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話し合いはあっさりと。
しおりを挟む私が彼と婚約したのは3歳の時でした。
そんな自我を持ってもいない時に婚約なんてと思う方もいるでしょうが、私達の婚約は至ってあっさりと決まったのです。勿論そこに本人達の意思はありません。気付いたら婚約していたのです。
私はその事を疑問に想い父親に尋ねた事があります。なんと婚約は、オーランド侯爵の言葉から始まりました。
オーランド侯爵家は歴代軍部の要部分に身を置く立場であります。もちろんそれは今も続いており婚約者であったベルジュも軍事科がある学校に通っておりました。将来はオーランド侯爵のポストを受け継ぐ予定です。実は私も同じ学校に所属しているのですが、幼少の頃から家庭教師にみっちりと学んでいましたので学ぶことが無く単位を早々にもらい王族の仕事をしています。
話がずれましたね。
その軍部の要、オーランド侯爵は数年前にこの国で起こった魔物の集団発生、『モンスターパンデミック』の時になんと数人の精鋭で被害を止めたのです。それはこの国にとって奇跡のような出来事でした。
ゆえにその出来事が終わり日常が戻った際にその精鋭達にはこの国の上部達から褒美を与えようという事となったのです。
せっかくでしたので可能の限り要望を聞こうとなりまして欲しいものを尋ねると、ある者はお金、またある者は名誉と色々なものか出てきました。
そして、モンスターパンデミックで一番の働きをしたオーランド侯爵は我々とのつながりを求めたのです。
国は、快く精鋭の方々の希望通りの物を与えました。
その時に王族のつながりとして私と彼の婚約となったのです。
「うむ、ではベルジュが婚約解消を望んだのだな。」
「ええ。勿論、モンスターパンデミックの報奨は別のものを用意いたしますわ。」
「いやいや、こちらも折角の機会を無駄にして申し訳なかった。」
ベルジュの父親であるオーランド侯爵はとても真面目な好印象を受ける御方です。パッと見は優男風ですが仲間思いで戦場では鬼神を思わせる戦いぶりとの噂を聞きました。
なるほど、よくよく手等を見てみると細かい傷などが刻まれた鍛えられた武人だとよく解りますわ。
王族のつながりを求めたのも彼の意思ではなく色々とあったのだと聞いております。好印象の彼だからこそ、我が父も私との縁組をしたのだと思います。まあ、後々ベルジュの横柄になっていく態度に安易に婚約などとやり過ぎたと反省しておりましたが。
「ですが、この件で公爵ではなくなってしまいますので。」
「はっはは、私は別に位などどうでも良いのです。力無き者を守れさえすれば。」
本当に良い方ですわね。
公爵で無くなると聞いて慌てているのはベルジュと、当時オーランド侯爵に提案して王族のつながりを求めたオーランド侯爵夫人のみ。
とくにこの二人は王族の親類になれると聞いて色々な所で偉ぶっていたとお話が耳に入ってきてますので当然ですわね。
しかしながら向こうが破棄したとはいえ、モンスターパンデミックを収めた英雄に褒美を無くすというのもどうかと思います。
「報奨は後に必ず用意する、今回は婚約解消と言うことでよろしいか?」
「ええ、こちらが勝手に望んで勝手に解消をしてしまい申し訳ない。シシリア様も申し訳ない。」
「私の事は気にしないでください。」
「ちょ、ちょっとお待ちを。」
「オーランド侯爵夫人何か?」
少しきつめの目元の女性が顔を青ざめさせて口を挟んできた。その手入れの行き届いた手はぎゅっと膝上に置いてある扇子を握り締めていた。
そして、今まで空気状態であるエプロンドレスの少女を睨み付けた。
「我が息子は、この少女に騙されたのです!」
「母上!」
「ベルジュは黙りなさい!」
「オーランド侯爵夫人。騙されたかはこちらには関係ありませんわ。」
ベルジュが婚約破棄を望みそれを双家の代表が認めたそれだけのこと。
ベルジュが騙されようがこちらには関係ないこと。そちらで勝手に揉めて結果を出せば良いことでしょう。巻き込まないで欲しいわ。
「ですが、シシリア様はベルジュを好いておりましたでしょ?」
「いいえ。」
「えっ。」
「年に一度も顔を遭わせない男を好く者はおりませんよ。しかも遭ったら遭ったで未来の夫だからと偉そうに。」
私の言葉に信じられないようにオーランド侯爵夫婦はベルジュを見つめた。
ベルジュは下を向いていて表情が見えないがその反応が肯定を示している。エプロンドレスの少女は慰めようとしているのか彼の背を擦っている。
「そ、それは申し訳ない。」
「あら、オーランド侯爵様が謝ることはございませんわ。むしろ王族の仕事の邪魔にならないからとそのままにしていたので。」
うふふと笑えばもうオーランド侯爵達は何も言わなくなった。
私の現状の事は父親も知っていたのですが、無能が仕事をするよりは良いと話し合ってたのでそのままでした。
何でこちらから婚約解消をしなかったのって?
一応婚約は報奨でしたしね。こちらからはしずらいというのが本音でした。まあ、王族と言っても私には継承権はありませんのでそのまま結婚しても問題がなかったのもありますしね。
そうにこやかに答えていれば、オーランド侯爵夫人は目を見開いて口をわなわなさせていた。もしかしたら、私と息子が結ばれたら王母に成る可能性があるとでも思っていたのかしら。
えっと、私には継承権が無くて姉が次代の女王になることは結構有名な話だったんだけど。
応接室に微妙な空気が広がった。
まあ、もろ権力目当ての事がバレましたしね。オーランド侯爵様は何故彼女と結婚したのかしら。全然性格が合わなさそうなんだけど。
この気まずい空気を破るかの様に入り口があわただしくノックされた。父親がその相手が誰か分かっているのか、入るのをすんなりと許可すれば勢いよくドアが開く。
勢いよく開いたドアから入ってきたのは漆黒の髪の男でした。私は彼を見たことがあります。
確か彼は神の国の第一皇子様。
「シシリア様!婚約解消になったと聞きました。結婚してください!」
「えっ?」
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