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2章
怒り
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不穏な空気を切り裂くように響いた悲鳴に、真っ先に反応したのはカリム様だった。
「シリアスっ…!!」
そう叫んで走り出したカリム様は、さっきまでとは比べものにならないほど冷静さを欠いていた。
そのあまりの必死さに、僕とレオス様は瞬時に悲鳴の主を察した。
(今の悲鳴、シリアス様なの?!)
既に部屋を飛び出してしまったカリム様を追って、僕たちも走る。
そして、おそらくシリアス様の部屋であろう場所の目の前まで着いた。
そこで感じたのは、おぞましいほどの殺気。そして鋭く放たれた膨大な魔力。
「カリム様!なに、して…」
僕は思わず鋭い声で制止の声を上げたが、室内にはおどろくべき光景が広がっていた。
「その穢らわしい手を離せ貴様!!!」
「ははは!そう言われて離すわけが無いだろう!」
フードを被った謎の男が、シリアス様を拘束し首元にはナイフを当てていた。
おかげでカリム様は下手に動けず、あまりの怒りに我を忘れているようだった。
僕が驚いたのはそのことにだけでは無い。僕はおそらくこの場でただ一人だけ、あの男の正体を知っていたからだ。
「ら、ライネ先輩…?」
「…あぁ、リュードリア。久しぶりだね、会えて嬉しいよ」
ライネ先輩は、僕を見つけた途端この状況とは似ても似つかない穏やかな表情を浮かべた。
「なに言って…その手を離してください!」
「相変わらず優しいんだね…大丈夫。もうすぐ君も解放してあげるから」
解放してあげる?こちらの言うことが全く通じていない会話に寒気を覚える。するとそれまで冷静に周囲を見ていたレオス様の空気が変わって、僕を守るように前へ出て言った。
「…おい、その気持ち悪い声でカナに話しかけるな」
「これはこれはレオス王子。番を探している貴方が、邪魔なはずのリュードリアを守るとはどんなご冗談でしょうか?」
「…邪魔だと?カナは俺の番だ…!それにもし運命じゃなかったとしても邪険になど絶対しない!」
強く言いきったレオス様の言葉に心を撃たれた。
僕はレオス様の番だったから大切にして貰えたんだと思っていたから。
「番だと?…はっ、アリエスタが言ってたのはこういうことか」
「シア?!先輩、シアに何かしたんですか!!」
まさか直接接触しているとは思わなかった。恐ろしさのあまり身を乗り出して問い詰めると、ライネ先輩は笑って答えた。
「あぁ、気づいていなかったのかい?アリエスタが今幽閉されてるのは僕が仕向けたことさ!」
尋ねたかったこととは少し違ったが、ライネ先輩は事件の真実をあっさり吐いてしまった。
(カリム様もレオス様もいて、今後言い逃れできるわけが無い。もしかしてわざと…?)
それはいくら考えても推測にすぎない。ひとまずシリアス様の解放を…
必死で頭を回していると、ライネ先輩が突然ため息をついて不可思議なことを言った。
「…時間稼ぎはこれくらいでいいかな?」
「あぁ、充分だ」
誰もいなかったはずの僕の真後ろからそう聞こえた途端、僕の視界は真っ黒な闇に沈んでいった。
「シリアスっ…!!」
そう叫んで走り出したカリム様は、さっきまでとは比べものにならないほど冷静さを欠いていた。
そのあまりの必死さに、僕とレオス様は瞬時に悲鳴の主を察した。
(今の悲鳴、シリアス様なの?!)
既に部屋を飛び出してしまったカリム様を追って、僕たちも走る。
そして、おそらくシリアス様の部屋であろう場所の目の前まで着いた。
そこで感じたのは、おぞましいほどの殺気。そして鋭く放たれた膨大な魔力。
「カリム様!なに、して…」
僕は思わず鋭い声で制止の声を上げたが、室内にはおどろくべき光景が広がっていた。
「その穢らわしい手を離せ貴様!!!」
「ははは!そう言われて離すわけが無いだろう!」
フードを被った謎の男が、シリアス様を拘束し首元にはナイフを当てていた。
おかげでカリム様は下手に動けず、あまりの怒りに我を忘れているようだった。
僕が驚いたのはそのことにだけでは無い。僕はおそらくこの場でただ一人だけ、あの男の正体を知っていたからだ。
「ら、ライネ先輩…?」
「…あぁ、リュードリア。久しぶりだね、会えて嬉しいよ」
ライネ先輩は、僕を見つけた途端この状況とは似ても似つかない穏やかな表情を浮かべた。
「なに言って…その手を離してください!」
「相変わらず優しいんだね…大丈夫。もうすぐ君も解放してあげるから」
解放してあげる?こちらの言うことが全く通じていない会話に寒気を覚える。するとそれまで冷静に周囲を見ていたレオス様の空気が変わって、僕を守るように前へ出て言った。
「…おい、その気持ち悪い声でカナに話しかけるな」
「これはこれはレオス王子。番を探している貴方が、邪魔なはずのリュードリアを守るとはどんなご冗談でしょうか?」
「…邪魔だと?カナは俺の番だ…!それにもし運命じゃなかったとしても邪険になど絶対しない!」
強く言いきったレオス様の言葉に心を撃たれた。
僕はレオス様の番だったから大切にして貰えたんだと思っていたから。
「番だと?…はっ、アリエスタが言ってたのはこういうことか」
「シア?!先輩、シアに何かしたんですか!!」
まさか直接接触しているとは思わなかった。恐ろしさのあまり身を乗り出して問い詰めると、ライネ先輩は笑って答えた。
「あぁ、気づいていなかったのかい?アリエスタが今幽閉されてるのは僕が仕向けたことさ!」
尋ねたかったこととは少し違ったが、ライネ先輩は事件の真実をあっさり吐いてしまった。
(カリム様もレオス様もいて、今後言い逃れできるわけが無い。もしかしてわざと…?)
それはいくら考えても推測にすぎない。ひとまずシリアス様の解放を…
必死で頭を回していると、ライネ先輩が突然ため息をついて不可思議なことを言った。
「…時間稼ぎはこれくらいでいいかな?」
「あぁ、充分だ」
誰もいなかったはずの僕の真後ろからそう聞こえた途端、僕の視界は真っ黒な闇に沈んでいった。
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