ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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高校生編と再婚約の条件

水族館デート②…悠磨

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  流石、人気のあるショーなのか、座る席が見つからない。
「流石に席空いて無いね。」
  って、亜耶が隣で苦笑してる。
「そうだな。」
  オレも、必死で辺りを見渡す。
  そして、一ヶ所誰も座ってない場所を見つけた。
「亜耶。あそこ空いてる。」
  オレは、指を指し、亜耶の手を引きその場所に向かった。

  場所的には、見にくいかもしれないが、ステージの上にある巨大モニターで水槽を撮し出してるから、大丈夫だと思ったんだ。
  席に座るとタイミング良く進行役の女の人が出てきた。
「座れてよかった。」
  ホッとした表情の亜耶。
「そうだな。」
  って言葉をボソっと返した。


  それからは、ショーが終わるまで亜耶の感嘆した声や興奮した声が隣から聞こえてきて、亜耶に聞こえないようにクスクス笑った。
  可愛すぎるだろ。
  コロコロ変わる表情が、普段隠されてる顔なんだって思ったら、ちょっと寂しかった。

「ねぇ、ねぇ、悠磨くん。イルカさん達可愛かったね。」
  興奮冷めやらぬ感じでいう亜耶。
  それに対して。
「そうだな」
  って、冷静で返すオレ。
  ヤベ、冷たすぎたか?
  そんなオレに亜耶が、驚いた顔をしたかと思ったら、無邪気な笑顔を向けてきた。
  よかった、気付かれなかったか……。
  ホットしながらもそんな亜耶が、愛しくて堪らない。

  それから、遅めの昼食を採って、館内をもう一度回った。
  最後に土産物に寄った。


「あっ、これ可愛い。悠磨くん、これ買ってきていい?」
  亜耶が、ストラップの所で見いっていた。
  突然の事で。
「えっ、あ、うん。」
  どもった返事になってしまった。

  亜耶が、レジに並んでる間、オレは記念になるものを探した。

  そして、これだと思ったものを手にして、レジに並んだ。

  亜耶が店の前で、待っていてくれた。
「悠磨くん。何買ったの?」
  亜耶がニコニコしてオレの顔を見てくる。
「ん? 今は、まだ内緒。」
  オレは、茶目っ気たっぷりに答えた。
「ほら、帰ろ。余り遅くなると親御さん心配するだろ」
  オレは、亜耶の小さな手を握って、歩き出した。



  亜耶の家に着くと。
「今日は、楽しかった」
  って、歯に噛んだ笑顔で言う亜耶。
「オレも楽しかった」
  吊られるように亜耶に笑顔で言う。
「本当?」
  亜耶が下から覗き込んでくる。
「うん。本当に楽しかった。亜耶の意外な一面も見れたし……ね。」
  オレが言うと夕闇の中、亜耶の顔が赤く染まっていく。
「じゃあ、また明日ね。」
  って、照れてるのを隠すか如くに家に入ろうとする亜耶の腕を掴み。
「亜耶、これ……。」
  さっき買った物を渡した。
「へっ……。」
  驚いた顔をする亜耶。
「着けてくれたら嬉しい。」
  あっヤベぇ……。
  ちょっと、恥ずかしいかも……。
  そう、あそこに在ったイルカの模様が入ったブレスレット。
  亜耶が、好きそうだと思って買った。
「ありがとう、悠磨くん。」
  嬉しそうに受け取ってくれた事に安心した。
「私、何もないや……。」
  亜耶が、困ったように言うから。
「気にしなくてもいいよ。オレの自己満足で買っただけだから……。」
  亜耶が、喜んでくれるだけで良いんだよ。
「……でも、悪いよ。」
  それでも納得しない亜耶を優しく抱き締めた。
「オレは、これでいいよ。」
  キョトンとした顔の亜耶を自分の腕の中に閉じ込めた。
  本当は、唇を……って思ったんだけど、同意無しに奪うことがオレには出来なくて……。だから、オレのだと想いながら腕に閉じ込めた。
「ゆ……悠磨くん」
  動揺する亜耶。
「……もう少しだけ、このままで……」
  亜耶の耳元で囁いた。
  オレの腕にすっぽりと納まる亜耶。
  亜耶の存在を確かめるように抱き締める。
  
  すると亜耶の耳が赤く染まっていた。


  腕の中に居るのに、逃げられそうでどう捕まえておこうか、模索する自分が居た。






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