しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥

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インスーラ参戦す

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 全部、俺が守る──
 そう啖呵を切った後、玉座の間を震わせる咆哮が響いた。

 「ぬぉぉぉおおお!」
 十本の腕を広げたバンボルトが、雷を散らしながら巨体で突進してくる。

 「うわっ、マジかよ!?」
 改造家電は電子レンジの扉で、魔法はステラが防いでいるが……あんなゴリラみてぇな拳は、受け止められるわけがねぇ!
 慌ててスタンガンブレードを拾おうと腰を落とすが、それよりも早くバンボルトの拳が迫る。

 「殺しはしねぇ。ちょっと寝てろ!」
 ドガァッと空気を裂く音。目の前に振り下ろされる拳。俺は目をつむるしかなかった。

 ──だが。

 キィィィンッ‼

 重々しい金属音が、玉座の間を突き抜けた。
 恐る恐る目を開けると、バンボルトの拳は俺の目の前で止まっていた。いや、止められていた。

 「……は?」
 鈍い光を放つ長剣が、バンボルトの拳を受け止めている。
 あんな細い剣で止めるなんて……すげぇ、って関心している場合じゃない。

 「てめぇ……なんの真似だ」
 唸るバンボルト。その視線の先に立っていたのは──インスーラだった。

 「……インスーラ?」
 思わず名前を呼ぶと、長身の魔族は鋭い眼光をバンボルドに向けた。

 「貴様らこそ、私が居ない間に何の真似だ」
 バンボルトを睨み据え、低い声で言い放つ。

 「決まってんだろ。魔王を殺し、支配の時代を取り戻すんだよ! 誰が魔王に相応しいかは、あの女が死んでから決めりゃいい。異論はねぇよな!」
 バンボルトが吠える。周囲の幹部どもも頷き、殺気を滲ませていた。

 インスーラは一歩前へ出ると、剣を押し返しながら言った。
 「……力による支配、その理には異論はない」
 バンボルトの口元がニヤリと歪む。だが次の瞬間、インスーラの言葉は彼を凍りつかせた。

 「だが──魔王様を殺させはしない」
 「……はぁぁ?」
 バンボルトの目が血走る。
 「てめぇ、ついさっきまで賛成してたろが!」
 インスーラは微動だにせず、ただ短く言った。
 「気が変わった」

 その言葉と同時に、俺の方へ視線を寄越す。
 「……おいおい」
 なんだよそれ。なんか俺のせいみたいに見るなよ。
 いや待てよ……もしかして──

 (あっ! “ルクスのこと好きなんじゃないのか?”って俺が言ったあの一言……図星だったのか!? 自分の気持ちに気付いちゃったパターン!?)

 妄想が止まらねぇ。いや、でもバンボルトの会話からして、インスーラがここでルクスを庇う理由、他に考えられないだろ!

 「ふざけやがってええええ!」
 バンボルトが雄叫びを上げ、再び拳を叩きつけようとした──が、その背後で、インスーラの部下たちが動いた。

 「隊長の命令に従う!」
 「我らは魔王様の側に立つぞ!」

 インスーラ直属の部下たちが一斉に魔王の側へと走り込む。剣と魔法が交錯し、戦況は一気に混乱を極めていった。
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