ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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中学生と婚約解消

受験…悠磨

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 気が付けば、受験当日。

 亜耶のお兄さんと話し込んだ後、オレは勉強に打ち込んだ。勿論、亜耶への想いは封印した。
 そうしないと集中が途切れてしまい、勉強に身が入らなかったのと亜耶と同じ高校にどうしても受かりたかったのもあた。

 亜耶が受ける高校は、学力がやたらと高いところでうちの中学からは、オレと亜耶しか推薦を貰えなかった。
 必然的に一緒に受験校に行くことになる。
 しかも、二人っきりだ。

 駅に七時に待ち合わせた。

「受験票は、持ったし、筆記用具、問題集……」
 鞄を覗き込みながら、忘れ物がないかチェックする。
 そして、身嗜みを整え、家を出た。
  
 家から駅まで然程距離はない。待ち合わせの時間よりも早く出たのだが、亜耶の事だからもう来ているだろう。そう思うと、自然と早足になる。

 駅に着くと改札口の近くで、単語帳を捲って勉強している亜耶が居た。
 オレは、彼女に近付くと気付いた彼女が。
「おはよう、悠磨くん。」
 って、先に声を掛けられた。
「おはよう。相変わらず早いな。」
 そう言葉を返すと。
「そうか、な。普通だと思うけど……。」
 惚け顔の亜耶。
 少し髪が伸びて、今は耳の下で両サイドで結んでる亜耶。
 その姿が、また可愛くて写真を撮りたいくらいだ。

  って、いかん!
 今は、受験の事だけを考えなくては。
「悠磨くん? どうしたの? 行くよ。」
 亜耶が、不思議そうな顔をしてオレの顔を覗き込んでくる。
 うっ……。その顔も可愛い!!
 オレは思わず手を口に持っていき横を向く。
 最近、オレの身長が伸びて亜耶を見下ろすようになったせいか、ちょくちょく上目使いでオレを見てくるようになった(本人無自覚だろうけど)。
 そのせいで、オレが悶え苦しんでるなんて知らないだろうなぁ……。
 横目で亜耶を見れば、首を傾げてオレを見ている。
「あっ、うん。行こう。」
 オレたちは、学校へと歩き出した。



 筆記試験は、難なく終わった。
 だが、これから面接だ。
 徐々に緊張感が増してくる。
 学校で、面接の練習は、何度も行っている。
 自分の意思もきちんとしてる。
 言葉遣い、礼儀、姿勢、全てにおいて何度も繰り返してきた。

 今頃になって、震えてくる。
 それを必死になって、押さえる。
 大丈夫、自分はやれる。
 そう自分に言い聞かせていた。


 面接も無事(?)に終わり、亜耶を校門のところで待つ。
 
  会場が男女別だったためだ。

  
「悠磨くん、待った?」
 亜耶が、笑顔で声を掛けてきた。
 朝の緊張が溶けたのか、ホッとした顔をしてる。  
「そんなに待ってないよ」
 そう答えた瞬間、周りの視線が痛いことに気付き、巡らせて観れば、男どもの視線がメチャきつい事に気付く。
 えっ……、ちょっと、待って……。
 今しがた亜耶の事を見ただけなのに、何で周りから睨まれないといけないんだ?
 可笑しいだろう?
「悠磨くん、どうかした?」
 亜耶が首を傾げてキョトンとした顔で聞いてくる。
 その仕草が、また可愛くて仕方がない。
 物凄く無防備な亜耶。
「……なんでもない。帰ろっか」
「うん」
 この笑顔。
 オレの方が戸惑う。




 亜耶、お前可愛すぎだろ!!
  

 項垂れるオレだった。

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