知らぬはヒロインだけ

ネコフク

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二十四話

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 年が明け冬休みも終わった初日、4人は生徒会室で軽食とケーキスタンドを囲み聖夜祭で起きた事件の後の話をしていた。

 結果から言うとアリサは戒律の厳しい修道院へ。これでクエスフィールが言う乙女ゲームが、残り1年を残しヒロイン退場という形で終わりを告げた事になる。

「まあ、アリサさんは修道院へ行かれるのね」

「違法魔法香水の所持だけでも罪になるのに効果を知ってての利用、明確に王族を狙い害を成したからね。処刑をという話も出たんだけど、いくら取り調べても王子妃になって贅沢したいっていう理由しかなくて王位簒奪までいかなかったから。処刑をする理由には弱かったんだよね」

「そもそも俺は王位なんて興味ないしな。幽閉するにも金がかかるし労働刑や娼館落ちだと本人が喜びそうだろ?という訳でサンラータの修道院へご招待ってわけさ」

「あの修道院でアリサさんは耐えられるのかしら?」

「さあ?」

 ミハエルは興味無さそうに一口大のサンドウィッチをパクリ。クエスフィールは物凄く良い笑顔をしている。

 サンラータ修道院はサンラータ連峰という高い山々に囲まれていて、修道院も標高2000mの所に建っている。清貧を旨としてほぼ自給自足の生活を余儀なくされている所だ。

 月に一度一番近い村から必要物資は届くものの、持ってくる人は間違いが起こらないように全員女性。贅沢と男好きのアリサには厳しい環境である。

「山に囲まれているけど木々は生えてないから見晴らしはいいんじゃない?逃げようにも隠れる場所はないし、一番近い村まで下りでも1週間かかるからね。脱走=死しか待ってないから修道院そこにしか居れないって馬鹿でも分かるでしょ」

「「男性が~」とか騒がないかしら?」

「男見たいならヤギがいるから大丈夫だろ。ヤギにチヤホヤしてもらえ」

「それ男性じゃなくオス・・・・・・」

「その前にオスは乳が出ないから数匹残して食用になってるんじゃ・・・・・・」

「ガンバレ」

「もう、心がこもってませんわ。アリサさんの処遇は分かりましたがダサヨン男爵家はどうなりましたの?」

 しょうがないじゃーんとベタベタスリスリし始めたミハエルをいなしながらアラベラはクエスフィールに聞く。

「アリサ嬢を反省室に隔離した後にすぐ尋問官が来るはずだったんだけど、証拠を確保する方が先だというわけで男爵家の方に行ったみたいで。香水はアリサ嬢の部屋にあったようだよ。ただ、当主は違法魔法香水の事は知らなかったみたい。
 もしかしたらと10年以上開けてない納戸を調べたら、埃が被っている中最近つけられた1人分の足跡とドレスを引きずった跡があったらしい。それで彼女1人の犯行だろうという結論に至ったようで共犯にはならなかったようだよ。
 ただその納戸が先代の当主が亡くなってから開けていなかったとはいえ、違法魔法香水を所持していたという事で罰金を払うことになったけど、納戸の中身が先代が集めていたものでガラクタしか無いと思って放置していた中に違法物があったという理由で減額対象になったみたいだよ」

「まあ共犯こそならなかったけど、アリサ嬢の製造元って事で領地は2/3ほど没収したけどな。話が広まればそのうち爵位返上の憂き目にあうかも」

「仕方ないですわね」

「そんなわけで尋問官が反省室に行ったのは次の日の朝だったんだよね。嫌がらせでやったあの不快音を意図せず朝まで聞く事になったみたいで、扉を開けた時にはグロッキーで少し動かすと嘔吐するものだから、話を聞けなくてその部屋のベッドに1日放置されたらしいよ。ワルイコトシタナー」

「うわっ、めっちゃ棒読み」
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