104 / 119
本編
味方なのか敵なのか
しおりを挟む
「それ本当の話なのかな」
疑いたいわけじゃ無いけれど、白井さんがここに来た理由が分らない。
木村君がいなくなった事を、雅じゃなく僕に知らせる必要ってある?
「ねえ、何か録音出来るものってあるかな。僕が身に付けていておかしくないもの」
サロンの中に白井さんを招くのは微妙だから、出来るならドアのところで対応したい。
でも僕は白井さんに疎まれている気がするし、なんか先日の白井さんの態度も気になる。
「雅はあの人を信用している感じがするけれど、あの人の僕に対する言動が気になるんだ。それに雅が居ない時に他の人と会って話をするのは何か抵抗があって」
メイドさん達は雅に忠誠を誓っているみたいだし、僕の事も大事にしてくれるから不安な理由を正直に話す。
「雅に誤解される様な行為は避けたいけれど、追い返すのも申し訳ないし。だから何か聞かれたら雅に全部聞いて貰える様にしたいんだけど」
そんな都合の良い道具なんか流石にないか。
でも最悪、僕がそういう道具を望んでいた事実だけ雅に伝わればいいか。
なんて考えていたら、メイドさんは少し考えた後で「ございます」と言い始めた。
「あるの? それ白井さんにそういう道具だってバレちゃう可能性ある?」
「その心配はございません。すぐご用意いたしますのでお待ち下さい」
「うん、お願い」
待たせてるけどそれは仕方ないよね。
怪我して休んでる僕のところに急に訪ねて来た向こうが悪い。うん、そう思うことにしよう。
「雅に一応連絡しておこう」
授業中だろうから、トークアプリで『木村君が居なくなったって、白井さんがサロンに来ているんだけど』と送ってみた。
これで雅がサロンに来てくれたらいいんだけど。
「千晴様こちらが録音出来るチョーカーでございます」
「え、これが?」
銀盆に載せられているのは、黒いビロードの幅広リボンの中央に青い大きな石がついたチョーカーと、二つの指輪だった。
「一度スイッチを入れれば三日間録音し続ける事が出来ると伺っております。ただ一つ難点がございまして」
「難点?」
「はい、装着はどなたでも可能ですが、この金具を外す事が出来るのはご主人様のみなのです。この金具部分に指紋認証機能が付いておりまして、外せなくなります。リボンに見える部分も中に金属が入っており鋏で切ることも出来ません」
「そうなんだ。じゃあ雅に外して貰うから大丈夫。あと、そっちは?」
チョーカーと一緒に銀盆にのっている二つの指輪。
シンプルな金色の指輪には青い石と赤い石がそれぞれ付いている。
「こちらは護身用の指輪でございます。指輪を両手の指にそれぞれ石を掌側に位置するように付けて頂き、何かあれば両手で相手の体に触れて頂きますと軽い電気ショックを与える事が出来るものです」
「え」
軽い電気ショック?
日常で聞く可能性がない単語に、違う意味でショックを受けているとメイドさんは淡々と説明してくれる。
「静電気で金属に触れて衝撃を受けた事はございますか?」
「うん、あるよ。結構痛いよね」
「あの衝撃の十倍程の衝撃を相手に与える事が出来るそうです。勿論生命に関わる衝撃ではございません。何かあった場合逃げる為の隙を作る為の道具でございます」
「そ、そうなんだ」
こんな当り前見たいな言い方するのってありなんだろうか。
引きつりながら頷くと「こちらはお使いになりますか?」と聞いてきたら一応受け取ってそれぞれ指にはめてみた。
「これのスイッチは?」
「チョーカーをお首につけ、金具を止めた時点で録音が開始されます」
「そうなんだ」
雅は何を考えてこれを準備してたんだろ。
僕、もしかして信用されてないのかな。
いや、違うよね。きっと僕の心配をしてたんだ。だって、護身用の指輪も用意してくれたんだから。
「雅の愛情? なんだよね」
「勿論(かなり重すぎる愛情だと存じますが)でございます」
何だろう、メイドさんの返事に何か含みを感じるけど気のせいかな?
「じゃあ、行こうか」
「中には入れないのですね」
「雅のサロンに、雅が居ない時に勝手に入れられないよ」
「畏まりました」
この判断は正解だったのだろう。メイドさんは笑顔で頷いてくれた。
「雅から返事来ないな。ね、僕が白井さんに対応している間雅に電話してくれる?」
「畏まりました」
今僕に付いてるメイドさんが一人だけだから、雅に電話している間僕一人になっちゃうけれどまあそれは仕方ないよね。
「お待たせしました」
「やあ、小姓ちゃん」
「木村君が居なくなったと聞きましたが」
あれ、何この笑顔、なんか顔つきが違う?
ドアを閉め、廊下に出て話すけれど、何かマズい気がする。
「不用心だなあ。だから認められないんだよ」
「え」
にやにやと嗤うのは、知っているけれど知らない顔。
「どれだけ親しい人間でも、信じちゃ駄目って旦那様に習わなかった、小姓ちゃん」
「何が言いたい」
「駄目駄目駄目。認められないよ。あんたじゃ山城家の正妻は無理」
シュッと何かを吹きかけられて、意識がすぐに遠くなる。
「悪く思うなよ。恨むなら不用心な自分を恨むんだな」
白井さんの声、恨むってなに? 何で白井さんがこんなこと。
「雅」
薄れていく意識の中で、白井さんの背後に見えたのは主人公のあの髪色だった。
疑いたいわけじゃ無いけれど、白井さんがここに来た理由が分らない。
木村君がいなくなった事を、雅じゃなく僕に知らせる必要ってある?
「ねえ、何か録音出来るものってあるかな。僕が身に付けていておかしくないもの」
サロンの中に白井さんを招くのは微妙だから、出来るならドアのところで対応したい。
でも僕は白井さんに疎まれている気がするし、なんか先日の白井さんの態度も気になる。
「雅はあの人を信用している感じがするけれど、あの人の僕に対する言動が気になるんだ。それに雅が居ない時に他の人と会って話をするのは何か抵抗があって」
メイドさん達は雅に忠誠を誓っているみたいだし、僕の事も大事にしてくれるから不安な理由を正直に話す。
「雅に誤解される様な行為は避けたいけれど、追い返すのも申し訳ないし。だから何か聞かれたら雅に全部聞いて貰える様にしたいんだけど」
そんな都合の良い道具なんか流石にないか。
でも最悪、僕がそういう道具を望んでいた事実だけ雅に伝わればいいか。
なんて考えていたら、メイドさんは少し考えた後で「ございます」と言い始めた。
「あるの? それ白井さんにそういう道具だってバレちゃう可能性ある?」
「その心配はございません。すぐご用意いたしますのでお待ち下さい」
「うん、お願い」
待たせてるけどそれは仕方ないよね。
怪我して休んでる僕のところに急に訪ねて来た向こうが悪い。うん、そう思うことにしよう。
「雅に一応連絡しておこう」
授業中だろうから、トークアプリで『木村君が居なくなったって、白井さんがサロンに来ているんだけど』と送ってみた。
これで雅がサロンに来てくれたらいいんだけど。
「千晴様こちらが録音出来るチョーカーでございます」
「え、これが?」
銀盆に載せられているのは、黒いビロードの幅広リボンの中央に青い大きな石がついたチョーカーと、二つの指輪だった。
「一度スイッチを入れれば三日間録音し続ける事が出来ると伺っております。ただ一つ難点がございまして」
「難点?」
「はい、装着はどなたでも可能ですが、この金具を外す事が出来るのはご主人様のみなのです。この金具部分に指紋認証機能が付いておりまして、外せなくなります。リボンに見える部分も中に金属が入っており鋏で切ることも出来ません」
「そうなんだ。じゃあ雅に外して貰うから大丈夫。あと、そっちは?」
チョーカーと一緒に銀盆にのっている二つの指輪。
シンプルな金色の指輪には青い石と赤い石がそれぞれ付いている。
「こちらは護身用の指輪でございます。指輪を両手の指にそれぞれ石を掌側に位置するように付けて頂き、何かあれば両手で相手の体に触れて頂きますと軽い電気ショックを与える事が出来るものです」
「え」
軽い電気ショック?
日常で聞く可能性がない単語に、違う意味でショックを受けているとメイドさんは淡々と説明してくれる。
「静電気で金属に触れて衝撃を受けた事はございますか?」
「うん、あるよ。結構痛いよね」
「あの衝撃の十倍程の衝撃を相手に与える事が出来るそうです。勿論生命に関わる衝撃ではございません。何かあった場合逃げる為の隙を作る為の道具でございます」
「そ、そうなんだ」
こんな当り前見たいな言い方するのってありなんだろうか。
引きつりながら頷くと「こちらはお使いになりますか?」と聞いてきたら一応受け取ってそれぞれ指にはめてみた。
「これのスイッチは?」
「チョーカーをお首につけ、金具を止めた時点で録音が開始されます」
「そうなんだ」
雅は何を考えてこれを準備してたんだろ。
僕、もしかして信用されてないのかな。
いや、違うよね。きっと僕の心配をしてたんだ。だって、護身用の指輪も用意してくれたんだから。
「雅の愛情? なんだよね」
「勿論(かなり重すぎる愛情だと存じますが)でございます」
何だろう、メイドさんの返事に何か含みを感じるけど気のせいかな?
「じゃあ、行こうか」
「中には入れないのですね」
「雅のサロンに、雅が居ない時に勝手に入れられないよ」
「畏まりました」
この判断は正解だったのだろう。メイドさんは笑顔で頷いてくれた。
「雅から返事来ないな。ね、僕が白井さんに対応している間雅に電話してくれる?」
「畏まりました」
今僕に付いてるメイドさんが一人だけだから、雅に電話している間僕一人になっちゃうけれどまあそれは仕方ないよね。
「お待たせしました」
「やあ、小姓ちゃん」
「木村君が居なくなったと聞きましたが」
あれ、何この笑顔、なんか顔つきが違う?
ドアを閉め、廊下に出て話すけれど、何かマズい気がする。
「不用心だなあ。だから認められないんだよ」
「え」
にやにやと嗤うのは、知っているけれど知らない顔。
「どれだけ親しい人間でも、信じちゃ駄目って旦那様に習わなかった、小姓ちゃん」
「何が言いたい」
「駄目駄目駄目。認められないよ。あんたじゃ山城家の正妻は無理」
シュッと何かを吹きかけられて、意識がすぐに遠くなる。
「悪く思うなよ。恨むなら不用心な自分を恨むんだな」
白井さんの声、恨むってなに? 何で白井さんがこんなこと。
「雅」
薄れていく意識の中で、白井さんの背後に見えたのは主人公のあの髪色だった。
162
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
龍は精霊の愛し子を愛でる
林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。
その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。
王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる