悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです

第５話

　新しい生活がはじまって、数日が経っていた。

　私はヨハンの護衛として、バルギオ公爵領のために行動している。
　休日には領地を巡りながら、私はヨハンに協力していく。
　冒険者の依頼よりも危険ではなくて、私はヨハンの力になることができていた。

　領地の問題を解決して屋敷に戻り、私は用意してくれた部屋でヨハンと話をしている。
　必要とされていることが、私は嬉しかった。

「シンディがいてくれたから、領民が助かっています。ありがとうございます」

　今の私は平民だから、様付けはやめて欲しいとヨハンに頼んでいた。

　お礼を言うヨハンを眺めて、私は嬉しくなっている。
　今までデーリカが起こしたトラブルを解決しても、家族は当然のことだと言う。
　そしてオリドスは何も知らず、デーリカの発言を信じて私が全て悪いと考えていた。

「私はヨハン様の護衛として、当然のことをしたまでです」

「これからも、よろしくお願いします……シンディの力があったからこそ、デーリカが問題を起こしてもなんとかなっていたのでしょう」

　ヨハンの発言を聞いて、私は今までの出来事を思い返す。
　私に貸しを作れるならと、謝罪に納得してくれた人が多かった。

　今は私がいないから、デーリカが問題を起こせば大惨事となりそう。
　私の予想通り、これからルザード伯爵家は大変な目に合うけど――私には関係なかった。