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本編
絶体絶命って
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「白井さん、雅の信用裏切るんですかっ!」
ニヤニヤ笑いでゆっくりと近付いてくる保険医を睨み付けながら、ビデオカメラを構えている白井さんを説得しようと試みる。
三人の中で唯一なんとかなるかもしれない相手、でも僕の助けより、雅の方が大事だった。
だって雅は信用してたんだ、あんなに気安く話しをしてる雅を初めて見たのに。
それなのに、裏切るなんて。
「お前は小姓として認められない。お前を排除する方が結果的にあいつの為になる。それにこいつなら、妹が正妻になれるんだ」
「雅は白井さんの妹じゃ幸せになれないって言ってたよ!いつ寝首をかかれるか分からない相手じゃ駄目だって。信用できないって。あなたと違って、妹さんは雅に信用されてないんだよ!」
ジリジリと後ろに下がりながら、必死に考える。
もしこれで僕が自殺したとしたら、雅は一生白井さんを恨むだろう。
あんなに仲良しに見えた二人なのに、そんなの駄目だよ。
「雅を悲しませないで。雅は白井さんを信じてるのに、その信頼を裏切らないでよ」
「そんなの、もう遅いんだよ。お馬鹿でいい子の君はここでそいつのおもちゃになって、精神壊して終わるんだ」
「そうそう。ずっとこの時を待ったんだ、可愛い私のおもちゃ。観客がいるけれど、それもいいよね。泣き叫ぶ哀れな姿を見て貰おうね。もう君は私のものだよ」
ニヤニヤ笑いが気持ち悪くて、吐きそうになる。
体が震えて、冷や汗が止まらない。
気を失いそうになるのを必死に堪えて、ぎゅうっと左手を握る。
縫った傷の痛みに、正気に返る。
指輪の感覚に、これがあったと思い出す。
「僕の旦那様は雅だけだよ。絶対にあんたなんかのものになったりしないからっ」
叫びながら後ろに下がった途端、ガタンと何かにぶつかった。
机? もう逃げ場がない。
「もう後はないよ。どうやって逃げるのかな?」
「嫌っ! 来ないでっ!」
怖い、怖い、怖いっ。
「雅だけなのっ!雅以外駄目なのっ!」
泣きながら必死に、机の上にあった物を投げつける。
手帳、電話、卓上カレンダー、ティッシュボックスに、文房具が乗ったトレイを投げつけても、保険医はにやにや笑いをしながら近付いてくる。
「もう抵抗はお仕舞いかな?震えて可愛いねえ」
「来ないでっ、来ないでっ!雅、雅っ」
散らばった文房具の中にあったハサミを拾い、床にしゃがみこみながら両手でハサミを握る。
「それが抵抗?ばっかじゃないの?なんならそれで首でも突いたら?そしたら後腐れなくて楽チンなんですけどー」
「死なないよ。僕は、雅のところに帰るんだから」
「これからそいつに、どろどろのぐちゃぐちゃのおもちゃにされるあんたを、みやピーが受け入れるわけないじゃん。馬鹿はそんなことも分からないんだねぇ。可哀想ー」
「そんなことないっ、雅は僕を受け入れてくれるよ!どんな僕だって、きっと。僕は、雅を信じてる!」
叫びながらハサミを保険医に向け続ける。
こんなものでも、抵抗の道具になるなら諦めない。
「早く壊れちゃえ、良い子ぶりっ子は気持ち悪いんだよ」
「何言ってる、そこが可愛いんだろ。お前みたいなアバズレじゃない。父親に守られお姫様の様に純真無垢に育てられた貴重品だぞ」
「そういうのを壊すのが好きなんて、あんたはただの変質者だよねぇ。ほーら怯えた子猫ちゃん。もう観念したらぁ」
ケタケタと嗤う顔、違う顔に見える。
『可愛い坊っちゃま、ふふふ。誰も疑わないわ、私は真面目に働くメイドですもの』
『まさか自分の家で使用人に可愛い息子が襲われるとは、伯爵も思ってないよな』
『ご主人様が戻ってくる前に楽しみましよう、ずっとこの機会を待っていたのよ』
僕を見下ろし嗤う顔、僕に伸ばされる手がただ怖かった。
「いやっ、いやぁあっ!」
ハサミを振り回す手を掴まれて、ギュウッと包帯を巻いた指を握られる。
「痛っ!」
指を強く握られたまま引っ張られ、床に体を倒される。
「抵抗は終わりだよ。これからは躾の時間だ」
「いやっ。あぁっ!」
ダンッと、僕の指を踏みつける。
ぶつんと、何かが切れる感覚と一緒に痛みが走る。
「さあ、言え。僕は先生のおもちゃです」
「言わなっい。僕は、僕は雅の小姓だよっ!雅だけが僕の旦那様なんだからっ!」
無理矢理手を引き抜いて、両手で保険医の右足首を掴む。
掴むだけじゃ駄目だ、指輪の石を押し付けなきゃ。
「そんなんで抵抗っ、うっうっ」
僕が掴んでいる足とは反対の足で、僕を蹴ろうとしていた保険医は、そのままバタンと後ろに倒れていった。
「何?」
「先生なにふざけて、え、何?」
ガタガタとドアノブが揺れている。
まさか、雅。
ヨロヨロと立ち上がり、ドアに向かって走ろうとした僕は、起き上がった保険医に後ろから羽交い締めにされた。
「逃がさないよ。ドアは外から開かないから、このまま壊れてしまえ」
「いやっだ!雅っ!」
逃げようとするのに、非力な僕は声をあげるしか出来ない。
「嫌っ!雅っ!雅っ!」
それでも必死に暴れて、叫んで、逃げようとした。
シャツを引きちぎる様に破られて、破れたシャツで後ろ手に縛られた僕はもう逃げられないと悟った
「もう、終わりにするか」
そう言ったのは、白井さんの声だった。
「え」
「ほら、王子様のお迎えだ」
笑いながらドアに近付くと、白井さんは笑いながらドアを開いたのだった。
ニヤニヤ笑いでゆっくりと近付いてくる保険医を睨み付けながら、ビデオカメラを構えている白井さんを説得しようと試みる。
三人の中で唯一なんとかなるかもしれない相手、でも僕の助けより、雅の方が大事だった。
だって雅は信用してたんだ、あんなに気安く話しをしてる雅を初めて見たのに。
それなのに、裏切るなんて。
「お前は小姓として認められない。お前を排除する方が結果的にあいつの為になる。それにこいつなら、妹が正妻になれるんだ」
「雅は白井さんの妹じゃ幸せになれないって言ってたよ!いつ寝首をかかれるか分からない相手じゃ駄目だって。信用できないって。あなたと違って、妹さんは雅に信用されてないんだよ!」
ジリジリと後ろに下がりながら、必死に考える。
もしこれで僕が自殺したとしたら、雅は一生白井さんを恨むだろう。
あんなに仲良しに見えた二人なのに、そんなの駄目だよ。
「雅を悲しませないで。雅は白井さんを信じてるのに、その信頼を裏切らないでよ」
「そんなの、もう遅いんだよ。お馬鹿でいい子の君はここでそいつのおもちゃになって、精神壊して終わるんだ」
「そうそう。ずっとこの時を待ったんだ、可愛い私のおもちゃ。観客がいるけれど、それもいいよね。泣き叫ぶ哀れな姿を見て貰おうね。もう君は私のものだよ」
ニヤニヤ笑いが気持ち悪くて、吐きそうになる。
体が震えて、冷や汗が止まらない。
気を失いそうになるのを必死に堪えて、ぎゅうっと左手を握る。
縫った傷の痛みに、正気に返る。
指輪の感覚に、これがあったと思い出す。
「僕の旦那様は雅だけだよ。絶対にあんたなんかのものになったりしないからっ」
叫びながら後ろに下がった途端、ガタンと何かにぶつかった。
机? もう逃げ場がない。
「もう後はないよ。どうやって逃げるのかな?」
「嫌っ! 来ないでっ!」
怖い、怖い、怖いっ。
「雅だけなのっ!雅以外駄目なのっ!」
泣きながら必死に、机の上にあった物を投げつける。
手帳、電話、卓上カレンダー、ティッシュボックスに、文房具が乗ったトレイを投げつけても、保険医はにやにや笑いをしながら近付いてくる。
「もう抵抗はお仕舞いかな?震えて可愛いねえ」
「来ないでっ、来ないでっ!雅、雅っ」
散らばった文房具の中にあったハサミを拾い、床にしゃがみこみながら両手でハサミを握る。
「それが抵抗?ばっかじゃないの?なんならそれで首でも突いたら?そしたら後腐れなくて楽チンなんですけどー」
「死なないよ。僕は、雅のところに帰るんだから」
「これからそいつに、どろどろのぐちゃぐちゃのおもちゃにされるあんたを、みやピーが受け入れるわけないじゃん。馬鹿はそんなことも分からないんだねぇ。可哀想ー」
「そんなことないっ、雅は僕を受け入れてくれるよ!どんな僕だって、きっと。僕は、雅を信じてる!」
叫びながらハサミを保険医に向け続ける。
こんなものでも、抵抗の道具になるなら諦めない。
「早く壊れちゃえ、良い子ぶりっ子は気持ち悪いんだよ」
「何言ってる、そこが可愛いんだろ。お前みたいなアバズレじゃない。父親に守られお姫様の様に純真無垢に育てられた貴重品だぞ」
「そういうのを壊すのが好きなんて、あんたはただの変質者だよねぇ。ほーら怯えた子猫ちゃん。もう観念したらぁ」
ケタケタと嗤う顔、違う顔に見える。
『可愛い坊っちゃま、ふふふ。誰も疑わないわ、私は真面目に働くメイドですもの』
『まさか自分の家で使用人に可愛い息子が襲われるとは、伯爵も思ってないよな』
『ご主人様が戻ってくる前に楽しみましよう、ずっとこの機会を待っていたのよ』
僕を見下ろし嗤う顔、僕に伸ばされる手がただ怖かった。
「いやっ、いやぁあっ!」
ハサミを振り回す手を掴まれて、ギュウッと包帯を巻いた指を握られる。
「痛っ!」
指を強く握られたまま引っ張られ、床に体を倒される。
「抵抗は終わりだよ。これからは躾の時間だ」
「いやっ。あぁっ!」
ダンッと、僕の指を踏みつける。
ぶつんと、何かが切れる感覚と一緒に痛みが走る。
「さあ、言え。僕は先生のおもちゃです」
「言わなっい。僕は、僕は雅の小姓だよっ!雅だけが僕の旦那様なんだからっ!」
無理矢理手を引き抜いて、両手で保険医の右足首を掴む。
掴むだけじゃ駄目だ、指輪の石を押し付けなきゃ。
「そんなんで抵抗っ、うっうっ」
僕が掴んでいる足とは反対の足で、僕を蹴ろうとしていた保険医は、そのままバタンと後ろに倒れていった。
「何?」
「先生なにふざけて、え、何?」
ガタガタとドアノブが揺れている。
まさか、雅。
ヨロヨロと立ち上がり、ドアに向かって走ろうとした僕は、起き上がった保険医に後ろから羽交い締めにされた。
「逃がさないよ。ドアは外から開かないから、このまま壊れてしまえ」
「いやっだ!雅っ!」
逃げようとするのに、非力な僕は声をあげるしか出来ない。
「嫌っ!雅っ!雅っ!」
それでも必死に暴れて、叫んで、逃げようとした。
シャツを引きちぎる様に破られて、破れたシャツで後ろ手に縛られた僕はもう逃げられないと悟った
「もう、終わりにするか」
そう言ったのは、白井さんの声だった。
「え」
「ほら、王子様のお迎えだ」
笑いながらドアに近付くと、白井さんは笑いながらドアを開いたのだった。
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