ヒ・ミ・ツ～許嫁は兄の親友～（旧:遠回りして気付いた想い）［完］

中学生と婚約解消

合格と告白…悠磨

 不安はあったが見事に合格したオレ。
 亜耶も合格していた。
 二人、同じ高校へ行けることになった。
 オレは、凄く嬉しくて口許が緩んでしまう。  
 だが、まだこれからだ。
 高校に受かったら、亜耶に告白すると決めていたのだから、気を引き締めないと。
  
  
 今日は、初デートだ。
 あの日……合格発表の日に遡る。


 合格発表の朝。
 オレは、受かっていたら亜耶に告白をすることに決めた。
 亜耶と二人、学園に向かい掲示板を見る。
 そこに、堂々とオレの受験番号が記載されていた。
 思わず、ガッツポーズしていた。
 横に居る亜耶を見れば、嬉しそうな顔をしてたので、受かったのだろう。

「悠磨くん、在った？」
 亜耶がこっちを見て言う。
「あったよ。亜耶は？」
「私も在ったよ。四月からも宜しくね。」
 って、はにかむ笑顔で言ってくる亜耶が可愛くて、仕方がない。
「こっちこそ、宜しくな。」
 って、答えてた。


 そのまま帰るのも寂しいと思ったのもあるが、一世一代の告白のチャンスを伺っていたオレは。
「亜耶、少しだけ寄り道してもいいかな？」
 って、声を掛けた。
「いいよ。」
 亜耶は、不思議そうな顔をしながらも了解してくれた。


 学園の近くにあった公園。
 オレたちはそこに足を踏み入れた。
 端の方に人目のつかないベンチがあり、そこに行き座る（亜耶には、ハンカチの上に座ってもらった）。

「亜耶……。」
「何？」

 亜耶が、オレの目を見つめてくる。
 あぁ～、心臓がありえんくらいバクバクしてる。
 何で、こんなに緊張するんだ。
 だが、ここで言わねば男が廃る。
 それに、他の男に獲られたくない!!
 そう思えば、自然と言葉が出てくる。

「亜耶……。オレ、亜耶のことが好きだ。オレと付き合ってください！」
 言った。
 言えたぞオレ。
 でも、返事が怖くて俯いてしまった。
 亜耶からなかなか返事が返ってこないから、顔を上げれば驚いた顔で真っ赤になった亜耶が居て、何だかそれがとても可愛く思えてきて、そんな顔を誰にも見せたくなくて思わず抱き締めてしまいそうになり思い止まる。
 あ～、もう……。
 儘ならない想いは、何処にやればいいんだ。
「……悠磨くん。私こそ、お願いします。」
 って、小さい声ながら返ってきた。
 聞き間違いじゃないかって思った。
「本当に？」
 オレは、思わず聞き返す。
 すると、亜耶がゆっくりと頷いた。

 や、やったー！
 胸の内で、思わず叫んだよね。


 余韻に浸ってから。
「明後日の土曜日なんだけど、映画に行かないか？」
 口から出ていた。
 いきなり、デートのお誘い。
 断られるかな、って思ったが。
「うん、いいよ。」
 色好い返事が返ってきた。
「じゃあ、十一時に駅で待ち合わせな。」
「うん、わかった。」
 笑顔で頷く亜耶。


 その後、少しだけ話をして家に亜耶を送ってい行ったのだった。