ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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中学生と婚約解消

緊張感…亜耶

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 あの後、遥さんへの想いを封印して、胸の奥底に閉じこめた。

 受験まで、解らないところや面談の練習をお兄ちゃんに付き合ってもらい何とか自信を持てるまでになった。


「亜耶。そろそろ出ないと、悠磨くんと一緒に行くんでしょ?」
 リビングに居る私に母が声を掛けてきた。
「うん」
 私は、もう一度鞄の中を確認する。
 受験票・筆記用具・教科書・問題集……。
 よし、忘れ物無いね。
 私は、ソファーから立ち上がり鞄を肩にかけて、玄関に向かう。
「亜耶。駅まで一緒に行くか」
 廊下の途中で、お兄ちゃんが階段から降りてきてスーツ姿でそう言ってきた。
「うん」
 お兄ちゃんの申し出を断る事無く、素直に頷いた。
 靴を履くと。
「行ってきます」
 お兄ちゃんと一緒に家を出た。


「亜耶。緊張してないか?」
 駅までの道のりで、お兄ちゃんに問われて。
「少しだけ、緊張してる」
 そう言って、自分の手を見せる。
 小刻みに震える私の手を見てお兄ちゃんが。
「駅まで、手を繋いで行くか? 緊張を解すためにも、な」
 って、クスリと笑って言うお兄ちゃん。
 これ、からかってるなって分かった。
「もう、私は小さな子供じゃないんだよ」
 頬を膨らませて、そう反抗する。
「そうだな。自分で考えて行動できる子供だな」
 って、心配気な顔。
 こんな顔を見ると何時も思うのは、お兄ちゃんにとって私は何時までも小さな子供なんだなって……。

「亜耶。亜耶は、やれば出来る子なんだから、自信をもって挑んで来いよ」
 お兄ちゃんが真顔で言うから。
「うん。ベストを尽くしてくるね」
 って、笑顔で答えた。



 お兄ちゃんと別れて、改札口の近くで悠磨くんが来るのを待つ。
 その間に、顔見知りの同級生が挨拶をしてくる。
 それを返しながら、単語帳を捲っていく。

 ふと視線に気付き顔を上げると、悠磨くんがこちらに近付いてくるところだった。
「おはよう、悠磨くん」
 笑顔で言えば。
「おはよう、亜耶。何時も早いな」
 って、感心したように言う。
「……う~ん、そうなのかな」
 答えに困ってしまった。
 これが、普通だと思っていたから。


 最近悠磨くんは、髪を切って余計にクールさが増していた。
「悠磨くん、ボーとしてどうしたの? 行くよ」
「あ、うん」
 どうしたんだろう?
 なんか、上の空って感じがしたけど、大丈夫かな?
 
 悠磨くんのぎこちない返事を聞いてから、二人並んで学園へ向けて歩き出した。




 筆記試験は、思ってたものよりも簡単だった。
 本当の事を言うと、お兄ちゃんが言っていた応用問題が所々出てて、それを何度も解いてたお陰でもある(お兄ちゃん、ありがとう)。

 残るは、面接だ。
 ちゃんと応答できるか、不安だ。
 お兄ちゃんからは合格点はもらってるけど、やっぱり緊張の方が勝ってきて震えが止まらない。
 どうやったら、震えが止まるんだろう?

 そんな時だった。
 遥さんの笑顔が、脳裏に思い出させた。
 私が緊張すると、必ず遥さんが緊張を解すために笑わせてくれてた。

 って、何で遥さんが出てくるのよ!
 ……でも、彼のバカな行動と笑顔を思い出したら、いつの間にか震えが止まっていた。





 面接も、無事にこなし帰路へ。

 帰りは、正門で悠磨くんと待ち合わせていた。

 教室を出て、下駄箱で靴に履き替え正門に向かう。
 正門に近付くと、遠巻きで女の子達がキャアキャア言ってるのが聞こえる。
 そちらに目を向ければ、悠磨くんが正門に背を預け空を見上げていた。それが、やけに目を惹いて囁かれていたのだ。
 私はそんな中を彼に向かって歩み続け。

「お待たせ、悠磨くん。」
 そう彼に声を掛けた。
 視線が痛いが仕方ないよね。
「ん? そんなに待ってないよ」
 悠磨くんが平然として答える。
 周りの事気にしてないみたい。
 って思ってたとたん百面相をしだした。
「悠磨くん、どうかしたの?」
 気になって声を掛けたんだけど。
「……イヤ、何でもない。帰ろ。」
 普通に返されて。
「うん」
 って、笑顔で答えた。



 さっきの悠磨くん、ちょっと可笑しかった。
 何か気になることでもあったんだろうか?

 何て思いながら、その事を聞く気には為らなかった。
 隠したってことは、言いたくないってことだと思ったから……。










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