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第十七章 金塊、、そしてヤニ、、海鮮鍋へ
EP 6
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新入りキャルル、金塊を「龍魔呂へのプレゼント」と勘違いして暴走
ルナの魔法騒動が落ち着き、カイトが再び平穏な農作業に戻ろうとした、その時だった。
「聞き捨てなりませんよぉぉぉッ!!!」
ズドォォォォンッ!!
隕石が落下したかのような衝撃音と共に、農場の庭に土煙が舞い上がった。
クレーターの中心に着地したのは、ピンクブロンドのボブヘアに、ウサ耳をピンと立てた少女。
新入り警備員にして、月兎族のキャルルである。
「キャ、キャルルちゃん!? どうしたの、空から降ってきて」
「カイト様! 今、小耳に挟みましたよ! その漬物石……『数億円の価値があるピカピカの石』なんですよね!?」
キャルルの瞳は、獲物を狙う肉食獣のように爛々と輝いていた。
彼女の視線の先には、鎮座する金塊。
「え? まあ、そうらしいけど……」
「やっぱり! ……ふふっ、見つけました。これぞ、私が探し求めていた『愛の結晶』です!」
キャルルは頬を赤らめ、妄想の世界へとトリップする。
(龍魔呂さんは料理人……つまり職人です。きっと、包丁を研ぐための『究極の砥石』を探しているはず! この数億円の金塊なら、伝説の包丁研ぎとしてプレゼントできるかも……! そうすれば、『ほう、気が利くなキャルル。……好きだ』って言われて、そのままゴールイン!?)
思考回路がマッハで飛躍した。
彼女にとって「高価な石」=「龍魔呂への貢物」=「結婚」なのだ。
「カイト様! その石、私が貰い受けます! 龍魔呂さんへの愛のためにぃぃぃ!!」
バチバチバチッ!
キャルルの足元、鉄芯入りの安全靴から紫電が迸る。
月兎族の秘儀『神速』の構えだ。
「さあ行きますよ! マッハ・ダッシュ!」
轟音。
キャルルの姿が掻き消えた。
音速を超えた突進が、カイトの手元にある漬物樽へと迫る。
だが。
その軌道上に、立ちはだかる影があった。
「させるかぁぁぁッ! この駄ウサギ!!」
ジャージ姿の創造神、ルチアナである。
彼女はスルメを口にくわえたまま、神の権能を発動させた。
「『神の障壁(ゴッド・ウォール)』!!」
ガギィィィンッ!!
見えない壁がキャルルの突進を受け止める。
衝撃波が周囲に拡散し、ビニールハウスのビニールがバタバタと波打った。
「くっ……! さすが腐っても創造神! 硬いですね!」
「誰が腐ってるのよ! その石はねぇ、私が売り払って『獺祭』を買うための資金源なの! ポッと出の恋愛脳に渡してたまるもんですか!」
ルチアナは必死だった。酒への執念は、恋心と互角に渡り合う。
「ええい、邪魔です! そこを退(ど)いてください!」
「嫌よ! 退いたら私の酒が消えるじゃない!」
キャルルはバックステップで距離を取り、再び加速する。
今度は直線ではない。左右にジグザグに動き、残像を生み出しながら壁を撹乱する。
「月影流・幻惑ステップ!」
「無駄よ! 神の目は誤魔化せないわ!」
超高速の鬼ごっこが始まった。
マッハで動き回るウサギと、スルメを振り回して結界を張る女神。
その余波で、農場の土が巻き上げられ、嵐のような状態になる。
「うわぁ、二人とも元気だねぇ。でも気をつけてよー?」
カイトはのんびりと注意するが、ヒートアップした二人の耳には届かない。
「ここです! 隙ありぃッ!」
キャルルがルチアナの死角、頭上から急降下した。
狙うは漬物樽の上の金塊。
ルチアナの障壁が間に合わない。
(貰ったぁぁぁ!!)
キャルルが手を伸ばした、その瞬間。
彼女の安全靴のつま先が、わずかに――ほんの数ミリだけ、漬物樽の縁(ふち)に引っかかった。
「あッ」
ガゴォォォォンッ!!
音速の衝撃が樽に直撃する。
漬物樽はコマのように回転しながら吹き飛び、空中で逆さまになった。
「あぁぁっ! 私の金塊がぁぁ!」
「龍魔呂さんへの愛がぁぁ!」
二人が絶叫する中、樽から中身が放り出された。
金塊。
塩水。
そして――白菜。
ドサッ。
地面に落ちた金塊は、カランコロンと乾いた音を立てて転がった。
しかし、誰も金塊を見なかった。
なぜなら。
カッーーーーッ!!
金塊の下敷きになっていた「白菜の漬物」が、直視できないほどの黄金の光を放ち始めたからだ。
「な、何これ!? 白菜が光ってる!?」
「目が……目がぁぁ!」
光の洪水の中で、カイトだけが冷静に、そして嬉しそうに駆け寄った。
「あ! ちょうどいい! 漬かり具合、完璧だよ!」
カイトが光り輝く白菜を持ち上げると、不思議な現象が起きた。
これまで金塊が放っていた「魔力のような輝き」がすべて白菜に移っており、逆に転がっている金塊(数億円相当)は、ただの「黒ずんだボロボロの石」へと変貌していたのだ。
「え……? 石が……タダの石になってる?」
キャルルが呆然と呟く。
ルチアナが震える手で石を拾い上げるが、そこからは何の魔力も、金銭的価値も感じられなかった。
「うそ……魔力が全部、白菜に吸われたっていうの……?」
静まり返る農場で、カイトの声だけが明るく響いた。
「すごいよみんな! 『黄金白菜』の完成だ! ……これ、絶対美味しいよ!」
キャルルの暴走は、結果として「数億円の金塊」を消滅させ、「プライスレスな漬物」を爆誕させてしまったのである。
ルナの魔法騒動が落ち着き、カイトが再び平穏な農作業に戻ろうとした、その時だった。
「聞き捨てなりませんよぉぉぉッ!!!」
ズドォォォォンッ!!
隕石が落下したかのような衝撃音と共に、農場の庭に土煙が舞い上がった。
クレーターの中心に着地したのは、ピンクブロンドのボブヘアに、ウサ耳をピンと立てた少女。
新入り警備員にして、月兎族のキャルルである。
「キャ、キャルルちゃん!? どうしたの、空から降ってきて」
「カイト様! 今、小耳に挟みましたよ! その漬物石……『数億円の価値があるピカピカの石』なんですよね!?」
キャルルの瞳は、獲物を狙う肉食獣のように爛々と輝いていた。
彼女の視線の先には、鎮座する金塊。
「え? まあ、そうらしいけど……」
「やっぱり! ……ふふっ、見つけました。これぞ、私が探し求めていた『愛の結晶』です!」
キャルルは頬を赤らめ、妄想の世界へとトリップする。
(龍魔呂さんは料理人……つまり職人です。きっと、包丁を研ぐための『究極の砥石』を探しているはず! この数億円の金塊なら、伝説の包丁研ぎとしてプレゼントできるかも……! そうすれば、『ほう、気が利くなキャルル。……好きだ』って言われて、そのままゴールイン!?)
思考回路がマッハで飛躍した。
彼女にとって「高価な石」=「龍魔呂への貢物」=「結婚」なのだ。
「カイト様! その石、私が貰い受けます! 龍魔呂さんへの愛のためにぃぃぃ!!」
バチバチバチッ!
キャルルの足元、鉄芯入りの安全靴から紫電が迸る。
月兎族の秘儀『神速』の構えだ。
「さあ行きますよ! マッハ・ダッシュ!」
轟音。
キャルルの姿が掻き消えた。
音速を超えた突進が、カイトの手元にある漬物樽へと迫る。
だが。
その軌道上に、立ちはだかる影があった。
「させるかぁぁぁッ! この駄ウサギ!!」
ジャージ姿の創造神、ルチアナである。
彼女はスルメを口にくわえたまま、神の権能を発動させた。
「『神の障壁(ゴッド・ウォール)』!!」
ガギィィィンッ!!
見えない壁がキャルルの突進を受け止める。
衝撃波が周囲に拡散し、ビニールハウスのビニールがバタバタと波打った。
「くっ……! さすが腐っても創造神! 硬いですね!」
「誰が腐ってるのよ! その石はねぇ、私が売り払って『獺祭』を買うための資金源なの! ポッと出の恋愛脳に渡してたまるもんですか!」
ルチアナは必死だった。酒への執念は、恋心と互角に渡り合う。
「ええい、邪魔です! そこを退(ど)いてください!」
「嫌よ! 退いたら私の酒が消えるじゃない!」
キャルルはバックステップで距離を取り、再び加速する。
今度は直線ではない。左右にジグザグに動き、残像を生み出しながら壁を撹乱する。
「月影流・幻惑ステップ!」
「無駄よ! 神の目は誤魔化せないわ!」
超高速の鬼ごっこが始まった。
マッハで動き回るウサギと、スルメを振り回して結界を張る女神。
その余波で、農場の土が巻き上げられ、嵐のような状態になる。
「うわぁ、二人とも元気だねぇ。でも気をつけてよー?」
カイトはのんびりと注意するが、ヒートアップした二人の耳には届かない。
「ここです! 隙ありぃッ!」
キャルルがルチアナの死角、頭上から急降下した。
狙うは漬物樽の上の金塊。
ルチアナの障壁が間に合わない。
(貰ったぁぁぁ!!)
キャルルが手を伸ばした、その瞬間。
彼女の安全靴のつま先が、わずかに――ほんの数ミリだけ、漬物樽の縁(ふち)に引っかかった。
「あッ」
ガゴォォォォンッ!!
音速の衝撃が樽に直撃する。
漬物樽はコマのように回転しながら吹き飛び、空中で逆さまになった。
「あぁぁっ! 私の金塊がぁぁ!」
「龍魔呂さんへの愛がぁぁ!」
二人が絶叫する中、樽から中身が放り出された。
金塊。
塩水。
そして――白菜。
ドサッ。
地面に落ちた金塊は、カランコロンと乾いた音を立てて転がった。
しかし、誰も金塊を見なかった。
なぜなら。
カッーーーーッ!!
金塊の下敷きになっていた「白菜の漬物」が、直視できないほどの黄金の光を放ち始めたからだ。
「な、何これ!? 白菜が光ってる!?」
「目が……目がぁぁ!」
光の洪水の中で、カイトだけが冷静に、そして嬉しそうに駆け寄った。
「あ! ちょうどいい! 漬かり具合、完璧だよ!」
カイトが光り輝く白菜を持ち上げると、不思議な現象が起きた。
これまで金塊が放っていた「魔力のような輝き」がすべて白菜に移っており、逆に転がっている金塊(数億円相当)は、ただの「黒ずんだボロボロの石」へと変貌していたのだ。
「え……? 石が……タダの石になってる?」
キャルルが呆然と呟く。
ルチアナが震える手で石を拾い上げるが、そこからは何の魔力も、金銭的価値も感じられなかった。
「うそ……魔力が全部、白菜に吸われたっていうの……?」
静まり返る農場で、カイトの声だけが明るく響いた。
「すごいよみんな! 『黄金白菜』の完成だ! ……これ、絶対美味しいよ!」
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