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リクエスト 秋のハロウィン!! 巨×巨④
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「出ねぇ」
出歩くのも苦しいくらいの夏から、半袖で過ごすのは寒くなった10月になると、オレンジと黒のカボチャや白いお化けのキャラクターがそこら中に増えたのはいいが、どこのお店にいっても見かけるようになった。
俺は大学の食堂の一角でスマホを見つめては、画面を繰り返して消すってのを無意味だと知りつつもしていた。
俺伊澤元信は、今年大学3年目となった20歳で、夏に出来たばかりの彼女の藍子に心底惚れている。大学に入ってすぐくらいに学費と生活費もあるが、将来の夢のために夜間のバイトを始めていた俺は、彼女よりもいかに夜間のバイトを入れられるかに頭を悩ませていた。
大学生活も3年になると、卒業に向けて留年しないように単位の死守や、就職先の選定に入った。今やってるバイト先から、大学卒業したら正社員として働かないかと言われていたが、俺は建築士になりたくて設計事務所に入りたいと思っていた。夜間のバイトを始めたのも、土木が未経験で教材で学ぶだけじゃなくて、実際に身体で覚えて基礎を学びたいと思ったからだ。
最初は夜の仕事は辛かったが、2年も働いていると体力がついた上に、筋トレをしていないのに身体だけは逞しくなっていた。そして、大学に行く身だしなみを整えるよりも寝ていたいと、伸びっぱなしの髭と髪の格好のまま大学に通うのにも抵抗がなくなっていた。
あれは、本当にたまたまだった。
建築とは別に個人的に好きな講義を一つだけ取ったのだが、講義が始まる前は必ずといって寝ていた俺だったが、その日の前日はたまたま夜間のバイトがなく、いつもの席に座ってぼーっとしていた。学生が出入りする教室は、講義が始まる前はこんな感じなのかと思っていたら、1人の学生が入ってきたことにより俺の世界は一変した。
長い髪と俺の手よりも小さいんじゃないかと疑うレベルの顔、他の学生よりも少し背の低い身体、手足は細くて小さいのに一際胸の膨らみが他の女とは違う。
何より年下かと思うくらい幼い顔の彼女を見て、俺は雷に打たれたような衝撃を受けた。
気がつけば、彼女の座るところから講義が終わり、彼女が立ち上がって教室を出るまで彼女をノートも取らずにずっと見ていたのに気がついた。完全な不審者だったが、次の授業の時にはチラチラと彼女を見るのにとどめた。ふとした拍子に彼女の苗字が白川と知ると、俺は言い表せないくらい喜んだし、校内にいる彼女を見かけた日には機嫌が急上昇した。
そうこうしていると彼女の姿が校内にも講義も見えなくなっていると、バイト先で会って初めて言葉を交わした。彼女はやっぱり俺の名前なんか知らなかったが、同じ講義を取っているのは知っていたらしく、次第に友達として接するようになった。
そして藍子から告白されて、付き合うようになって早2ヶ月、3ヶ月目になると…最近、つくづく変な事が起こるなと思う事があった。
まずに、大学の校内を歩いていると、彼女──藍子の、俺と付き合う前に好きだったヤツの名前を呼ばれるようになった事が増えた。
そして、今日は藍子との連絡が朝から取れないって事だ。
昨日は課題を仕上げるために図書館に寄った後バイトに行って、普段だったらバイト終わりに藍子の家に行くのだが、課題が終わらなくて自分の家へと帰ったのだ。
朝から電話もSNSのメッセージアプリで連絡しても、不在と既読にしかならなくて繋がらず、無事に課題を出し終わった俺は、こうして食堂に来たってわけだ。
もしかしたら、スマホを忘れただけかもしれないと、思って、彼女がいそうなところは回ってみたがいないかった。
肌寒くなったとはいえ、俺には半袖がちょうどいい気温で、周りの奴らは長袖しか着ていない。
しばらく食堂にいたが、拉致が明かないから俺は藍子が帰っているかもしれない、彼女の家へ行く事にした。
「おーい!|…あっ、すみません人違いでした」
門に向かって歩いていると、大きな声で呼ばれたような気がして振り返ると、知らない男が俺の顔を見て気まずそうに謝った。
──っち、また人違いかよ
しかもきっとまた藍子の好きだったヤツだと思う。なぜそう思うかというと、一度だけ声を掛けられた時に見た事のない男だったが、俺が忘れただけだと思ってしばらく噛み合わない話をしていたら、待ち合わせ場所に来ない俺を迎えに来た藍子から『2人って知り合いだったの?』と聞かれて、初めてお互い勘違いをしていたと気が付いた。
『悪い、三井だと思ってた』
声を掛けてきた男は藍子の友達と仲が良く、俺と出会う前はグループで集まってよく遊んでいたらしい。
その時に俺は藍子の好きだったヤツの名前が三井だと知り、その男に間違われてムカついた。
──なんだよ…嫌がらせか?ったく多いなー
付き合い始めて少しして藍子と話してる所を見た時は、全く俺に似ても似つかない男だったのに、なんで最近間違えられるのだろうか。
そんな疑問を抱えてはいたが、特に深刻に考える事なく俺は藍子の家に向かうため歩き始めた…が、
「なっ、おいっ!無視すんなっ!三井!」
急に肩を掴まれて強い力で振り向かされた俺は、また間違えられたと流石に腹が立ってきた。
「おい、俺は…」
「白川さんに告白したんだろ?どうだったんだ?」
見知らぬ男を止めようとしたら、藍子の名前が出てきて俺の動きが止まった。
「…は?」
「何言ってんだよ、先週会った時告白するとか言ってたじゃん?…まさかまだしてないのか?」
「その話…ちゃんと教えろ」
「うおっ!…待て、お前誰?」
今度は俺がそいつに詰め寄ると、相手は驚いて後ろにのけ反り、俺が三井じゃないとやっと気が付いたみたいだった。
「いや…その、っ」
俺の鬼気迫る雰囲気に圧倒されたそいつは、たじろいだ。俺はそいつの口から藍子の情報を聞くまで、引き下がるつもりはなかった。
10分もしないうちに三井の友人とは別れたが、俺は込み上げてくる不快感に対処する術を持ち合わせていなかった。三井ってヤツの頭がおかしい事は分かったが、藍子に何かあったのではないかと思い始めた。
──既読にもならねぇし…って
スマホの画面を見ると、新着のメッセージが3件と不在の着信が2件きていた。たった15分スマホを見なかっただけで、藍子も俺と同じくらいのスマホの履歴を残していた。
メッセージアプリを開くとやっぱり藍子からで、謝るしば犬のスタンプと、スマホを今見た、今から家に来て欲しい、とメッセージが送られていた。
着信を見るとこっちも藍子で、俺は発信ボタンを押すと、数回のコール音の後通話が始まった。
『ごめん、さっき気づいて…出来たら早く来て欲しいの、見せたいものがあって』
第一声の彼女は申し訳なさそうな声を出し、俺を急かすように話す。
「分かった…多分30分したら着くと思う」
彼女の声を聞いてほっとしたが、俺は見せたいものがあるって伝えられて、嫌な予感がした。
──見せたいもの…?まさか三井か…?
元々藍子が好きだったヤツだったが、藍子の俺を好きだって表情や仕草を見たらそんなのあり得ないと思うのに、俺に似せてた姿をしたらどうなんだろうか、とバカな考えが頭をよぎったら、もうその可能性も捨てられなくなる。
──まさか、家にアイツがいるのか?
一度悪い事を考え始めると、俺の頭の中はどんどんマイナスな思考へと陥った。
***************
昨日の夜から準備した──正確には衣装と小物を集め始めたのは9月ぐらいからだけど、先週から念入りにボディークリームを塗って肌ケアをしたし、まだ元信には見られたくない毛の処理も秘密裏に万全にした。
元信とはほぼ毎日会った後に泊まるから、秘密に行動するのは大変だったけど、彼の課題が終わらないからと昨日は久しぶりに1人だったから準備がギリギリに完了した。
「…よし」
大きな姿見に見える自分は、まるで別人のようだ。頭には真っ白なナースキャップもどき、少しウェーブにした長い髪を下ろし、いつもよりアイラインもマスカラも深いレッドのマットカラーの口紅も濃くしてスモーキーメイクにした。
首の下からはフロントがボタンで留めるタイプの白いミニスカートのコスプレナース服だ。自分のサイズで買ったミニスカナースの衣装は元々他人よりも大きな胸元が閉まらないから、頑張って寄せて胸の中央までボタンを留められたけど、思ったよりもいい感じで満足している。胸元には両ポケットがあって片方に黒いペンを入れ、首からは聴診器を下げている。ミニスカートの丈は太ももの付け根までで、足を少し上げただけで下着が見えてしまう仕様だ。昨日までダイエットと筋トレもしていたから、きゅっと締まった腰がなんとも綺麗なラインを作っていた。右の太ももの膝上5センチからは真っ白なベルトを片方だけ付けて、網のタイツを履いている。靴は真っ白なピンヒールで、買ったばかりの新品だ。ネイルも口紅と同じ色の赤にしたけど、最後まで淡いピンクにするか悩んだ。
「元信の好きなおっぱい見えてるからいいか」
姿見から身体を横に向けると綺麗な丸の膨らみに満足する。最初はネット通販で頼んだ時の画像よりも、スカートの丈が短いし生地も薄いから、本当に似合うのかどうか恥ずかしかったけど、メイクもばっちり決めて着てみると、さほど変ではないと自分に言い聞かせた。少なくとも元信が好きな胸元が見えている。
「あっ、やばっそろそろ元信くるっ準備しないと」
何気なく枕元に置いていたデジタル時計を見ると、彼が30分したら家に着くって言っていた時間に近づいていた。ハロウィンの小物しか置いていないが、脱いだ服とかみたら一気に冷めてしまうから片付け始めた。
「藍子、いるのか」
一段と低い声、昨日別れたきり聞いてなかったスマホ越しじゃない本物の声を聞いて、ドキッとする。
──すごい緊張してきた
ハロウィンだからって1人で暴走しちゃったと思っても、もうメイクもコスプレもばっちりしている。元信が歩くと、2、3歩に一度はミシッと床が鳴り、私のいる部屋に音が近づいて向かってくるのがわかる。私はピンと背筋を伸ばしてソファーに座り、脚を組んで座っていた。彼が部屋に入るドアからスタイルよく見えるように、上体を少しだけ捻るのも忘れない。
「藍…子…っ」
彼が部屋に入って私がソファーに座っているのを見て、驚いて目が見開いている。
「おかえり………っ、どう?変かな?」
イメージしたのはクールでプライドの高いナースなんだけど、そんなのはずっとするのはキャラじゃないから無理だった。一気に止めていた息を吐いて、元信に言うと、彼は放心状態で私をポカンとまだみていた。
「…やっぱり変?」
「ちょ…っと待て…これは何?」
「何って…ハロウィンのコスプレだけど?」
「…ハロウィン?」
「そう、今日31日じゃん」
自分の身体を見下ろすと、弾かれたように彼の口が動いた。
「ハロウィン…ナース?」
「そう!悪の組織に所属するお色気担当のナース」
私と元信が夏休みの終わりに一緒に見た映画に出て来た、魔王に甘えるお色気ムンムンのナースのキャラなんだが、私が説明すると彼は、ああ、あれかと思い出したみたいだった。元信は歩き出して私のいるソファーまでくると私の前に立ち、私を見下ろしながら呟いた。
「…なら、俺は魔王なのか」
「そう…私の魔王様」
ちゃんと元信の衣装もあると言おうと思ったが、元信の私を見る眼差しが熱を持っているのに気がついたので、私は目の前にある彼のシャツの中に手を入れて割れている腹筋に手の平をつけた。
「…どうする?」
「ふふっ、私が元信を診断するのっ」
すると、彼はTシャツの中に入れた私の手の甲に自分の手のひらを重ね、掴むと私の手を引いて私を立たせた。
「…どこが悪いか見てあげる」
元信は私の腰に手を回して私を抱きしめると、私はピンヒールのおかげでいつもしているつま先立ちをしなくてすみ、元信の顔が近くあった。胸を彼の胸元に押し付けながら、意識してゆっくり話して、舌で下唇を舐めた。
「ああ、頼むよ、ここが悪い子みたいだから」
と、入って来た時よりもさらに低くなった彼の声とお腹に当たる固いものを擦りつけられていた。
「ん、治してあげる」
はぁっ、と悪役のキャラのように彼の口元に、私は息を吹き掛けた。
「んっ、っ…んぐっ」
決して全部は口に入らないソレを、付け根にある二つの膨らみから赤黒く血管が浮き出ている側面まで、たっぷりと私の唾液を零しながら濡らしていく。先端から溢れたツユをちゅう、と吸うと、口内に彼の味が広がり、ぴくっと反応する彼の昂りが益々愛おしく感じた。
「ああ、藍子」
彼が脚を広げてソファーに座り、足の間に床に正座して座っている私は、彼の下半身に顔を埋めていた。指先を曲げて昂りを上下に擦りながら、握りきれない昂りの指の間に舌を這わす。元信は私の頭を撫でたくても、触ったら崩してしまうナースキャップが邪魔をして触れないらしく、ソファーの背もたれに両腕を置いて指を曲げて拳にしてキツく握っていた。天井を向いたそそり立つ昂りの付け根にある二つの膨らみを、昂りを握る手とは逆の手で優しく揉むと、彼の腰が反応した。
「痛いところはありませんか?」
彼がふくらはぎまで下ろしたズボンと下着に膝を付けて膝立ちすると、彼の昂りを握ったまま自分の胸ポケットのある胸に先端を擦る。
「はっ…っ」
すでに上半身裸の彼の口元は私の口紅がベッタリついて擦れた後で赤くなり、そこから首と鎖骨、胸板にある乳首には私の唇のキスマークが点々と残る。
私は気持ちよさそうにしている元信に満足して、彼の昂りの先端を胸に付けて擦りながら、彼の腹筋に舌を這わして、これ見よがしに口紅の跡が綺麗に残るようにキスをした。だんだん擦る速さを上げると、彼は私のナース服から見える胸の谷間に右手を突っ込んで、前後に動かしてペチペチと叩いたり、乳房を軽く揉んでは摘んだ。だがそれも、しっかりと胸を寄せているから、ちゃんとは触れていなかった。
「ふふっこんな所を膨らませる悪い子には、お仕置きね」
彼の昂りの先端を親指の腹で潰せば彼は低く唸り、私の胸の谷間から手を抜くと私の顎を掴み、上を無理矢理向かせて乱暴なキスをする。荒々しく、呼吸をする余裕など与えないキスだ。
「ぶっとい注射をしてやる」
「ん、ぁっ」
「濡れてるのか、ん?」
顎を掴まれたまま頬や耳を舐められて囁かれると、ゾクゾクする。元信の下ネタ全開の言葉は、早く繋がりたくなる魔法の言葉でしかならない。
おかしい、今日はハロウィンで、コスプレをするだけのはずだったのに、買った元信の衣装を着てもらって、お菓子のくだりをして、軽くいちゃいちゃしてから最高の夜にしようと思っていたのに、イベントが吹っ飛びいきなり最後のお楽しみから始めてしまった。
でもそれでもいいと思った。なんでだか分からないけど、元信の雰囲気がいつもと違うから、私で元気にしてあげたいと思う。
「ん、元信好き」
「誰よりも?」
「そんなの、当たり前だよ」
やっぱりいつもの元信じゃないと確信したけど、今は彼に理由を聞かない。それよりも、この状態の元信の昂りをほっといて話し合いを始めたら、元信が根をあげそうだ。
「ぐっ、っ」
お返しに元信の頬に甘噛みしながらキスをすると、思わず昂りをぎゅっと握ってしまい、元信が前屈みになった。
「んふふっ、可愛い」
悶える姿に思わず笑みが溢れると、彼は私の両脇に手を入れて私を持ち上げて自分の右太ももの上に私を跨いで座らせた。元信の身体にもたれ掛けると、彼は私の背中に手を回して背中のラインをそっと撫でた。
「…脱がせる?」
「いや…もう少し楽しみたい…あー、ひん剥きてぇ」
服一枚のために葛藤する元信が可愛く、私は彼の頬にちゅうと吸い付き舐めながら昂りを掴みなおして上下に擦り始めた。
「っ…あっ、んぅっ、っ」
元信は私の口を塞ぎ、舌を絡める濃厚なキスをしながら、昂りにある私の手に自分の手を重ねて、一緒に上下に擦り出す。彼の手の力が私の指を押して、彼の昂りをぎゅうと強く握る。強い力だと痛いのかと思って控えめにしていたが、それだと余計に元信が辛いと今気がついた。次第に元信の手の動きに合わせて私の手も上下に擦るペースが早くなると、元信は私とのキスを中断して、私の肩に口を押し付けてくぐもった声を出した。
「はっぁっ、っ!」
その直後、自分の昂りから手を離した元信が、先端に蓋をするように手のひらを翳すと、私の手と手首に熱い飛沫が掛かる。
元信は無言で近くにあったティッシュの箱から、ティッシュを2枚取ると、私の手に掛かった証を拭った。
「ん、もったいない」
ティッシュで拭われられなかった証を、口元に持っていき舌を出してペロリと舐めると、元信の昂りが大きくなっていくのを視界の隅で捉えた。私は元信の太ももに跨いだままソファーに膝を付いて起き上がり、彼の肩に手を置いて少し上がったスカートの裾を直したら、元信の手が私の下着を触り、足と足の間にある下半身に手のひらを這わせて前後に擦り始める。私も我慢出来なくて腰を元信の手の動きに一拍遅れて前後に動かし始めた。彼の手のひらと下着がヌルリと粘膜のように滑るのは、元信の感じている姿を見て、身体が欲情したからと、もう彼は分かっていた。
「直接触って、あっ、んぅっ」
さっき直したスカートがずり上がっていくのが分かってはいるが、気持ち良くて腰を動かすのをやめられない。元信の身体に上体を倒すと、彼は私の胸を服越しに割と強く噛んだ。ブラと服が重なっている胸の場所を噛まれ、痛みよりも快感を感じて高い声が出てしまう。力が抜けて彼の太ももの上に座ると、筋肉質の固い彼の太ももですら感じてしまう。もっと刺激が欲しくて腰を前後に揺らしていると、元信は自分の足首にあったズボンを脚を上げて片方だけ脱いで、次に私が彼の太ももに跨っていた方の足も上げると器用に脱いだ。
「あっ、ぅんっ」
足を上げて下しただけなのに、僅かな動きでも感じちゃって甘い声が漏れた。髪が頬を掠め、邪魔になって後ろへと退かすと手に聴診器が当たり、そういえば持っていたのに気がついた。首から取ると、彼は私の手から奪うと、私の手首に巻きつけて軽く結んだ。
「元信?」
「いやか?」
手を縛られただけで身動きが取れなくて、彼らしくない行動に戸惑っていたら、元信に聞かれて嫌ではなかったから首を横に振った。
「怖い事はしねぇよ」
すると彼は私の身体に腕を回して、私をソファーに仰向けにして寝かせて覆い被さった。胸の前で置いていた手を、ソファーの肘掛けまで腕を伸ばされた。
「…すげぇ、いい眺め」
妖艶なナースが頭の上に腕を上げて縛られ、ナース服のボタンが今にも弾けそうなくらいぱんぱんな膨らみが2つ、寄せられている。そのタイトすぎるミニスカの下から見え隠れする白いレースのパンツは、まるで純潔の乙女だと錯覚してしまうほどなのに、日に焼けていない真っ白な生脚にある白いガーターベルトと網タイツが、遊び慣れた女にも感じて、元信の心を弄んでいるなど、当の本人は気がついていない。
だが、彼女が潤む瞳と、赤くなって高揚した頬、薄く口を開けて浅い呼吸をして、舌先で唇を舐めるその様子は、次を期待しているようにも感じた。
「来て、元信」
「注射が欲しいか」
「ん、欲しいッ…1番大っきくて太いの…がっ、ぁあっ!」
私が片足を上げて元信の昂りに網タイツの履いたふくらはぎを擦り付けると、網タイツの凸凹は彼の昂りの側面に当たり、彼は鼻息荒くいつもなら言わないセリフを吐いた。彼のために恥を捨てて足を広げると、彼は下着をズラして、一度も直接触ることもなかった私の蜜口に昂りの先端を押し付けて、体重を掛けてきた。
「ぁあっ、て、っんぅ」
「ぐっ、最高に締まるっ」
ずずっと蜜壺に入る昂りは、一度は欲情を放ったから、いつもよりはスムーズに入ったが、それでも大きくて蜜壺に隙間なくくっついていく。背中がのけ反り、はっ、はっ、と口で息をしていると、彼は私の腰を掴み一気に蜜壺を昂りで貫いて一つに繋がった。私の顔の横に肘をつけて上体を屈めて私に重なると、彼は腰を動かして抽送を始めた。
「藍子っ、はっ、誰だっ?ん?この中にいるのはっ」
「あっ、あっ…っは…もとのっ、元信っ、あっあ、っ」
耳を舐められ、囁かれて息を吹きかけられて、気持ちいい。ソファーが激しい抽送に耐えきれずに軋み、両腕を下ろして元信の首の後ろに回した。そのまま起き上がった彼の腰の上に座らされ、下からの突き上げが大きくなっていく。
「はつ、っ、う、ん」
「やばっ、いく、藍子」
「来てっ、きてきて…ぁあああっ!」
ぎゅうぎゅうに抱きしめられ、彼の気持ちよさそうな声に私も絶頂がやってきてほぼ一緒に達すると、元信は私の蜜壺の最奥に熱い証をめいいっぱい注いだ。
「んふっ、お菓子をくれないと…ぁんっ」
「お菓子はないよ、藍子」
服を脱がないでの交わりばかりが続き、一休みした時に、せめてハロウィンの雰囲気を味わうつもりが、彼はそんなものはない、当たり前だろと笑った。繋がりが解けていないのに、蜜壺にある昂りがむくむくと固くなっていくのが分かって休憩どころじゃなくなる。ぱんつはぐちゃぐちゃで1番初めに脱がされたのに、それ以外はまだ身につけていた。普段裸で抱き合っても、終わることのない情事に体力が必須なのに、まだ服も脱いでいない今日はどうなるのか、考えるのが恐ろしく、めちゃくちゃにされると思うとうっとりとしてしまう自分もいる。
「元信、好き…大好き」
抱きついた拍子に、さっきまで縛られていた手首が赤く擦り跡が付いてしまったのが見えて、元信は私の手首を掴むと、優しく唇を寄せた。
「…悪い、藍子、跡が残るな」
ねっとりと舌を這わし舐められ、元信の機嫌が良くなった。
「…藍子」
「ん?」
彼に呼ばれたので返事をしたのに、元信は頭を横に振った。
「いや、今日は俺が終わりって言うまでヤルからな」
今まで以上に盛り上がったこの日のハロウィン、11月2日の明け方になって解放され、そこから私は2日間倦怠感で大学を休む事になったのだった。
「おかしい、なんでバイトに行けるの…?」
私がベッドの住人になっている時に、いつもと変わらずにバイトと大学に行っていた元信の体力のキャパの大きさに、世の中不公平だと私は嘆いていたのだった。
私の身体中には無数の元信の独占欲の強さを表す赤いキスマークと、情事の後半からは薄い噛み跡が増えた。
半袖の季節が終わって良かったと、胸を撫で下ろした私はまた眠りについた。
だけど、忘れていたのだ。
なんでハロウィンの日に、元信が不機嫌だったのか。
私はそれを次の週、大学に行ってから知る事になるのた。
出歩くのも苦しいくらいの夏から、半袖で過ごすのは寒くなった10月になると、オレンジと黒のカボチャや白いお化けのキャラクターがそこら中に増えたのはいいが、どこのお店にいっても見かけるようになった。
俺は大学の食堂の一角でスマホを見つめては、画面を繰り返して消すってのを無意味だと知りつつもしていた。
俺伊澤元信は、今年大学3年目となった20歳で、夏に出来たばかりの彼女の藍子に心底惚れている。大学に入ってすぐくらいに学費と生活費もあるが、将来の夢のために夜間のバイトを始めていた俺は、彼女よりもいかに夜間のバイトを入れられるかに頭を悩ませていた。
大学生活も3年になると、卒業に向けて留年しないように単位の死守や、就職先の選定に入った。今やってるバイト先から、大学卒業したら正社員として働かないかと言われていたが、俺は建築士になりたくて設計事務所に入りたいと思っていた。夜間のバイトを始めたのも、土木が未経験で教材で学ぶだけじゃなくて、実際に身体で覚えて基礎を学びたいと思ったからだ。
最初は夜の仕事は辛かったが、2年も働いていると体力がついた上に、筋トレをしていないのに身体だけは逞しくなっていた。そして、大学に行く身だしなみを整えるよりも寝ていたいと、伸びっぱなしの髭と髪の格好のまま大学に通うのにも抵抗がなくなっていた。
あれは、本当にたまたまだった。
建築とは別に個人的に好きな講義を一つだけ取ったのだが、講義が始まる前は必ずといって寝ていた俺だったが、その日の前日はたまたま夜間のバイトがなく、いつもの席に座ってぼーっとしていた。学生が出入りする教室は、講義が始まる前はこんな感じなのかと思っていたら、1人の学生が入ってきたことにより俺の世界は一変した。
長い髪と俺の手よりも小さいんじゃないかと疑うレベルの顔、他の学生よりも少し背の低い身体、手足は細くて小さいのに一際胸の膨らみが他の女とは違う。
何より年下かと思うくらい幼い顔の彼女を見て、俺は雷に打たれたような衝撃を受けた。
気がつけば、彼女の座るところから講義が終わり、彼女が立ち上がって教室を出るまで彼女をノートも取らずにずっと見ていたのに気がついた。完全な不審者だったが、次の授業の時にはチラチラと彼女を見るのにとどめた。ふとした拍子に彼女の苗字が白川と知ると、俺は言い表せないくらい喜んだし、校内にいる彼女を見かけた日には機嫌が急上昇した。
そうこうしていると彼女の姿が校内にも講義も見えなくなっていると、バイト先で会って初めて言葉を交わした。彼女はやっぱり俺の名前なんか知らなかったが、同じ講義を取っているのは知っていたらしく、次第に友達として接するようになった。
そして藍子から告白されて、付き合うようになって早2ヶ月、3ヶ月目になると…最近、つくづく変な事が起こるなと思う事があった。
まずに、大学の校内を歩いていると、彼女──藍子の、俺と付き合う前に好きだったヤツの名前を呼ばれるようになった事が増えた。
そして、今日は藍子との連絡が朝から取れないって事だ。
昨日は課題を仕上げるために図書館に寄った後バイトに行って、普段だったらバイト終わりに藍子の家に行くのだが、課題が終わらなくて自分の家へと帰ったのだ。
朝から電話もSNSのメッセージアプリで連絡しても、不在と既読にしかならなくて繋がらず、無事に課題を出し終わった俺は、こうして食堂に来たってわけだ。
もしかしたら、スマホを忘れただけかもしれないと、思って、彼女がいそうなところは回ってみたがいないかった。
肌寒くなったとはいえ、俺には半袖がちょうどいい気温で、周りの奴らは長袖しか着ていない。
しばらく食堂にいたが、拉致が明かないから俺は藍子が帰っているかもしれない、彼女の家へ行く事にした。
「おーい!|…あっ、すみません人違いでした」
門に向かって歩いていると、大きな声で呼ばれたような気がして振り返ると、知らない男が俺の顔を見て気まずそうに謝った。
──っち、また人違いかよ
しかもきっとまた藍子の好きだったヤツだと思う。なぜそう思うかというと、一度だけ声を掛けられた時に見た事のない男だったが、俺が忘れただけだと思ってしばらく噛み合わない話をしていたら、待ち合わせ場所に来ない俺を迎えに来た藍子から『2人って知り合いだったの?』と聞かれて、初めてお互い勘違いをしていたと気が付いた。
『悪い、三井だと思ってた』
声を掛けてきた男は藍子の友達と仲が良く、俺と出会う前はグループで集まってよく遊んでいたらしい。
その時に俺は藍子の好きだったヤツの名前が三井だと知り、その男に間違われてムカついた。
──なんだよ…嫌がらせか?ったく多いなー
付き合い始めて少しして藍子と話してる所を見た時は、全く俺に似ても似つかない男だったのに、なんで最近間違えられるのだろうか。
そんな疑問を抱えてはいたが、特に深刻に考える事なく俺は藍子の家に向かうため歩き始めた…が、
「なっ、おいっ!無視すんなっ!三井!」
急に肩を掴まれて強い力で振り向かされた俺は、また間違えられたと流石に腹が立ってきた。
「おい、俺は…」
「白川さんに告白したんだろ?どうだったんだ?」
見知らぬ男を止めようとしたら、藍子の名前が出てきて俺の動きが止まった。
「…は?」
「何言ってんだよ、先週会った時告白するとか言ってたじゃん?…まさかまだしてないのか?」
「その話…ちゃんと教えろ」
「うおっ!…待て、お前誰?」
今度は俺がそいつに詰め寄ると、相手は驚いて後ろにのけ反り、俺が三井じゃないとやっと気が付いたみたいだった。
「いや…その、っ」
俺の鬼気迫る雰囲気に圧倒されたそいつは、たじろいだ。俺はそいつの口から藍子の情報を聞くまで、引き下がるつもりはなかった。
10分もしないうちに三井の友人とは別れたが、俺は込み上げてくる不快感に対処する術を持ち合わせていなかった。三井ってヤツの頭がおかしい事は分かったが、藍子に何かあったのではないかと思い始めた。
──既読にもならねぇし…って
スマホの画面を見ると、新着のメッセージが3件と不在の着信が2件きていた。たった15分スマホを見なかっただけで、藍子も俺と同じくらいのスマホの履歴を残していた。
メッセージアプリを開くとやっぱり藍子からで、謝るしば犬のスタンプと、スマホを今見た、今から家に来て欲しい、とメッセージが送られていた。
着信を見るとこっちも藍子で、俺は発信ボタンを押すと、数回のコール音の後通話が始まった。
『ごめん、さっき気づいて…出来たら早く来て欲しいの、見せたいものがあって』
第一声の彼女は申し訳なさそうな声を出し、俺を急かすように話す。
「分かった…多分30分したら着くと思う」
彼女の声を聞いてほっとしたが、俺は見せたいものがあるって伝えられて、嫌な予感がした。
──見せたいもの…?まさか三井か…?
元々藍子が好きだったヤツだったが、藍子の俺を好きだって表情や仕草を見たらそんなのあり得ないと思うのに、俺に似せてた姿をしたらどうなんだろうか、とバカな考えが頭をよぎったら、もうその可能性も捨てられなくなる。
──まさか、家にアイツがいるのか?
一度悪い事を考え始めると、俺の頭の中はどんどんマイナスな思考へと陥った。
***************
昨日の夜から準備した──正確には衣装と小物を集め始めたのは9月ぐらいからだけど、先週から念入りにボディークリームを塗って肌ケアをしたし、まだ元信には見られたくない毛の処理も秘密裏に万全にした。
元信とはほぼ毎日会った後に泊まるから、秘密に行動するのは大変だったけど、彼の課題が終わらないからと昨日は久しぶりに1人だったから準備がギリギリに完了した。
「…よし」
大きな姿見に見える自分は、まるで別人のようだ。頭には真っ白なナースキャップもどき、少しウェーブにした長い髪を下ろし、いつもよりアイラインもマスカラも深いレッドのマットカラーの口紅も濃くしてスモーキーメイクにした。
首の下からはフロントがボタンで留めるタイプの白いミニスカートのコスプレナース服だ。自分のサイズで買ったミニスカナースの衣装は元々他人よりも大きな胸元が閉まらないから、頑張って寄せて胸の中央までボタンを留められたけど、思ったよりもいい感じで満足している。胸元には両ポケットがあって片方に黒いペンを入れ、首からは聴診器を下げている。ミニスカートの丈は太ももの付け根までで、足を少し上げただけで下着が見えてしまう仕様だ。昨日までダイエットと筋トレもしていたから、きゅっと締まった腰がなんとも綺麗なラインを作っていた。右の太ももの膝上5センチからは真っ白なベルトを片方だけ付けて、網のタイツを履いている。靴は真っ白なピンヒールで、買ったばかりの新品だ。ネイルも口紅と同じ色の赤にしたけど、最後まで淡いピンクにするか悩んだ。
「元信の好きなおっぱい見えてるからいいか」
姿見から身体を横に向けると綺麗な丸の膨らみに満足する。最初はネット通販で頼んだ時の画像よりも、スカートの丈が短いし生地も薄いから、本当に似合うのかどうか恥ずかしかったけど、メイクもばっちり決めて着てみると、さほど変ではないと自分に言い聞かせた。少なくとも元信が好きな胸元が見えている。
「あっ、やばっそろそろ元信くるっ準備しないと」
何気なく枕元に置いていたデジタル時計を見ると、彼が30分したら家に着くって言っていた時間に近づいていた。ハロウィンの小物しか置いていないが、脱いだ服とかみたら一気に冷めてしまうから片付け始めた。
「藍子、いるのか」
一段と低い声、昨日別れたきり聞いてなかったスマホ越しじゃない本物の声を聞いて、ドキッとする。
──すごい緊張してきた
ハロウィンだからって1人で暴走しちゃったと思っても、もうメイクもコスプレもばっちりしている。元信が歩くと、2、3歩に一度はミシッと床が鳴り、私のいる部屋に音が近づいて向かってくるのがわかる。私はピンと背筋を伸ばしてソファーに座り、脚を組んで座っていた。彼が部屋に入るドアからスタイルよく見えるように、上体を少しだけ捻るのも忘れない。
「藍…子…っ」
彼が部屋に入って私がソファーに座っているのを見て、驚いて目が見開いている。
「おかえり………っ、どう?変かな?」
イメージしたのはクールでプライドの高いナースなんだけど、そんなのはずっとするのはキャラじゃないから無理だった。一気に止めていた息を吐いて、元信に言うと、彼は放心状態で私をポカンとまだみていた。
「…やっぱり変?」
「ちょ…っと待て…これは何?」
「何って…ハロウィンのコスプレだけど?」
「…ハロウィン?」
「そう、今日31日じゃん」
自分の身体を見下ろすと、弾かれたように彼の口が動いた。
「ハロウィン…ナース?」
「そう!悪の組織に所属するお色気担当のナース」
私と元信が夏休みの終わりに一緒に見た映画に出て来た、魔王に甘えるお色気ムンムンのナースのキャラなんだが、私が説明すると彼は、ああ、あれかと思い出したみたいだった。元信は歩き出して私のいるソファーまでくると私の前に立ち、私を見下ろしながら呟いた。
「…なら、俺は魔王なのか」
「そう…私の魔王様」
ちゃんと元信の衣装もあると言おうと思ったが、元信の私を見る眼差しが熱を持っているのに気がついたので、私は目の前にある彼のシャツの中に手を入れて割れている腹筋に手の平をつけた。
「…どうする?」
「ふふっ、私が元信を診断するのっ」
すると、彼はTシャツの中に入れた私の手の甲に自分の手のひらを重ね、掴むと私の手を引いて私を立たせた。
「…どこが悪いか見てあげる」
元信は私の腰に手を回して私を抱きしめると、私はピンヒールのおかげでいつもしているつま先立ちをしなくてすみ、元信の顔が近くあった。胸を彼の胸元に押し付けながら、意識してゆっくり話して、舌で下唇を舐めた。
「ああ、頼むよ、ここが悪い子みたいだから」
と、入って来た時よりもさらに低くなった彼の声とお腹に当たる固いものを擦りつけられていた。
「ん、治してあげる」
はぁっ、と悪役のキャラのように彼の口元に、私は息を吹き掛けた。
「んっ、っ…んぐっ」
決して全部は口に入らないソレを、付け根にある二つの膨らみから赤黒く血管が浮き出ている側面まで、たっぷりと私の唾液を零しながら濡らしていく。先端から溢れたツユをちゅう、と吸うと、口内に彼の味が広がり、ぴくっと反応する彼の昂りが益々愛おしく感じた。
「ああ、藍子」
彼が脚を広げてソファーに座り、足の間に床に正座して座っている私は、彼の下半身に顔を埋めていた。指先を曲げて昂りを上下に擦りながら、握りきれない昂りの指の間に舌を這わす。元信は私の頭を撫でたくても、触ったら崩してしまうナースキャップが邪魔をして触れないらしく、ソファーの背もたれに両腕を置いて指を曲げて拳にしてキツく握っていた。天井を向いたそそり立つ昂りの付け根にある二つの膨らみを、昂りを握る手とは逆の手で優しく揉むと、彼の腰が反応した。
「痛いところはありませんか?」
彼がふくらはぎまで下ろしたズボンと下着に膝を付けて膝立ちすると、彼の昂りを握ったまま自分の胸ポケットのある胸に先端を擦る。
「はっ…っ」
すでに上半身裸の彼の口元は私の口紅がベッタリついて擦れた後で赤くなり、そこから首と鎖骨、胸板にある乳首には私の唇のキスマークが点々と残る。
私は気持ちよさそうにしている元信に満足して、彼の昂りの先端を胸に付けて擦りながら、彼の腹筋に舌を這わして、これ見よがしに口紅の跡が綺麗に残るようにキスをした。だんだん擦る速さを上げると、彼は私のナース服から見える胸の谷間に右手を突っ込んで、前後に動かしてペチペチと叩いたり、乳房を軽く揉んでは摘んだ。だがそれも、しっかりと胸を寄せているから、ちゃんとは触れていなかった。
「ふふっこんな所を膨らませる悪い子には、お仕置きね」
彼の昂りの先端を親指の腹で潰せば彼は低く唸り、私の胸の谷間から手を抜くと私の顎を掴み、上を無理矢理向かせて乱暴なキスをする。荒々しく、呼吸をする余裕など与えないキスだ。
「ぶっとい注射をしてやる」
「ん、ぁっ」
「濡れてるのか、ん?」
顎を掴まれたまま頬や耳を舐められて囁かれると、ゾクゾクする。元信の下ネタ全開の言葉は、早く繋がりたくなる魔法の言葉でしかならない。
おかしい、今日はハロウィンで、コスプレをするだけのはずだったのに、買った元信の衣装を着てもらって、お菓子のくだりをして、軽くいちゃいちゃしてから最高の夜にしようと思っていたのに、イベントが吹っ飛びいきなり最後のお楽しみから始めてしまった。
でもそれでもいいと思った。なんでだか分からないけど、元信の雰囲気がいつもと違うから、私で元気にしてあげたいと思う。
「ん、元信好き」
「誰よりも?」
「そんなの、当たり前だよ」
やっぱりいつもの元信じゃないと確信したけど、今は彼に理由を聞かない。それよりも、この状態の元信の昂りをほっといて話し合いを始めたら、元信が根をあげそうだ。
「ぐっ、っ」
お返しに元信の頬に甘噛みしながらキスをすると、思わず昂りをぎゅっと握ってしまい、元信が前屈みになった。
「んふふっ、可愛い」
悶える姿に思わず笑みが溢れると、彼は私の両脇に手を入れて私を持ち上げて自分の右太ももの上に私を跨いで座らせた。元信の身体にもたれ掛けると、彼は私の背中に手を回して背中のラインをそっと撫でた。
「…脱がせる?」
「いや…もう少し楽しみたい…あー、ひん剥きてぇ」
服一枚のために葛藤する元信が可愛く、私は彼の頬にちゅうと吸い付き舐めながら昂りを掴みなおして上下に擦り始めた。
「っ…あっ、んぅっ、っ」
元信は私の口を塞ぎ、舌を絡める濃厚なキスをしながら、昂りにある私の手に自分の手を重ねて、一緒に上下に擦り出す。彼の手の力が私の指を押して、彼の昂りをぎゅうと強く握る。強い力だと痛いのかと思って控えめにしていたが、それだと余計に元信が辛いと今気がついた。次第に元信の手の動きに合わせて私の手も上下に擦るペースが早くなると、元信は私とのキスを中断して、私の肩に口を押し付けてくぐもった声を出した。
「はっぁっ、っ!」
その直後、自分の昂りから手を離した元信が、先端に蓋をするように手のひらを翳すと、私の手と手首に熱い飛沫が掛かる。
元信は無言で近くにあったティッシュの箱から、ティッシュを2枚取ると、私の手に掛かった証を拭った。
「ん、もったいない」
ティッシュで拭われられなかった証を、口元に持っていき舌を出してペロリと舐めると、元信の昂りが大きくなっていくのを視界の隅で捉えた。私は元信の太ももに跨いだままソファーに膝を付いて起き上がり、彼の肩に手を置いて少し上がったスカートの裾を直したら、元信の手が私の下着を触り、足と足の間にある下半身に手のひらを這わせて前後に擦り始める。私も我慢出来なくて腰を元信の手の動きに一拍遅れて前後に動かし始めた。彼の手のひらと下着がヌルリと粘膜のように滑るのは、元信の感じている姿を見て、身体が欲情したからと、もう彼は分かっていた。
「直接触って、あっ、んぅっ」
さっき直したスカートがずり上がっていくのが分かってはいるが、気持ち良くて腰を動かすのをやめられない。元信の身体に上体を倒すと、彼は私の胸を服越しに割と強く噛んだ。ブラと服が重なっている胸の場所を噛まれ、痛みよりも快感を感じて高い声が出てしまう。力が抜けて彼の太ももの上に座ると、筋肉質の固い彼の太ももですら感じてしまう。もっと刺激が欲しくて腰を前後に揺らしていると、元信は自分の足首にあったズボンを脚を上げて片方だけ脱いで、次に私が彼の太ももに跨っていた方の足も上げると器用に脱いだ。
「あっ、ぅんっ」
足を上げて下しただけなのに、僅かな動きでも感じちゃって甘い声が漏れた。髪が頬を掠め、邪魔になって後ろへと退かすと手に聴診器が当たり、そういえば持っていたのに気がついた。首から取ると、彼は私の手から奪うと、私の手首に巻きつけて軽く結んだ。
「元信?」
「いやか?」
手を縛られただけで身動きが取れなくて、彼らしくない行動に戸惑っていたら、元信に聞かれて嫌ではなかったから首を横に振った。
「怖い事はしねぇよ」
すると彼は私の身体に腕を回して、私をソファーに仰向けにして寝かせて覆い被さった。胸の前で置いていた手を、ソファーの肘掛けまで腕を伸ばされた。
「…すげぇ、いい眺め」
妖艶なナースが頭の上に腕を上げて縛られ、ナース服のボタンが今にも弾けそうなくらいぱんぱんな膨らみが2つ、寄せられている。そのタイトすぎるミニスカの下から見え隠れする白いレースのパンツは、まるで純潔の乙女だと錯覚してしまうほどなのに、日に焼けていない真っ白な生脚にある白いガーターベルトと網タイツが、遊び慣れた女にも感じて、元信の心を弄んでいるなど、当の本人は気がついていない。
だが、彼女が潤む瞳と、赤くなって高揚した頬、薄く口を開けて浅い呼吸をして、舌先で唇を舐めるその様子は、次を期待しているようにも感じた。
「来て、元信」
「注射が欲しいか」
「ん、欲しいッ…1番大っきくて太いの…がっ、ぁあっ!」
私が片足を上げて元信の昂りに網タイツの履いたふくらはぎを擦り付けると、網タイツの凸凹は彼の昂りの側面に当たり、彼は鼻息荒くいつもなら言わないセリフを吐いた。彼のために恥を捨てて足を広げると、彼は下着をズラして、一度も直接触ることもなかった私の蜜口に昂りの先端を押し付けて、体重を掛けてきた。
「ぁあっ、て、っんぅ」
「ぐっ、最高に締まるっ」
ずずっと蜜壺に入る昂りは、一度は欲情を放ったから、いつもよりはスムーズに入ったが、それでも大きくて蜜壺に隙間なくくっついていく。背中がのけ反り、はっ、はっ、と口で息をしていると、彼は私の腰を掴み一気に蜜壺を昂りで貫いて一つに繋がった。私の顔の横に肘をつけて上体を屈めて私に重なると、彼は腰を動かして抽送を始めた。
「藍子っ、はっ、誰だっ?ん?この中にいるのはっ」
「あっ、あっ…っは…もとのっ、元信っ、あっあ、っ」
耳を舐められ、囁かれて息を吹きかけられて、気持ちいい。ソファーが激しい抽送に耐えきれずに軋み、両腕を下ろして元信の首の後ろに回した。そのまま起き上がった彼の腰の上に座らされ、下からの突き上げが大きくなっていく。
「はつ、っ、う、ん」
「やばっ、いく、藍子」
「来てっ、きてきて…ぁあああっ!」
ぎゅうぎゅうに抱きしめられ、彼の気持ちよさそうな声に私も絶頂がやってきてほぼ一緒に達すると、元信は私の蜜壺の最奥に熱い証をめいいっぱい注いだ。
「んふっ、お菓子をくれないと…ぁんっ」
「お菓子はないよ、藍子」
服を脱がないでの交わりばかりが続き、一休みした時に、せめてハロウィンの雰囲気を味わうつもりが、彼はそんなものはない、当たり前だろと笑った。繋がりが解けていないのに、蜜壺にある昂りがむくむくと固くなっていくのが分かって休憩どころじゃなくなる。ぱんつはぐちゃぐちゃで1番初めに脱がされたのに、それ以外はまだ身につけていた。普段裸で抱き合っても、終わることのない情事に体力が必須なのに、まだ服も脱いでいない今日はどうなるのか、考えるのが恐ろしく、めちゃくちゃにされると思うとうっとりとしてしまう自分もいる。
「元信、好き…大好き」
抱きついた拍子に、さっきまで縛られていた手首が赤く擦り跡が付いてしまったのが見えて、元信は私の手首を掴むと、優しく唇を寄せた。
「…悪い、藍子、跡が残るな」
ねっとりと舌を這わし舐められ、元信の機嫌が良くなった。
「…藍子」
「ん?」
彼に呼ばれたので返事をしたのに、元信は頭を横に振った。
「いや、今日は俺が終わりって言うまでヤルからな」
今まで以上に盛り上がったこの日のハロウィン、11月2日の明け方になって解放され、そこから私は2日間倦怠感で大学を休む事になったのだった。
「おかしい、なんでバイトに行けるの…?」
私がベッドの住人になっている時に、いつもと変わらずにバイトと大学に行っていた元信の体力のキャパの大きさに、世の中不公平だと私は嘆いていたのだった。
私の身体中には無数の元信の独占欲の強さを表す赤いキスマークと、情事の後半からは薄い噛み跡が増えた。
半袖の季節が終わって良かったと、胸を撫で下ろした私はまた眠りについた。
だけど、忘れていたのだ。
なんでハロウィンの日に、元信が不機嫌だったのか。
私はそれを次の週、大学に行ってから知る事になるのた。
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