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教会に行きました
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「お母様、後どれくらいで着きそう?」
私は馬車に揺られながら、隣に座るお母様に尋ねた。
「もうそろそろ見えてくる筈ですよ。ほら、あそこに。」
私に尋ねられたお母様が窓の外を伺うと、丁度遠くの方に見えてきた建物を指差す。
そこには、壁を蔦が覆っている古めかしい教会だった。
教会への訪問が決まったのが1週間前。
騎士団が町の警備の為に巡回していると、教会の神父様に呼び止められたそうだ。教会で孤児達の勉強を見てくれる人を探してほしいと。
何でも、先日まで子供達の世話兼勉強を見てくれていたシスターが体を悪くして故郷へ帰ってしまったんだって。
教会には神父様ともう1人シスターがいるらしいんだけど、神父様もシスターも年配の方で子供達のお世話をするので手一杯なんだそうだ。
お父様がその話しをお母様にして、お母様と私……ついでに龍斗さんが教会へ通う事になった。
この世界には、貴族達が通う学校は無い。
みんな家に家庭教師を雇ったりして勉強する。
私も同じで、ダンスや礼儀作法等はお母様に教えて貰っているが、6歳くらいの頃からお勉強の先生に来てもらっている。
これが平民になると、それぞれの町に学校が設立されていて7歳くらいから10歳くらいまでの子供達が通えるようになっているんだって。
でも、孤児の子供達ともなると、安い授業料である町の学校に通う事さえも難しいみたいで、だいたい教会の神父様やシスターが勉強を教えているらしい。
その教会へは、週2回程お母様が勉強を教えに行く。勉強って言っても、文字の読み書きくらいなんだって。
そしてそれを私と龍斗さんがサポートする感じかな?
教会へ着くと、馬車を降りるなり龍斗さんが伸びをして大きな欠伸をした。
「もうっ、龍斗さん!子供達の前ではちゃんとしてよね!」
「はいはい。お前も子供だけどな~。」
龍斗さんは、私の護衛としてずっと家で一緒に暮らしてるから、もうすっかり家族の一員になっていた。
私にとって、この世界での第2の父みたいな存在になっている。
龍斗さんがいると安心するし、ついつい甘えてしまう。
あまりに仲良くし過ぎてお父様がすぐに嫉妬しちゃうから、機嫌を直すのにいつもひと苦労するんだよね。
「行きますよ。」
お母様に言われて、龍斗さんが教会の重い扉を開けた。
ギギィーッ
中へ入ると、そこは狭いながらも立派な十字架が奥の壁にかけられ、十字架横のステンドグラスは外の陽を浴びて神々しく光り輝いている。
その美しさにウットリと見惚れていると、奥から神父様が出てきて私達を歓迎してくれた。
神父様の案内で、子供達が居る奥の部屋へ向かう。
「子供達も、今日をとても楽しみにしておりました。皆、良い子達ばかりですので、どうかよろしくお願い致します。」
神父が途中、何度も何度も頭を下げて頼むから、お母様が少し困ってしまっていた。
子供達をとっても大事に思っているんだね。さすが神父様。
神父様が突き当たりの扉の前に立ち止まり、ドアノブに手をかけようとすると、中から勢いよく人が飛び出してきた。
「俺は勉強なんてしないからな!」
言いながら飛び出してきたのは男の子で、神父様と肩がぶつかり、神父様の体が後ろにふらつく。
「おっと。」
咄嗟に龍斗さんが後ろから支えて事なきを得たが、後ろに倒れてたらどうするんだ!
お年寄りは大切にしなくちゃいけないんだぞ!!
男の子は神父様をチラリと見ただけでこの場を去ろうとしたから、私は手をガシッと掴んで男の子を引き止めた。
「なんだよ!?」
「ごめんなさいは?」
「は?」
男の子は私を睨んで手を離そうとする。
私はなんとか必死に掴んだまま男の子を見つめた。
銀色の前髪で右目が隠れているけど、私を睨んでいる青い目がとても綺麗。
「わざとじゃなくても、悪いことをしたらごめんなさいをした方がいいよ。」
「なんだ、お前?離せよっ!!」
男の子は無理矢理私の手を引き剥がすと、足早に外へ出て行ってしまった。
「テック!!」
部屋のからバタバタと足音がして今度は女の子が顔を出した。
女の子は銀髪の長い前髪で左目が隠れていたけど、こちらも青い目がとても綺麗。もしや兄妹?
「パルラ、テックはどうしたんだい?」
「神父様……ごめんなさい。テックの様子を見て来ます。」
さっきの男の子とは正反対に、弱々しい感じの女の子はオロオロとしながら外へ出て行った。
「お騒がせしてすみません。」
ペコペコと謝る神父様に、お母様はいつものように微笑んだ。
「大丈夫ですよ。気にしていませんわ。」
部屋には、8人の子供達がいて私達を待っていた。
下は2歳の女の子から、上は私と同じ10歳の男の子まで。
この教会で1番年上なのがさっきの兄妹で、13歳。しかも双子なんだって!
2歳の女の子はシスターにベッタリで、他の子達もドタバタと落ち着きがない。
これでは勉強を教えるどころの話ではないだろうなと、3人は同じことを考えていた。
私は馬車に揺られながら、隣に座るお母様に尋ねた。
「もうそろそろ見えてくる筈ですよ。ほら、あそこに。」
私に尋ねられたお母様が窓の外を伺うと、丁度遠くの方に見えてきた建物を指差す。
そこには、壁を蔦が覆っている古めかしい教会だった。
教会への訪問が決まったのが1週間前。
騎士団が町の警備の為に巡回していると、教会の神父様に呼び止められたそうだ。教会で孤児達の勉強を見てくれる人を探してほしいと。
何でも、先日まで子供達の世話兼勉強を見てくれていたシスターが体を悪くして故郷へ帰ってしまったんだって。
教会には神父様ともう1人シスターがいるらしいんだけど、神父様もシスターも年配の方で子供達のお世話をするので手一杯なんだそうだ。
お父様がその話しをお母様にして、お母様と私……ついでに龍斗さんが教会へ通う事になった。
この世界には、貴族達が通う学校は無い。
みんな家に家庭教師を雇ったりして勉強する。
私も同じで、ダンスや礼儀作法等はお母様に教えて貰っているが、6歳くらいの頃からお勉強の先生に来てもらっている。
これが平民になると、それぞれの町に学校が設立されていて7歳くらいから10歳くらいまでの子供達が通えるようになっているんだって。
でも、孤児の子供達ともなると、安い授業料である町の学校に通う事さえも難しいみたいで、だいたい教会の神父様やシスターが勉強を教えているらしい。
その教会へは、週2回程お母様が勉強を教えに行く。勉強って言っても、文字の読み書きくらいなんだって。
そしてそれを私と龍斗さんがサポートする感じかな?
教会へ着くと、馬車を降りるなり龍斗さんが伸びをして大きな欠伸をした。
「もうっ、龍斗さん!子供達の前ではちゃんとしてよね!」
「はいはい。お前も子供だけどな~。」
龍斗さんは、私の護衛としてずっと家で一緒に暮らしてるから、もうすっかり家族の一員になっていた。
私にとって、この世界での第2の父みたいな存在になっている。
龍斗さんがいると安心するし、ついつい甘えてしまう。
あまりに仲良くし過ぎてお父様がすぐに嫉妬しちゃうから、機嫌を直すのにいつもひと苦労するんだよね。
「行きますよ。」
お母様に言われて、龍斗さんが教会の重い扉を開けた。
ギギィーッ
中へ入ると、そこは狭いながらも立派な十字架が奥の壁にかけられ、十字架横のステンドグラスは外の陽を浴びて神々しく光り輝いている。
その美しさにウットリと見惚れていると、奥から神父様が出てきて私達を歓迎してくれた。
神父様の案内で、子供達が居る奥の部屋へ向かう。
「子供達も、今日をとても楽しみにしておりました。皆、良い子達ばかりですので、どうかよろしくお願い致します。」
神父が途中、何度も何度も頭を下げて頼むから、お母様が少し困ってしまっていた。
子供達をとっても大事に思っているんだね。さすが神父様。
神父様が突き当たりの扉の前に立ち止まり、ドアノブに手をかけようとすると、中から勢いよく人が飛び出してきた。
「俺は勉強なんてしないからな!」
言いながら飛び出してきたのは男の子で、神父様と肩がぶつかり、神父様の体が後ろにふらつく。
「おっと。」
咄嗟に龍斗さんが後ろから支えて事なきを得たが、後ろに倒れてたらどうするんだ!
お年寄りは大切にしなくちゃいけないんだぞ!!
男の子は神父様をチラリと見ただけでこの場を去ろうとしたから、私は手をガシッと掴んで男の子を引き止めた。
「なんだよ!?」
「ごめんなさいは?」
「は?」
男の子は私を睨んで手を離そうとする。
私はなんとか必死に掴んだまま男の子を見つめた。
銀色の前髪で右目が隠れているけど、私を睨んでいる青い目がとても綺麗。
「わざとじゃなくても、悪いことをしたらごめんなさいをした方がいいよ。」
「なんだ、お前?離せよっ!!」
男の子は無理矢理私の手を引き剥がすと、足早に外へ出て行ってしまった。
「テック!!」
部屋のからバタバタと足音がして今度は女の子が顔を出した。
女の子は銀髪の長い前髪で左目が隠れていたけど、こちらも青い目がとても綺麗。もしや兄妹?
「パルラ、テックはどうしたんだい?」
「神父様……ごめんなさい。テックの様子を見て来ます。」
さっきの男の子とは正反対に、弱々しい感じの女の子はオロオロとしながら外へ出て行った。
「お騒がせしてすみません。」
ペコペコと謝る神父様に、お母様はいつものように微笑んだ。
「大丈夫ですよ。気にしていませんわ。」
部屋には、8人の子供達がいて私達を待っていた。
下は2歳の女の子から、上は私と同じ10歳の男の子まで。
この教会で1番年上なのがさっきの兄妹で、13歳。しかも双子なんだって!
2歳の女の子はシスターにベッタリで、他の子達もドタバタと落ち着きがない。
これでは勉強を教えるどころの話ではないだろうなと、3人は同じことを考えていた。
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