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第十七章 金塊、、そしてヤニ、、海鮮鍋へ
EP 7
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漬物石の正体、実は「封印された邪神の鼻クソ」説?
「嘘……嘘よ……私のボイトレ代……」
「私のエステ代……」
「龍魔呂さんとの新婚旅行費用がぁ……」
農場の庭には、死屍累々の山が築かれていた。
リーザ、ルチアナ、キャルル。
彼女たちの目の前には、かつて黄金の輝きを放っていた「漬物石」が転がっている。だが今やそれは、道端の石ころよりも黒ずんだ、ただの軽石のような塊に成り果てていた。
一方で、カイトの手にある白菜は、神々しいほどの黄金色の光(オーラ)を放っている。
「ちょっと、どういうことなのよこれ!」
ルチアナが叫んだその時、眼鏡をクイッと押し上げる音が響いた。
「……ふむ。興味深い現象ですね」
騒ぎを聞きつけてやってきた農場の頭脳、弁護士のリベラだ。
彼女は白衣(趣味)を羽織り、ルーペを取り出して「黒ずんだ石」と「光る白菜」を交互に観察し始めた。
「リベラ! これを鑑定して! まだ価値はあるわよね!? 中身は金なのよね!?」
リーザがリベラの白衣にすがりつく。
リベラは冷徹に、しかしどこか楽しげに宣告した。
「残念ながら、この石の現在の価値は……0円(銅粒0枚)です」
「ぎゃぁぁぁッ!!」
リーザが白目を剥いて気絶する。
リベラは淡々と解説を続けた。
「そもそも、これは『金塊』ではありませんでした。これは『地脈の精霊核(ジオ・コア)』……太古の土の精霊力が長い年月をかけて結晶化した、言わば『大地のエネルギーの塊』です」
「せ、精霊核……? じゃあ、もっと凄かったんじゃない!」
「ええ。そのまま市場に出せば、小国なら二つくらい買えたでしょうね」
グフッ。
ルチアナとキャルルが吐血する。
国が買える石を、彼女たちは漬物石にしてしまったのだ。
「で、ですが! なぜただの石になってしまったんですの!?」
フレアが悲痛な声を上げる。
リベラは「光る白菜」を指差した。
「原因はこれです。カイトさんが育てたSランク白菜……その細胞は、スポンジのようにあらゆる魔力を吸収する性質を持っています。そこに『塩』という触媒を加え、適度な『重み(圧力)』をかけたことで……」
リベラはゴクリと喉を鳴らす。
「『超・浸透圧現象』が発生しました。精霊核の中にあった膨大なエネルギーが、水分と入れ替わる形で、すべて白菜に移ってしまったのです」
つまり。
数億円(国家予算クラス)の魔力が、すべてこの一玉の白菜にインストールされたということだ。
「へぇ、そうなんだ。よく分からないけど、成功ってことだね?」
カイトだけが、ニコニコと笑っていた。
彼にとって「国が買える石」と「ただの石」の差は、「よく漬かるかどうか」だけだ。
「成功どころではありませんよ、カイトさん。その白菜は今や、食べる『賢者の石』……いいえ、食べる『パワースポット』です」
「そっかぁ。じゃあ、味見してみようかな」
カイトは躊躇なく、その黄金に輝く白菜の葉を一枚ちぎった。
周囲の空気がビリビリと震える。
女性陣が「あっ」と声を上げる間もなく、彼はそれを口へと運んだ。
シャクッ。
小気味よい音が響いた、その瞬間。
ドゥゥゥゥゥン…………ッ!!!
衝撃波が走った。
物理的な風圧ではない。圧倒的な「旨味の波動」が、農場全体を突き抜けたのだ。
食べたカイトの背後に、巨大な幻影――黄金の畑で微笑む女神(ルチアナではない本物の女神っぽい何か)――が浮かび上がる。
「ん~ッ! 美味しい!」
カイトが頬を緩める。
「土の香りが鼻に抜けて、噛むたびにジュワッと旨味が溢れてくるよ。塩加減も絶妙だね。……うん、これはご飯が欲しくなる味だ」
その感想と共に、カイトの体からキラキラとした光の粒子が溢れ出す。
ただの試食で、体力が全回復(オーバーヒール)しているのだ。
「……あ、あぁ……」
その光景を見ていたリーザが、ふらりと立ち上がった。
彼女の目から、金銭欲という名の濁りが消えている。
「いい匂い……なんて、いい匂いなの……」
「ボイトレとか……どうでもよくなってきましたわ……」
「これが……本物の『輝き』……」
圧倒的な「食の暴力」の前には、金塊への未練など無力だった。
カイトは嬉しそうに振り返る。
「みんなも食べる? 今夜の鍋にするけど」
その言葉に、全員が首を縦に振る。
もはや彼女たちの頭の中は、「金」から「飯」へと完全に上書きされていた。
――サラサラサラ……。
役目を終えた黒ずんだ石(元・数億円)が、風に吹かれて粉となり、土へと還っていく。
誰もそれを見向きもしなかった。
ただ一人、リベラだけが手帳にこう書き記した。
『本日の損害額:国家予算2つ分。 得たもの:究極の飯テロ』
「嘘……嘘よ……私のボイトレ代……」
「私のエステ代……」
「龍魔呂さんとの新婚旅行費用がぁ……」
農場の庭には、死屍累々の山が築かれていた。
リーザ、ルチアナ、キャルル。
彼女たちの目の前には、かつて黄金の輝きを放っていた「漬物石」が転がっている。だが今やそれは、道端の石ころよりも黒ずんだ、ただの軽石のような塊に成り果てていた。
一方で、カイトの手にある白菜は、神々しいほどの黄金色の光(オーラ)を放っている。
「ちょっと、どういうことなのよこれ!」
ルチアナが叫んだその時、眼鏡をクイッと押し上げる音が響いた。
「……ふむ。興味深い現象ですね」
騒ぎを聞きつけてやってきた農場の頭脳、弁護士のリベラだ。
彼女は白衣(趣味)を羽織り、ルーペを取り出して「黒ずんだ石」と「光る白菜」を交互に観察し始めた。
「リベラ! これを鑑定して! まだ価値はあるわよね!? 中身は金なのよね!?」
リーザがリベラの白衣にすがりつく。
リベラは冷徹に、しかしどこか楽しげに宣告した。
「残念ながら、この石の現在の価値は……0円(銅粒0枚)です」
「ぎゃぁぁぁッ!!」
リーザが白目を剥いて気絶する。
リベラは淡々と解説を続けた。
「そもそも、これは『金塊』ではありませんでした。これは『地脈の精霊核(ジオ・コア)』……太古の土の精霊力が長い年月をかけて結晶化した、言わば『大地のエネルギーの塊』です」
「せ、精霊核……? じゃあ、もっと凄かったんじゃない!」
「ええ。そのまま市場に出せば、小国なら二つくらい買えたでしょうね」
グフッ。
ルチアナとキャルルが吐血する。
国が買える石を、彼女たちは漬物石にしてしまったのだ。
「で、ですが! なぜただの石になってしまったんですの!?」
フレアが悲痛な声を上げる。
リベラは「光る白菜」を指差した。
「原因はこれです。カイトさんが育てたSランク白菜……その細胞は、スポンジのようにあらゆる魔力を吸収する性質を持っています。そこに『塩』という触媒を加え、適度な『重み(圧力)』をかけたことで……」
リベラはゴクリと喉を鳴らす。
「『超・浸透圧現象』が発生しました。精霊核の中にあった膨大なエネルギーが、水分と入れ替わる形で、すべて白菜に移ってしまったのです」
つまり。
数億円(国家予算クラス)の魔力が、すべてこの一玉の白菜にインストールされたということだ。
「へぇ、そうなんだ。よく分からないけど、成功ってことだね?」
カイトだけが、ニコニコと笑っていた。
彼にとって「国が買える石」と「ただの石」の差は、「よく漬かるかどうか」だけだ。
「成功どころではありませんよ、カイトさん。その白菜は今や、食べる『賢者の石』……いいえ、食べる『パワースポット』です」
「そっかぁ。じゃあ、味見してみようかな」
カイトは躊躇なく、その黄金に輝く白菜の葉を一枚ちぎった。
周囲の空気がビリビリと震える。
女性陣が「あっ」と声を上げる間もなく、彼はそれを口へと運んだ。
シャクッ。
小気味よい音が響いた、その瞬間。
ドゥゥゥゥゥン…………ッ!!!
衝撃波が走った。
物理的な風圧ではない。圧倒的な「旨味の波動」が、農場全体を突き抜けたのだ。
食べたカイトの背後に、巨大な幻影――黄金の畑で微笑む女神(ルチアナではない本物の女神っぽい何か)――が浮かび上がる。
「ん~ッ! 美味しい!」
カイトが頬を緩める。
「土の香りが鼻に抜けて、噛むたびにジュワッと旨味が溢れてくるよ。塩加減も絶妙だね。……うん、これはご飯が欲しくなる味だ」
その感想と共に、カイトの体からキラキラとした光の粒子が溢れ出す。
ただの試食で、体力が全回復(オーバーヒール)しているのだ。
「……あ、あぁ……」
その光景を見ていたリーザが、ふらりと立ち上がった。
彼女の目から、金銭欲という名の濁りが消えている。
「いい匂い……なんて、いい匂いなの……」
「ボイトレとか……どうでもよくなってきましたわ……」
「これが……本物の『輝き』……」
圧倒的な「食の暴力」の前には、金塊への未練など無力だった。
カイトは嬉しそうに振り返る。
「みんなも食べる? 今夜の鍋にするけど」
その言葉に、全員が首を縦に振る。
もはや彼女たちの頭の中は、「金」から「飯」へと完全に上書きされていた。
――サラサラサラ……。
役目を終えた黒ずんだ石(元・数億円)が、風に吹かれて粉となり、土へと還っていく。
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