強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有

文字の大きさ
3 / 40

第3話

しおりを挟む
 転生した翌日――休日が終わり、私とルミスは馬車に乗って魔法学園に向かっている。

 今までは私を見下して暴言を吐き続けていた妹ルミスだけど、今日は口数が少ない。
 実際はそこまで迷惑がかかっていないのに、吹聴していることがバレるのを恐れてだ。

「お姉様、今日は魔法の実技試験の日です。無様な結果を出して私に迷惑がかからないよう頑張ってください」

 それでも今日のことは言っておきたかったようで、嬉しそうにルミスが話す。

 シンディは今まで魔法が使えないフリをしていたから、今日の試験も散々な結果になると思っていそう。

「そうね、無様な結果は出さないようにするわ」

「魔法が使えないのに、何を自信ありげに言っているのですか……開き直ったお姉様を見て、学園の皆がどう思うか愉しみです!」

 どうやらルミスは、私が馬鹿にされることを望んでいそう。
 これから私はルミスに迷惑をかけることになるはずだけど――それは、私の実技試験の成績がよすぎるからだ。

■◇■◇■◇■◇■

 魔法学園に到着してルミスと別れ、私は教室に向かう。

 教室に入ると――クラスの人達は、私の変化に驚いている様子だった。

 シンディの記憶通り自分の席に座ると、私の前に利発そうな短い黒髪の美少年がやって来る。

 彼はいつもシンディの力になってくれているヨハンで、シンディの記憶から守りたいと思っている人だ。

「ヨハン様、おはようございます」

「お、おはようございます……シンディ様、休日に何かありましたか?」

 ヨハンが困惑した様子で尋ねるけど、そこまで雰囲気がシンディと違うのだろうか?

 教室にいた生徒達も驚いていたから違うと思うけど、私は転生前のシンディのフリをする気がない。

「そうですね。今日の実技試験に備えていたら、私は変わろうと思うようになりました」

 昨日の内に考えてきた理由を話すけど、それでもヨハンは困惑している様子だ。

「な、なるほど……ですが――」

「――なんだシンディ? いつもと違って明るいな、今日の試験が不安すぎておかしくなったのか?」

 ヨハンの発言を遮って、長い赤髪の目つきが鋭い少年が私を見下しながら尋ねる。

 この人は――シンディを自害させるまで追い詰めた元凶、元婚約者のオリドスだ。

 反射的に敵意を籠めて睨み、私は魔力を籠めた怒気を出していた。

 それを受けたオリドスは全身を震わせ、恐怖して叫ぶ。

「ひっっ……!? なっ、なんだ!? 貴様は一体何をした!?」

 咄嗟の行動で私は軽く威圧しただけなのに、オリドスは後ろに飛び退いて尻もちをつく。
 周囲の生徒達から見られている中で、起き上がることができないでいた。

 そんなオリドスを見下しながら、私は言う。
 
「誰がどう見ても、オリドス様が勝手に倒れただけです」

「ぐぅぅっ……今日の午前は魔法の実技試験、それも実戦形式の試験だ! 覚悟しておけ!!」

 そう言って机を使ってなんとか起き上がり、逃げ去るようにオリドスが自分の席に戻る。

 覚悟しておけと言ったけど――覚悟するのは、オリドスの方だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。 そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。 それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。 必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが… 正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。

婚約者と親友に裏切られた伯爵令嬢は侯爵令息に溺愛される

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のマーガレットは、最近婚約者の伯爵令息、ジェファーソンの様子がおかしい事を気にして、親友のマリンに日々相談していた。マリンはいつも自分に寄り添ってくれる大切な親友だと思っていたマーガレット。 でも… マリンとジェファーソンが密かに愛し合っている場面を目撃してしまう。親友と婚約者に裏切られ、マーガレットは酷くショックを受ける。 不貞を働く男とは結婚できない、婚約破棄を望むマーガレットだったが、2人の不貞の証拠を持っていなかったマーガレットの言う事を、誰も信じてくれない。 それどころか、彼らの嘘を信じた両親からは怒られ、クラスメイトからは無視され、次第に追い込まれていく。 そんな中、マリンの婚約者、ローインの誕生日パーティーが開かれることに。必ず参加する様にと言われたマーガレットは、重い足取りで会場に向かったのだが…

【完結】醜い豚公爵様と結婚することになりましたが愛してくれるので幸せです

なか
恋愛
自分の事だけが大好きで 極度のナルシストの婚約者のレオナード様に告げた 「婚約破棄してください」と その結果お父様には伯爵家を勘当され 更には他貴族達にも私のあらぬ噂をレオナード様に広めまれた だけど、唯一 私に手を差し伸べてくれたのは 醜い豚公爵と陰で馬鹿にされていたウィリアム様だけだ 彼の元へと嫁ぐ事になり馬鹿にされたが みんなは知らないだけ 彼の魅力にね

十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。

er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

処理中です...