闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

文字の大きさ
190 / 1,458
0200

第0200話 砂漠の奥地

しおりを挟む
「ギィ…」

揺れ動く灯りの中で、ドアが静かに開かれました。

蕭炎は頭を振りながら部屋に入り、反手でドアを閉じると、ベッドのそばまで歩き、そのまま座り込んでしまいました。

「ホー…」と息を吐いた瞬間、酒臭い息が漏れ出しました。

萧炎は掌で痛む頭を揉みながら、苦笑いを浮かべました。

明日の旅のために兄たちに強制的に飲まされた結果、今では完全な酔意もなくなりつつありました。

靴を脱ぎ、床に座り込むと同時に、彼は手のひらを結び合わせて修練の印を作りました。

呼吸が次第に落ち着き、力強いものになりました。

暫くすると、指先から一筋の水気を弾けさせました。

体中の酒気が浄化されると、蕭炎の意識がはっきりと覚醒しました。

彼は指で納戒を叩くと、突然部屋に青光が広がり、すぐに急速に暗くなり、その間に空中に不意に浮かび上がった青蓮の台が静止しました。

その完璧な青蓮座を見た瞬間、蕭炎の目から期待の光が浮かびました。

掌で蓮台を下げるや、軽々と跳ねて蓮台に乗りました。

彼の体重で蓮台は急激に沈み込みましたが、最終的にはテーブルと同じ高さまで降り止まりました。

臀部に当たった瞬間、温かいエネルギーが肌を通って全身を包み込み、その快感に萧炎は深く息を吸いました。

再び修練の印を作ると同時に目を閉じ、彼の意識は小腹にある気旋へと自然に向かいました。

そこには紫の液体が14滴存在していたのです。

「この短い期間でさえも、一滴増えたのか…」と心の中で感心する間もなく、紫色の斗気が経絡を巡り始めました。

その瞬間、部屋外から火属性のエネルギーが蓮台に流れ込んで来ましたが、青色の光の壁を超えるとその量は五分の一に減りました。

しかし、その中には微かに黄味を帯びた炎の中に、目に見えないほどの青い粒子が混ざっていたのです。



青色のエネルギー源は、おそらく地元の火属性エネルギーが蓮光の中で精製されたものだろう。

その能量は呼吸を通じて蕭炎の体内に流れ込んでいった。

最初の一筋のエネルギーが経絡に入った瞬間、蕭炎は驚いて一瞬止まった。

淡黄色い斗気の中に混ざる青色の輝きは目を離せないほど純度が高い。

紫火の分身でその青色エネルギーを包み込み試しに精製した。

するとすぐに悟った——この青色は地獄炎が千年かけて鍛えた超純度のものだ。

気脈管に直接注入しても問題ないほど完璧だった。

「これが蓮の持つ力か…これほどの純度なら、薬老も絶賛するのも分かる。

このエネルギーを使えば、通常の練習時間を7分の1で済む」

蕭炎は深く息を吸い込み、青色と淡黄色を分離した。

安全のため経絡を巡らせた後、気脈管に注ぎ込んだ。

朝まで続く瞑想が終わると、小腹部の紫蓮が突然震えた。

その内部で一滴の紫色液体が形成されようとしている。

「十五滴目か…」蕭炎は嬉しく紫火を鎮め、新たな結晶の完成を待った。

気脈管に波紋が広がり、中心部で紫滴が回転し始めた。

その動きと共に紫火が内部へ流れ込む速度が速まる。



「チーン……」ある瞬間、存在感のない軽い音が静かに気旋から響いた。

その音と共に激しく渦巻いていた気旋はゆっくりと平静を保ち、一滴紫の液体エネルギーが他の14滴と共に小魚のように気旋内を遊泳し始めた。

第十五滴の液体エネルギーが形成された瞬間、蕭炎の身体は微かに震えた。

その時、彼は気旋が以前よりも広がり、体が軽くなり、体内の力が急激に増大していることを感じた。

蕭炎は自分が二星斗師になったと確信した。

目を開けると黒い瞳孔に紫光が瞬き、すぐに消えた。

彼は印結を解き、背筋を伸ばし、蓮台から降り立った。

青色の無垢な蓮台を見つめながら、小さく笑みを作り、それを納戒に収めた。

朝焼けを見上げると、少し驚いて言った。

「もう朝なのか?」

伸びをして体が鳴る蕭炎は玄重尺を背負い、「そろそろ出発か」と呟いた。

テーブルの上には大量の高級治療薬が並び、さらに珍しい効能を持つ錬金術薬も置かれ、最後に23粒の回気丹が玉瓶に入っていた。

石漠城での滞在中、蕭炎は地元で治療薬を購入する時間がないと判断し、現存の少量を漠鉄傭兵団のために用意した。

さらに彼は帰還後、より多くの贈り物を準備したいと考えていた。

全ての品が並べられた後、蕭炎は手拍子をして笑みを見せ、玄重尺を背負い部屋から出て行った。

外はまだ薄明かりで、日の出の前触れが遠くに見えた。

部屋を閉めると、小路の先端で小さな影が叫んだ。

「お主様……本当に去られるのですか?」

蕭炎はため息をつき、その小さな体に手を伸ばし、青鱗の頭を撫でながら歩き始めた。

彼女は碧緑の純粋な目で蕭炎を見上げ、「また戻って来られますか?」

と尋ねた。



「ふふ、当然戻るよ。

青鱗はもっと頑張りなさいね」

体を屈めて、蕭炎は青鱗の袖口から現れた双頭の火属性の蛇を見つめた。

軽く笑みを浮かべて、彼は優しく言った。

「私の言葉を覚えておいて。

自分自身のために生きるべきだよ。

他人の視線に気を取られなくていいんだ。

嫌だったら無視してしまえばいい」

「うん」

青鱗は小さく首を横に振った。

その緑色の目には涙が滲んでいた。

「ふふ、私は行ってるわ。

二人の兄貴に謝罪するからね」

立ち上がると、蕭炎は庭外へ向かって歩き始めた。

背中には身長と同じくらいの巨大な黒い槍を背負っているように見えた。

その姿は非常に洒落だった。

小道で立っていた青鱗が、暗闇に消える洒落た背影を見つめながら、手のひらに双頭の火属性の蛇を撫でて言った。

「必ず戻るわ」

高層ビルの上階で、蕭厲は肘を支えにして少年の背影を見ていた。

口角が緩んで笑いながら「この子は昔から変わらない性質だな」とつぶやいた。

柱に寄りかかった蕭鼎は、槍を背負う少年を目で追って、小さく笑った。

「小坊主はますます強くなってるわね。

我々も頑張らなきゃ。

そうでないと後ろ足引っ張られるだけだ」

高層ビルの上階で、二人は顔を見合わせて爆発するような笑い声を上げた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

つまみ食いしたら死にそうになりました なぜか王族と親密に…毒を食べただけですけど

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私は貧しい家に生まれた お母さんが作ってくれたパイを始めて食べて食の楽しさを知った メイドとして働くことになれて少しすると美味しそうなパイが出される 王妃様への食事だと分かっていても食べたかった そんなパイに手を出したが最後、私は王族に気に入られるようになってしまった 私はつまみ食いしただけなんですけど…

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...