【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香

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本編

主人公と対決1

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「んんっ」

 気がついて目を開けると、知らない天井だった。
 手は自由に動かせるけれど、僕はどこにいるんだろう。
 凄く頭が痛い。

「いいかげん起きてくんないかな」

 突然背中に衝撃を受けて、現実に戻された。
 頭が痛い、背中も痛い。
 これって何?

「ここは」
「君の墓場へようこそ。ふふ、ここは君の嫌いな保健室だよ」

 明るい声は木村君だと分ったけれど、部屋が薄暗いのが不安だった。

「木村君?」
「そういう脅えた声、すっごくむかつくんですけどぉ」

 クスクスと笑う声は木村君のもので、僕は頭痛に顔をしかめながら体を起した。

「なんで、僕は白井さんと」
「ああ、白井? 僕の下僕の事? ふふふ」

 ご機嫌なのか木村君は笑い声を上げながら僕の背中を蹴る。

「いっ」
「早く死んでくれないかなあ。ま、これから死んだ方がマシな展開になるんだけど」
「どういう意味」

 ここはどこだろう。木村君は保健室って言っていた?
 だとしたら僕はなんで保健室に?
 疑問は勝手に木村君が答えてくれた。

「僕が自由でいることが不思議? ふふ、理事長室に呼ばれてからトイレに行きたいって大騒ぎしたんだよ。理事長先生も馬鹿でさ、僕を一人でトイレに行かせてくれたの。そしたら逃げるよね。当然だよね。ばっかじゃないのぉ」

 ハイテンションな木村君は、一人で話し始める。

「みやピ-が好感度どのくらいか分らないけど、皆退学エンドになっちゃったから、藤四郎ちゃんとみやピーの二人なら、当然推しの方選ぶでしょ。でも残念逆ハーエンド狙ってたのにどこで選択間違えちゃったのかな」

 この言葉で確信した。
 この人はやっぱり転生者だ。

「知ってる? 君ってね、みやピーエンドの当て馬というか、可哀相な小姓ちゃんって役なんだよ」
「可哀相な小姓?」

 何それ、そんなゲーム展開知らない。
 僕の気持ちを分っているかの様に木村君が話す。

「この世界ってゲームの世界なんだよ。『華乙男は乱れた日々を愛す』っていう二十五禁の超エロ必須のBLゲーム」
「なに、それ」

 二十五禁って何? ゲームのタイトルも僕は知らない。

「びっくりだよねえ。これはね、途中バッドエンドなのかっていう展開から主人公が幸せになるハードBLなゲームなんだよ。僕の一推しは山城雅。そう、みやピーなんだ」

 なにそれ、どういう事。
 僕が知っているゲームは『華乙男ラブ日和』っていうゲームだ。
 そこで二十五禁になるような展開は無かった筈だ。無かったよね?

「みやピールートはね、途中まで主人公が悪役っぽいんだけど、みやピーが愛する小姓が自殺しちゃった後主人公がみやピーを癒やしてあげるの。それで立ち直ってハッピーエンドになるんだよ。素敵でしょ」

 ニコニコと説明されるけれど、全然素敵じゃない。
 それってつまり僕が自殺するってことじゃないか。
 どうしてそんな展開に?

「ふふ。どうして自分が自殺するのって思ってるよね。親切な僕は教えてあげるよ。君はこれから保健医に犯られて、それを苦にして自殺するの。君ってさ昔、子供の頃に君に懸想する家庭教師に誘拐されてるんだよ。知ってる? それをなんか治療で無かった事にされてたのに、保険医に犯られることで思い出して、みやピーに愛される資格が無いって自殺しちゃうの。かわいそーっっ。で、自殺した小姓を思って苦しむピーを癒やすのが僕、主人公のこの僕なんだよ」

 ハイテンションの木村君を、僕は恐怖に感じながら雅は木村君に癒やされたりしないと思っていた。

「僕は死んだりしない。雅は僕の旦那様だから。僕は雅以外旦那様にしたりしないから」

 体が震えるけれど、必死に冷静を装ってそう言うと木村君はフンと鼻を鳴らした。

「そんな強がり、すぐに崩れるよ。僕にはこれがあるからね」

 得意そうに胸を張る木村君は、キラキラ輝く何かを右手に掲げているのだった。
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