告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした

雨宮里玖

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4.連絡ちょうだい

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 次の日の朝、早坂は本当に迎えにやってきた。
 俺の母ちゃんが玄関のドアを開け、早坂を見て驚いたようで、「見たこともないくらいのイケメンくんがあんたの友達だって言って迎えにきたわよ!」と大騒ぎしている。

 俺は慌てて支度を整え、玄関に向かうと、正真正銘の早坂が、俺の日常風景の中に立っていた。

「おはよう乃木。学校行こう」

 本当に来るとは信じられない。あれは早坂を困らせるための言葉だったのに……。

 朝から早坂は爽やかだ。俺と同じ制服を着ているのに、どうしてこうも違うのだろう。

「乃木、寝癖」

 早坂はそっと俺の髪に触れてきた。正確に言えば俺の寝癖のついた髪だけれど。

「俺が直してやろうか?」
「いっ、いいっ! いつもこんなんだから!」

 ダメだ。早坂に触れられると心拍数が爆上がりする。

「そ? 確かにそのままでも可愛いからいいと思う」

 なんだそれは。褒めているのか?!
 あー! 早坂と会話していると調子が狂う!

 

 登校途中、早坂は少し照れながら俺に話しかけてきた。

「あのさ、乃木。頼みがあるんだけど……」
「えっ?! 俺に?!」

 驚いた。早坂に頼まれるようなことなんてあるだろうか。

「のっ、乃木の連絡先が知りたい……です」

 早坂は恥ずかしそうに自分の腕で顔を覆い隠す。
 な、なんでそんなことくらいで早坂は顔を真っ赤にしているんだ?!

 連絡先か……。確かに「今日は学校休むから朝迎えに行けない」とか連絡できないと不便かもしれないな。

「いっ、いいよ」

 てかやばい。照れてる早坂を見てたらこっちまでなんか恥ずかしくなってきた!

「あっ、ありがとう。じゃあ早速……」

 早坂は制服のポケットからサッとスマホを取り出し、俺が手に持っていたスマホにコツンとぶつけてきた。

 あ! 間違えた! 早坂と仲良くしちゃいけない。
 早坂は俺を騙してるんだからな!

「早坂。教えてやってもいいけど、条件がある」
「また条件?」
「あぁ。毎日連絡ちょうだい。一日最低五回。一日でも欠かしたら俺はもう早坂とは連絡取らない。お前をブロックする」

 今度こそどうだ?! 面倒くさいだろ? そんなこと言う奴の連絡先など知りたくないに違いない。

「わかった。毎日連絡する。『おやすみ』とか、用事がなくても乃木に連絡していい?」
「いっ、いいけど毎日だぞ? 面倒くさくないのか?!」

 ほら、考え直せ! ただのゲームにそこまで無理する必要なんかないぞ!

「面倒じゃない。むしろ乃木にたくさん連絡していいんだってわかって嬉しかった」

 なんて奴だ、早坂は。これでも諦めないとは。案外負けず嫌いなところがあるのかな……。




 それからは学校への行き帰りは、毎日早坂と一緒になった。
 諦めの悪い早坂は、律儀に毎朝、俺の家に迎えにくる。三日でやめると思ったのに、今日で五日目になった。

 メールもたくさん送ってくる。『おはよう』で始まり『おやすみ』で終わり、その間に『今何してるの?』だの『この店いいよ』だのと連絡してくる。

 まさか俺の嫌がらせにここまで付き合ってくれるとは。早坂って実は結構マメな性格だったのかもしれない。

 でも、全然嫌じゃない。
 気がついたら毎朝家のピンポンが鳴るたびに「早坂が今日も来た!」と嬉しくなるし、スマホに早坂からの通知のバナーが表示されるたびに「何のメールかな」とニマニマしてしまう。
 早坂とは案外気が合うのかもしれない。一緒にいてすごく楽だ。

 早坂は相当無理してるのかな。

 きっと心地よいと感じるのは、早坂が俺に合わせて無理をしているからなのかもしれない。
 だって早坂は告白ゲームに勝つために俺に気に入られようと躍起になっているのだから。
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