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本編
主人公と対決2
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「何それ」
ゲームについて言いたい事が沢山あったけれど、そういえば録音装置を身に付けていたと思い出して、知らない振りをすることにした。
「これはねえ。魅了の腕輪」
「え」
魅了の腕輪は、ゲームのお助けアイテムだけど。入手がもの凄く大変な、ちっともお助けにならないアイテムだった。
「これを腕にはめて、相手に触れると相手が心の底で思っている事を増長させるんだよ」
「増長?」
「そう。増長と魅了が同時に出来る。スペシャルアイテム。入手には条件が厳しいんだけど、そこは僕主人公だからね。余裕にできたってわけ」
ご機嫌に話す木村君は、趣味が悪いと感じる腕輪を僕に見せびらかしながら話し続ける。
「これを付けた状態で話すと、相手は簡単に僕を好きになるし。その人が今まで思っていたコンプレックスも願望もマシマシになるの。だから僕はその願望やコンプレックスを認めて上げてついでに僕に夢中になるようにすれば、簡単に僕の傀儡。ついでに色々と十八禁以上のね、嫌らしいって行為をすれば完璧に僕の下僕になるんだよ」
「なに、それ」
そんなアイテムがゲームにあったなんて知らない。腕輪は好感度が上がりやすくなるだけのお助けアイテムだった筈だ。魅了と名前はついていても完全攻略は出来ないけど、逆ハー狙いの時はありがたいアイテムなんだ。
「そんなの嘘だよね」
この世界にそんな物があるなんて信じられない。でもそんなアイテムがあるなら、川島君達が主人公に簡単に夢中になった理由も分る。
「このアイテムってさ、僕が魅了したい相手は取りあえず魅了出来るんだ。でも、相手が両思いだと魅了が解けちゃうんだよね。むかつく。だから藤四郎ちゃんは魅了が解けちゃったんだよね。気に言ってたのに残念」
「どういうこと」
僕の前世が知っているゲームと違うゲームがあるっていう事なんだろうか。
でも、そんな事ってあるんだろうか。
「逆ハー狙ってたけれどなんかバッドエンドになっちゃうし、だったら最後残ってるみやピー小姓自殺エンドを狙うしかないじゃない?」
「それって」
「さっきも教えてあげたけど、あんたってさ、覚えてないだろうけど、子供の頃メイドに誘拐されて、メイドと家庭教師におもちゃにされる一歩手前で助け出されてんの。それをあんたの親が催眠術だかなんかで隠してるんだけど、その家庭教師が保険医になって、そいつにやられて正気を失うの。かわいそーー」
どういうこと、僕が誰に何をされたって?
がくがくと体が震える。
「あんたのそれはトラウマになってて、エロエロ写真を見るだけで具合が悪くなるの。でもね、保険医にやられるだけじゃつまらないでしょ。僕はこんなにみやピーが好きなのに、あんたみたいなモブが独占してるんだから」
「独占って、僕は雅の小姓で」
気持ち悪い。僕が誰に誘拐された? 僕は何をされた?
「それがむかつくから、お仕置きしたんだよ。ねえ、急に不安にならなかった? 旦那様がいないだけで心細くなったりしなかった? ふふふ。それ僕が狙った演出だよ」
「どういう、こと」
「だって、憎たらしいよね。僕のみやピーなのに。こんなモブが小姓でいるなんて。むーかーつーくーっ」
一人で嗤って騒ぐ木村君の声に僕はびくつきながら、尋ねる。
「君は僕が邪魔だからこんなことしたの? 白井さんは君に協力してるってこと?」
「そうだよ。彼は僕の手下。ふふ、攻略対象三人退学でどうしようかと思ったけど、逆ハーが無理なら推しメンだけでいいかって思うよね」
「何がしたいの」
雅は僕を見失ってるだろうか。
でも、僕は雅にトークアプリで連絡したし、メイドさんが電話も掛けた。
どうなの、これって雅は今どこにいる?
「ねえ、ぐちゃぐちゃにやられて精神病んで死んでくれる? 僕はそうなったら幸せになれるんだけど」
「君が幸せになれるなんて、僕は思わない。他人を騙して高価な物を買わせて、一人だけに永遠を誓う筈の小姓を複数に望むなんて」
「なにそれ、むかつく」
がんっと背中を蹴られて、息が詰まる。
助けて雅、願いながら小さく体を丸める。
「早くやられて死んじゃってよ。邪魔なんだよお前」
「僕は死なない。雅が僕を望んでくれる限り、僕は雅の小姓だから」
「そんな事言っていられるのも、今だけだよ」
「何がしたいの」
「何が? あんたが、僕の一推しのみやピーに、お姫様的に大事にされてるあんたが大嫌いなんだよ。だから恐怖に脅えて、死にそうな位に嘆いて、そのあげく死んでいく。それが僕の希望だよ」
「なにそれ」
「ふふふ、さあ、嘆きのショーの始まり始まり。出演はあんたと変態保険医。ちゃんと動画も撮ってあげる」
薄暗い部屋が急に明るくなって、カメラを構えた白井さんと、ニヤニヤ笑っている保険医が近付いてきた。
「こ、来ないで」
蹴られた体が痛いけど、逃げようと後退る。
だけど、保健室のドアに行くには三人が邪魔をする。
「いや、来ないで。いや、雅、助けて雅っ!」
僕の声は、虚しく保健室に響き続けた。
ゲームについて言いたい事が沢山あったけれど、そういえば録音装置を身に付けていたと思い出して、知らない振りをすることにした。
「これはねえ。魅了の腕輪」
「え」
魅了の腕輪は、ゲームのお助けアイテムだけど。入手がもの凄く大変な、ちっともお助けにならないアイテムだった。
「これを腕にはめて、相手に触れると相手が心の底で思っている事を増長させるんだよ」
「増長?」
「そう。増長と魅了が同時に出来る。スペシャルアイテム。入手には条件が厳しいんだけど、そこは僕主人公だからね。余裕にできたってわけ」
ご機嫌に話す木村君は、趣味が悪いと感じる腕輪を僕に見せびらかしながら話し続ける。
「これを付けた状態で話すと、相手は簡単に僕を好きになるし。その人が今まで思っていたコンプレックスも願望もマシマシになるの。だから僕はその願望やコンプレックスを認めて上げてついでに僕に夢中になるようにすれば、簡単に僕の傀儡。ついでに色々と十八禁以上のね、嫌らしいって行為をすれば完璧に僕の下僕になるんだよ」
「なに、それ」
そんなアイテムがゲームにあったなんて知らない。腕輪は好感度が上がりやすくなるだけのお助けアイテムだった筈だ。魅了と名前はついていても完全攻略は出来ないけど、逆ハー狙いの時はありがたいアイテムなんだ。
「そんなの嘘だよね」
この世界にそんな物があるなんて信じられない。でもそんなアイテムがあるなら、川島君達が主人公に簡単に夢中になった理由も分る。
「このアイテムってさ、僕が魅了したい相手は取りあえず魅了出来るんだ。でも、相手が両思いだと魅了が解けちゃうんだよね。むかつく。だから藤四郎ちゃんは魅了が解けちゃったんだよね。気に言ってたのに残念」
「どういうこと」
僕の前世が知っているゲームと違うゲームがあるっていう事なんだろうか。
でも、そんな事ってあるんだろうか。
「逆ハー狙ってたけれどなんかバッドエンドになっちゃうし、だったら最後残ってるみやピー小姓自殺エンドを狙うしかないじゃない?」
「それって」
「さっきも教えてあげたけど、あんたってさ、覚えてないだろうけど、子供の頃メイドに誘拐されて、メイドと家庭教師におもちゃにされる一歩手前で助け出されてんの。それをあんたの親が催眠術だかなんかで隠してるんだけど、その家庭教師が保険医になって、そいつにやられて正気を失うの。かわいそーー」
どういうこと、僕が誰に何をされたって?
がくがくと体が震える。
「あんたのそれはトラウマになってて、エロエロ写真を見るだけで具合が悪くなるの。でもね、保険医にやられるだけじゃつまらないでしょ。僕はこんなにみやピーが好きなのに、あんたみたいなモブが独占してるんだから」
「独占って、僕は雅の小姓で」
気持ち悪い。僕が誰に誘拐された? 僕は何をされた?
「それがむかつくから、お仕置きしたんだよ。ねえ、急に不安にならなかった? 旦那様がいないだけで心細くなったりしなかった? ふふふ。それ僕が狙った演出だよ」
「どういう、こと」
「だって、憎たらしいよね。僕のみやピーなのに。こんなモブが小姓でいるなんて。むーかーつーくーっ」
一人で嗤って騒ぐ木村君の声に僕はびくつきながら、尋ねる。
「君は僕が邪魔だからこんなことしたの? 白井さんは君に協力してるってこと?」
「そうだよ。彼は僕の手下。ふふ、攻略対象三人退学でどうしようかと思ったけど、逆ハーが無理なら推しメンだけでいいかって思うよね」
「何がしたいの」
雅は僕を見失ってるだろうか。
でも、僕は雅にトークアプリで連絡したし、メイドさんが電話も掛けた。
どうなの、これって雅は今どこにいる?
「ねえ、ぐちゃぐちゃにやられて精神病んで死んでくれる? 僕はそうなったら幸せになれるんだけど」
「君が幸せになれるなんて、僕は思わない。他人を騙して高価な物を買わせて、一人だけに永遠を誓う筈の小姓を複数に望むなんて」
「なにそれ、むかつく」
がんっと背中を蹴られて、息が詰まる。
助けて雅、願いながら小さく体を丸める。
「早くやられて死んじゃってよ。邪魔なんだよお前」
「僕は死なない。雅が僕を望んでくれる限り、僕は雅の小姓だから」
「そんな事言っていられるのも、今だけだよ」
「何がしたいの」
「何が? あんたが、僕の一推しのみやピーに、お姫様的に大事にされてるあんたが大嫌いなんだよ。だから恐怖に脅えて、死にそうな位に嘆いて、そのあげく死んでいく。それが僕の希望だよ」
「なにそれ」
「ふふふ、さあ、嘆きのショーの始まり始まり。出演はあんたと変態保険医。ちゃんと動画も撮ってあげる」
薄暗い部屋が急に明るくなって、カメラを構えた白井さんと、ニヤニヤ笑っている保険医が近付いてきた。
「こ、来ないで」
蹴られた体が痛いけど、逃げようと後退る。
だけど、保健室のドアに行くには三人が邪魔をする。
「いや、来ないで。いや、雅、助けて雅っ!」
僕の声は、虚しく保健室に響き続けた。
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