ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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中学生と婚約解消

初デート③…悠磨

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「……で、何を渡すつもり?」
 オレは、何気に聞いてみた。
「二人で使える奴で、カップ以外のをって思ってるんだけど……。」
 亜耶が、悩んでる。
「じゃあ、雑貨屋がいいのかな?」
 少し考えてから口にしたオレに。
「そうだね。」
 亜耶が頷いた。
「……ん。じゃあ、行くか」
 オレは、亜耶に手を差し出すとスッと手が重ねられた。
 その手を指を絡めるように握った。
 俗に言う、“恋人繋ぎ”にしてみた。
 亜耶がの方を見れば一瞬戸惑ったように感じたが、何も無かったような顔をした。
 そのまま近くの雑貨屋に向けて歩きだした。
 勿論、亜耶の歩幅に合わせて……。



 雑貨屋に着くと亜耶の目の輝きが増した。
 店の中には、可愛いアクセサリーやら、筆記用具、キーホルダー、etc.…多種多様の種類が揃っていた。
 オレたちは、ゆっくりと店内を見て歩く。
 気になったものは手に取って見ては、戻したりて。

 暫くして、ふと亜耶が足を止め。
「悠磨くん。これどうかな?」
 そう言って、亜耶が見せてきたのは、ストラップ。
 しかも、対になる色のイルカのビーズ。
「う~ん。亜耶のお兄さんのイメージじゃないと思うけど……。」
 大人の人が使うには、ちょっと恥ずかしいのではと思いダメ出しをする。
 お兄さんにまともに会ったのは一度だけ。
 亜耶が選んだのなら着けてくれそうだが、直ぐに壊れそうな物は止めた方がいいと思うんだよね。
 オレの言葉に亜耶は、それを棚に戻した。

 もう一度店内を見渡す亜耶。
 そして何かを見つけたのか、足早に移動しだす。
「ねぇ、ねぇ。これならどうだろう?」
 そう言って、指を差したのは二枚合わせて写真立て。
 それは、枠組みはウッドで出来ていてガラスの所に小さな四つ葉のクローバーが刻まれていた。
 シンプルだけど、これなら使ってもらえるだろうと思った。
「いいと思うよ。」
 オレの言葉に満面な笑顔を見せる亜耶。
「じゃあ、これ買ってくるね」
 そう言って写真立てを持って、レジに向かっていく亜耶の背を見送る。
 その間にオレは、さっき見つけたシンプルなストラップをお揃いで二つ手に取った。

 今日の記念になればいいなって思ったからだ。



 亜耶に気付かれずに支払いを済ませて店外に出れば、亜耶が出入り口付近で待ってた。
「待たせた?」
「……ん、いいよ。何か欲しい物でもあったの?」
 不思議そうな顔でオレを見てくる。
「うん」
 今はそう答えるだけで、誠意一杯だったオレ。
「そろそろ帰ろっか。送ってくよ。」
 日も暮れてきたし、三月とはいえ未だ肌寒いしな。
「うん。」

 帰り道は、たわいのない話で盛り上がった。



「ねぇ、悠磨くん。高校からの課題、もしよかったら一緒にやらない?」
 亜耶からの申し出にオレには、嬉しいお誘いだった。
「いいよ。」
 オレが頷けば。
「やったー!」
 亜耶が、クシャクシャの笑顔を見せる。
 それに対して苦笑を漏らすオレ。
 駄目だな。
 こんな笑顔見せられたら、オレどうにかなっってしまうよ。
「今日は、ありがとうね。」
「こっちこそ、ありがとう。そうだ、これ……。」
 オレは、袋からさっき買った物を取り出して、亜耶に手渡す。
 亜耶が首を傾げて不思議そうな顔をする。
 うん、その仕草も可愛い。
「開けていい?」
 亜耶に聞かれてオレは、頷いた。
 袋から取り出したものを見て、亜耶が驚いた顔をする。
「……いいの?」
 亜耶が戸惑いながら聞いてきた。
「うん。今日の記念に、ね。オレとペアだから、逆に付けてくれると嬉しい、かな」
 オレは、痒いわけでもないのに自分の頬を照れ隠しのために掻いてみた。
「ありがとう」
 亜耶は、そう言うと早速自分の携帯に取り出して着けた。
 オレは、それを見てオレも自分の携帯を取り出し着けると亜耶に見せた。
「お揃い、嬉しいなぁ。」
 照れ笑いする亜耶が可愛くって、思わず抱き締めていた。
 亜耶から、甘い匂いが……。何の匂いだろう?
「ゆ…悠磨くん。」
 戸惑ってる亜耶。
 急に抱きつけば、戸惑うのも当たり前か。
「可愛すぎるんだよ亜耶は……。オレ、ずっと他のやつに獲られないか心配だった。」
 だから、お揃いのストラップで繋いでおこうと思った。オレたちは、恋人なんだって言う確信が欲しかったんだ。
「大丈夫だよ。私は、悠磨くんしか見てないから。」
 亜耶の言葉に安心して、腕をほどいた。
「じゃあ、明後日学校で……。」
「うん」
 亜耶が手を振って、見送ってくれる。
 その姿も可愛くてしょうがない。

 オレは、後ろ髪を引かれる想いで、家路についたのだった。


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