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2章
そばで(?視点)
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私には兄がいた。傲慢で考えなし、だけど信念と曲がらない強さを持っている。先王である父を生き写しにしたかのような男だった。
対して私は母に似た穏やかな気性をしていた。争いは嫌いだし、考え無しな兄を愚かだと思い強い兄を尊敬した。
『_____様、お兄様がお呼びです』
自室で一人本を読んでいる時だった。私付きの執事が、苦い顔をしてそう告げた。
私は嫌な予感がした。
国王である兄は、頭のいいお前にぴったりだと言って私を外務相に置き、それからはずっと、奔放な態度で外交をする兄の尻拭いばかりしてきたからだ。
『あぁ____よ!お前に頼みたいことがある』
兄は都合の悪い時、いつも決まって私を敬ったかのような猫なで声を出す。
まただ、そう思った。
『我が国の商人が、ファラディスの者を誘拐し奴隷にするという愚かな計画を立てていてな。それが砂竜様にバレてしまったらしいのだ』
自国の民が犯した罪の重さを知ってか知らずか、兄はいつもと変わらない被害者面で語った。
私は、この国と目の前の兄の未来を瞬時に悟り、悲嘆にくれた。
そして、自分自身の未来も絶望に満ちたものになるだろうと悟った。
真っ先に感じたのは兄や商人への怒りではなく、彼らを止められなかった自分の罪と後悔だった。
だからこそ、私自身がファラディスへ赴こうと決めた。自身の最期はその地に、という覚悟を胸に離れた故郷は、涙で滲んでよく見えなかった。
それから、どれだけの時が経っただろうか。
私はまた王のそばにいる。兄とは違って、私を大切にしてくれる人。賢くて民想いの素晴らしい王だ。
私は彼を心の底から愛してる。
けれど時々、私は故郷の夢を見る。
深い後悔と、最期にみた兄の顔。
なぜお前だけ、とその顔が叫ぶ。
そしてまた、私の視界は滲むのだ。
「あぁ____よ!私はあなたに…ずっと会いたかった」
対して私は母に似た穏やかな気性をしていた。争いは嫌いだし、考え無しな兄を愚かだと思い強い兄を尊敬した。
『_____様、お兄様がお呼びです』
自室で一人本を読んでいる時だった。私付きの執事が、苦い顔をしてそう告げた。
私は嫌な予感がした。
国王である兄は、頭のいいお前にぴったりだと言って私を外務相に置き、それからはずっと、奔放な態度で外交をする兄の尻拭いばかりしてきたからだ。
『あぁ____よ!お前に頼みたいことがある』
兄は都合の悪い時、いつも決まって私を敬ったかのような猫なで声を出す。
まただ、そう思った。
『我が国の商人が、ファラディスの者を誘拐し奴隷にするという愚かな計画を立てていてな。それが砂竜様にバレてしまったらしいのだ』
自国の民が犯した罪の重さを知ってか知らずか、兄はいつもと変わらない被害者面で語った。
私は、この国と目の前の兄の未来を瞬時に悟り、悲嘆にくれた。
そして、自分自身の未来も絶望に満ちたものになるだろうと悟った。
真っ先に感じたのは兄や商人への怒りではなく、彼らを止められなかった自分の罪と後悔だった。
だからこそ、私自身がファラディスへ赴こうと決めた。自身の最期はその地に、という覚悟を胸に離れた故郷は、涙で滲んでよく見えなかった。
それから、どれだけの時が経っただろうか。
私はまた王のそばにいる。兄とは違って、私を大切にしてくれる人。賢くて民想いの素晴らしい王だ。
私は彼を心の底から愛してる。
けれど時々、私は故郷の夢を見る。
深い後悔と、最期にみた兄の顔。
なぜお前だけ、とその顔が叫ぶ。
そしてまた、私の視界は滲むのだ。
「あぁ____よ!私はあなたに…ずっと会いたかった」
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