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第4話
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このまま冒険者として活動していくのなら、私は他国へ行かなければならないと考えていた。
ルザード伯爵家の末路を知りたいからこの国にいたいけど、平民の冒険者だと貴族の情報があまり入ってこない。
ヨハンのいるバルギオ公爵家の屋敷に住めば知ることができそうで、私はヨハンの護衛として雇われる形で住むことを決めていく。
提案を受けると私が言えば、ヨハンは喜んでいた。
食事を終えてすぐにバルギオ公爵家の屋敷へ向かい、私は手続きを行う。
数時間で手続きが終わり――屋敷の応接室で、テーブル越しに対面しているヨハンが私に話す。
「私は領地のために動いているので、シンディ様にも協力してもらうことになります」
「はい。それは問題ありません」
屋敷に暮らして、私の力が必要になりそうなのはむしろ嬉しい。
これからの行動について話し合った後、ヨハンはルザード伯爵家について話してくれた。
「それでは、ルザード伯爵家で起きたことについて話しますけど――デーリカはまだ、そこまで問題を起こしていないようです」
「そこまでということは、何か問題を起こしてはいるのですね」
私が尋ねると、ヨハンは苦笑して頷く。
元妹デーリカが大変なことをしていたら、冒険者ギルドにも伝わっていそう。
そこまで酷くなさそうだと考えていると、ヨハンが数ヶ月間の出来事を話した。
「パーティ会場で貴族令嬢に暴言を吐いたり、魔法の授業で気に入らない生徒に対して魔法で攻撃したぐらいです」
「十分酷いと思いますけど、今までと比べればマシですか」
迷惑をかけているのは個人に留めている辺り、元父がデーリカを抑えているのだと思う。
それでもパーティには参加させた結果、デーリカは貴族令嬢に暴言を吐いたようだ。
元父が関与できない学園内でも、デーリカはトラブルを起こしている。
オリドスとしては、デーリカとの婚約を間違いなく後悔していそうだ。
「デーリカとオリドスの仲は最悪のようですが、ルザード伯爵家との取り決めで婚約破棄ができないようです」
「元ですが父は、デーリカの今後が不安になっていました。婚約できるのはオリドスしかいないと、考えていたのでしょう」
取り決めがあったことをはじめて知ったけど、当然の判断な気がしてくる。
あのデーリカと婚約すると言ったのだから、元父は絶好の機会だと思ったに違いない。
迷惑をかけたとしても私に謝らせればいいとか考えていそうだけど、そんな家を捨てるのは当然の判断だった。
その後ヨハンは、私に提案する。
「私が魔法学園に通っている際、シンディ様は同行できますけど……どうしますか?」
もし私が同行すれば、オリドス達と再会することになりそう。
そうなると大事になりそうだけど、私としてはまだ会いたくはない。
「ヨハン様の護衛として雇われましたけど、同行しなくてもいいのですか?」
「魔法学園にいる間、シンディ様は屋敷にいて大丈夫です。シンディ様が決めてください」
「それなら――まだ、私は魔法学園に行きたくありません」
ヨハンの傍にいたいと思っているけど、まだオリドス達とは会いたくない。
デーリカが問題を起こし続けた後、私もヨハンと一緒に魔法学園に行こう。
そうすれば、デーリカが私のせいにすることはできなくなるはずだ。
その考えをヨハンに伝えると、納得してくれたようで話す。
「わかりました。これからも私は、ルザード伯爵家を調べていきます」
もう私のせいにすることは無理だと思うけど、今はオリドス達を後悔させたい。
そして末路を確認してから、私はヨハンと一緒に魔法学園に向かおう。
今後の行動を決めて――私の新しい生活が、はじまろうとしていた。
ルザード伯爵家の末路を知りたいからこの国にいたいけど、平民の冒険者だと貴族の情報があまり入ってこない。
ヨハンのいるバルギオ公爵家の屋敷に住めば知ることができそうで、私はヨハンの護衛として雇われる形で住むことを決めていく。
提案を受けると私が言えば、ヨハンは喜んでいた。
食事を終えてすぐにバルギオ公爵家の屋敷へ向かい、私は手続きを行う。
数時間で手続きが終わり――屋敷の応接室で、テーブル越しに対面しているヨハンが私に話す。
「私は領地のために動いているので、シンディ様にも協力してもらうことになります」
「はい。それは問題ありません」
屋敷に暮らして、私の力が必要になりそうなのはむしろ嬉しい。
これからの行動について話し合った後、ヨハンはルザード伯爵家について話してくれた。
「それでは、ルザード伯爵家で起きたことについて話しますけど――デーリカはまだ、そこまで問題を起こしていないようです」
「そこまでということは、何か問題を起こしてはいるのですね」
私が尋ねると、ヨハンは苦笑して頷く。
元妹デーリカが大変なことをしていたら、冒険者ギルドにも伝わっていそう。
そこまで酷くなさそうだと考えていると、ヨハンが数ヶ月間の出来事を話した。
「パーティ会場で貴族令嬢に暴言を吐いたり、魔法の授業で気に入らない生徒に対して魔法で攻撃したぐらいです」
「十分酷いと思いますけど、今までと比べればマシですか」
迷惑をかけているのは個人に留めている辺り、元父がデーリカを抑えているのだと思う。
それでもパーティには参加させた結果、デーリカは貴族令嬢に暴言を吐いたようだ。
元父が関与できない学園内でも、デーリカはトラブルを起こしている。
オリドスとしては、デーリカとの婚約を間違いなく後悔していそうだ。
「デーリカとオリドスの仲は最悪のようですが、ルザード伯爵家との取り決めで婚約破棄ができないようです」
「元ですが父は、デーリカの今後が不安になっていました。婚約できるのはオリドスしかいないと、考えていたのでしょう」
取り決めがあったことをはじめて知ったけど、当然の判断な気がしてくる。
あのデーリカと婚約すると言ったのだから、元父は絶好の機会だと思ったに違いない。
迷惑をかけたとしても私に謝らせればいいとか考えていそうだけど、そんな家を捨てるのは当然の判断だった。
その後ヨハンは、私に提案する。
「私が魔法学園に通っている際、シンディ様は同行できますけど……どうしますか?」
もし私が同行すれば、オリドス達と再会することになりそう。
そうなると大事になりそうだけど、私としてはまだ会いたくはない。
「ヨハン様の護衛として雇われましたけど、同行しなくてもいいのですか?」
「魔法学園にいる間、シンディ様は屋敷にいて大丈夫です。シンディ様が決めてください」
「それなら――まだ、私は魔法学園に行きたくありません」
ヨハンの傍にいたいと思っているけど、まだオリドス達とは会いたくない。
デーリカが問題を起こし続けた後、私もヨハンと一緒に魔法学園に行こう。
そうすれば、デーリカが私のせいにすることはできなくなるはずだ。
その考えをヨハンに伝えると、納得してくれたようで話す。
「わかりました。これからも私は、ルザード伯爵家を調べていきます」
もう私のせいにすることは無理だと思うけど、今はオリドス達を後悔させたい。
そして末路を確認してから、私はヨハンと一緒に魔法学園に向かおう。
今後の行動を決めて――私の新しい生活が、はじまろうとしていた。
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