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中学生と婚約解消
帰り道…遥
しおりを挟む支払いを済ませ、店を出ると。
「遥、よかったのか?」
雅斗が聞いてきた。
「ん?あぁ、いいよ。元々そのつもりだったしな」
亜耶に何かしてやりたかったことだし(全部、沢口に取られたが)。
「こっちが誘ったんだが……」
雅斗は、自分が払う気で居たらしいが。
「俺、余り使い道ないから」
亜耶の為になら幾らでも使うが、な。
そんな俺たちの会話に。
「ご馳走さま」
って、にこやかな顔で言ってくる沢口。
お前が言うか。
この女は、強か過ぎる。
俺が、睨み付けてると。
「遥、悪いけどさ、亜耶を送っててくれないか?」
申し訳なさそうな顔をして言う雅斗。
そりゃあ、そうだろうな。夜は長いしな。
「良いよ。楽しんでこいよ」
俺の言葉に口を歪ます雅斗を横目にしながら。
「亜耶、帰るよ」
と声を掛ける。
「う、うん……」
あ~ぁ、またもやお眠の時間かね。
家まで持つかなぁ。
「宜しくな」
雅斗はその言葉を残し、沢口の腰を抱くと踵を返して行ってしまった。
後に残るのは、目を擦って眠そうにしている亜耶と俺。
「亜耶。眠い?」
俺が訪ねると首を縦に振る。
あ~ぁ。もう少し、話せると思ったが、限界だろうな。
「背中に乗るか?」
「いいの?」
甘えるように聞いてくる亜耶に。
「良いよ。ほら」
亜耶の前で屈めば、ゆっくりと俺の背中に乗ってくる。
亜耶の腕が俺の首に回ってくる。
完全に俺に寄りかかった状態になると。
「立つよ」
一言告げてゆっくりと立ち上がった。
「遥さんの背中、温かい」
亜耶の声が耳元を擽る。
「そうか?」
「安心できる場所……だよ」
へ?
"安心できる場所"……亜耶の口からそんな言葉が聞けるとは、もしかして、空耳ってことは無いよな。
「どうしたの、遥さん?」
不思議そうな亜耶の声に。
「な、何でもないよ。大丈夫か?」
何が、大丈夫なんだ。
自分で言って、可笑しいことに気付いたが。
「うん……、大丈夫。……遥さんが……優しいの……わかって……るか……ら……」
って、返事が返ってきた。
返ってくるとは思ってなかったから、俺の心臓が早鐘を打ち出す。
どうしたんだ?
今日の亜耶、可笑しくないか?
「亜耶?」
「ん?」
「今日の亜耶、おかしいぞ?」
俺がそう言葉にする。
普段ここまで俺に対して、素直に言葉にしない亜耶だから不思議に思ってると。
「う~ん、そうかなぁ。…もしそうなら、遥さんの…せい…だと思う…よ」
俺のせい?
何故?
俺、何かした?
「亜耶……」
改めて聞こうとしたら、スースーと寝息が耳に聞こえてきた。
はぁ~。
肝心なところで寝やがって……。
まぁ、これも亜耶らしいか……。
俺はそのまま家までの道をひたす歩いた。
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