3 / 10
第三話
しおりを挟む
お父様から話を聞いて数日後、私はレイン様の屋敷にやって来ていた。
応接室にはレイン様がいて、私を待っていた様子だ。
レイン様は面倒だからと髪を切らず、腰まで伸びた銀色の髪が目立つ。
目つきが鋭くて凜々しい顔立ちをしているけど、怖そうと思われるのかもしれない。
私は昔関わったことがあるから、怖いとは思わない。
悪評の理由を察していると、レイン様が私を眺めて話す。
「久しぶりだなアイリス様……婚約を破棄したと聞いて、聞きたいことが2つある」
立場は私の方が上だけど、レイン様は昔のように敬語では話さない。
それが許される程の功績を挙げているからだけど、変人と呼ばれている理由でもあった。
「なんでしょうか?」
「新たな婚約者がクーナス様だと聞いたが、どうしてそうなった?」
レイン様が困惑しながら尋ねたのは、理由が理解できないからでしょう。
理由を話すと、レイン様は溜息を吐きながら呟く。
「アイリスは優秀なのに、妹は酷いな……そして、ジェード様は愚かだ」
愚痴になってしまった気もするけど、レイン様はしっかり聞いてくれた。
家だとクーナスがいて言えなかったから、こうして会えてよかったと思えるようになっている。
「あの、もう1つ聞きたいことがあるはずですけど、なんでしょうか?」
興味があったから尋ねると、レイン様は私をじっと眺める。
「言いたくないのなら答える必要はないが……ジェード様に婚約破棄を言い渡されて、どんな気持ちになった?」
「えっと……最初はショックでしたけど、私の忠告を無視した時点でどうでもよくなりました」
私はジェード様の力になるよう行動していたけど、それを当然のことだと思っていたようだ。
そして妹クーナスが狡猾な手段で私より有能だと思わせて、それを信じたジェード様は私の忠告を聞かなかった。
本心を伝えると、レイン様は頷いて話す。
「アイリス様は新しい婚約者を見つけて、ジェード様と完全に決別したいようにみえる」
「……よく、わかりましたね」
「君は私が最も婚約したかった人だからな。チャンスが来ることを願い、色々と調べていた」
レイン様の発言に、私は動揺する。
困惑していると、レイン様が私に告げる。
「もし新たな婚約者を探しているのなら、私と婚約しないか?」
「えっと……婚約ですか?」
「ジェード様と婚約が決まった時は仕方ないと考えていたはずなのに、心というのは割り切れないものだ」
レイン様は自分自身に関心しているようで、変人と噂されているだけはある。
それでもこうして私がショックを受けてないか訪ねた上で、レイン様は婚約を申し込んでくれた。
「わかりました……私は、レイン様の婚約者となります」
その優しさは元婚約者ジェードには一切なかったもので、私は婚約を受け入れることにしていた。
応接室にはレイン様がいて、私を待っていた様子だ。
レイン様は面倒だからと髪を切らず、腰まで伸びた銀色の髪が目立つ。
目つきが鋭くて凜々しい顔立ちをしているけど、怖そうと思われるのかもしれない。
私は昔関わったことがあるから、怖いとは思わない。
悪評の理由を察していると、レイン様が私を眺めて話す。
「久しぶりだなアイリス様……婚約を破棄したと聞いて、聞きたいことが2つある」
立場は私の方が上だけど、レイン様は昔のように敬語では話さない。
それが許される程の功績を挙げているからだけど、変人と呼ばれている理由でもあった。
「なんでしょうか?」
「新たな婚約者がクーナス様だと聞いたが、どうしてそうなった?」
レイン様が困惑しながら尋ねたのは、理由が理解できないからでしょう。
理由を話すと、レイン様は溜息を吐きながら呟く。
「アイリスは優秀なのに、妹は酷いな……そして、ジェード様は愚かだ」
愚痴になってしまった気もするけど、レイン様はしっかり聞いてくれた。
家だとクーナスがいて言えなかったから、こうして会えてよかったと思えるようになっている。
「あの、もう1つ聞きたいことがあるはずですけど、なんでしょうか?」
興味があったから尋ねると、レイン様は私をじっと眺める。
「言いたくないのなら答える必要はないが……ジェード様に婚約破棄を言い渡されて、どんな気持ちになった?」
「えっと……最初はショックでしたけど、私の忠告を無視した時点でどうでもよくなりました」
私はジェード様の力になるよう行動していたけど、それを当然のことだと思っていたようだ。
そして妹クーナスが狡猾な手段で私より有能だと思わせて、それを信じたジェード様は私の忠告を聞かなかった。
本心を伝えると、レイン様は頷いて話す。
「アイリス様は新しい婚約者を見つけて、ジェード様と完全に決別したいようにみえる」
「……よく、わかりましたね」
「君は私が最も婚約したかった人だからな。チャンスが来ることを願い、色々と調べていた」
レイン様の発言に、私は動揺する。
困惑していると、レイン様が私に告げる。
「もし新たな婚約者を探しているのなら、私と婚約しないか?」
「えっと……婚約ですか?」
「ジェード様と婚約が決まった時は仕方ないと考えていたはずなのに、心というのは割り切れないものだ」
レイン様は自分自身に関心しているようで、変人と噂されているだけはある。
それでもこうして私がショックを受けてないか訪ねた上で、レイン様は婚約を申し込んでくれた。
「わかりました……私は、レイン様の婚約者となります」
その優しさは元婚約者ジェードには一切なかったもので、私は婚約を受け入れることにしていた。
108
あなたにおすすめの小説
婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください
satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。
私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…
彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢イブリン・キュスティーヌは男爵令息のホーク・ウィンベルドと婚約した。
好きな人と結ばれる喜びに震え幸せの絶頂を感じ、周りの景色も明るく見え笑顔が輝く。
彼には妹のフランソワがいる。兄のホークのことが異常に好き過ぎて婚約したイブリンに嫌がらせをしてくる。
最初はホークもフランソワを説教していたが、この頃は妹の肩を持つようになって彼だけは味方だと思っていたのに助けてくれない。
実はずっと前から二人はできていたことを知り衝撃を受ける。
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
婚約破棄の日の夜に
夕景あき
恋愛
公爵令嬢ロージーは卒業パーティの日、金髪碧眼の第一王子に婚約破棄を言い渡された。第一王子の腕には、平民のティアラ嬢が抱かれていた。
ロージーが身に覚えのない罪で、第一王子に糾弾されたその時、守ってくれたのは第二王子だった。
そんな婚約破棄騒動があった日の夜に、どんでん返しが待っていた·····
これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?
satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。
結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…
姉が私の婚約者と仲良くしていて、婚約者の方にまでお邪魔虫のようにされていましたが、全員が勘違いしていたようです
珠宮さくら
恋愛
オーガスタ・プレストンは、婚約者している子息が自分の姉とばかり仲良くしているのにイライラしていた。
だが、それはお互い様となっていて、婚約者も、姉も、それぞれがイライラしていたり、邪魔だと思っていた。
そこにとんでもない勘違いが起こっているとは思いもしなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる