田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

文字の大きさ
177 / 180
第十七章 金塊、、そしてヤニ、、海鮮鍋へ

EP 7

しおりを挟む
漬物石の正体、実は「封印された邪神の鼻クソ」説?
​「嘘……嘘よ……私のボイトレ代……」
「私のエステ代……」
「龍魔呂さんとの新婚旅行費用がぁ……」
​ 農場の庭には、死屍累々の山が築かれていた。
 リーザ、ルチアナ、キャルル。
 彼女たちの目の前には、かつて黄金の輝きを放っていた「漬物石」が転がっている。だが今やそれは、道端の石ころよりも黒ずんだ、ただの軽石のような塊に成り果てていた。
​ 一方で、カイトの手にある白菜は、神々しいほどの黄金色の光(オーラ)を放っている。
​「ちょっと、どういうことなのよこれ!」
​ ルチアナが叫んだその時、眼鏡をクイッと押し上げる音が響いた。
​「……ふむ。興味深い現象ですね」
​ 騒ぎを聞きつけてやってきた農場の頭脳、弁護士のリベラだ。
 彼女は白衣(趣味)を羽織り、ルーペを取り出して「黒ずんだ石」と「光る白菜」を交互に観察し始めた。
​「リベラ! これを鑑定して! まだ価値はあるわよね!? 中身は金なのよね!?」
​ リーザがリベラの白衣にすがりつく。
 リベラは冷徹に、しかしどこか楽しげに宣告した。
​「残念ながら、この石の現在の価値は……0円(銅粒0枚)です」
「ぎゃぁぁぁッ!!」
​ リーザが白目を剥いて気絶する。
 リベラは淡々と解説を続けた。
​「そもそも、これは『金塊』ではありませんでした。これは『地脈の精霊核(ジオ・コア)』……太古の土の精霊力が長い年月をかけて結晶化した、言わば『大地のエネルギーの塊』です」
​「せ、精霊核……? じゃあ、もっと凄かったんじゃない!」
​「ええ。そのまま市場に出せば、小国なら二つくらい買えたでしょうね」
​ グフッ。
 ルチアナとキャルルが吐血する。
 国が買える石を、彼女たちは漬物石にしてしまったのだ。
​「で、ですが! なぜただの石になってしまったんですの!?」
​ フレアが悲痛な声を上げる。
 リベラは「光る白菜」を指差した。
​「原因はこれです。カイトさんが育てたSランク白菜……その細胞は、スポンジのようにあらゆる魔力を吸収する性質を持っています。そこに『塩』という触媒を加え、適度な『重み(圧力)』をかけたことで……」
​ リベラはゴクリと喉を鳴らす。
​「『超・浸透圧現象』が発生しました。精霊核の中にあった膨大なエネルギーが、水分と入れ替わる形で、すべて白菜に移ってしまったのです」
​ つまり。
 数億円(国家予算クラス)の魔力が、すべてこの一玉の白菜にインストールされたということだ。
​「へぇ、そうなんだ。よく分からないけど、成功ってことだね?」
​ カイトだけが、ニコニコと笑っていた。
 彼にとって「国が買える石」と「ただの石」の差は、「よく漬かるかどうか」だけだ。
​「成功どころではありませんよ、カイトさん。その白菜は今や、食べる『賢者の石』……いいえ、食べる『パワースポット』です」
「そっかぁ。じゃあ、味見してみようかな」
​ カイトは躊躇なく、その黄金に輝く白菜の葉を一枚ちぎった。
 周囲の空気がビリビリと震える。
 女性陣が「あっ」と声を上げる間もなく、彼はそれを口へと運んだ。
​ シャクッ。
​ 小気味よい音が響いた、その瞬間。
​ ドゥゥゥゥゥン…………ッ!!!
​ 衝撃波が走った。
 物理的な風圧ではない。圧倒的な「旨味の波動」が、農場全体を突き抜けたのだ。
 食べたカイトの背後に、巨大な幻影――黄金の畑で微笑む女神(ルチアナではない本物の女神っぽい何か)――が浮かび上がる。
​「ん~ッ! 美味しい!」
​ カイトが頬を緩める。
​「土の香りが鼻に抜けて、噛むたびにジュワッと旨味が溢れてくるよ。塩加減も絶妙だね。……うん、これはご飯が欲しくなる味だ」
​ その感想と共に、カイトの体からキラキラとした光の粒子が溢れ出す。
 ただの試食で、体力が全回復(オーバーヒール)しているのだ。
​「……あ、あぁ……」
​ その光景を見ていたリーザが、ふらりと立ち上がった。
 彼女の目から、金銭欲という名の濁りが消えている。
​「いい匂い……なんて、いい匂いなの……」
「ボイトレとか……どうでもよくなってきましたわ……」
「これが……本物の『輝き』……」
​ 圧倒的な「食の暴力」の前には、金塊への未練など無力だった。
 カイトは嬉しそうに振り返る。
​「みんなも食べる? 今夜の鍋にするけど」
​ その言葉に、全員が首を縦に振る。
 もはや彼女たちの頭の中は、「金」から「飯」へと完全に上書きされていた。
​ ――サラサラサラ……。
​ 役目を終えた黒ずんだ石(元・数億円)が、風に吹かれて粉となり、土へと還っていく。
 誰もそれを見向きもしなかった。
 ただ一人、リベラだけが手帳にこう書き記した。
​『本日の損害額:国家予算2つ分。 得たもの:究極の飯テロ』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

追放されたけど気づいたら最強になってました~無自覚チートで成り上がる異世界自由旅~

eringi
ファンタジー
勇者パーティーから「役立たず」と追放された青年アルト。 行くあてもなく森で倒れていた彼は、実は“失われし最古の加護”を持つ唯一の存在だった。 無自覚のまま魔王を倒し、国を救い、人々を惹きつけていくアルト。 彼が気づかないうちに、世界は彼中心に回り始める——。 ざまぁ、勘違い、最強無自覚、チート成り上がり要素満載の異世界ファンタジー!

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

最弱職〈祈祷士〉だった俺、実は神々の加護持ちでした~追放されたけど無自覚チートで世界最強~

eringi
ファンタジー
パーティから「役立たず」と言われ追放された祈祷士ルーク。だが彼の祈りは神々に届いており、あらゆる奇跡を現実にする「神の権能」だった。本人は気づかぬまま無双し、救った相手や元パーティの女性たちから次々想いを寄せられる。裏切った者たちへの“ざまぁ”も、神の御業のうちに。無自覚チート祈祷士が、神々さえも動かす伝説を紡ぐ──!

転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜

eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。

処理中です...