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十話
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俺は国の名をエルフィアと定めた。そして聖都ルドの都市長に村長だったルカさんを任命した。
「税はどうしますか」
「今まで通りでいいですよ。その集めた税金をルカさん達が村。いや、都市の為に適切に使ってください。ただ税を集めるのは皆の暮らしが良くなってからにしてください。そうですねぇ。取り敢えず三年は徴収しないことにしましょうか」
汚職や横領など常駐していなくてもエルフの目を逃れて行える訳がない。それに世界樹の祝福を受けた民が、そんな愚かなことをするとは思えなかった。
「本当に聖都なんて名ばかり大きくなっただけで、今まで通りで良いと思うんです。これまで暮らしてきたように何ら変わらずにやっていきましょう」
「はい。そうして頂けると有難いです」
「ですよね。大体、あの里長たちが面倒になって余計に大事になっただけですからね。なんか問題が起きたら押し付けちゃえばいいんですよ」
「うふふふ、そうですね。仰る通りです」
「それと僕等だけの内々では聖地ルド村として今まで通りルド村にしませんか」
「私としてもその方が良いので皆と話してみますね」
「はい、お願いします」
ルカさんとの話も終わり、公衆浴場の建設作業に戻った。
既に男性用の方は完成したので、今は少しだけ男性用より立派な女性用の作業に取り掛かった。
「お、戻っていたのか」
「うん。今さっき戻ってきた」
「エルとエマは湖か」
「いや、今日は村の外で小麦畑にする土地の開墾を手伝うとか言ってたな」
「あの二人も働き者ですねぇ」
そうなんだよな。しっかり稽古もするし、魔法もちゃんと学んでいる。しかも、お手伝いも文句も言わず自分たちからしっかりやる。本当に自慢の愛弟子だ。
「だな。けど半分は偶に現れる魔物退治がお目当てらしいぞ」
「初めて聞いたが」
「言ってませんからねぇ」
「言えよ! 危なくないのか」
「今のあの二人ならオーガにも勝てるさ」
その基準はよく分からないが、たぶんエルとエマはかなり強いということか。
まあ、俺の愛弟子だしな。
「そうだトール。水の魔石は湖の魔物から取れるから良いとして、火の魔石はどうするつもりだ」
「ゴブリンを狩れば一発だろ」
「森の近くまで行かないといないぞ」
「それは困ったな。ま、無属性の魔石も使えるようにしておくさ。要はマナが流れれば良いだけだからな」
「ならぁ、水の魔石でも良いんじゃないですか」
そのエルナの指摘に気付かされる。
人のマナに属性などなく、それでも色々な属性魔法を行使できる。何故俺は勝手に決めて思い込んでいたのだろうか。
「そうか、そうだよなエルナ!」
俺はエルナに駆け寄って、彼女の手を両手で握り上下にブンブン振った。
「魔法陣にマナが流れる効率が変わるだけ。というか、俺が勝手に効率悪く魔法陣を描いただけなんだよな! すごいぞエルナ! ありがとう!」
俺はエルナを抱きしめて感謝の言葉を叫んだ。
すると後頭部に激重の衝撃が。
「何日中から破廉恥なことを!」
背後からエルザの怒鳴り声が……歴史は繰り返す。俺はあっさり意識を手放した。
そして目が覚めればサクヤに膝枕をされていた。あまりの心地良さにもう一度寝ようかと思ったが、作業しているエルザたちの姿もあり、さっさと起きて終わらせようと起き上がった。
「サクヤ、ありがとう」
「どういたしまして」
サクヤは手のひらサイズに戻り、俺の左肩に座った。
「やっと起きたか。この破廉恥男め」
「やきもちですかぁ」
「そんな訳なかろう!」
あの二人に付き合っていたら、いつになっても終わらない。俺は黙々と作業を進める。そして日没前には完成し、後は給湯魔道具の改良を家で行うだけとなった。
ちょうどエルとエマも開墾作業から戻ってきたので拠点に転移をして俺たちは帰宅した。
そして夕食後に魔法陣の改良をしていたが、これがまた上手くいかない。
ああでもない、こうでもないと描き直していると、それを見ていたエルとエマが、「ここっ!」と言って二人同時に魔法陣を描き変えた。
「おお、エルとエマは天才だよ!」
なんと若き天才少女が画期的な魔法陣を完成させたのだ。
その偉大な功績を讃えるべく、俺は二人の頭を撫でた。
「せんせーの役に立った?」
「ああ、大助かりだよ」
「良かったぁ!」
どんどん成長していく二人に期待しかない。そしてうちの愛弟子は俺なんかよりも遥か高みへ到達するだろう。
「エルとエマの将来が楽しみだな」
「将来はせんせーのお嫁さんになるのー」
「そう、エルとエマがせんせーのお嫁さん!」
「そっかそっか。じゃあ二人に嫌われないよう僕も頑張らないとね」
子供の戯言だと、そんな風に思いながら彼女達の頭を優しく撫でてあげた。
翌日、ルカさんが村の皆と話し合った結果。聖都ルドではなく、(聖地)ルド村とした。そしてルカさんは当然都市長改め村長として任命し直した。
また国名は王国など付けずに、エルフィアとだけにした。
「税はどうしますか」
「今まで通りでいいですよ。その集めた税金をルカさん達が村。いや、都市の為に適切に使ってください。ただ税を集めるのは皆の暮らしが良くなってからにしてください。そうですねぇ。取り敢えず三年は徴収しないことにしましょうか」
汚職や横領など常駐していなくてもエルフの目を逃れて行える訳がない。それに世界樹の祝福を受けた民が、そんな愚かなことをするとは思えなかった。
「本当に聖都なんて名ばかり大きくなっただけで、今まで通りで良いと思うんです。これまで暮らしてきたように何ら変わらずにやっていきましょう」
「はい。そうして頂けると有難いです」
「ですよね。大体、あの里長たちが面倒になって余計に大事になっただけですからね。なんか問題が起きたら押し付けちゃえばいいんですよ」
「うふふふ、そうですね。仰る通りです」
「それと僕等だけの内々では聖地ルド村として今まで通りルド村にしませんか」
「私としてもその方が良いので皆と話してみますね」
「はい、お願いします」
ルカさんとの話も終わり、公衆浴場の建設作業に戻った。
既に男性用の方は完成したので、今は少しだけ男性用より立派な女性用の作業に取り掛かった。
「お、戻っていたのか」
「うん。今さっき戻ってきた」
「エルとエマは湖か」
「いや、今日は村の外で小麦畑にする土地の開墾を手伝うとか言ってたな」
「あの二人も働き者ですねぇ」
そうなんだよな。しっかり稽古もするし、魔法もちゃんと学んでいる。しかも、お手伝いも文句も言わず自分たちからしっかりやる。本当に自慢の愛弟子だ。
「だな。けど半分は偶に現れる魔物退治がお目当てらしいぞ」
「初めて聞いたが」
「言ってませんからねぇ」
「言えよ! 危なくないのか」
「今のあの二人ならオーガにも勝てるさ」
その基準はよく分からないが、たぶんエルとエマはかなり強いということか。
まあ、俺の愛弟子だしな。
「そうだトール。水の魔石は湖の魔物から取れるから良いとして、火の魔石はどうするつもりだ」
「ゴブリンを狩れば一発だろ」
「森の近くまで行かないといないぞ」
「それは困ったな。ま、無属性の魔石も使えるようにしておくさ。要はマナが流れれば良いだけだからな」
「ならぁ、水の魔石でも良いんじゃないですか」
そのエルナの指摘に気付かされる。
人のマナに属性などなく、それでも色々な属性魔法を行使できる。何故俺は勝手に決めて思い込んでいたのだろうか。
「そうか、そうだよなエルナ!」
俺はエルナに駆け寄って、彼女の手を両手で握り上下にブンブン振った。
「魔法陣にマナが流れる効率が変わるだけ。というか、俺が勝手に効率悪く魔法陣を描いただけなんだよな! すごいぞエルナ! ありがとう!」
俺はエルナを抱きしめて感謝の言葉を叫んだ。
すると後頭部に激重の衝撃が。
「何日中から破廉恥なことを!」
背後からエルザの怒鳴り声が……歴史は繰り返す。俺はあっさり意識を手放した。
そして目が覚めればサクヤに膝枕をされていた。あまりの心地良さにもう一度寝ようかと思ったが、作業しているエルザたちの姿もあり、さっさと起きて終わらせようと起き上がった。
「サクヤ、ありがとう」
「どういたしまして」
サクヤは手のひらサイズに戻り、俺の左肩に座った。
「やっと起きたか。この破廉恥男め」
「やきもちですかぁ」
「そんな訳なかろう!」
あの二人に付き合っていたら、いつになっても終わらない。俺は黙々と作業を進める。そして日没前には完成し、後は給湯魔道具の改良を家で行うだけとなった。
ちょうどエルとエマも開墾作業から戻ってきたので拠点に転移をして俺たちは帰宅した。
そして夕食後に魔法陣の改良をしていたが、これがまた上手くいかない。
ああでもない、こうでもないと描き直していると、それを見ていたエルとエマが、「ここっ!」と言って二人同時に魔法陣を描き変えた。
「おお、エルとエマは天才だよ!」
なんと若き天才少女が画期的な魔法陣を完成させたのだ。
その偉大な功績を讃えるべく、俺は二人の頭を撫でた。
「せんせーの役に立った?」
「ああ、大助かりだよ」
「良かったぁ!」
どんどん成長していく二人に期待しかない。そしてうちの愛弟子は俺なんかよりも遥か高みへ到達するだろう。
「エルとエマの将来が楽しみだな」
「将来はせんせーのお嫁さんになるのー」
「そう、エルとエマがせんせーのお嫁さん!」
「そっかそっか。じゃあ二人に嫌われないよう僕も頑張らないとね」
子供の戯言だと、そんな風に思いながら彼女達の頭を優しく撫でてあげた。
翌日、ルカさんが村の皆と話し合った結果。聖都ルドではなく、(聖地)ルド村とした。そしてルカさんは当然都市長改め村長として任命し直した。
また国名は王国など付けずに、エルフィアとだけにした。
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