ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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中学生と婚約解消

合格と拒絶…亜耶

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 今日は、合格発表の日。
 悠磨くんと一緒に学園に行き、掲示板を確認する。

 えっと……。
 掲げてある番号を順に追い、自分の番号を見つけた。

 あ、あった。
 よかった、受かった。
 ホッとしながら、悠磨くんの方を見ると私より先に見つけていたのか、此方を伺っていたのだ。
「悠磨くん、在った?」
 そう訪ねると。
「在ったよ。亜耶は?」
 悠磨くんが嬉しそうに言い、聞き返してきた。
「私も在ったよ。四月からも宜しくね。」
 飛びきりの笑顔で答える。
 だって嬉しかったんだもん。
「こちらこそ、宜しくな。」
 悠磨くんがニコニコしながら返してくれた。

 四月から、悠磨くんと同じ高校に通えることが、嬉しくて仕方なかった。

「亜耶。ちょっと寄り道してもいいかな?」
 学園からの帰り道。
 悠磨くんが聞いてきた。
 私も、このまま帰るのも忍びなくて思ってもいない申し出に。
「いいよ。」
 って答えてた。



 悠磨くんの後ろを付いて歩き、着いたのは公園。
 人気の無いベンチに悠磨くんがハンカチを引いてくれて、その上に座る。
 時間的になのか周りには誰も居ない。
 そんな中、悠磨くんが口を開く。
「亜耶……。」
 何処か、迷ってる感じな言い方に何を言い出すのかドキドキしながら待つ。
「亜耶……。オレ、亜耶のことが好き。オレと付き合ってください!」
 って、顔を真っ赤にさせて言ってくる悠磨くん。
 えっ……。
 悠磨くん、私のこと好きだったの?
 驚きと困惑で言葉が出てこない私を悠磨くんの優しい目を見て。
「……悠磨くん。私こそ、お願いします。」
 返事を返すと、一気に顔が熱くなった。
 だけど、"好き"って言葉は私の口から出ることはなかった。
 悠磨くんからは言ってもらえたのに、自分から言えないのは卑怯かな。
 でも、どうしても言えなかったんだ。
 胸の奥につっかえるものがあるから……。
 付き合っていくうちにどこかのタイミングで言えればと思った。

 私の返事を聞いた悠磨くんが、小さくガッツポーズするのが見えて、クスリと笑う。
 悠磨くんよほど嬉しかったんだろうな。
 何て思いながら、彼を見ていた。

 少し落ち着きを取り戻した悠磨くんが。
「亜耶。明後日の土曜日なんだけど、映画に行かないか?」
 唐突のお誘いに迷うこと無く。
「いいよ。」
 と答えていた。
「じゃあ、十一時に駅で待ち合わせな。」
「わかった。」
 その約束をした後、たわいの無い話をして家まで送ってもらった。



「ただいま。」
 玄関を開けて潜るとキッチンから母が出て来て。
「お帰り。どうだったの?」
 心配そうに聞いてきた。
「合格したよ。悠磨くんと一緒だよ。」
 笑顔で報告する。
「おめでとう、亜耶」
 この時間は仕事中の筈のお兄ちゃんが、リビングから出てきた。
 しかも、この時期は忙しいって言ってたと思うんだけど……?私の聞き間違いかな?
「ありがとう」
 お礼を言う私。
「四月から、亜耶も高校生か……。早いなぁ。遥にも知らせないとな」
 感がえ深気に言うお兄ちゃん。
「私の前で、遥さんの話しないで! 後、合格祝い要らないからって言っておいて!!」
 感情が入り、語尾が強めになってしまった。
 そんな私の態度に、お兄ちゃんと母が顔を見合わせて驚いた顔をする。
 固まってる二人に。
「それから、金輪際私の前に現れないで!って、伝えておいて。」
 吐き捨てるように言う。

 これは、私の決意だ。
 遥さんに会ったら、自分が自分じゃなくなる気がしたから、先手を打ったにすぎない。
  

 彼に会わなければ、心穏やかでいられる。
 気休めかもしれないけど……。
















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