私は婚約破棄をされ好い人と巡り会いました。

SHIN

文字の大きさ
3 / 6

神の国の皇子様に求められています。

しおりを挟む





 ドアから入ってきたのは神の国と呼ばれているフェーリス国の第一皇子であるイオス・フェーリスであった。
 漆黒の髪に切れ長の目。そこに嵌まるのは翡翠色の瞳。その左目元には色っぽく黒子が付いている。
 痩身でありながらその立ち姿は軍部に所属しているオーランド侯爵が目を輝かせるほど洗練されている。

 その姿はオーランド侯爵夫人やエプロンドレスの少女の頬を染めさせてまさに恋する乙女の様な表情をさせています。まあ、格好いいですよね。初めて逢ったときは逆に可愛かったんですよ。
 
 イオスはそんな周りの女性からの熱い視線を気にする処か、阻害魔法でも発しているのではないかと思うぐらいに綺麗に無視をして私の前で柔らかな笑みを浮かべて何処から取り出したのか花束を差し出してきている。父親に戸惑いの視線を向けるが何故かニコニコとしているだけだ。とりあえず、花束は侍女に指示を出して部屋に飾ってもらうことにする。

 あうぅ、イオスが部屋に飾ると知って嬉しそうな雰囲気をかもち出すから花束を受け取った侍女がその顔を見て倒れそうになってる。早く退避してください!


「初めてお会いした時から惹かれていました。貴女の言葉に私は救われたのです。」


 救われた。
 真っ直ぐに見つめられながらそう言われても私は何もしていないわ。あの時に立ち直ったのは彼自身だもの。
 困った様に微笑めばイオスは蕩けるような微笑みを返して私の足元にしゃがみこみ込む。そして、優しく手を取ってくれた。さすがに皇子ですね、様になっています。


「『貴方らしくすれば良い。家族なら貴方の考えを理解してくるわ。』その言葉で、初めて家族と本音をぶつけ合えたんです。」
「実践したのはイオス様よ。私じゃないわ。」
「でも、シシリア様の言葉に勇気を貰ったんです。私には女神の様に見えたんです。」


 笑顔がとても眩しいです。
 なんですか、彼は光属性でも持ってますか?
 それに頬が熱いです。もう、とても敵いそうにありません。私をどうしたいのでしょうか。

 イオスが熱を持つ私の頬に手をゆっくりと這わせて目線を合わせてきて逸らさせてはくれない。彼の翡翠の瞳の熱意を見てしまうと良い様に流されてしまいそうです。お恥ずかしいですがさらに周りに人がいるのを忘れそうになりました。


「シシリア様と共にこれからを生きていきたいのです。駄目ですか?」
「駄目ではないですが……。」
「良かった。あっ、王位は放棄してますので婿に入りますね。」


 貴方は皇子でしょうと言おうとしたら思いもよらない言葉が出て来て今までの熱が引き、一瞬ポカンとしてしまいました。
 えっえっええ、第一皇子なのに王位を放棄したのですか?
 どうやら父親はしっていましたね。私の反応ににまにまとしていますから。そういえば先ほど書類を捌いている時にその様な事を言ってましたし。


「あ、あの、それではフェーリス国は……。」
「第三皇子が居ますので大丈夫です。」
「第二皇子も放棄しているんですか?!」


 えっ、ちょっとそれで良いの神の国よ。
 むしろ王位継承で色んな暗躍が起こっても不思議はない大国ですよ。
 私も人の事は言えませんがまさかの神の国フェーリス国でこんな王位継承権放棄が最低二人もいるなんて。たしか、第二皇子は魔王陛下と呼ばれている敵に容赦しない男だと聞いたことがあります。


「第二皇子のコウランはもうすでにフェーリスの名を捨ててるよ。」
「……そうなんですね。魔王陛下と呼ばれているのは知ってましたが。」
「コウランは転生者の中でも変わり者だから。」
「……転生者なんですね。」


 学校や家庭教師にも習いますがこの世界には転生者や異世界者が多くおります。おかげで生活水準は高いらしいです。
 私は違いますが、次期女王の姉も転生者なのでよく話を聞きましたが魔法が発展している世界で科学も発展しているのは珍しいのだという。
 姉が転生者のおかげでこの国は早々に民主化の利点を知ることができたため実装に漕ぎ着けられました。

 
「もう気になることは?」
「そうですわね。ありませんわ。」
「では……。」
「これからよろしくお願いしますね。」


 私は彼を立たせて笑顔で答える。
 ベルジュとは違い本当に愛してくれそうだと思っていたら、イオスに抱きしめられる。
 暖かな腕の中で幸せな気分に浸っていると何処からか拍手の音がした。腕の中から周りを見回せば、その拍手の主はオーランド侯爵とエプロンドレスの少女でした。

 そういえばエプロンドレスの少女は未だに何者かわかっていません。エプロンドレスの少女と目線が合うと微笑まれてしまいました。とても可愛らしい笑顔ですね。


「良かったですね。シシリア様。」
「えっと……。」
「あっ、申し訳ございません。私は男爵位の娘のクリアナと申します。」
「クリアナ様?」
「ベルジュ様を奪った私など呼び捨てで構いません。」


 とても、良い娘です。
 姉に聞いていた悪役ヒロインじゃありませんよ。そりゃあ、ベルジュがいまいち逢わない私ではなく彼女に惹かれるのも納得します。


「私にベルジュ様が惹かれてしまいシシリア様から奪った事をずっと後悔してました。なかなか言い出せなくベルジュ様も苦しませてしまいました。」
「えっ、いや。」


 ベルジュはとくに何も思っては居なかったみたいよ。むしろ私の事なんて忘れていたんじゃないでしょうか。
 むしろ、彼は今回爵位が落ちることに後悔しているようですが。本当に彼で良いのですか?


「だからシシリア様がしあ……。」
「それ以上は口を開かないでくれないか?」
「えっ?」
「君の言い分は聞きたくはない。」
「イオス様?」


 私が彼の腕の中で不思議そうにしているとイオスは私を父親の元に連れて来て解放した。しかし、その目は睨み付けるようにしてクリアナから逸らすようなことはしない。
 口元にはうっすらと笑みを浮かべているのに何故か悪寒がしますわ。

 困った様に父親を見れば父も同じような顔でクリアナを見つめている。


 一体どうしたというのですか?
 









1/3:
ご指摘してくださった方がいたので訂正しました。
 王位継承権→王位継承権
ご指摘ありがとうございます。

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

わたくしが悪役令嬢だった理由

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、マリアンナ=ラ・トゥール公爵令嬢。悪役令嬢に転生しました。 どうやら前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したようだけど、知識を使っても死亡フラグは折れたり、折れなかったり……。 だから令嬢として真面目に真摯に生きていきますわ。 シリアスです。コメディーではありません。

【改稿版】婚約破棄は私から

どくりんご
恋愛
 ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。  乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!  婚約破棄は私から! ※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。 ◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位 ◆3/20 HOT6位  短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する

青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。 両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。 母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。 リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。 マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。 すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。 修道院で聖女様に覚醒して…… 大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない 完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく 今回も短編です 誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡

聖女の力は使いたくありません!

三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。 ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの? 昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに! どうしてこうなったのか、誰か教えて! ※アルファポリスのみの公開です。

醜くなった私をあっさり捨てた王太子と彼と婚約するために一番美しくなろうとした双子の妹と頼りない両親に復讐します

珠宮さくら
恋愛
アデライン・マルティネスは、エイベル国でも、他の国でも美しい令嬢として有名になっていた。その噂には色々と尾ひれがついていたが、美しさを利用して、子息を誘惑しては婚約を台無しにするとある一定の人たちに思われていた。 でも、実際の彼女はそんな令嬢ではなかった。そのことを一番理解してくれていて、想いあっていると思っていた相手が、実は一番酷かったことを思い知ることになった。 それを知ることになったきっかけは、妹によって美しい顔を台無しにされたことから始まるとは思いもしなかった。

【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!

雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。 しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。 婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。 ーーーーーーーーー 2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました! なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!

処理中です...