好きだから傍に居たい

麻沙綺

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面倒臭い…遥

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  さて、どうにか透を連れ出したものの、どうしたものか……。

  取り敢えず、家にある真由のプレゼントを取りに行くか……。


  車を家に向けて走らせている間も、チラリ後部席の透に目を向けるが、呆然としている。
  はぁ~。

  先程、真由が話していた事が原因なのだろう。
  そこまで落ち込むようなことを伯父が言ったのかと疑問が浮かぶが……。
  伯父に電話するか。


  家に着き、駐車場に車を止める。
「ほら、着いたから降りろ。」
  俺は、運転席から透に声をかけ降りるように促す。
  透はゆっくりとした動作で車を降りる。
「さっさと行くぞ。」
  俺は、透の腕を掴みエレベーターホールに向かう。
  あ~、もう。何でこう面倒臭いんだよ。
  一体、何を言ったんだ伯父は。
  目の焦点の合ってない透をエレベーターに押し込み、自分も乗り込むと自分の住む階のボタンを押した。


  自宅の鍵を開けて、リビングのソファーに透を座らせ俺はキッチンに行きコーヒーの準備をする。
  何気に家に透が最初の客になるとは思わなかったが……。
  本人あんなんだし、覚えてるわけないだろう。
  何て思いながら、伯父に電話をかける。

『どうした、遥? 亜耶ちゃんに何かあったのか?』
  心配そうな声の伯父に。
「亜耶なら元気一杯だよ。今、真由がお見舞いに来てくれてて、募る話しもあるだろうから、俺等は部屋を離れてる。」
  俺は、敢えて "等" を使った。
  この一言で伯父は気付くかは分からないが……。
『そうか。真由が亜耶ちゃんに……。』
 俺はそんな伯父の 考え深そうな声をぶち破るように。
「で、問題なのは透の方。伯父さん何言ったんだよ。アイツ滅茶落ち込んでるんだが。」
  面倒臭そうな声でそう伝える。
『はぁ。まだ落ち込んでるのか? 悪い遥、昨日の事件の事で話を聞こうとしたんだがな、あいつは順序立てて話す事出来ずに支離滅裂で話すから、落ち着いて話せって言ったんだがな。それでも要点を得ずだったから、さ』
  まぁ、偶々通りかかって、犯人らしき女生徒の確保させられたんだから、パニックになっても仕方ないか。
『それを細川が改めて順を追うように説明をきちんとしてくれたから、余計に落ち込んでるんだと思う。』
  細川って、あのお嬢の弟か?
  でも、それこそその弟でさえ、きちんと把握出来ていないと思うのだが?
『遥、面倒をかけるが、あいつの事頼むな。あいつにしか真由を頼めないんだから』
  伯父の頼みだし、伯父自信も真由が透にぞっこんなのを分かってるからこその言葉だ。
「分かった。何とかしてみるよ。」
  俺は、そう言うと電話を切った。


  何とかしてみると言ったものの、あそこまで項垂れてるとどうしたらいいんだか全く検討も着かないんだが……。


  頭を悩ませつつ俺は、コーヒーカップを両手に持ち、リビングに居る透の前のテーブルに置き対面のソファーに座ったのだった。







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