4 / 6
彼女の事情と祝福。
しおりを挟む「その祝福の言葉は本当に本心か?クリアナ・リオール男爵令嬢。」
「な、何を言って……。」
イオスの言葉に、クリアナの瞳が揺れる。
イオスの背後に護られるようにいる私には理解が追い付いて無いのだけど。どういうことなのベルジュが彼女に惹かれてお互い付き合いだしたから私との婚約解消が起こったのよね。
クリアナの狙いは何なの?
なんかオーランド侯爵夫人がにやにやし始めたのですが私はもうすでにイオスの物ですよ。
「シシリア様はお義姉さんから乙女ゲームの話を聞いた事はありませんか?」
「え、は、はい。主人公の女の子が様々なシチュエーションで攻略者と恋をするゲームですよね。」
「そう、異世界にはそんなゲームがあるみたいですね。」
「それが……。」
「ヒロイン症候群。」
それがどうしたのと言おうとしたら、イオスの口から聞きなれない病名が出てきた。
ヒロイン症候群とはいったい。
「ある人が教えてくれたんだ。」
イオスの説明によると、ヒロイン症候群は自分自身を物語のヒロインだと思うのだとか。
きっと転生者や異世界は以前の記憶を持つ者が多いため陥りやすいのではないでしょうか。たしかに、急に別の世界に来たらストレスのため物語に入りたくなる方も居るかも知れませんしね。
特に乙女ゲームにはまっていた女性が似た状況に出会うと自分がヒロインだヒャハーと勘違いするのだとか。ヒャハーってなんですか?えっ、イオスも知らないのね。
うーんでもせっかくの二度目人生なのですから楽しめば宜しいのに、ゲームだと思うなんて勿体ない。
「そう考えるのが普通です。でもヒロイン症候群に陥ると現実味が鈍るらしく普通は考えられない大胆な行動もとるんです。」
「ああ、それが悪役ヒロインですか。もしかしてクリアナ様は。」
「恐らくは、悲劇のヒロイン症候群だろうと。」
クリアナは自分のせいで周りの恋人達が壊れていく、自分のせいで取り合いが起こるという状況に酔うのが好きなのだとか。
うむ、まさに私とベルジュの状況ですね。
ということはベルジュの役目は終わったか、イオスに一目惚れされて二人に取り合われるための要因って事ですね。
「シシリア様の状況をディクドール様に聞いていその話がある人に聞いてたのと似ているなと思い調べました。」
「調べたんですね。」
「すみません。」
「怒ってませんから。」
クリアナは私が学園の単位を頂いた後に途中入学し、学園に通う有力貴族に近づいたのだとか。前にも言いましたが学園は軍部科がありますので季節イベントで模擬決闘があるのです。
そこでベルジュ含めクリアナの虜になった子息達が決闘したのだとか。そして、彼女は婚約者を持つベルジュにターゲットをつけて悲劇のヒロインに酔っていたとか。
それが本当なら質が悪すぎです。
「という事はクリアナ様は転生者ですか?」
「……違いますわ。小さい頃お世話係の侍女の一人に落ち人がいてお話を聞いてたんです。」
観念したのか、クリアナは疲れた様な顔で自白した。
「私がヒロイン症候群かは知らないけど、確かに今まで自分が乙女ゲームの主人公だと思ってたわ。」
クリアナが小さい頃に世話をしてくれた侍女が乙女ゲーム大好きの落ち人だったらしく、物語を聞かせるのは乙女ゲームの内容、特に悲劇のヒロインが出てくるものばかりだったという。
クリアナもその侍女が話すのは作り物の話だとは理解していたのだが、三つ子の魂百までといわれるように、刷り込みが起こっていたようで、学園に途中入学した時に迷子になっていた処を助けてくれた、イケメンのベルジュの絵画の様な姿を見た瞬間、もしかしたらと思ってしまったらしい。
さらに色々な有力貴族に出会い、次々と見初められてゆきいよいよ現実味がわかなくなってしまったのだとか。
現実味がわかなくなるとだんだんと意に反する行動が激しくなり、本当にクリアナは実在するのかわからなくなってきたらしい。
「本当は相手が誰でももうどうでも良かったんです。」
「クリアナ。」
「ごめんね。ベルジュ。」
「やっぱり、息子は騙されていたんですわ。」
「でもっ!……一緒にいて楽しかったのは本当。ベルジュが突拍子も無いこという度に現実に戻れた気がしたから。」
先ほどまでとは違う静かな笑みは彼女の本当の笑みに感じました。長年の呪縛が解けた様です。
きっと彼女はこの苦しみを話して解放されたかったのかも知れませんね。
そんなクリアナを見たベルジュは決意した表情に変わる。
「僕、いや私は色々な事があってもやはりクリアナが愛しい。」
「ベルジュ……。」
「私を好きになるのはこれからでも良い。どうか付き合ってください。」
私が彼と婚約していた間で見たことのない優しげな表情でクリアナを見ていた。
クリアナは潤み始めた瞳を瞼に隠すと、小さな声ではい。とだけ呟いた。
「私は、私は許しませんよ!」
「はっはは、国王陛下よ。報奨はクリアナ嬢とベルジュの『祝福』でお願いするよ。」
「貴方!」
オーランド侯爵夫人は反対しているがオーランド侯爵の当主は英雄の旦那様の方だ。彼が望むのなら叶えないとね。
そうそう、私が王位を放棄したのは我が王族特有の雷属性魔法が使えないことがあるのですが、その魔法の代わりに異能をもっているのです。それがこれ『祝福』。
祝福を受けた相手は試練が待ち受けていますが乗り越えれば何か良いものが与えられるらしいです。
らしいというのもやったのは今回で三回目だからです。そして今のところその良いものが何なのか判明していないのですよ。
神の国フェーリス国にいる魔神の愛し子ならもっと内容がわかるのでしょうが。
「ちょっとした罰とちゃんと最後まで意思を突き通せるかの確認だな。」
「なるほど、良いものが手にはいったら二人を認めるってことか。」
なるほど、オーランド侯爵頭いいですね。これなら夫人も文句は言えまい。……侯爵、脳筋じゃないのか。
「ではいきますね。『祝福!』」
二人に手を向けて異能を発動する、するとクリアナとベルジュに光のエフェクトがかかる。キラキラとスノーダストみたいで綺麗です。
そしてすぐにエフェクトが消えて術は完了です。
16
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する
青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。
両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。
母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。
リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。
マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。
すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。
修道院で聖女様に覚醒して……
大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが
マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない
完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく
今回も短編です
誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡
婚約破棄には婚約破棄を
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『目には目を歯には歯を、婚約破棄には婚約破棄を』
サヴィル公爵家の長女ヒルダはメクスバラ王家の第一王子メイナードと婚約していた。だが王妃の座を狙う異母妹のヘーゼルは色情狂のメイナード王子を誘惑してモノにしていた。そして王侯貴族が集まる舞踏会でヒルダに冤罪を着せて婚約破棄追放刑にする心算だった。だがそれはヒルダに見破られていたのだった。
醜くなった私をあっさり捨てた王太子と彼と婚約するために一番美しくなろうとした双子の妹と頼りない両親に復讐します
珠宮さくら
恋愛
アデライン・マルティネスは、エイベル国でも、他の国でも美しい令嬢として有名になっていた。その噂には色々と尾ひれがついていたが、美しさを利用して、子息を誘惑しては婚約を台無しにするとある一定の人たちに思われていた。
でも、実際の彼女はそんな令嬢ではなかった。そのことを一番理解してくれていて、想いあっていると思っていた相手が、実は一番酷かったことを思い知ることになった。
それを知ることになったきっかけは、妹によって美しい顔を台無しにされたことから始まるとは思いもしなかった。
【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。
しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。
婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。
ーーーーーーーーー
2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました!
なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる