巨×巨LOVE STORY

狭山雪菜

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リクエスト 振られた男 その2 巨×巨

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「髪型よし、髭…もよし、服装…は、まぁいいだろ」
俺は、大学の男子トイレで最終チェックをしていた。
思っていたよりも伸びなかったが、少し伸びた髪は耳を少し隠しているし、髭も顎のライン上にある。この2ヶ月間必死に鍛えた筋肉は、ある程度胸板と腕と足を太くしていた。今日、Tシャツと短パンを履いたのは、目的達成のために必要な事だった。
そう、何で大学で身だしなみの最終チェックをしているのかというと、これから好きな白川に告白するからだ。
本当なら10月中に告白をしたかったのだが、同じ講義を取っていないから白川と大学内で会わなかった。
11月になっても校内で見かけなかったから、彼氏のいる白川にいつくるの、なんて連絡を取るのは──グループで遊ぶ約束じゃなくて、告白だから──気が引けたから、友達を伝って彼女が大学に行く日を教えてもらった。

「あっ、白川」
午後から始まる講義に出た俺は、白川の講義が終わる時間を友達に教えてもらったから、偶然を装って講義が終わって建物から出てきた彼女に声を掛けた。ハイネックの白いニットの上に赤色のカーディガンを羽織り、黒のロングスカート姿で黒いリュックを持っていた。俺が呼び止めたから彼女は振り返ったら、めちゃくちゃアンニュイな雰囲気を漂わせていて、ドキッとした。
「…三井くん」
「おっ…おう、久しぶり白川」
疲れているのかおっとりとした動作も気になったが、俺は白川に告白をすべく口を開けた。
「あのさ、夏ぐらいにも言ったんだけど、俺、マジで白川の事が好きなんだ…今の彼氏と別れて付き合って欲しい」
真剣な表情で彼女の目を見て伝えると、彼女は目を見開き驚いていたが、俺がふざけているわけじゃないと知ると、眉を下げて困った顔をした。
「…ごめん、私今の彼氏が大好きで、別れるつもりないから…三井くんとは付き合えない」
と、すぐに返事が返ってきた。
「どうしても?見た目が似たようなのでも?」
どうしてもこのまま引き下がる事が出来なくて、彼女に食い下がると、白川はうん、と首を縦に振った。
「…私が好きになったのは、元信だから」
「…そうか」
彼女の前でカッコ悪い所など、これ以上晒したくはなかったので、ここまでかと思っていた…ら、
「でも三井くん雰囲気変わったよね?爽やかな青年から頼もしい人になったよ」
「本当か?」
彼女は俺の気持ちを察して頼もしくなったと褒めてくれたが…でも、それでも白川の好きな人にはなれなかったと凹む。
「でもごめん、私は元信じゃないと無理」
よほど俺の気持ちが迷惑だったのか、追い討ちをかけて白川は言うと、ちょうどその時彼女のスマホが鳴った。カップル同士がお互いの着信音使う今流行りの曲だ。
「…あっ、ごめん、三井くん」
俺の前──いや、彼女と出会ってから一度も見たことのない頬を赤くして嬉しそうな顔を見ると、俺は、ああ、何をしても彼女の恋人には慣れないんだと悟った。
「なぁ!白川」
通話ボタンを押した彼女がスマホを耳に当てるタイミングで、俺は背を向けて歩き出してしまった彼女を呼び止めた。
「…?」
振り返る彼女も可愛いな、と思いつつ、俺は右手を上げて彼女に手を振った。
「ありがとなっ!幸せになっ」
と叫ぶと、周りの学生はなんだなんだと俺らの方を見ていたが、白川は周りの視線に気が付かないのか、はにかんで笑った。
「うん!ありがとっ!三井くん」
彼氏との通話中なのを忘れたのか、俺に向かって手を上げた彼女は、そのまま振り返って通話を始めた。
──きっと今の会話…聞こえたよな
振られた腹いせに意地の悪い事をしてしまったと、罪悪感が頭を掠めたが、先に出会った俺より後に出会った彼氏に夢中になっているバカップルに、ほんの少しでも意趣返し出来たんだと開き直る。
「あーあ、振られちまったな」
彼女の好きそうな外見にしたのが、そもそも間違っていたかもしれない。だが、俺は彼女を手に入れるためなら、とその時はこの方法しか思い浮かばなかったのだ。


俺の一生の一度…だと思いたい、この告白を見ていた周りの学生によって、好きな子のために頑張ったのに振られた男として一躍有名人になっていた事は、また後日知る事となる。
そして、それと同時に白川にぺったりとくっついて、近づく男を牽制する男──白川の彼氏の伊澤も俺と同じくらいに彼女を追いかける男として有名となった。
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