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その3(オモテ)
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「迎えに...?」
尚もニコニコと微笑んでいるアッシュに、
そういえば無気力キャラでほぼ笑わない設定だったな、攻略したらこんな風に笑うんだっけ...と生前やっていたゲームの内容に思いを馳せる。
というか迎えに来たってなんだろうか。
何か出かける約束をしたとか一ミリも記憶にない。
昨日以前の記憶なんて実質何年も前のことだけど、この時点でアッシュと再び交流をしていたことはないと断言できる。
学園で再会して、変わらぬ彼の本質に恋心が再熱したのだ、"学園で再会"ははっきりくっきり覚えている。
「そうだよ?これからリズは僕と魔塔で暮らすんだから。あぁ、安心して?必要なものは全部揃えてあるから、リズはその身ひとつで来て大丈夫だよ?」
コテン、と再びピアスを揺らしながら顔を傾ける。
どうしようさっきからなんか耳がおかしい。
「な、なんだかちょっと体調が優れないみたいですわ。あまり理解ができなくて...申し訳ないけれど、日を改めてくださる?」
多分頭がバグりすぎてアッシュの言っていることが違う言葉に自動変換されている。
久しぶりに会った懐かしき友人にいきなりこんなこと言う人なんていない。
2度目の巻き戻りと、王子の訃報、アッシュの訪問に、ついに体が事態をよみこめないほど動揺しているようだ。
貴族だって動揺する。人間だもの。
「大丈夫?安心して、リズが心の底から休めるように最高級のマットレスを用意してるよ。そこで治療しよう。」
「...あの、アッシュ?先ほどからアッシュの言葉が違うものに変換されているようなの、全然理解できませんのよ。本当に。日を改めてお話ししましょう」
スルリと頬を撫でられるけど、そんな接触にも動揺したのだろうか、さらに変な言葉に変換されている!どうしたのこの耳は!治って!久しぶりに再会した友人に対してなんかマットレス用意してるって!そうとしか聞こえない!
「あぁ、リズ。流石に2度も断頭台に上がって動揺したんだよね。ごめんね」
「!?」
頬を撫でてきた手をそのままに、逆の手で腰を掴まれぎゅっと抱きしめられる。
今しがた聞こえて来た言葉に衝撃を受けすぎてなすがままだ。
「安心して。今回はあの腹黒野郎を早々に始末したし、今頃あの女も王太子殺害の罪に問われていると思うよ。今回はリズの視界に入ることもないからね」
あやすように頭を撫でられるけど、すごく物騒な言葉が聞こえてくるし、なんか体が震えて来た。これは何、恐怖心?
「2度も失敗しちゃったけど、今回は絶対大丈夫。もう絶対にリズを死なせないからね」
そう言って抱きしめられたまま頭にキスを落とされる。
「リズ、大好きだよ。」
ふわり、と風が吹く
アッシュが魔法陣を展開したようだ。
床に蒼白く魔法陣が浮かび上がる。
「僕が来たことは使用人たちに忘却呪文をかけてあるから誰にも知られないし、魔法の痕跡は残らないようにしているから安心してね。このまま転移魔法で行くけど、離れないように捕まっててね」
アッシュと目が合う
底なしに仄暗くて、けれど顔は終始笑っている。これは、誰なの。
ーーーーやめて
最後に自分が発した声は、届いたのか届かなかったのか。
口だけは確かに動いて、
そのまま。
ふと、自分が処刑される寸前のことを思い出す。
1回目の処刑の時も、2回目の処刑の時も。
彼が。アッシュが。
この世の絶望を溜めたかのように、
こちらを見ていたーーーーーー
暗転
尚もニコニコと微笑んでいるアッシュに、
そういえば無気力キャラでほぼ笑わない設定だったな、攻略したらこんな風に笑うんだっけ...と生前やっていたゲームの内容に思いを馳せる。
というか迎えに来たってなんだろうか。
何か出かける約束をしたとか一ミリも記憶にない。
昨日以前の記憶なんて実質何年も前のことだけど、この時点でアッシュと再び交流をしていたことはないと断言できる。
学園で再会して、変わらぬ彼の本質に恋心が再熱したのだ、"学園で再会"ははっきりくっきり覚えている。
「そうだよ?これからリズは僕と魔塔で暮らすんだから。あぁ、安心して?必要なものは全部揃えてあるから、リズはその身ひとつで来て大丈夫だよ?」
コテン、と再びピアスを揺らしながら顔を傾ける。
どうしようさっきからなんか耳がおかしい。
「な、なんだかちょっと体調が優れないみたいですわ。あまり理解ができなくて...申し訳ないけれど、日を改めてくださる?」
多分頭がバグりすぎてアッシュの言っていることが違う言葉に自動変換されている。
久しぶりに会った懐かしき友人にいきなりこんなこと言う人なんていない。
2度目の巻き戻りと、王子の訃報、アッシュの訪問に、ついに体が事態をよみこめないほど動揺しているようだ。
貴族だって動揺する。人間だもの。
「大丈夫?安心して、リズが心の底から休めるように最高級のマットレスを用意してるよ。そこで治療しよう。」
「...あの、アッシュ?先ほどからアッシュの言葉が違うものに変換されているようなの、全然理解できませんのよ。本当に。日を改めてお話ししましょう」
スルリと頬を撫でられるけど、そんな接触にも動揺したのだろうか、さらに変な言葉に変換されている!どうしたのこの耳は!治って!久しぶりに再会した友人に対してなんかマットレス用意してるって!そうとしか聞こえない!
「あぁ、リズ。流石に2度も断頭台に上がって動揺したんだよね。ごめんね」
「!?」
頬を撫でてきた手をそのままに、逆の手で腰を掴まれぎゅっと抱きしめられる。
今しがた聞こえて来た言葉に衝撃を受けすぎてなすがままだ。
「安心して。今回はあの腹黒野郎を早々に始末したし、今頃あの女も王太子殺害の罪に問われていると思うよ。今回はリズの視界に入ることもないからね」
あやすように頭を撫でられるけど、すごく物騒な言葉が聞こえてくるし、なんか体が震えて来た。これは何、恐怖心?
「2度も失敗しちゃったけど、今回は絶対大丈夫。もう絶対にリズを死なせないからね」
そう言って抱きしめられたまま頭にキスを落とされる。
「リズ、大好きだよ。」
ふわり、と風が吹く
アッシュが魔法陣を展開したようだ。
床に蒼白く魔法陣が浮かび上がる。
「僕が来たことは使用人たちに忘却呪文をかけてあるから誰にも知られないし、魔法の痕跡は残らないようにしているから安心してね。このまま転移魔法で行くけど、離れないように捕まっててね」
アッシュと目が合う
底なしに仄暗くて、けれど顔は終始笑っている。これは、誰なの。
ーーーーやめて
最後に自分が発した声は、届いたのか届かなかったのか。
口だけは確かに動いて、
そのまま。
ふと、自分が処刑される寸前のことを思い出す。
1回目の処刑の時も、2回目の処刑の時も。
彼が。アッシュが。
この世の絶望を溜めたかのように、
こちらを見ていたーーーーーー
暗転
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