ずつ確実に落としに行きましょう。 反応速度では話になりません。 下手に接近させないように意識!」

 ヨシナリは短くそう言って割り込むように銃撃。
 敵機は異様な反応で躱し、ヨシナリ達を認識したのか不自然な覚悟で首を傾げる。

 『四つの生き物各々に一つずつの輪である!』

 二人が全く同じタイミングで同じ内容を口にする。 
 相変わらず理解ができないが、詩か何かだろうか?
 意味がありそうに聞こえるので可能であれば考察したいが、やるにしてもこのイベントをクリアしてからだ。 

 「イワモトさん! 何とか一機抑えてください。 その間に片方仕留めます!」
 「自信はないが任された!」
 
 イワモトが気を引くように散弾銃を撃ち込み、強引に注意を引き付ける。
 その隙にヨシナリはさっきまで戦っていた機体の隣に付く。

 「助けに来ました。 彼等はそっちのチームメイトって事でいいですよね? 何であんな事に?」
 「わ、分からない。 ちょっと偵察に出てくるって離れて、戻って来ないから見に行ったらあの有様だ! いきなり襲って来るし訳の分からねー事を言うしで、どうなってるのかこっちが教えて欲しいぐらいだ!」

 ――共通点は単独行動か。

 単騎で動いている機体を狙って何かをした?
 この様子だとこれ以上の情報は出なさそうだ。 とにかくさっさと仕留めよう。
 動きはいいが、よくよく見れば特定のパターンが存在する。 恐らくは十数のモーションパターンの組み合わせを超反応で行っているだけなので、扱いとしてはエネミーの延長でいい。

 その為、駆け引きは重要ではなく、本当に必要なのは相手のパターンから死角を見つけ出す事。
 シックスセンスがあればもっと楽だったのだが、なかったとしてもこれまでの戦いで培った経験を活かせば充分に見切れる。 薙ぐように突撃銃を連射。

 敵機は異様に歩幅の広いダッシュでこの空間を活かした回避。 
 一歩を踏み込むと同時にスラスターを噴かしてストライドを伸ばしている。
 以前の侵攻イベントの時にユウヤが見せたテクニックだ。 弾が切れると同時に敵機が減速、反撃の為に突撃銃を向ける。 

 『諸々の輪の形と作りは光る貴橄欖石きかんらんせきのようである!』

 ヨシナリはリロードせずに拳銃を向けると敵機は攻撃を止めて回避行動。
 
 「リロード!」
 「援護しますぅ!」

 まんまるがヨシナリのカバーに入り、その隙にリロード。
 攻撃よりも回避を優先するのは恐らくはⅠ型の耐久力を考えて攻撃よりも被弾を避ける事に比重を置いているからか。 リロードを済ませ、移動先に銃弾をばら撒くと地面を踏み砕くような一歩を踏んで停止。 そのまま後方に宙返りをしながら跳躍する。

 まんまるの照準が迷うように彷徨う。 

 「こ、この野郎!」

 生き残っていた別チームの機体が、突っ込んで突撃銃を連射。
 追いかけるように狙いを付けているので命中は期待できない。 敵機は全身を使って衝撃を吸収するような着地。 そのまま腰にマウントされていたダガーを投擲する。

 『四つのものは同じ形で、その作りはあたかも輪の中に輪があるようである!』

 狙いを違わずコックピット部分に突き刺さったダガーは僅かに遅れて爆発。 
 喰らった機体は一瞬痙攣したが、沈黙。 撃破されたようだ。
 だが、無駄ではなかった。 投擲の為に動きを止めたのは大きな隙だ。

 拳銃を構えてダブルタップ。 頭部に命中し、一発目で大きく仰け反って二発目で完全にバランスが崩れた。 それに合わせてまんまるが連射。 ハチの巣になった敵機が尚も動こうとするが、耐え切れずにそのまま沈黙した。 残り一機と振り返ると既にイワモト以外の機体はやられてしまっており、そのイワモトもやられそうになっていたので慌てて援護に入る。

 「た、助かったよ」
 「こっちこそお待たせしました」

 盾で守りに徹する事で生き延びたようだが、相当数の銃弾を防いだらしくあちこちに亀裂が入っていた。 

 「足を止める事を意識してください。 確かに反応は凄まじいですが、挙動はⅠ型の域は出てません。 充分に捉えられます」
 
 イワモトが盾を投げ捨てて散弾銃を発砲。 
 合わせるように散弾銃に持ち替えたまんまるが同様に撃ち込む。 位置的にVを描くようなポジショニングで左右から散弾が広がるような攻撃範囲。 障害物がないので回避は難しい。
 敵機は完全に躱せないと判断して後退。 威力を殺す事を意識した動きだ。
 
 左右は下手をすれば手足を持って行かれると判断しての事だろうが、ヨシナリの存在を無視しての回避はあまりいい手とは言えない。 
 
 「その行く時、彼らは四方のいずれかに行きっ――」

 訳の分からない事を垂れ流している敵機にさっきと同様に拳銃で銃弾を喰らわせる。
 一撃入れて動きさえ止めてしまえばもはや敵ではない。 拳銃ではコックピットは難しいと判断して頭部を射抜いたのだが、それで充分。 既に排莢を済ませた二人が同時に発砲。

 有効射程内で散弾を二発も喰らった敵機はそのまま大破。 撃破となった。
 
 「ふぅ、何とか片付きましたね」

 片付きはしたが、ヨシナリ、まんまる、イワモト以外は全滅。
 不透明な部分も多いので勝った気がしないというのが本音だった。
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