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神の国の皇子様に求められています。
しおりを挟むドアから入ってきたのは神の国と呼ばれているフェーリス国の第一皇子であるイオス・フェーリスであった。
漆黒の髪に切れ長の目。そこに嵌まるのは翡翠色の瞳。その左目元には色っぽく黒子が付いている。
痩身でありながらその立ち姿は軍部に所属しているオーランド侯爵が目を輝かせるほど洗練されている。
その姿はオーランド侯爵夫人やエプロンドレスの少女の頬を染めさせてまさに恋する乙女の様な表情をさせています。まあ、格好いいですよね。初めて逢ったときは逆に可愛かったんですよ。
イオスはそんな周りの女性からの熱い視線を気にする処か、阻害魔法でも発しているのではないかと思うぐらいに綺麗に無視をして私の前で柔らかな笑みを浮かべて何処から取り出したのか花束を差し出してきている。父親に戸惑いの視線を向けるが何故かニコニコとしているだけだ。とりあえず、花束は侍女に指示を出して部屋に飾ってもらうことにする。
あうぅ、イオスが部屋に飾ると知って嬉しそうな雰囲気をかもち出すから花束を受け取った侍女がその顔を見て倒れそうになってる。早く退避してください!
「初めてお会いした時から惹かれていました。貴女の言葉に私は救われたのです。」
救われた。
真っ直ぐに見つめられながらそう言われても私は何もしていないわ。あの時に立ち直ったのは彼自身だもの。
困った様に微笑めばイオスは蕩けるような微笑みを返して私の足元にしゃがみこみ込む。そして、優しく手を取ってくれた。さすがに皇子ですね、様になっています。
「『貴方らしくすれば良い。家族なら貴方の考えを理解してくるわ。』その言葉で、初めて家族と本音をぶつけ合えたんです。」
「実践したのはイオス様よ。私じゃないわ。」
「でも、シシリア様の言葉に勇気を貰ったんです。私には女神の様に見えたんです。」
笑顔がとても眩しいです。
なんですか、彼は光属性でも持ってますか?
それに頬が熱いです。もう、とても敵いそうにありません。私をどうしたいのでしょうか。
イオスが熱を持つ私の頬に手をゆっくりと這わせて目線を合わせてきて逸らさせてはくれない。彼の翡翠の瞳の熱意を見てしまうと良い様に流されてしまいそうです。お恥ずかしいですがさらに周りに人がいるのを忘れそうになりました。
「シシリア様と共にこれからを生きていきたいのです。駄目ですか?」
「駄目ではないですが……。」
「良かった。あっ、王位は放棄してますので婿に入りますね。」
貴方は皇子でしょうと言おうとしたら思いもよらない言葉が出て来て今までの熱が引き、一瞬ポカンとしてしまいました。
えっえっええ、第一皇子なのに王位を放棄したのですか?
どうやら父親はしっていましたね。私の反応ににまにまとしていますから。そういえば先ほど書類を捌いている時にその様な事を言ってましたし。
「あ、あの、それではフェーリス国は……。」
「第三皇子が居ますので大丈夫です。」
「第二皇子も放棄しているんですか?!」
えっ、ちょっとそれで良いの神の国よ。
むしろ王位継承で色んな暗躍が起こっても不思議はない大国ですよ。
私も人の事は言えませんがまさかの神の国フェーリス国でこんな王位継承権放棄が最低二人もいるなんて。たしか、第二皇子は魔王陛下と呼ばれている敵に容赦しない男だと聞いたことがあります。
「第二皇子のコウランはもうすでにフェーリスの名を捨ててるよ。」
「……そうなんですね。魔王陛下と呼ばれているのは知ってましたが。」
「コウランは転生者の中でも変わり者だから。」
「……転生者なんですね。」
学校や家庭教師にも習いますがこの世界には転生者や異世界者が多くおります。おかげで生活水準は高いらしいです。
私は違いますが、次期女王の姉も転生者なのでよく話を聞きましたが魔法が発展している世界で科学も発展しているのは珍しいのだという。
姉が転生者のおかげでこの国は早々に民主化の利点を知ることができたため実装に漕ぎ着けられました。
「もう気になることは?」
「そうですわね。ありませんわ。」
「では……。」
「これからよろしくお願いしますね。」
私は彼を立たせて笑顔で答える。
ベルジュとは違い本当に愛してくれそうだと思っていたら、イオスに抱きしめられる。
暖かな腕の中で幸せな気分に浸っていると何処からか拍手の音がした。腕の中から周りを見回せば、その拍手の主はオーランド侯爵とエプロンドレスの少女でした。
そういえばエプロンドレスの少女は未だに何者かわかっていません。エプロンドレスの少女と目線が合うと微笑まれてしまいました。とても可愛らしい笑顔ですね。
「良かったですね。シシリア様。」
「えっと……。」
「あっ、申し訳ございません。私は男爵位の娘のクリアナと申します。」
「クリアナ様?」
「ベルジュ様を奪った私など呼び捨てで構いません。」
とても、良い娘です。
姉に聞いていた悪役ヒロインじゃありませんよ。そりゃあ、ベルジュがいまいち逢わない私ではなく彼女に惹かれるのも納得します。
「私にベルジュ様が惹かれてしまいシシリア様から奪った事をずっと後悔してました。なかなか言い出せなくベルジュ様も苦しませてしまいました。」
「えっ、いや。」
ベルジュはとくに何も思っては居なかったみたいよ。むしろ私の事なんて忘れていたんじゃないでしょうか。
むしろ、彼は今回爵位が落ちることに後悔しているようですが。本当に彼で良いのですか?
「だからシシリア様がしあ……。」
「それ以上は口を開かないでくれないか?」
「えっ?」
「君の言い分は聞きたくはない。」
「イオス様?」
私が彼の腕の中で不思議そうにしているとイオスは私を父親の元に連れて来て解放した。しかし、その目は睨み付けるようにしてクリアナから逸らすようなことはしない。
口元にはうっすらと笑みを浮かべているのに何故か悪寒がしますわ。
困った様に父親を見れば父も同じような顔でクリアナを見つめている。
一体どうしたというのですか?
1/3:
ご指摘してくださった方がいたので訂正しました。
王位継承権破棄→王位継承権放棄
ご指摘ありがとうございます。
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2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました!
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