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花祭りは素敵なお祭りでした
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「なあ、ここで何があるんだ?」
噴水前に陣取ってウキウキとその時を待つ私に、龍斗さんがキョロキョロしながら尋ねる。
周りには続々と若い男女のカップルが集まり始めていた。
「おばあさまとかーさまにね、はなまつりのいいつたえをきいたんだよね。」
「言い伝え?」
龍斗さんと、側で聞いていたジルも首を傾げる。
「うん。おばあさまとかーさまも、わかいころに、おじいさまととーさまといっしょにここにきたんだって。」
「どんな言い伝えなんだよ。」
「う~ん。もうちょっとのはずだから、あとすこしまってて。」
カーーン。カーーン。カーーン。
私が言い終わるのと同時に、近くにある教会の鐘が鳴り響いた。
それが合図だったかのように、辺りにそよそよと風が吹き始め、段々と強くなる。
そして突如、竜巻のような風が起こり、町の至る所に飾ってあった花々が噴水の水と一緒に空高く巻き上げられた。
水飛沫が夕日に照らされてキラキラと輝き、落ちてくる無数の花々の綺麗さと相まって、とても美しい光景が辺りに広がっている。
一際歓声の大きな方を向けば、降り注ぐ花々の間から、見事な虹が掛かっているのが見えた。
みんなが空を見上げ、虹とヒラヒラと舞う花に見惚れている。
「アヤナ」
私もそれに漏れる事なく見惚れていると、リスターに肩を叩かれて我に返った。
「叔母上に聞いた言い伝え、実戦しなくてもいいの?」
リスターが小声で私に耳打ちする。
うっ……。そうなんだけどね。いざその時になってみると、なかなか実戦するのが難しいというか、自分からするのは勇気がいるというか……。
私が俯いてモジモジしていると、リスターがクスリと笑って私の名前を呼んだ。
「アヤナ。こっちを向いて?」
私は勇気を振り絞って顔を上げる。
目の前にはリスターの綺麗な顔が至近距離にあって、段々と近づいてきた。
チュッ。
私の唇とリスターの唇が軽く触れる。
私が驚いて目を丸くしていると、リスターが頬を染めながら私の手を取った。
「リ、リ、リスター!?もしかして、はなまつりのいいつたえしってる!?」
私は顔がみるみる真っ赤になっていくのが自分でも分かった。
かーさま達に聞いた花祭りの言い伝えは……花々の舞う噴水前で恋人同士がキスをして愛を誓い合うと、永遠に結ばれるというもの。
リスターとこれからもずっと一緒にいたくて張り切っていたけど、私からリスターにキスする勇気がやっぱり無くて。
せめて噴水前でリスターと一緒に居られればいいかなぁってぐらいに思ってたのに。
思ってたのに!!
「勿論だよ。僕がアヤナを花祭りに誘ったんだからね?最初から僕にとってのメインイベントはこの噴水さ。」
リスターが握っている手の力を強める。
そして、頬が赤いのはそのままに、真剣な眼差しで私を見つめた。
「アヤナ、好きだよ。大好き。この思いは、ずっと変わらない。だから……だからね、大人になったら僕と結婚して下さい。」
リスターのその言葉を聞いた瞬間、私の全身にブワッと衝撃が走った。
いつも私の事を考えてくれるリスター。
優しくてカッコよくて頼りになる、私の大好きな人。
私も、ずっとずっとリスターと一緒にいたい。
顔はまだ真っ赤のままだと思うけど、私も真剣にリスターを見つめ返して頷いた。
「はい。よろしくおねがいします。わたしも、リスターがだいすき。」
私の返事を聞いたリスターは、蕩けるような笑顔を私に向けると、みんなの方を振り返る。
みんなは唖然とした表情でこっちを見ていた。
「と、いう事なので。」
リスターはそう言って私を引き寄せ、嬉しそうに微笑んだ。
「今時のガキはやる事が早えな……。」
龍斗さんが苦笑して呟く。
「アヤナ、綺麗だね。ここにアヤナといられてとっても幸せだよ。終わったら、叔母上に2人で報告しないとね?」
私はまだ心臓がドキドキとうるさ過ぎて、コクコクと頷くことしか出来なかった。
リスターは微笑むと、花々の舞う空を見上げた。
私も釣られて上を見上げる。
その光景は、さっき見ていた時よりも輝いて見えた。
「ぼ……私は認めないぞ!ま、まだ結婚した訳じゃないし。ただの約束じゃないか。まだチャンスはあるさ。」
「ジル様……。初めて恋した日が失恋した日になるとは、なんともお労しい。」
「げっ。初恋が彩菜とか可哀想過ぎだろ。リスターがいる限り、その恋は実らねえな。」
「だから、まだそんなの分からないじゃないか!」
「お前なぁ……。リスターを甘く見るんじゃねえぞ。」
ジル達の間でそんな会話がされている中……。
リスターと手を繋いで空を見上げていた私は、目の前に広がる美しい光景にただただ見惚れていて、周りの音が全く聞こえていなかった。
花祭り終了後、何故かイナムさんに引き摺られるように帰って行くジルを見送って、私達も帰路に着いた。
「楽しかったね。」
リスターが満足そうに言って微笑む。
「うん!とっても楽しかった!リスター、りゅうとさん、ありがとう!!」
私も大満足だったよ!
花祭りは、とっても楽しくて、とっても素敵なお祭りでした。
噴水前に陣取ってウキウキとその時を待つ私に、龍斗さんがキョロキョロしながら尋ねる。
周りには続々と若い男女のカップルが集まり始めていた。
「おばあさまとかーさまにね、はなまつりのいいつたえをきいたんだよね。」
「言い伝え?」
龍斗さんと、側で聞いていたジルも首を傾げる。
「うん。おばあさまとかーさまも、わかいころに、おじいさまととーさまといっしょにここにきたんだって。」
「どんな言い伝えなんだよ。」
「う~ん。もうちょっとのはずだから、あとすこしまってて。」
カーーン。カーーン。カーーン。
私が言い終わるのと同時に、近くにある教会の鐘が鳴り響いた。
それが合図だったかのように、辺りにそよそよと風が吹き始め、段々と強くなる。
そして突如、竜巻のような風が起こり、町の至る所に飾ってあった花々が噴水の水と一緒に空高く巻き上げられた。
水飛沫が夕日に照らされてキラキラと輝き、落ちてくる無数の花々の綺麗さと相まって、とても美しい光景が辺りに広がっている。
一際歓声の大きな方を向けば、降り注ぐ花々の間から、見事な虹が掛かっているのが見えた。
みんなが空を見上げ、虹とヒラヒラと舞う花に見惚れている。
「アヤナ」
私もそれに漏れる事なく見惚れていると、リスターに肩を叩かれて我に返った。
「叔母上に聞いた言い伝え、実戦しなくてもいいの?」
リスターが小声で私に耳打ちする。
うっ……。そうなんだけどね。いざその時になってみると、なかなか実戦するのが難しいというか、自分からするのは勇気がいるというか……。
私が俯いてモジモジしていると、リスターがクスリと笑って私の名前を呼んだ。
「アヤナ。こっちを向いて?」
私は勇気を振り絞って顔を上げる。
目の前にはリスターの綺麗な顔が至近距離にあって、段々と近づいてきた。
チュッ。
私の唇とリスターの唇が軽く触れる。
私が驚いて目を丸くしていると、リスターが頬を染めながら私の手を取った。
「リ、リ、リスター!?もしかして、はなまつりのいいつたえしってる!?」
私は顔がみるみる真っ赤になっていくのが自分でも分かった。
かーさま達に聞いた花祭りの言い伝えは……花々の舞う噴水前で恋人同士がキスをして愛を誓い合うと、永遠に結ばれるというもの。
リスターとこれからもずっと一緒にいたくて張り切っていたけど、私からリスターにキスする勇気がやっぱり無くて。
せめて噴水前でリスターと一緒に居られればいいかなぁってぐらいに思ってたのに。
思ってたのに!!
「勿論だよ。僕がアヤナを花祭りに誘ったんだからね?最初から僕にとってのメインイベントはこの噴水さ。」
リスターが握っている手の力を強める。
そして、頬が赤いのはそのままに、真剣な眼差しで私を見つめた。
「アヤナ、好きだよ。大好き。この思いは、ずっと変わらない。だから……だからね、大人になったら僕と結婚して下さい。」
リスターのその言葉を聞いた瞬間、私の全身にブワッと衝撃が走った。
いつも私の事を考えてくれるリスター。
優しくてカッコよくて頼りになる、私の大好きな人。
私も、ずっとずっとリスターと一緒にいたい。
顔はまだ真っ赤のままだと思うけど、私も真剣にリスターを見つめ返して頷いた。
「はい。よろしくおねがいします。わたしも、リスターがだいすき。」
私の返事を聞いたリスターは、蕩けるような笑顔を私に向けると、みんなの方を振り返る。
みんなは唖然とした表情でこっちを見ていた。
「と、いう事なので。」
リスターはそう言って私を引き寄せ、嬉しそうに微笑んだ。
「今時のガキはやる事が早えな……。」
龍斗さんが苦笑して呟く。
「アヤナ、綺麗だね。ここにアヤナといられてとっても幸せだよ。終わったら、叔母上に2人で報告しないとね?」
私はまだ心臓がドキドキとうるさ過ぎて、コクコクと頷くことしか出来なかった。
リスターは微笑むと、花々の舞う空を見上げた。
私も釣られて上を見上げる。
その光景は、さっき見ていた時よりも輝いて見えた。
「ぼ……私は認めないぞ!ま、まだ結婚した訳じゃないし。ただの約束じゃないか。まだチャンスはあるさ。」
「ジル様……。初めて恋した日が失恋した日になるとは、なんともお労しい。」
「げっ。初恋が彩菜とか可哀想過ぎだろ。リスターがいる限り、その恋は実らねえな。」
「だから、まだそんなの分からないじゃないか!」
「お前なぁ……。リスターを甘く見るんじゃねえぞ。」
ジル達の間でそんな会話がされている中……。
リスターと手を繋いで空を見上げていた私は、目の前に広がる美しい光景にただただ見惚れていて、周りの音が全く聞こえていなかった。
花祭り終了後、何故かイナムさんに引き摺られるように帰って行くジルを見送って、私達も帰路に着いた。
「楽しかったね。」
リスターが満足そうに言って微笑む。
「うん!とっても楽しかった!リスター、りゅうとさん、ありがとう!!」
私も大満足だったよ!
花祭りは、とっても楽しくて、とっても素敵なお祭りでした。
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