知らぬはヒロインだけ

ネコフク

文字の大きさ
24 / 29

二十三話(アリサ④)

「ぎゃっ!」

 クエスフィール達が生徒会室へ移動する少し前、アリサは後ろ手に縛られたまま会場から騎士に引きずられ、雑に反省室へと投げ込まれ令嬢にあるまじき声を出し床に転がっていた。

「ちょっとレディになんて事すんのよ!っていうか起こしなさいよ!」

 んもうっ!手を後ろで縛られてんのと夜会用の膨らんだドレスのせいで上手く起き上がれないんだけど!

 モゾモゾしながから文句を言っても、無視されてガチャンと外側から鍵をかけられてしまった。

「ちょっ、鍵かけたら出れないてしょうが!」

 逃げられないよう懲罰用の部屋れ連れて来たのに出られたら意味が無い。しかし悪い事をしたという意識がないアリサには何故ここに入れられたか分かっていない。

「令嬢には違法魔法香水の所持・使用の疑いがある。尋問官が来るまで大人しくしているように」

「はあ!?何それ!?」

 違法魔法香水?そんなの使ってないわよ!

 私が使ってたのは課金アイテムのワタ♡恋香水。ちょー高いけど攻略対象の好感度を同時に上げるアイテムで、特にミハエルに効果があるのよね。たまたま男爵家うちの納戸にあるのを見つけて使ってみたらあら不思議、機嫌が悪かった父親も甘々に。ここぞとばかりにドレスやアクセサリーを買わせて乙女ゲームの一番のイベント『聖夜の幻想曲ファンタジア』の会場へ足を運ぶ。テストの結果が散々だったから参加出来ないって言われたけど、そんなものヒロインの私には関係ないもんね。

 会場の入口では招待状を見せろって言われたけど、ワタ♡恋香水の匂いに受け付けの男が酔ったのか無事に入れた。

 本当は逆ハーで攻略対象全員と踊りたかったけど、無理っぽいから一番金と権力を持っててワタ♡恋香水に弱いミハエルと踊ろっと。

 ほら、香水の効果抜群!ちょっと近づいただけで私の魅力にやられて抱き締めてきた。思ったよりも胸板が厚い。ミハエルのリアルな感触。はぁ~めちゃくちゃにされたい!

 うっとりとミハエルの感触を楽しんでいたら私達の周りに風が渦巻き体が光に包まれ、落ち着いたと思ったら私を抱き締めていた腕が解かれ後退っていった。

「ミハエル様?」

 覚束ないミハエルに声をかけた途端、クエスフィールに魔法で縛られ騎士によって引きずられて前に来た事がある反省室に連れて来られた。

 会場から出る時に見たミハエルはアラベラの胸に顔を埋めていた。

 エロ王子かよ!

 そして反省室にポイッ←イマココ

 結局起き上がれなくて諦めて床に横たわっている。

 せっかくミハエルに抱き締められたトコまでは上手くいってたのに。体が光ってから捕まって閉じ込められてしまった。

 課金アイテムを違法魔法香水と間違えるなんて無能にもほどがあるわ。今度さっきの騎士が来たら文句言ってやるんだから!

 ・・・・・・あれ?

 何か外から風に乗って不快な音が聞こえてくるんだけど。強くなったり弱くなったりざわざわ?ぞわぞわ?いや違う、聞いていると込み上げてくるような気持ち悪さがある。

「なんなのよこの音!」

 耳を塞ごうにも手が後ろで縛られてて塞げない。

 たまに少しの間だけ音がしなくなるけど結局朝までこの音が止む事がなく、一睡も出来ず朝を迎えてしまった。

「うゔ・・・・・・気持ち悪い・・・」

 朝イチで尋問官が来て部屋を開けるとグロッキー状態になって床に横たわるアリサを発見。音の事を訴えるもスルーされたとさ。



 ーーーーーーーーーー

 アリサが聞いた音の正体はクエスフィールの風魔法。

 反省室の部屋に届くよう風魔法で不快な音を出して聞かせいたよ。

 朝までアリサに時間を割く趣味はないので反省室の建物で警護している騎士に不快音の出し方を教え、交代で朝まで音を出して結果、アリサはグロッキーに。

 王族(ミハエル)に害を成したという事で騎士達はクエスフィールの嫌がらせに嬉々として加担したという。
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい

らんか
恋愛
前世の記憶を思い出した今なら分かる。  ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの?  婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて、頑張ってきたのに。  そりゃ、高圧的な態度を取る悪役令嬢も悪いけど、断罪するほどの事はしていないでしょ。  しかも、孤独な悪役令嬢である彼女を誰も助けようとしない。    だから私は悪役令嬢の味方なると決めた。  ゲームのあらすじ無視ちゃいますが、問題ないよね?

【短編】『待つ女』をやめたら、『追われる女』になりました

あまぞらりゅう
恋愛
婚約者の王太子を、いつも待ち続けてきたシャルロッテ侯爵令嬢。 だがある日、彼女は知ってしまう。彼には本命の恋人がいて、自分のことを都合よく放置していただけなのだと。 彼女が待つのをやめた瞬間、追ってきたのは隣国の皇太子だった。 ※覚えやすさや分かりやすさを重視しているので、登場人物の名前は「キャラクター名+身分表記」にしています ★小説家になろう2026/1/29日間総合8位異世界恋愛7位 ★他サイト様にも投稿しています!

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

「退屈な女だ」と婚約破棄されたので去りましたが、翌日から国政が止まったそうです。え、私はもう存じませんけど?

にたまご
恋愛
公爵令嬢クラーラは、ユリウス王太子殿下に婚約を破棄された。 「退屈な女だ」「何の取り柄もない」と。 否定はしない。 けれど殿下が知らないだけで、通商条約も予算案も外交書簡も、この国の政務の大半を六年間匿名で回していたのは──この「退屈な女」だ。 婚約破棄の翌朝、宰相補佐官のレオンが焼き菓子と四十二件の緊急報告を携えて公爵邸を訪れる。 「貴女がいなくなった王宮は、控えめに申し上げて、地獄です」 ──存じません。私はもう、ただの無職ですので。

【完結】意思という名の番(つがい)

しえろ あい
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは、婚約者・王太子アルベルトの政務を裏で完璧に代行する「影の統治者」。 本能的な「番(つがい)」に溺れ、自分を「冷たい人形」と蔑む王太子に対し、アンジェリカは政権奪取の機を伺い始める。 第二王子レオナルドと密かな想いを通じあわせたことをきっかけに、知略と執着で愚かな王太子を破滅へと追い込む計画が動き出す。 神の定めた宿命を、人の意志でねじ伏せ、真の玉座を掌握する、残酷で美しい共謀劇。 ※小説家になろう様でも投稿しています

離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています

腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。 「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」 そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった! 今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。 冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。 彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――

嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。 侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。 そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。 どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。 そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。 楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望