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真由と透…遥
しおりを挟むブルルル……。
簡易テーブルに置いていた携帯が再び震えだす。
亜耶には、鋭い視線を投げ掛けられる。
「悪い」
一言謝ってから、電話に出る。
『はる兄、着いたよ。』
遠慮の無い声が聞こえてきた。
「着いたか。ん、下まで迎えに行くから、待合室で待ってろ。」
俺は、それだけ言って電話を切る。
「亜耶、ちょっと二人を迎えに行ってくるな。大人しく待ってろよ。」
俺は、亜耶の頭を撫でる。
子ども扱いになってるかなって思うが、不貞腐れてないから大丈夫かと内心安心した。
俺は、部屋を出るとエレベーターホールに足を向けた。
エレベーターで、一階に降りるとごった返してる待合室を見渡す。
患者の邪魔になら無い所で、二人は少し距離をとって立っていた。
何かあったのか?
何と無くだが、二人の雰囲気がぎこちないというか……。
不思議に思いながら、二人の方に近付いて行く。
真由が俺に気付き。
「はる兄。久し振りです。元気そうで何よりです。」
笑顔で言ってるが、何処と無く空元気に見えるのは、気のせいだろうか。
「真由、お前もな。でも、悪かったな。楽しみにしてただろうに……。」
俺が、すまなそうに言えば。
「ううん。気にしなくていいよ。どうせ、はる兄の事だから、何か企んでいるんでしょ? 私は、それに期待してるだけだよ。」
何て、ニヤニヤしながら言ってくる。
全く、真由には、敵わないな。
「で、亜耶ちゃんは大丈夫なの?」
心配そうに聞いてくる真由に。
「ん、会えばわかるよ。」
それだけ告げるとエレベーターに向かい歩き出した。
真由は俺の橫に並ぶが、透は半歩後ろを着いてくる感じだ。
やけに大人し過ぎて、調子狂いそうなんだが……。
何かあったのだろうか?
心配になり透を気に掛けていたら。
「透くん。家のお父さんに雷落とされたらしくて、昨日から落ち込んでるの。」
真由が話してくれた。
伯父から雷、ね。
あの人は、むやみに雷を落とす人じゃないから、透が何かしたのだろう。
俺は、エレベーターに乗り込むが、透とは少し距離が出来てたみたいで。
「ほら、透。早く乗れよ、閉めるぞ。」
そう急かすことで、透が慌てて乗ってくる。
俺は、透が乗り込んだことを確認してから、扉を閉めた。
「透くん。何時まで落ち込んでるの? 亜耶ちゃんに会うのにそんな顔で会ったら、亜耶ちゃんが心配するでしょ」
真由が、呆れ顔で言う。
「う、うん……。」
としか言わない透。
「はぁ~。そんな透くん私 "キライ" 。何時までもうじうじして……。失敗なんて誰にだってあることでしょ? 寧ろ怒られて善かったって思えるようにならないとダメだよ。失敗や間違ってしまったことで、同じ過ちを犯さない様にすればいいだけだよ。」
真由が、尤もな事を口にするが、聞いているのか……。
これは、連れ出した方が良さそうだな。
エレベーターが病室の有る階に停まる。
エレベーターを降りるとナースステーションが目に入る。
そこを通過しようとすると。
「あら、高橋さん。その二人は?」
看護師に呼び止められた。
面会謝絶中の亜耶には、前以て申請してる人しか入れないようになってるから、仕方ないか……。
「俺の従姉妹と、その婚約者です。亜耶とは親友なので今回の事を聞いて心配してお見舞いに来たいと駄々を捏ねるので、連れてきたんですよ。それと話し相手になってもらおうと思いましてね」
これが無難な回答だし、嘘は吐いていない。
「そうですか。では、此方の用紙にご署名頂けますか?」
看護師の言葉に黙って真由は従う。
透も同じように用紙に記入する。
それを見届けてから、病室に案内した。
病室のドアをノックした真由は、勢いよくドアを開け。
「亜耶ちゃん、久し振り!!」
病院内で話すような声ではない元気な声で中に入って行く。
周りが此方を驚いた顔やら迷惑そうな顔で見てくる。
それに軽く頭を下げる。
遣ってくれるな、真由。
「真由ちゃん! 元気だった」
亜耶が、物凄く嬉しそうな顔をして迎い入れてたのを見てホッとする。
「亜耶ちゃん、大丈夫?」
真由が、心配そうに声を掛けているのを見ながら、透を伺えば、ずっと俯いている。
これは、お見舞いて感じじゃないな。
亜耶と真由は、話で盛り上がってるし、ちょっと二人だけにして透を連れ出すか……。
「亜耶。ちょっと、透と出てくるから、その間真由と話してて。真由、亜耶の事頼むな。」
声を掛けると。
「うん、任せてはる兄。透くん、はる兄に迷惑掛けないようにね。」
真由が透に向けて言葉を投げ掛けるが。
「あ、うん。気を付ける。」
浮かない顔の透。真由が心配そうにな顔をして俺を仰ぎ見てくる。
俺は、軽く頷き。
「ん。じゃあ、行って来る。」
それだけ言うと、透を連れて病室を出た。
「透。少し付き合って」
俺がそう言うと頷き、俺の後を着いてくる。
車に乗り込み、透には前回と同じ後部席に乗せると、車を走らせたのだった。
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