私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった

天宮有

文字の大きさ
2 / 10

第二話

 私がジェード様の元婚約者となり、妹クーナスがジェードの新たな婚約者になって数日が経過していた。
 まだクーナスとジェード様の仲は平穏なようで、クーナスは度々私に自慢してくる。

 早朝、忙しいお父様が珍しくいてくれる食卓で、クーナスが楽しそうに語る。

「お姉様は新たな婚約者を探す必要がある……私との差があるせいですが、申し訳ないですわ」

「そうね。確かに貴方と私には差があるわ」

「はい。ジェード様が私を選ぶのも仕方のないことです」

 今まで何をしてきたのか私にはわかっているのに、クーナスはとぼけている様子だ。
 私の方が遙かに上という意味なのに、クーナスは魔法の力が私と同じだと思っていそう。
 
 このままいけば、二人の関係はそこまで長く続かないと私は推測している。
 今まで私が陰で力になっていたからこそ、ジェード様は優秀な公爵貴族と呼ばれていた。
 私の真似事を先にしていただけの妹クーナスでは、今後何もできないでしょう。

 何か手を打つのだろうかと思っていたけど、クーナスは何も考えていなさそう。
 これは、本当に私とクーナスの差はそこまでないと思い込み、なんとかなると考えているに違いない。

「憐れね」

 思わず本音が零れると、クーナスが私を鼻で笑う。

「自分を卑下するのもわかりますけど、私を恨むのだけは止めてくださいね~」

 勝ち誇りながら宣言するクーナスは、お父様に自分の凄さをアピールしている。
 そんなクーナスの発言を聞き、お父様が私達を眺めて話す。

「私が家を出ている間にそんなことがあったとはな……クーナスよ。そこまで心配することはない」

「ど、どういうことですか!?」

 今まで忙しくて留守にしていたお父様の発言に、クーナスが驚いている。
 婚約者を私に戻そうと動くのではないかと危機感を抱いている様子だけど、私に目を向けてお父様が話す。

「アイリスよ……伯爵家のレイン様が会いたいらしい」

「レイン様ですか……」

「確かに悪い噂を聞くが、昔は仲がよかっただろう?」

「はい。ただ……レイン様が、他人に関心を持っていたことが意外でした」

 ノーチウス伯爵家のレイン様は、魔法の腕が凄いことで有名だ。
 伯爵貴族だけど、魔法の腕によって立場が上の貴族と対等に扱われていると聞いたことがある。

 そしてそれの噂を聞いて、求婚が後を絶えないらしい。
 レイン様本人の人間性に問題があって誰も婚約者になることができず、求婚した人達から不評で悪名高くなっている。

「あのレイン様が会いたいと仰るだなんて、お姉様はどんな目に合ってしまうのでしょうか」

 そうクーナスが楽しそうに話すけど、何か問題が起きて私の評判が下がって欲しそうだ。

 私はレイン様と会うことが決まり……その後レイン様が、私の婚約者になろうとしていた。

あなたにおすすめの小説

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください

satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。 私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…

ざまぁされた王太子は他人の断罪劇を阻止したい

SINSIN
恋愛
ざまぁ、された第一王子。他国で似たような境遇を目撃した。いけない、このままでは自分の二の舞だ。なんとか助けねば……!

虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を

柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。 みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。 虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

妹のせいで婚約破棄になりました。が、今や妹は金をせびり、元婚約者が復縁を迫ります。

百谷シカ
恋愛
妹イアサントは王子と婚約している身でありながら騎士と駆け落ちした。 おかげでドルイユ伯爵家は王侯貴族から無視され、孤立無援。 「ふしだらで浅はかな血筋の女など、息子に相応しくない!」 姉の私も煽りをうけ、ルベーグ伯爵家から婚約破棄を言い渡された。 愛するジェルマンは駆け落ちしようと言ってくれた。 でも、妹の不祥事があった後で、私まで駆け落ちなんてできない。 「ずっと愛しているよ、バルバラ。君と結ばれないなら僕は……!」 祖父母と両親を相次いで亡くし、遺された私は爵位を継いだ。 若い女伯爵の統治する没落寸前のドルイユを救ってくれたのは、 私が冤罪から助けた貿易商の青年カジミール・デュモン。 「あなたは命の恩人です。俺は一生、あなたの犬ですよ」 時は経ち、大商人となったデュモンと私は美しい友情を築いていた。 海の交易権を握ったドルイユ伯爵家は、再び社交界に返り咲いた。 そして、婚期を逃したはずの私に、求婚が舞い込んだ。 「強く美しく気高いレディ・ドルイユ。私の妻になってほしい」 ラファラン伯爵オーブリー・ルノー。 彼の求婚以来、デュモンの様子が少しおかしい。 そんな折、手紙が届いた。 今ではルベーグ伯爵となった元婚約者、ジェルマン・ジリベールから。 「会いたい、ですって……?」 ======================================= (他「エブリスタ」様に投稿)

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。